ギャラクシーエンジェルBeloved lovers

 

【滅びへの道標】

 

 

「ミサイル接近!数4!」

「迎撃!」

「間に合いません!直撃します!」

エルシオールブリッジでココが悲鳴に近い声を上げる。

しかし、ミサイルはエルシオールに直撃する直撃する寸前で爆発した

『だいじょうぶですか!?』

ちとせから通信が入る

「ああ、危ないところだったがな」

とレスター

「ちとせ!エルシオールから10時の方向の敵に攻撃をかけてくれ!」

『了解しました!』

タクトの指示にちとせが答える

「アークエンジェル!敵MH6機と交戦中更に敵戦艦が一隻接近しています!」

「ランファ!」

『なに!?』

ランファが焦ったようで答えてくる

「レナードの援護に行ってくれ!」

『無理に決まってるでしょ!こっちは一機で巡洋艦二隻とMH二機と戦ってんのよ!』

「くそっ、エルシオール!右前方敵戦艦に照準!撃て!」

エルシオールからレーザーが放たれ戦艦に直撃する。

『助かりました!』

レナードが言う

そのままMH状態のアークエンジェルのビームライフルが戦艦とMH二機を打ち抜く、

残りの戦艦は回避運動を取ろうとするがエルシオールの攻撃で動きが一瞬止まり、アークエンジェルの攻撃で撃沈する。

『おい!エネルギーが足りない!補給はまだかい!?』

『フライヤーが二機落とされました!私たちだけでは持ちませんわ!』

フォルテとミントが叫ぶ

「レナード、ちとせ!たのむ!フォルテとミントは一度エルシオールに戻れ!整備班は待機してくれ!」

『了解!』

 

現在エルシオールは、カクリコの宇宙港を襲撃してきた敵と交戦中だった、レーダーに

ジャミングがかかり、敵の数を捕捉するのに手間取った、さらに、基地の司令官が

一身上の都合とかでいなかった為に内部が混乱し、独断でエルシオールが出撃したのだ。

エルシオールが出撃したのを見てカクリコの宇宙港からも味方の艦が出撃してくるが、

はっきり言って数に差がありすぎる。

 

「ちとせさんは右から!私は左から!」

「はい!レナードさん!」

大型戦艦の左右にアークエンジェルとシャープシューターが展開する。

左右からタイミングを合わせて攻撃を仕掛けるが、いくらか攻撃したところで

大型艦からミサイルが放たれる、内数発をかわしきれずに直撃を受ける

「くっ!」

「きゃーー!」

『レナード!ちとせ!』

タクトの声が聞こえる

「被弾しましたが損傷は軽微、作戦続行可能!」

「こちらシャープシューター、損傷は軽微いけます!」

『分かった、無理はしないでくれ!』

『了解!』

少しおくれてハーベスターが到着する

「・・おくれました」

そういつつ中距離高出力レーザー砲で攻撃を始める。

 

大型戦艦ブリッジ、暗いブリッジではモニターの光りが薄く人々を映し出している

「サーベルト様!このままでは、味方の艦の数も・・・」

ギルバートが叫ぶ

「問題はない、さて、新兵器の実用性はどうかな・・・そろそろやれ・・・」

サーベルトが薄く笑いながら行った

「了解!」

 

「あれは?」

レナードはつぶやく

敵大型戦艦の一部がスライドしたのだ

「何かが出てくる気配もありませんが」

ちとせも言う

「何が起こるのでしょう・・・」

ヴァニラがそうつぶやいたとき、スライドして出来た隙間で、何かが一瞬きらめいたように見えた。

その次の瞬間には、ハーベスターの一部が中破していた。

「ヴァニラさん!」

「ヴァニラ先輩!」

 

「ハーベスター被弾!コックピットにも破損が見られます!リンク率急速に低下!パイロットの意識がありません!」

画面に映ったハーベスターのコックピットで、頭から血を流し気を失っているヴァニラが映し出されていた。

「ヴァニラ!」

タクトが叫ぶ!

気を失っているせいか、いつも近くにいるナノマシンペットの姿もない、制御を失ったので霧散したのだろう。

「!!敵艦隊!後退していきます!」

ココが報告する

「エンジェル隊全機に帰還命令!ハーベスターに救護艇を回せ!整備班!医療班スタンバイ!」

レスターが指示を下し、アルモが答える。

「くそっ、おれが、しっかりやれていれば・・・」

「おまえのせいじゃないタクト、自分を責めるな。」

 

「ヴァニラ!助かるから!大丈夫!」

「ヴァニラ!ヴァニラ〜〜!」

「先輩!」

「ヴァニラさん!」

「しっかりおし!」

担架で治療室へと移送されているヴァニラの横にエンジェル隊のみんなが付き添っていた、

全員全速力で走っているので廊下にいた人間は壁際に寄るなどしている。

「待って下さい!」

レナードが呼び止める

取りあえず全員動きを止める

「レナード!いまは急いで・・・」

ランファの言葉に

「急いでいるからこそです」

そういうとヴァニラの横に立ち、傷口に手をかざす。

「なにを?」

「・・・『癒し』」

かざした手のひらから放たれた光がつぶやいた言葉の通りみるみるうちに傷を癒していく。

「な・・・」

「ナノマシン・・・ではありませんわね・・・」

「いったい・・・」

呆然とつぶやく面々

「ふぅ、お話しした方がよろしいでしょうか・・・」

レナードは言い、ブリッジに歩き出した。

 

『特殊能力?』

その場にいた全員が声をそろえて言う

「はい、私がエンジェル隊の司令官として配属された理由は、部隊の指揮能力だけでなく、

私の特殊能力、通称『力ある言葉』が理由なのです」

レナードが説明する

「この能力は、歴史上でもまれな能力です、実のところ、私の実家、ミルガルド家は、

特殊能力者の家系で、生まれた子供には、何らかの能力が備わっているのです、しかし、

こういった、能力者の家系以外では、特殊能力はほとんど生まれません、

ミントさんの実家、ブラマンシュ家では、テレパス能力が代々伝わっているのと同じです、

まあ、私の家系は、一つの能力のみが受け継がれるわけで

はないのですが。」

「そんなにまれな能力なの?」

ランファが聞く

「はい、というか、歴史上にこの能力が伝えたと見られる人間は片手で数えるようなほどしかいません」

「魔法みたいなものなんですか?」

こんどはミルフィーユが聞く

「いえ、この言葉は、私がまだ未熟なせいで、言葉を発することによってイメージを

固める必要があるのです、こういった能力は、本人のイメージを形として表すのです、

これはどの能力にも言えることなのですが、私の能力は多彩な使い方が出来る反面、

使いこなすのが難しいのです、普通の能力ならばイメージを固めるのは簡単なのですが。」

その答えに、う〜ん、とミルフィーユはうなり、

「よく分かりませんけど、初めにあったときに黒ずくめさん達を倒したのも?」

「はい、あれは『爆発』ですね、空気中の酸素を燃やして使いました。」

「それじゃあ、」

今度はタクトが手をあげた

「何でその力を今まで隠してたんだ?キミの報告書にはなにも書かれていなかった」

「それは・・・」

レナードはしばし考え

「この能力は一つ間違えば味方をも滅ぼしかねない力です、その気になれば今ここ

でこの場にいる全員を一瞬で皆殺しに出来るだけの力を、生身でもっているのです。

皆さんは、私がこんな力を持っていると知れば恐怖心を・・・」

「んなわけないでしょ。」

「え?」

ランファの声にレナードは振り向く

「そうです、レナードさん、そんな力を持っていても、レナードさんが違う人になった訳じゃありません!」

ちとせも言う

「ですが、その気になれば、指一本動かさず、イメージと言葉だけで・・・」

「だから!あんたはそんなことしないでしょ?」

「レナードさんはそんな人じゃありません!」

その言葉にレナードは悲しげに目を細め

「まったく、本当に変わった人たちです・・」

レナードの顔は苦笑していた。

 

「ハーベスターを検査したところ、レーダーの反応から逃れる透明なごく薄い刃による攻撃と

言うことが判明しました、黙視確認が出来ない為、対策としては発射するときのスライドを確認

したらこちらから何か手を打たなくてはいけません」

格納庫で、先日の攻撃の調査をクレータ班長が報告していた。

「そいつの材質とかは分かるか?」

レスターがというかける、それにクレータは頭を振り

「いえ、検査しましたが皇国のデータにはないものでした、人工的に作られた物質のようです。」

「そうか・・・」

どことなく疲れた様子でレスターが言う

「ハーベスターの修理も完全に完了しています、エネルギーシールドのおかげで威力がそがれたの

で致命的なダメージは避けられましたが、まともに食らえば」

そこでいったん言葉を切り

「真っ二つに切り裂かれる可能性も・・・・」

「むぅ」

タクトがうなる

「紋章機相手にそこまで威力を発揮できるなんて、それだけの技術を帝国は持ってい

るんだろうか?」

「分かりません、我々にはついこの間まで帝国の存在すら知らなかったのですから、

上層部でも幾度も会議が開かれていますがまともな結論は出ていないようです」

タクトにクレータが答え、

「まったく、上の連中はどうしてこう早く決断できないものか・・・」

レスターがいらだった様子で言う

「それと、」

クレータが付け加える

「軍の研究部で帝国軍MH、通称ハイト(機体内部コンピュターよりデータ入手)ですが、

それを元にしてこちらもMHの開発を更に進めるようです」

「しかしだな、」

レスターが言う

「人型というものはあまり戦闘にはむかないと思うぞ、ロボットなどの類は、

二歩無しで立たせるだけでも苦労するのに、いや、アークエンジェルはともかくとしてだ、他の形でもかまわないだろうに・・・」

「いえ、人型には大きな利点があるのです」

クレータが否定する

「たしかに、立って歩くだけでも難しいですし姿勢制御とかも簡単ではありません、

ですが、アークエンジェルやハイトを調査して、それを可能に出来るOSも出来そうですし、

MH最大の利点はものを持てると言うことなんです」

「ものを持てるだけなら手でもくっつければいいだろう」

「当初はそういったキメラ的構想もあったようですが、バランスが上手く取れないそうで・・・、

ものを持てる人型だからこそ、様々な局地に対応し、銃から剣類までを扱えるのです、

むろん人型が全ての面でむいているわけでもありませんので獣型の開発も考えられているようですが」

「うーん、俺にはそんな難しいことは分からないんだけど」

「なんだ、いたのか?タクト」

冷たいレスターの一言がタクトの心に二、三十p突き刺さる



「ひどいなぁ、一応これでも司令官なのに」

「宇宙一威厳の存在しない司令官だろ、レナードのままのほうが良かったんじゃないか?」

タクトが来るまでは、レナードが司令官を務めていた

「しくしく、ま、まあとにかく、またこの宇宙港がまた襲撃されるなんて事にだけはなって欲しくないね」

タクトの願いは叶いそうもなかった、当たり前だが・・・

 

「おれは、ミルフィーを守りたい」

タクトがつぶやく

「俺が守ってやりたいんだ、だけど・・・」

壁により掛かる

「俺は、ミルフィーに戦ってこいって言ってるんだよな、俺はエルシオールにいて、ミルフィーだけじゃない、

みんな直接的と戦って、つらい思いだって何度もさせてる」

「それは、あなたが司令官だからやっていることでしょう、誰もあなたを責めたりはしません」

隣にいたレナードが言う

「ちがう、そうじゃないんだ!」

タクトの叫びには怒りや悲しみが混ざっている

「ミルフィーは戦ってもらわなきゃいけないんだ、でも、俺はミルフィーに危険な思いはさせたくない、

司令官として、戦ってこいって言うとき、つらいんだ・・・もう・・・」

「ですが・・・」

レナードが空を仰ぐ

「彼女はそれを望んでいますか?」

「え?」

下げていた顔を上げる

「彼女は、あなたを守りたいと思っている、あなたが司令官として戦えと命令して悪いところなどアリはしないんです

、彼女は、ミルフィーさんはあなたを守って、平和な世界で、あなたと暮らしたいと思っている、」

「でもそれは・・・」

タクトの言葉を遮り

「あなたが彼女に戦わせたくないというのは、今まであなたの為に戦ってきた彼女への侮辱です、

彼女を危険な目に遭わせたくないのなら、あなたが今の立場で、今の自分で出来る、最高のことをしてあげればいいでしょう」

「俺の・・・できること・・・」

タクトが言葉をつぶやく

レナードが言葉を紡ぐ

「タクトとして大切なものを守り、司令官としても大切なものを守る、皇国の英雄タクト・マイヤーズなら、出来るでしょう?」

タクトの方に顔を向け笑う

「ふふ、ちょっと差し出がましかったですかね?それでは、私は行きます。」

言ってレナードは立ち去ろうとする、タクトはその背中を呼び止めた

「なんです?」

「ありがとう、おかげですっきりした」

「それは良かった」

彼はまた笑う

 

「いや〜、まったく、あのときはあたしも冷や冷やしたよ、あそこでレナードが傷を治さなかったら、今頃どうなっていたか・・・」

「みなさん、ご心配をおかけしました・・・・」

ヴァニラが頭を下げる

「あーもうっ、頭なんて下げること無いのよ!別にヴァニラが悪い訳じゃないんだから」

ランファが言う

「ですが・・・」

その言葉を遮り

「ヴァニラ先輩のすぐ近くにいながら、わたしはなにも・・・」

ちとせがうつむく

「ちとせまで沈まないでよ!」

「え〜!?ちとせ沈んでるの!?引き上げなきゃ!」

「あの、ミルフィーさん、そういう意味ではなくてですね、そのぉ」

ミルフィーユがボケでミントがつっこみに迷う

「まあ、何にせよ何事もなくて良かった良かった」

フォルテが明るくそういった

「そうですわね、ケーラ先生もどこにも異常はないといっていましたし」

ヴァニラは今日まで医務室に入院していた、精密検査を受けて、今日までは念のため安静にということだった。

「それじゃあ、ヴァニラも無事に戻って、ここは盛大に!」

「あ!それじゃあ!わたしがケーキを焼きますね!ヴァニラの好きな紅茶シフォンケーキ!」

「・・ミルフィーさん・・・」

相変わらずの顔ではあったが、その場にいた誰もがその顔に浮かんだ感情を見逃さなかった。

 

【あとがき】

皆さんこんにちは!

大まかな展開しか考えていなくて、次の話が暗礁に乗り上げた蒼穹一です!

ははははは!(笑い事じゃありません)

どうしよう、軽いギャグ風で行くか、このまま一気に突っ走るか、まあ、どっちでもいいんだけどね(よくありません)

 

レナードの能力

彼の能力は、2005/7/23に大幅に変更になりました、言葉自体は、力を具現させる為のイメージに必要なのです

、彼自身が訓練を積んでいけば、元素早く、石の力だけで力を発動できるのですが。

タクトが悩むところがありましたが、ヴァニラがあんな事になったせいで色々悩んでいたんでしょう、

レナードに話して、少しすっきりしたようです。

 

このシリーズには挿絵を投入しているのですが、実際に使わなかった絵も含めての集計で(今後使用される予定も含めて)、

タクト、ミルフィーユ、ちとせ、レナード(何か描いちゃうんだよなぁ)、シャトヤーン(なぜか多い)、

この五名がそう挿絵数六枚で並んでいます(未公開含む)、一番少ないのがフォルテで、たったの一枚、

描いても全然上手くかけないもんで・・・、取りあえず集計後に二枚新たに描きました、

結局使わないかも知れないけど(だめじゃ・・・)

 

というわけで(なにが?)(今回つっこみ多いなぁ)、次回も後書きでお会いしましょう。

 

 

7/23  追記

   レナードの特殊能力に対しての解釈を大幅に改稿、設定事態が変わっていますのでご一読下さい。