ちょうどコンビニから出てくるレスターの姿を見かけて、フォルテは彼を呼び止めた。
「副司令」
レスターは振り返る。
「ああ……シュトーレン大尉か。何か?」
「いま時間いいかい?」
「出来れば手短に済ませてもらいたいのだが」
「じゃ、そうするよ。ここじゃ何だし、ティールームにでも」
「生憎だがそこまでの時間は取れない。忙しいんだ」
「つれないねぇ。まあいいよ、ならそこらの休憩所で」
場所を近くの休憩所に移す。通路の交差点になっている少し開けたホールで、自販機と簡素なソファーが置いてあるだけの
場所だ。
歩きながら、フォルテはレスターが手に提げているコンビニの袋を見下ろして言った。
「……またそれだけかい?」
ビニール袋を透けて見えるのは、健康食品のブロックフードと栄養ドリンクだった。
「最近、そればっかりだそうじゃないか。ちゃんとメシ食わないと、体壊すよ」
「身体の維持に必要な各栄養素と必要最低限のカロリーは確保できる。これの方が効率がいい」
レスターはソファーに腰掛けながら答えた。
「そいつはあくまで健康補助食品だ。栄養はちゃんとした食事から摂らないと、どっかに無理が来るもんだ」
「失礼だが、発言が老けているぞ、シュトーレン大尉」
フォルテは目をしばたたかせ、それからニヤリとした。
「ホントに失礼だねえ、副司令どの。これでも一応、あんたの体を心配して言ってやってんのに」
自販機にコインを入れて、ボタンを2つ押す。自分用のコーヒーと、
「ほらよ」
レスターにもう1本を投げてよこす。受け取ったレスターは、怪訝な顔をしてフォルテを見上げた
「……オレンジジュース?」
「ビタミン補給だと思って飲んどきな」
「……感謝する」
タブを開け、一口飲む。
「それで、俺に何の用事が? まさか俺の食生活について文句を言うのが用事だったわけじゃないだろう?」
「そうだね。……しまったなぁ、微糖にしときゃ良かった」
フォルテはコーヒーをすすって、顔をしかめながら話を切り出した。
「最近、タクトが私達のところに遊びに来てくれないんだよ。なんでか聞いたら、『レスターが部屋に閉じ篭もりっきりのせいで、
交代がいなくて俺もブリッジから離れられないんだ』って言うじゃないか。そんでもって今見たら、あんたはメシもそれだ。……
いったい、部屋で何やってるんだい?」
「……仕事だ」
「何の?」
「色々だ。武器弾薬、兵站物資の点検。その他生活需品の在庫点検。補給の段取りと取引の決済。各部署の苦情処理。エルシオール
及び紋章機の損耗状況と修理の進捗状況のチェック。それら全ての報告書の作成と、中央への報告。それに」
フォルテはうんざりした顔で、パタパタと手を振った。
「ああ、もういい」
「まだまだあるぞ。先の戦闘の分析。戦術の見直し。新たな作戦の立案。図式化。採用の是非に、それらに基づく君らエンジェル隊
への説明書及びレッスンプランの作成……」
「もういいってば。あんたが大変なのはよーく分かった」
「分かってもらえて嬉しい」
レスターは澄ました顔で缶を傾ける。
フォルテは息をはき、それから気を取り直して言った。
「けどさあ。そんな業務事、前の戦いの時だってやってただろ?」
前の戦い――――言うまでもなく、エオニア反乱軍との戦いのことだ。
タクトとレスターと、自分達エンジェル隊が初めて出会い、力を合わせて共に戦い、奇跡的な勝利をかちとったあの戦い。実際に戦火
を交えた自分達と指揮を執ったタクトばかりが脚光を浴びているが、それはレスターを筆頭とする各位の支援があったからこそ成し得
たことだ。その膨大な庶務を見事に遂行してくれた彼らこそ、ある意味で真の殊勲者であると言えるかもしれない。
フォルテもそのくらい分かっていた。雪崩のように次々と舞い込む数々の問題を、空恐ろしいまでに片っ端からさばき切るレスターの
切れ者ぶりを、この目で見てきた。
彼がいたからこそ、司令官のタクトに時間的余裕が与えられた。
おかげでタクトとエンジェル隊がお互いを知り、信頼を深める事ができた。
ひるがえって現在だ。その彼が、食事もまともに摂れなくなるほど時間的に追い詰められるなど、おかしいではないか。
何か、とてつもなく大きな難事を抱え込んでいるのでは? フォルテがそう疑うのは、ごく自然な思考の流れだった。そして、前回の
戦いと大きく違う点と言えば……。
「ちとせにあんなに厳しいのと、何か関係があるのかい?」
「………………」
レスターは黙り込んだ。その隻眼にたたえた光が一瞬鋭さを増したのを、フォルテは見逃さなかった。
「どうなんだい?」
「………………」
「何とかお言いよ。黙ってちゃ分からないだろ」
レスターは聞こえていないかのように悠然とした態度で、オレンジジュースを一気に飲み干した。
「それが用件か」
「まあね。どうなんだい?」
「深読みのし過ぎだ、大尉」
顔色1つ変えない返答だった。
「烏丸少尉は、すでに尉官とは言え、学校を出たばかりの新兵だ。技能も君達に比べれば所詮、学生レベル。厳しくするのは当然
だろう?」
「あくまで軍隊伝統の、新兵に対するしつけ教育だってのかい?」
「そうだ」
「副司令、知ってるかい? 軍隊伝統のしつけ教育、世間様一般ではそれを、イジメって言うんだよ」
レスターはジロリとフォルテを睨んだ。
「……だから?」
「厳しくするばかりが能じゃないってことさ」
盛大な溜め息をつくレスター。
「君には失望したぞ、シュトーレン大尉。軍隊経験の一番長い君が、まさかそんな事を言い出すとは思いもよらなかった」
しかしそんな彼に対し、フォルテは飄々としたものだ。
「そりゃ、あんたが私をよく知らない証拠だね。私は規律ってやつが大嫌いなんだ」
「……なるほど。タクトと気が合うわけだ」
「でも、規律の重要さは理解しているつもりだよ。だから必要最小限は守ってる。あくまで私基準で、だけどね」
「それは頼もしいことだ」
フォルテは不意に、真剣な表情で言った。
「確認しとくよ。ちとせに対するあの態度は、本当にただのしつけなんだね?」
「ああ。それ以上でもそれ以下でもない。俺はこれが、烏丸少尉に必要な事だと思うからこそやっているんだ。だから、これに関して
口出しはしないでほしい」
フォルテはその言葉を噛み締めるように、重々しくうなずいた。
「……信用しようじゃないか。他の奴らにも私から言っとくよ」
「助かる。用件は以上か?」
「ああ。手間とらせて悪かったね」
「これくらいなら構わん。オレンジジュース、馳走になった。それじゃ」
レスターは缶をゴミ箱に入れ、去って行った。
フォルテはそれを見送る。彼が角を曲がり、姿を消したところで。
「よーし、もういいよ」
正面の通路に向かって呼びかける。奥の角から、4人の少女たちがゾロゾロと出てきた。
「ミント、どうだった?」
フォルテの問いに、ミントは険しい表情で首を横に振る。
「嘘ですわ。何を隠してらっしゃるのか、という事までは読み取れませんでしたけど。少なくともただの躾だなんて大嘘です」
「そうか、やっぱりな」
「え? 嘘だったのあれ?」
ミルフィーユがキョトンとした顔で言った。
「いかにも副司令が考えそうな事だと思ってたんだけど、私」
「私も私も。ああ、もし私が配属される前からこの人が副司令だったら、私もちとせみたいな目にあってたのかな、って思ってた」
ミルフィーユの後を継いで、ランファ。
「詳しい事は、申し訳ありません、よく分かりませんでしたわ。いきなり膨大なイメージが流れ込んできて。驚きましたわ、副司令
の頭の中って、まるで常人の倍の速度で回転しているみたいでした」
「断片的にでもいいから、何か分からなかったのかい?」
ミントは眉根を寄せて、読み取ったイメージを言葉にしようと思案をめぐらせた。
「ええと……とにかく、ちとせさんに怒ってらっしゃいました。いえ、怒ると言うよりイライラなさってるみたいで。たぶんシャープ
シューターだったと思いますけど、戦略図やシミュレーション画像が次々浮かんでは消えて行って、紋章機がすごく複雑な動きをして
いました」
「なにそれ」
「私が知るわけないだろ」
ランファとフォルテが顔を見合わせる。
「でも、ごはんも食べずに考えているんですよね? 何をそんなに急いでるのかな?」
ミルフィーユが何気なく言った一言に、ミントはハッとした顔をする。
「そうです、急いでいらっしゃいました。早くしなければ、一刻も早く完成しなければ、と焦りすら感じられるご様子で」
「う〜ん、分っかんないわね〜」
ランファが頭の後ろで手を組む。
元々、この仕掛けを提案したのはランファであった。レスターを連れ出してミントのテレパス能力でその真意を暴こう、と。しかし
結果は思わしくなかった様だ。レスターの思考速度に、ミントのテレパシーがついていけなかったのだ。
断片的な情報を元に、各々ああではないかこうではないか、と考えを述べるが、憶測の域を出ずに混乱するばかりだった。
さらに――――。
「あと、これは何かの間違いかも知れませんが」
ミントが言った次の一言が、彼女達をさらに混乱させる事となった。
「一瞬ですけれど、ちょっと雰囲気の違うちとせさんのイメージが読み取れましたわ」
「雰囲気が違うって?」
ミルフィーユが首を傾げて訊く。
「ですから、副司令はちとせさんに対して苛立っておいでなんですけど、その時だけは違った感情が感じられました」
「ふうん。どんなイメージだったの?」
ミントは自分でも戸惑い気味に、答えた。
「いえ、それが……。ちとせさんが弓道着の袴姿で、竹箒を手にどこかを掃除なさっている姿です。何だかとても強い感情が感じら
れましたが……」
「え……ええぇ〜っ!? それって」
素っ頓狂な声を上げたのはランファだった。彼女が何を考えたのか、いち早く察したミントは
「いえ、強い感情と申しましてもそんな甘い感じではなく、どちらかと言えば、何か悲壮感のようなものが漂っていたのですが……」
「なに? それってつまりそういうこと? 副司令ってあんな澄ました顔して、ちとせのことそう思ってたの!? じゃあアレ? 気
になる娘ほどイジメたくなるって奴!?」
ランファは聞いちゃいなかった。
「えー? ランファ、なになに? 副司令がちとせをどう思ってるって?」
「だからぁ! あのムッツリスケベ、ちとせが好きだからちょっかい出してたって事よ!」
「ええ? 好きなのに何でイジメるの?」
「男ってのはそういうもんなのよ!」
なにやらえらく興奮しているランファに、フォルテが呆れてたしなめようとするも。
「ランファ、副司令だって小学生じゃないんだから」
「あーもう、なにあいつ! 何だか分かんないけどムカつくわー!」
やっぱり聞いちゃいなかった。
「私、タクトさんにイジメられたこと無い……タクトさん、私のこと好きじゃないのかな……」
「ミルフィーさんも、ランファさんの言う事なんて真に受けない方がよろしいですわよ」
すっかり収集がつかなくなってしまったエンジェル隊の面々。
その騒ぎから一人、外れて。
「………………」
ヴァニラは深く沈思するように、沈黙を保ったまま、レスターが去って行った方向を見つめ続けていた。



数日後――――。

その朝。訓練開始の時間はとっくに過ぎたというのに、ちとせは姿を見せなかった。
レスターは腕を組み、イライラと靴で床を踏み鳴らしている。他のエンジェル隊の面々はそんなレスターの不機嫌ぶりを横目に、気が
気でない様子でそれぞれクロノクリスタルによる呼び出しを続けていた。
「どなたか繋がりましたか?」
「ダメだ。コールは鳴ってるから繋がってはいるんだろうけど、出やしない」
ミントとフォルテの短いやりとりに、レスターがチッ、と舌打ちする。
それを聞いて、ミルフィーユが堪らずに言った。
「あたし、呼んで来ます!」
言うが早いか、脱兎のごとく訓練室を飛び出して行く。
「あ、あたしも」
ランファが遅れて後に続く。ちとせを呼びに行くと言うより、今のレスターから遠ざかりたいという様子であった。それくらいの不機
嫌ぶりなのである。
「ちとせさん、どうなさったのかしら……。まさか生真面目なちとせさんに限って、お寝坊なさったわけではないでしょうに」
「まさか、私らじゃあるまいし。でもそういや、昨夜も宿題をこなすのに遅くまでかかってたみたいだしなぁ」
ちとせのフォローと少しのあてつけを兼ねて、わざとレスターに聞こえるようなヒソヒソ声で話す2人。
「…………」
ヴァニラだけが、感情の読み取れない顔でレスターを見つめていた。
待つことしばし。
突然、けたたましい呼び出し音が鳴ったかと思うと、クロノクリスタルを通じて悲鳴のようなミルフィーユの声が響き渡った。
「大変、大変ですっ! ちとせが!」
かぶさるようにしてランファの声も重なる。
「すごい熱……! ヴァニラ聞いてる!? すぐに来て、ちとせの部屋に大至急、今すぐにっ!」
その場にいた全員が急いで出て行く中、レスター1人だけが重い溜め息をついて、ゆっくりと歩いて後に続いた。


ちとせは部屋のドアの手前で、うつぶせになって倒れていた。
そこらじゅうに宿題のプリントが散乱しており、彼女自身も数枚を胸に抱いたままだった。
身支度を整え、宿題も持ってさあ行こう、という所で力尽きたという感じである。
ミルフィーユとランファが2人がかりで部屋の奥へ運び、布団を敷いて寝かせた所で後の4人が到着した。
「ヴァニラ、こっち! 急いで!」
言われるまでもなくヴァニラは枕もとにかがみ込む。
ちとせは顔を真っ赤にして、大量の汗をかいていた。意識は無く、ときおり顔を歪めて苦悶のうめき声を洩らしている。
ひとめ見ただけでも分かる高熱だった。あのヴァニラが、額に手を当てた瞬間、驚きに目を見開いて思わず手を引っ込めたほどである。
すぐさまナノマシンが発動される。ヴァニラの両手が青白い光をまとい、それがちとせの全身に降り注ぐ。
「……ん……」
苦しげだった寝顔が、少しだけ和らぐ。
「ヴァニラ、大丈夫なの? まさか死んじゃったりしないでしょうね!?」
肩を掴んで食ってかかるランファに、ヴァニラは落ち着いた声で答える。
「……大丈夫です。軽度の過労です」
とりあえず大丈夫が保証され、ホッとするエンジェル隊一同。
「良かった……いや、良くはないけど」
フォルテが苦笑を浮かべながら言う。
「にしても変な言い方だねえ、『軽度の過労』なんてさ。度を越した疲労だから過労って言うんだろうにさ」
「……そうですね……」
肯きながらヴァニラは、フォルテから僅かに視線を動かし、その背後へと目を向ける。
そこにはレスターが居た。彼は床に散らばったプリントを拾い集めていた。
彼は集めたプリントにざっと目を通し、
「ふん……」
口の端を歪め、皮肉めいた笑みを浮かべると、布団に横たわるちとせの枕もとにツカツカと歩み寄った。眠るちとせの頬を軽く叩き、
こう呼びかける。
「起きろ、烏丸少尉。補習だ」
呆気にとられる一同。
あまりのことに、誰もが一瞬、冗談か何かだと思った。
だが、レスターは本気だった。ちとせの肩を掴んで揺り起こす。
「起きろ、烏丸少尉。これではダメだ。補習をするぞ、起きろ」
「ん……」
苦しげなうめき声を上げ、ちとせがうっすらと目を開けた。
「副司令……?」
ボンヤリしたまま、不思議そうに呟く。
「あれ……私……」
「いつまで寝ている、訓練の時間はとっくに過ぎているぞ。お前には補習も追加だからな、時間が無い。とっとと起きろ」
「補習……はい……」
その言葉だけに反応し、ちとせはヨロヨロと身を起こす。
が、体の方が言う事を聞かなかった。力が入らず、ガクリと肘を突く。
「さっさとしないか! 甘えるなっ!」
雷のような一喝が部屋を震わせた。ミルフィーユが思わずビクリと身を固くする。皮肉な事に、動じなかったのは怒鳴られた本人の方
だった。
「はい……すみません……」
苦しげな声を絞り出し、フラフラしながら立ち上がる。
その様子に、レスターは憎々しげに舌打ちした。
「何をフラフラしている。同情でも売っているつもりか?」
「いえ、そんな……」
「ならシャンとしていろ。やる気が無いなら、いつでもやめていいんだぞ」
「やります……よろしくお願いします……」
ちとせは宿題のプリントを抱きしめ、歯を食いしばって歩き出す。
「おい、そりゃあんまりだろ」
フォルテがレスターの肩を掴んで止めた。
「体調の悪い人間を訓練したって、効果が上がるわけじゃないだろ? これまでの無理がたたったんだよ。今日のところは休ませて
やったっていいじゃないか」
「ずいぶんと甘いことを言うんだな。体調が悪ければ敵は攻撃を止めてくれるのか?」
振り返って言うレスター。フォルテはヒョイと肩をすくめた。
「そう言うと思ったよ。軍隊特有の、伝家の宝刀」
「だが、事実だろう」
「事実だけどね。でも敵襲があったわけでもないのに、ちとせが体調を崩したのは誰のせいだと思ってんだい?」
「俺のせいだと言うのか」
「事実だろ?」
「………………」
レスターは険しい表情でフォルテを睨みつけた。
「……俺のやることに口出しはしないでいてくれるんじゃなかったのか?」
「時と場合によるさ。これは、さすがにあんまりだ」
フォルテは薄く笑ったまま答える。
静かに睨みあう2人。表面上は穏やかだが、その水面下では激しい火花が散っていた。
「……やめてください……」
その2人に割って入ったのは、ちとせだった。
「私でしたら、大丈夫です……問題ありません……」
「ちとせ」
レスターがフンと笑う。
「本人がこう言っているぞ」
フォルテの顔から笑みが消えた。刺すような目でレスターを睨み、それからちとせに振り返る。
「ちとせ、無理すること無いんだよ……?」
「ありがとうございます。でも大丈夫です」
エンジェル隊の面々も心配げに声をかけるが、それでもちとせは頑なに休養を拒んだ。
「負けたくないんです」
ちらりとレスターに振り返り、そして先輩達に告げる。
「子供っぽいかも知れませんが……私は、こんなことでは潰されたりしません」
自分は負けない。
こんな男には、決して負けない。
自分を潰せるものなら潰してみろ。
そこにあるのは、静かな意地と闘志だった。
「ふん」
レスターは鼻で笑う。
「何だろうと構いはしない。さっさと行くぞ」
「はい。よろしくお願いします」
挑むように睨みつけながら、頭を下げるちとせ。
2人がシュミレーションルームへと向かう。エンジェル隊の5人は、そんなちとせに少々圧倒されながら、その後をついていくの
だった。





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