[異世界の住人]
二章
「ど・・・・・どどどどどど・・・・・・どないしたんですかヴァニラさん!?あまりに堂々とし過ぎて一瞬スルーしましたよ!?」
「・・・・落ち着いてください・・・まずは精神安定剤を・・・・」
「このままやとエンジェル隊でのツッコミ役のあたしの立場が・・・・・・・・ってちゃ〜〜〜〜う!!!!」
「と・・・とにかく落ち着いて」
取り乱すというより発狂に近い状態の少女をタクトがなだめる。
「どうにも話が見えてこないんだけど・・・とりあえず聞きたいことがあるんだけど」
「と、言いますと?」
「君さっき『エンジェル隊での・・・』って言ってなかった?」
「言うてましたけど、それが何か?」
「俺はエンジェル隊の指揮官だけど新入隊員が入籍してきたなんて報告は一度も受けたことないんだけど・・・・」
「ちょっ・・・・・・その時点でおかしいですって!エンジェル隊の指揮官は無能、有能は別としてウォルコット中佐のはずですよ!!しかも趣味が少女漫画ですよ!?とうとうあの人クビですか!!?」
「ウォルコット中佐?俺がエンジェル隊の指揮官をする前は確かルフト先生だったはずだけど・・・?」
「・・・・・どうもさっきから会話かみ合いませんね?」
「そうだね・・・」
「あの司令・・・さっきから話を聞いてるとやっぱり・・・アレじゃないかしら?」
二人の会話を聞いていたケーラが先ほどから感じていた疑惑を聞いてみた。
「やっぱりアレですかね?」
「いやでも・・・今どきそんなベタな・・・」
「あの・・・・アレというのはいったい何のことでしょうか?」
3人が疑惑に感じていることにヴァニラだけは気付いていないようだ。
「そらやっぱり・・・・・」
「「「パラレルワールド」」」
「そうは言うても心当たりが・・・・・・・・・・・・・・・あ!」
どうやら心当たりがあったようだがその顔は果てしなく暗い。まるで何かのトラウマに触れたかの様に。
「何か思い出した?」
「まぁ・・・思い出したっちゅうか思い出してしもたっちゅうか・・・・・・」
「い・・・・言いたくないなら無理に言わなくてもいいのよ?」
少女の明らかな態度の変わり様にケーラが心配している、というより少女が出している重苦しい空気に耐えられない
のだろう。
「まぁ、それやと話が進まへんので言わざるを得んのですけどね・・・・・」
そんな事を言われたら作者の立場上どうしようもない・・・・・・・
ともかく少女は『どうせあたしの人生なんてね・・・・』という感じで語り始めた。
「・・・・・・・で、まぁその先にブラックホールが・・・」
『なに?この扱い・・・』とぼやきながらため息をついている。
「ええ・・・・と・・・つまりブラックホールに吸い込まれてここに辿り着いたってこと?」
「多分・・・そうやと思うんですけど・・・・」
「とにかく、話し込んでても仕方ないわね、お互いまだ名乗ってないし自己紹介にしましょう」
「そうですね。俺はこの艦、エルシオールの司令官タクト・マイヤーズ。よろしく」
「私はこの医務室の担当のケーラよ。よろしく」
「・・・ムーンエンジェル隊のヴァニラ・H(アッシュ)です」
「(やっぱし妙な違和感あるな・・・ヴァニラさん)新人エンジェル隊のカナ・アルフォートです・・・・・・・・あれ?ムーンですか?」
「そうだけど、それがどうかした?」
「あたしの入っとるんはギャラクシーですけど・・・ちなみにそっちはどんな活動しとるんです?」
「・・・主に白き月の警護、ロストテクノロジーの探索などです」
「その白き月っちゅうんが良く分かられへんけど基本的には同じですね。まぁ、一時期は近所のおばちゃん雇えば
ええとか言う声も上がっとったらしいですけど・・・・」
「エ・・・・・・エンジェル隊に近所のおばちゃん??」
「もともとエンジェル隊はロストテクノロジー探索と収集専門の親切部隊ですから」
この時はじめてタクトは同じ“エンジェル隊”でもノリが全然違うことを実感した。
「とりあえずこの事について詳しそうな人に聞いてみるしかないかな?」
「言うてもパラレルワールドなんておとぎ話の中だけやと思てましたからね・・・・」
「でも、とりあえずは聞いてみるしかないわよ。帰れなきゃ困るでしょ?」
「・・・・・・・確かに(このままやと無断欠勤=減給)」
―――――――――格納庫――――――――――
「で、元の世界に戻る方法が知りたい訳ですね?」
少々外はね気味の金髪を後ろにまとめた格納庫の整備班長クレータが事の経緯を要約した。
「まぁ、そういうことです」
「う〜ん・・・・・・正直むずかしいですね。そもそもブラックホールに落ちた人間の検証なんて見たことありませんから」
「やっぱりそうですか。ほなら何か分かったら知らせてください」
「わかりました」
―――――――――ティーラウンジ―――――――――
「ハァ・・・・・・・」
「ショックなのは分かるけどため息ばかりついてると良い事ないよ?」
「いや、ショックとはちゃいますよ?」
「え?じゃあ、なんで・・・・・」
「・・・・・・・・・まとも過ぎます!」
上目遣い・・・というよりは睨みにちかい目線でタクトに食いかかる。
「え?」
「皆さん、まとも過ぎなんですて!なんでこうも普通に会話がかみ合っとんのですか!?」
「は・・・・・話がみえないんだけど・・・・・」
「あたしがこっちに来て会った人物がヴァニラさんも含めて4人!誰一人としてあたしが突っ込める様な危険思想を持った人間がおれへんやないですか!これやとエンジェル隊唯一の常識人(自称)であるあたしの印象がめっさ薄いやないですか!?」
かなり理不尽な物言いである。決してこの娘も常識人ではないだろう。
「あれ?タクトさんじゃないですか。何してるんですか?」
桃色の髪に花の髪飾りをつけ、童顔で実年齢より下に見られそうなミルフィーユ・桜葉を始めとし、ヴァニラも含めた6人のエンジェル隊がティーラウンジにやって来ていた。
「あ、みんなどうしたんだい?」
「うわぁ・・・・ほんまみんな外見そのまんま・・・・・・・・・・・あ、フォルテさんと蘭花さんの軍服がビミョーに・・・・」
そんなことを言っている間に6人が二人の周りに集まってきた。
「そりゃこっちのセリフだよタクト、そんな可愛い娘連れてどうしたんだい?ひょっとしてタクトの彼女かい?」
フォルテがタクトにからむ様に腕をかける。
「へ?」
「え〜〜〜!?そうなんですか?」
「それは本当なのですか?タクトさん!」
「ちょっと!それどういう事よ!?」
「あらタクトさん、以外と手早いですわね」
事情をまだ知らないエンジェル隊がタクトに食いかかる。
「(な・・・何この反応??まるで普通やん・・・・・・本来なら『そうか・・・とうとう誘拐に手を染めたか・・・・』とか『『おめでとうございます』』とか『へ〜〜、ロリコンの気があったんだぁ・・・』とか『こんな事が上層部にバレたら大変ですわよね?』とかいうコメントが飛び交うはずやのに・・・・・まぁミントさんに至ってはまだ許容範囲やろか?)」
「ち・・・違うよ。ほらヴァニラが救出しに行った・・・・・」
「へ〜、この娘なんだ」
「よろしくね〜〜!」
「それにしても面白い事をお考えになりますわね・・・・それになぜ初対面のはずのあなたが私の名前をご存知で?」
ミルフィーユと蘭花があいさつをしているとミントが興味深そうにカナを見る。
「面白い言われましてもそれが日常会話ですし・・・それに名前は見た目そのまんまなんで・・・・・・・・・・・・・あれ?」
「どうかいたしました?」
「あ・・いや・・・・え?・・・・・・・・ええ??」
あとがき
我ながらずい分と中途半端な終わり方をしてしまいました。今更ながら気付いたのですが私の小説全く進まず展開ものろのろとしています
本来ならもっとギャグオンリーの暴走した話を書きたいのですがさすがにこういう手続き的な話で暴走させるのは難しいので・・・・・・・
一段落したらまた笑いに走りたいと思っているのでこれからもよろしくお願いいます
とりあえず次回あたり、カナをエルシオールに住まわせるつもりです