ギャラクシーエンジェルBeloved lovers
【悪夢は再び】
『こちら巡洋艦フリアスト、エルシオール!本艦は航行不能です!』
『こちら、アクテンス、エルシオール!援護を・・・・』
ガーーッピーーーッ
画面にノイズが走り通信がとぎれる、次にその画面に表示されたのは
『Signal Lost』
の文字だった。
「アクテンス、撃沈されました!」
ココが叫ぶ
今のエルシオールのブリッジはあちこちから飛び交う通信や報告の声であふれかえっていた。
「本艦にミサイル接近!数6!」
「迎撃!」
『もう限界です!司令!後退の許可を!』
『エ、エンジンに誘爆!そ、そんな!がぁ・・・・』
『Signal Lost』『Signal Lost』『Signal Lost』『Signal Lost』
『Signal Lost』『Signal Lost』『Signal Lost』『Signal Lost』
「くそっ!まさか、ここまでの大部隊を送ってくるとは・・・、援軍の到着予定は!?」
レスターがいらだった様子で問いかけ、アルモがそれに答える
「約一時間半後となっています!現在はクロノドライブに入っているはずです!」
「くそっ!それまで持ちこたえられるのか!?」
「エルシオール!損傷率13パーセントです!」
「ちっ、この程度ならまだいいが・・・」
「ラッキースター、ハーベスターは味方艦の援護を!ほかはこのまま敵旗艦を撃破!」
『了解!』
タクトの司令に、元気の良い答えが返って来る
「本艦に接近する熱源1、データ照合・・・・!?大型戦闘機と思われますが、速い!」
『グラビティ・ブレス!』
「敵大型戦闘機消滅!」
アークエンジェルから放たれた必殺技が敵を消し去った
グラビティ・ブレス、アークエンジェル主砲から放たれる広範囲の力場形成攻撃である。
この力場にとらえられたものは押しつぶされ消滅する、無論これの攻撃に耐えきることも出来るが、力場の範囲内に入れば逃れることは不可能、かわすには効果範囲そのものから逃げ出すしかない、空間そのものが攻撃なのだ。
『こちらハッピートリガー、敵大型戦艦に大きな損傷を与えた、あちこちで装甲の崩壊が始まっている!』
『カンフーファイターからも見えたわ!このまま一気に行きましょう!』
『こちらでも確認しました!フライヤーによるオールレンジ攻撃の許可を願います。』
「了解した、許可する、全機、一気に敵艦を沈めろ!」
『待って下さい!』
「どうした!?ちとせ!」
『崩壊した装甲の後ろから、また新たな装甲が見えます!』
「なに!?」
そういっている間にも敵大型戦艦の装甲は崩壊していき、全てが崩壊した後には、一回りほど小さくなった、巨大な戦艦があった、そしてその姿は戦場にいた皇国軍の記憶にあるものだった
『オ・ガウブ!?』
「たしかに、オ・カウブに似ていますが・・・あちこち違うようです・・・」
「なぜ帝国軍があんなものを・・」
呆然とタクトがつぶやく
「あ!敵艦から通信です!」
「なに!?よし、つなげ」
レスターが命令する
「了解!」
『ひさしぶり、というほどでもないか・・・どうかね?このデムル・ジオは?』
「おい、あのフォルム・・・この名前、まさか・・・」
レスターが呆然とつぶやく
「ヴァル・ファスク・・・・」
『その通りだ、タクト・マイヤーズ、改めて挨拶と行こう』
一瞬画面が光り、そこに映っていたのは、
『ヴァル・ファスクのサーベルトだ、よろしく。』
『サ、サーベルト様!?いったいなにを?』
慌てた様子であのギルバートが聞く
『ギルバート、キミはなかなか優秀だったその働きに免じ、キミには苦しまない死を与えよう』
『サ、サーベルト様!?な、なにを!』
画面に再び光りが映り、次に映ったときにはギルバートの姿は消えていた
『さて、それでは、あらためて、攻撃を開始させてもらおうか』
デムル・ジオの左右のハッチが開き、中から十数機の戦闘機が現れる、後方にもクロノ・ドライブによって現れたヴァル・ファスクの戦艦が数隻・・
「くそっ!タクト!いったんエンジェル隊の補給を!」
「た!大変です!エンジェル隊完全に敵に包囲されています!離脱不能!」
ココがもう悲鳴に近い声を上げた
「エルシオール前進だ!エンジェル隊を援護する!」
タクトが指示を下す
「了解!」
操舵手が答えるが
「司令!十時の方向より突撃艦2!接近中です!」
「エンジェル隊は?」
「無理です!包囲から抜けられません!」
「タクト!」
レスターが顔を出す
「エルシオールじゃ応戦仕切れないぞ!どうする!」
「それでもやるしかない、一機でも包囲網から離脱できれば・・・・」
タクトがつぶやくと
「司令!突撃艦、まもなく本艦の射程内に入ります!」
「よし!回頭左五十度!」
タクトの代わりにレスターが指示を下す
「司令!」
アルモが言う
「紋章機の損傷率増加!ハーベスターの修理も追いつきません!」
「敵大型艦の装甲が強固すぎます!」
「ちっ、両舷ミサイル全弾発射!」
レスターが下した指令だが、
「すでに右舷のミサイルが使用不能です!一時後退して修理を・・・」
「むりだ!」
ココの提案をタクトが退ける
「この状況でエルシオールが抜けたら、そこから一気に崩される!この状態ですら徐々に押されているんだぞ!」
「す、すみません!あ、デムル・ジオが急速接近!」
「タクト!」
レスターが叫ぶ
「こうなれば紋章機を囲んでる敵に肉薄して・・」
「っく、もうそれしかないか・・・エルシオール前進!」
「フォルテさん!エルシオールが!」
「ランファ!リグ・ゼオを突破しな!あたしが援護する!」
フォルテにランファが
「え!無理です!これじゃあ」
「無理でもやるしかないだろ!」
その話しの最中、目の前の敵機が爆発する
「なに!?」
何条もの光りが敵を貫いていく
「あれは・・・」
「皇国軍!」
「待たせたのぅタクト!」
「ル、ルフト先、じゃなくて将軍!」
タクトが驚いた声を上げる
「ルフト将軍!なぜここに!?」
「はっはっ、シヴァ陛下の直命じゃよ!」
エルシオールの後方に現れた大艦隊、そこから連続で敵艦対へと攻撃が続けられていた。
「敵艦隊!後退していきます!」
「紋章機!全機無事なようです、収容します!」
ココとアルモが順々に報告をする。
「タクト、まあ積もる話しは戻ってからしよう。」
「ふむ、つまりヴァルファスクが帝国を利用して再び侵攻してきたと言うことか・・・」
「ええ、おそらく、そう見て間違いないでしょう」
ルフトの問いにレナードが答える
ここは基地内部の会議室である、ルフト将軍、タクトにレスター、レナードも加わりさらに、この基地の総司令官サイフォン・ズミン少将、本星からきたお偉いさん数名、そしてなぜか・・・・
「で、シヴァ陛下・・・なぜそこにいらっしゃるので?」
レナードが言う
「む、私の席はここではないのか?」
「いや、そういう意味ではなく、陛下は本星にいらっしゃるものかと・・・」
「陛下の強いご希望でな・・・前線に出て、兵達の士気を上げると同時に現状の視察も行いたいと言うことで・・・」
ルフトが困っておるという顔で答えた
「何だかなぁ、シヴァ様、国の内政はどうするんです?ルフト宰相がこっちにいるのにシヴァ様までいなくては・・」
タクトの至極まっとうな意見に
「うむ、優秀な物達が多くて私がいない間も大丈夫だと・・・」
「いつの間にそういうレベルの話しに」
レスターが小さくつっこむ
「しかし、ヴァルファスク再来か・・・」
「ただでさえ今この戦争で国民達は恐怖しているというのに」
「このことはしばらく伏せておいた方が・・・」
「しかし、ばれたときに国民感情が・・・」
口々に言う幹部一同
「静まれ!皆の者!」
シヴァの一括で静まりかえる
「このことは正式に国民へ発表する」
「し、しかし陛下!」
「いつまでも隠し通せるわけでは無かろう!」
シヴァの言葉に黙る男
「ならば、初めから真実を伝えた方が良かろう」
「では、そのように・・・」
一様にうなずく
「それはそうと」
一人のひげ面中将が話題を変えてくる
「今度執り行われる舞踏会の件ですが」
ズシャァァ!
タクトとレスターが机に突っ伏す
「ど、どうかしたかね?」
こめかみにひとつ汗を垂らしながら聞いてくる
「いえ、何でもありません」
「続けて下さい」
額から血を流しながら二人が答える
「そ、そうか?まあいいが・・・」
二人から目をそらしながら中将が言う
「場所は当基地の大ホールにて執り行う予定です、既に会場の設営準備も執り行われておりますので、シヴァ陛下とルフト将軍は主賓として、各部隊の司令官や一部の隊員にも出席が許可される予定です。」
「質問があります」
タクトが手をあげる
「はい、タクト君」
なかなかノリのいい人らしい
「何で舞踏会なんですか?」
「ふむ、それはだね」
もったいぶった様子で答える
「陛下の歓迎舞踏会という意味合いも強いのだが、国民に舞踏会なんぞやるくらい我々は余裕だ!安心しろ!という意味合いもあるのだよ!」
「な、なるほど」
納得できるような出来ないような理由であったが、その後解散し、各自の仕事に戻っていった
「なんだこれは!!!」
ブリッジでレスターの悲痛な叫びが聞こえる
「この、シヴァ陛下歓迎舞踏会で、なんで・・・なんで・・・
エルシオール乗組員全員参加義務なんだぁっ!!」
頭を抱えて絶叫する、周りのクルーが引いてる
「えーと、エルシオールはこれまでの働きが皇国にとって多大な利益となり、なおかつこれからの戦いに置いても重要となる為全員に舞踏会の参加を認める。
とのことです。」
「なのに何で義務付けがされているんだ・・・その間書類仕事でもしようと思っていたのに・・・」
「ままま、諦めたまえよレスター君!」
そんなことを言うタクトにレスターは冷たい目を向け
「またおまえはそんな変なノリを・・・」
「とにかくだ、諦めておまえも楽しめ、旨い料理も出るだろ!」
「俺は誰かと踊ることなどできんし・・・」
嫌々な状態で話してくる
「(ふ、副指令わ、わたしと・・・だめ!言えない!)」
「(アルモ、それ以前にドレスはあるの?)」
「(は!急いで買って来なきゃ!ふ、副指令の好みは・・・うー)」
「(まったく・・)」
アルモとココのショートコント(違います)には気付かずタクトとレスターはショートコント(こっちは正しい)を繰り広げていた。
「宇宙にはね、人知を越えた法則が存在してると思うのよ」
ランファが柄にもないことを言う
エルシオールのティーラウンジにエンジェル隊とレナードはいた
「その法則の一つが・・・舞踏会があったら必ず敵に襲われるというものなの・・・」
「その法則で、一体どれだけの犠牲が出たことか」
フォルテも乗ってくる
「いや、それは偶然だと思うんですけど・・・」
レナードが困った顔で言った
「まあ、今更こんなこと言ったって仕方ないから、取りあえずドレスとかそろえて準備しようかねぇ」
「そうですわね・・」
ミントも同意する
「あ、そうそう」
今思い出したように一枚の書類を取り出す
「今回のドレス費用、装飾品等は全て軍が経費を持ちますので領収書を回して下さい」
すると突然
「きゃー!なに着ていこう!」
「うふふ、確かこのあたりの町には・・・」
「久々にぱーっと!やるか!」
「あ、あの、フォルテ先輩?軍が持ってくれるのは必要経費だけでぱーっとやるということは、飲んだり食べたりするという意味でしょうが、軍は払ってくれないと・・・」
「細かいことは気にしないんだよ!」
「えっーー!」
「タクトさんを誘って買い物に行こうっと!」
いきなり態度を変えて騒ぎ出す面々、ミルフィーユはいきなり走り出すし、ヴァニラもどことなく嬉しそうである。
「げ、現金な人たち・・・」
あきれかえったレナードは取りあえずその場から立ち去った
【あとがき】
皆さん!大変です!だんだん話がおかしなほうこうへ進んでいます!
とにかくいつの間にか六回目となりましたこのお話、まあまだしばらく書くつもりですが、
舞踏会です、この舞踏会でやりたいネタが五つもあります、どうしたらいいんですか!
教えて下さい!
思いついたから書いて!書いたから思いついて!それで最後は本当に平和になるのかよ!
(完全に間違ってます!)
まあとにかく、今後の展開が非常に困っている蒼穹一が現場からお送りしました。
既にこれが後書きかどうかが不明なコーナー担当
蒼穹 一