ギャラクシーエンジェルBeloved lovers
朝ちとせが起きると、既に着替え終わったレナードが、誰かと通信で話していた。
ちなみに、ちとせの朝起きる時間は6時台、既に寝癖もなくなり、服もきっちり着こなしているところから見ると、5時前半にはレナードは起きていたことになる、それなのに眠そうにはちっとも見えない。
『でもねぇ、やっぱり・・・・・父上ってよぶより、お父様ってよんで欲しいのよ、そっちの方が私は好きよ?』
「いや、そういう問題ではないのですが・・・・」
通信の向こうの女性―――なぜか朝からドレス姿―――と、レナードが困った顔をして応対している。
「ですが、母上」
レナードがそういったとたん、いきなり美しい笑みを浮かべていた顔から、目の幅と同じ幅の涙を流し始める、通称〔目の幅涙〕そのまんまだね。
「お母様」
と言ったとたんぴたりと涙が止まる、どういう人なんだ、というか、会話からすると、この女の人がレナードの母親なのか?しかし、見た目からすれば、20代あたり
『とにかく、用件は伝えたわよ』
「恐ろしくどうでも言い用件じゃないですか、父親の呼び方なんて」
と言ったらまた目の幅涙を流し出し
「分かりました」
ぴたりと止まる、どこかに彼女を研究したいと言おう研究者はいないだろうか、論文くらいは書けそうだ。
『それじゃあ・・・』
『あれ?兄様?』
『あ、本当ですね』
前触れもなく二つの声が割り込んでくる、画面に映ったのは銀髪の長髪の美少女、もう一人は、金髪の短髪の男の子、下手すると女の子に間違えられそうだが。
「ん?レナにウィンか」
ちょっと驚いたようにレナードが問いかける、
『お久しぶりです、兄様』
男の子―――ウィンが先に口を開く
『あまり連絡を寄こさないので、みんな心配していたんですよ?』
美少女―――レナの表情からは、本気で心配していたのが伺えた、
「ああ、今度からはもっとちょくちょく連絡するよ」
レナードがそう言うと、レナが不満そうな顔をして
「この間もそう言って何ヶ月も連絡してこなかったじゃないですか・・・」
「むぅ、それは・・・、とにかく、今日はこれまで」
「あ!兄さ・・」
ピッ
「あ〜、そういえば」
レナードの母親―――ティタニアが通信がきれてきっかり三秒後、天を仰いでそういった。
「お母様、また何か言い忘れたとか?」
レナがジト目で言う
「え〜っと・・・、レナードの所にフェイちゃんが行くって言うのを伝え忘れて・・・」
「すっごく大変じゃないですか!」
レナが思わず大声でツッコミをいれる
「あ〜ん、だって、私最近物忘れが激しくて、」
「お父様の話では結婚当時からそうだったと」
ウィンも話しに参加する
「・・・・・、私今年で39歳よ。」
「それは認めますけど、論点をすり替えようとしても無駄です」
「もうっ!い・じ・わ・る!(はぁと)」
『かわいくない』
冷たい実の子供二人のツッコミに、ティタニアは目の幅涙を流し出した。
【迷惑仕事?新兵器を護送せよ!】
で、舞台は再びレナードとちとせが住んでいる家まで戻る、『力ある言葉』の能力を失って、レナードはその力を取り戻そうとしていた、一時軍の仕事からも離れて、ゆっくりと方法を探したいと言ったのだが、なぜかちとせが着いてきた、で、取りあえずこの家に住んでいるのだが、二人とも個室があり、客間、リビング、キッチン、バスルーム、トイレ、冷暖房完備、日当たり良好、駅まで歩いて徒歩5分!
敷金は0円!藤原紀○は付いてきません(誤)
と、こんな家に住んでいた、が、特に能力を取り戻せるような情報もなく、はっきり言って無駄に日々を過ごしているような気もするが
取りあえず二人とも朝食を食べ終わり、後かたづけをし、さて今日はどうしようかなどと思い始めると。
ピンポーン
「ん?」
レナードが首を玄関に向ける
「お客さんでしょうか?」
ちとせが小首をかしげ、玄関へ向かう
ピンポーン
「はーい!今開けます」
ガチャ
いきなり視線があった
身長はちとせより頭半分ほど低いくらい、黒い髪を後ろで結わえており、中国の女官風の服を着ていた、
「あの?どちらさまで?」
「いえ・・・」
お客の女性は首を振り、
「どうやら家を間違えてしまったようです、それで、このあたりにミルガルドという姓の方が住んでいらっしゃるはずなのですが?」
やけに丁寧な言葉で語りかけてくる
「ミルガルド、レナードさんでしたら、ここに住んでいらっしゃいます。」
沈黙
「はい?」
「ですから、レナードさんはここに住んでいるんです。」
「な・・・・」
絶句
「なななななななななななな!!!!!」
いきなりなを連発する女性、いきなり懐から短刀を取り出し
「レナード!婦女子を家に連れ込んで!しかもこんな早朝から!はっ、朝早くからいると言うことは、ここで寝ていたということ?まさか、それで、今日は寝かさないぞとかいって、あんな事や、こんな事とか、あまつさえそんな事まで!?ああ!そんなことまでするなんて!ティタニア様から頼まれた以上!容赦はしません!覚悟なさい!変態色情狂レナード!!!」
あまりのテンションの変わりようにちとせが呆然とおいてゆかれる、が、数秒後、事態の深刻さを思い出し、自らの持てる力の限りを尽くし、全力で後を追い
「はぁっ!」
「くっ」
すでに部屋は戦場と化していた
女性が投げつけてきた短刀を、紙一重でかわし、レナードは肉薄する、首筋に手刀を叩き込もうとするが、どこからともなく金子棒―――両端に金属の環が付いた長い棒―――を取り出し、殴りかかってくる、体をさばいてレナードはかわすが。
「はぁ!!」
横薙ぎにふるわれた金子棒を左腕で何とか受け止める、それと同時に、金子棒を両手で掴み引き寄せる、すでに、何年も前から練習をしてきた間柄だ、相手より自分の方が腕力があるのは分かっている、と言うか、はっきり言ってミルフィーユあたりにも勝てるかどうか怪しいほど非力なのだが。
しかし、レナードが練習で知ったというなら、相手もレナードとの戦いは知っている、女性は慌てずに金子棒を引くと、金子棒の端の部分だけが取れ、後はそのまま残る、女性の手にあるのは、金子棒に仕込まれた片刃の剣、日本刀だった、素早くレナードに肉薄し、
「はっ!」
一撃必殺の攻撃を叩き込み、いや、叩き込もうとして、
ツンッ
コテンッ
レナードの足払いにアッサリコケた
「まずは自己紹介をしましょう、わたくしはフェイツイ・リェン、レナードとは古くからの付き合い、いわゆる幼なじみという関係ですわ」
女性の自己紹介に、ちとせも自己紹介した後
「で、なにかようかい?」
未だに床に突っ伏したままの女性―――フェイツイ―――に向かって、レナードがいつもと違う口調で言う、彼はいつも、大抵の人に対して丁寧語を使う、例外は、自分と同等かそれ以下の身内や昔からの知り合い、および、本人の強い要望によりちとせのみ、つまりは、彼女の言うとおりに幼なじみというのは本当らしい
「まずは、これを」
言ってフェイツイは一本の刀を取り出す、ちとせは最初、「脇差し」かと思ったが、長さからすると脇差しと日本刀の中間、
「小太刀?」
ちとせは思わずそう呟いた
「フェイツイ・・・、これは・・・・」
レナードが渋い顔をします
「分かっているわ、あなたに直接言われたことだから、でも、今のあなたには必要なはず」
フェイツイはそういって小太刀をレナードに手渡す
「護神刀雌刀『撫子』、護神刀雄刀『大和』と組になる刀、能力を失ったあなたには、必要な力だと思うけど?」
レナードはしばし目をつぶり、一度自分お部屋へ戻り、一本の刀を取ってくる
「この大和と撫子は、出来ればもう使いたくはなかったのに、今の私には、これを使うしかないか・・・」
一つ一つの言葉を絞り出すかのように、静かにそう告げた
「だけど、『力ある言葉』を失っていても、すぐにこんなものを必要とする事態になるわけでは・・・・」
するとフェイツイはいたずらっぽい笑みを浮かべて
「と言うわけで、仕事を頼みたいのですわ」
にこりと笑いかけてきた
「で、その軍用の歩兵携帯用の武器を開発した研究者というのが・・・・」
いてフェイツイは顔を横に向けて
「この人」
隣にいつの間にか立っていた眼鏡の男を指さす
「私が、先ほどの話しに出てきた天才研究者の!」
「だれもそんなことはいっていません」
冷たく言うフェイツイの言葉を聞いているのかいないのか、
「ノルド・パビリオンです!」
言って大きく胸を反らす
「で、この人を軍の研究所まで護衛して欲しいの、途中までは私一人で護衛していたんだけど、新兵器を奪おうとする連中の攻撃も激しくなってきて、ここから車で半日とかからないわ、いい話だと思うけど?」
「そのために撫子を持ってきたのか、あれは保管しておいてくれと」
「必要があればとどけてくれとも言われたわ」
「私はなにも言っていない」
「持ち出し禁止とも言われていないけど」
「これで人を斬る気はない、いや、もう二度と人を殺したくはない、軍人である限り、完全には無理でも、出来る限りは・・・・」
「べつに、峰打ちで良いわ、あなたが昔から近接戦の武器に日本刀系を多用してきたのは、峰打ちがしやすいからでしょう?」
お互いに譲る気はないようだ、それからしばらく論争が続いたが、結局最後はレナードの方が折れた。
「わかった、ならすぐに出発しよう、ちとせ。」
「え?はい!」
今まで完全に傍観者を決め込んでいたちとせは、いきなり呼びかけられて戸惑った
「と言うわけだ、今回は家で留守番を・・・・」
「行きます」
ガンッ!
問答無用で応接間のテーブルに頭をぶつける、ガラスで出来ている、しゃれたテーブルなのだがひびが出来るのではないかと言うくらいのスピードであった。
「何を言うかと思えば、武器もないのに・・・」
「弓道用の弓があります、非殺傷用の矢も揃っていますから大丈夫です」
ここで言う非殺傷用の矢とは、矢の先端が粘土やゴムで出来ているもので、使い手にもよるが相手を気絶させる程度のことは出来る。
「いや、あ〜、危険だし」
「この間から危険だらけです」
無論それは、第三次ヴァルファスク戦役のことだ。
「え〜っと、後は・・・」
「連れて行きたくないのですか?」
「それは・・・、ちとせを危ない目にわざわざ遭わせたくはないし・・・」
「そんなことは気にしないで下さい!とにかく!私も付いていきますから!」
ちとせはそう宣言すると準備をする為に部屋に戻った
レナードがフェイツイの方に向き直ると、彼女は肩をすくめて
「わたくしは構いませんわ」
彼女はそうとだけ言うとのんきにお茶などすすった
レナードは車に四人が乗り込んだのを確認すると、車を発進させた。
「目的地までは幹線道路を通って、高速道路に乗り換え、それからまた通常道路に戻り、だいたい5時間くらいか・・・」
移動方法を、電車などにしないのは、そういった他の人間が乗るものは他の乗客の中に敵が紛れ込んでいる場合があるからだ、敵が研究者の彼―――ノルド―――の持つ携帯用新兵器をどれほどの重要度で狙っているのか分からないが、常に最悪の場合を考えておくのが軍人である、大丈夫大丈夫というのは、異様に運が良いやつか、敵の作戦を立てる相手の性格をしているやつ、そしてただの馬鹿、のどれかに大抵当てはまる。
車を走らせて一時間ほどがたった頃、
「他の車が見えない・・・」
フェイツイが呟く
「なるほど、狙っている連中はそれなりに権力を持っているのかも・・・・」
「道路を封鎖して人払いをしたようですね」
レナードのつぶやきにちとせが付け加える
そのとき、後から4WDが一台迫ってくる
「あれが追ってかい?」
レナードが振り向かずに聞く
「そうね、前はあの中から武装した連中が十人弱くらい出てきておそってきたわ。」
「車相手では役に立ちそうにありません」
ちとせが取り出した弓をしまい直そうとしていた
「いや、こちらを攻撃する為には、開いても窓とかから体を出す必要がある、そこを狙う、あとは、フェイツイ、これを」
言ってレナードは45口径のごつい銃を取り出す、
「SOCOMと言う銃らしい、ある軍の知り合いからもらったんだ」
「あなた、私が非力なのを知っていてそれを?」
「む・・・、それじゃあ、」
今度は小さめの銃を取り出す、なぜかレーザー銃は使わないようだ、
「これはグロッグ19、グロッグ17の小型化したバージョンだ、火力不足は否めないが、敵の車、おそらくは防弾仕様だ、この場合、実弾兵器の方が良い」
「まったく・・・」
フェイツイは小さく嘆息すると、渡されたグロッグ19を構え
「行きますわよ!ノルドさん!身を低く!」
言われたノルドが座席の下に潜り込むように身を低くする
その後、連続した射撃音が響き渡った
一台目は難なく撃破した、レナードの言ったとおり相手の車は防弾仕様だった、レーザー兵器ならば、打ち抜くことも不可能ではないが、乗っている人間を正確に打ち抜かねばならない、実弾兵器もその点では違いはないが、防弾ガラスにひびを入れることは出来る、いくつものひび割れはガラスを白く染め上げ、運転手の視界を遮る、相手の操縦ミスを誘うのだ、しかし、すぐに弾が切れるのはどうともならない、グロッグ19も無理して使ったSOCOMも、三台目を撃破した時点で弾切れ、いずれはちとせの矢もきれるだろう。
そう、三台目、早くから一台を撃破したのだが、後から後から車がわいて出て、いつの間にか総勢十一台の団体になっていた、先ほどから銃やら何やらをぶっ放してきている、車のあちこちには傷も出来てきているが、特殊装甲を使っている為以外と堅牢である。
「後で修理代を請求する・・・」
さめざめと涙を流しつつも、レナードは静かにそう告げる、
「ええ、すべてノルドさん持ちになるから。」
フェイツイがそう言うと
「えぇーーっ!?」
「えー、じゃありません、あなたの護衛の為に発生した必要経費は全てあなた持ちですから」
「うう、この研究で礼金たんまりともらわねば払えん・・・・」
ノルドはその後もぶつぶつと何かを呟いていたが、他の三人には何を言っているのかは分からない。
「いい加減、弾もなくなってつらいですわ・・・」
フィエツイが毒づくと、
「しかたない、座席の下にある指向性地雷を・・・」
「そんなものがあるなら早く言いなさい!!」
思わずフェイツイは怒鳴っていた
「う、街中でそんな派手なことはしたく・・・、いや、とにかくそれで一掃しよう」
レナードの言ったとおり、街中で使うものではないような爆発で、十一台の車は大破していった。
「で、結局はこうなるのか・・・」
大和を構えながらレナードはそういった
「ここを切り抜ければ目的地はすぐそこですわ」
フェイツイも金子棒を構えながらそういう
「ですが、倒しても倒しても・・・」
ちとせが矢を放ちながら呟く
今四人の周りには完全武装の集団がいた、さすがに味方に当たるのを警戒してか、飛び道具は使わないが、この数は驚異である
「むぅ、こうなれば、私の開発した新兵器をお目にかけるしかないようですな!」
ノルドがいきなり前に出てそう宣言した、
「はぁ!!新兵器?」
フェイツイが金子棒で敵を殴り倒しながらそう聞く
「ふふふ、見なさい!この力を!」
言ってノルドがその を掲げて見せる
重たい沈黙が、敵味方を分けずにおりた
その沈黙の中で、一人ノルドは饒舌に新兵器について説明を始める
「どうです?この優雅なフォルム!この兵器は威力だけでなく見た目も最高!まさにこれこそ究極の兵器!」
ノルドはその新兵器を敵に向けて構え
「さあ!この新兵器の餌食になりなさい!」
ノルドは手に持っている豚のぬいぐるみの顔を敵に向ける、
そう、豚のぬいぐるみ
「あの、それ、新兵器?」
敵の一人がそう聞く
「無論!」
自信満々にノルドが答える
「豚の、ぬいぐるみに見えるんだが・・・・」
ノルドはそれなりに美形な男である、それが、豚のぬいぐるみを高々と掲げてこれは兵器です!などという姿は、痛々しいという言葉がぴったりであった。
「おれは、それをお前が兵器だって言うのには、別に、異論はねぇよ?ひとには、色々と事情があるんだろうしな、おまえも、大変だなぁ・・・」
他の敵の皆さんも哀れみを込めて肯いた
「ふふふ、この新兵器に恐れをなしましたか、しかし、もう遅いです!くらえ!」
ノルドは豚のしっぽを引っ張ると、ぬいぐるみの目が一瞬光り、目から光線を出して敵を吹っ飛ばしていく
「なんだか・・・」
ちとせが呆然と呟く
「常識を疑うような事件ですね」
「今回のことは無かった事にしましょう・・・・」
「賛成です」
レナードの提案にフェイツイも賛同した、三人は、豚光線で敵を吹っ飛ばし続けるノルドを、白い視線で見つめ続けていた。
「で、修理費は銀行から借金?」
「のようね・・・」
再び、応接間でレナードとフェイツイは会話をしていた、レナードの隣にはちとせも座っている。
「あんなおかしな形では、誰も報酬を払うわけがありませんよね・・・・」
ちとせがジト汗をこめかみに流しながらそういった
「しかも、襲ってきた連中がノルドさんに研究を依頼した相手だったとは・・・」
レナードがそう言った
「凄い兵器を開発できると言って研究資金を出したが、あんなおかしいものを作ってこられたら、軍の資金を使ってこれでは大変ですからね・・・」
「まあ、これを機に昇進か?と思っていたあの軍人・・・これでは昇格どころか降格するかも知れませんからね」
結局、今回のことの黒幕は皇国軍研究部の一人で、部下を使ってあの研究を奪おうとしたのだ、あんなものが表に出るのは、なんとしても阻止したいというのは、こちらも同意したい気分だがはっきり言って自分のミスをもみ消そうとした犯人には同意しかねる、結局、ノルドは報酬をもらえず、黒幕の犯人もめでたくお縄となった。
夜、テーブルを挟んでレナードとちとせが会話をしていた
「まったく、あのフェイツイという人・・・厄介ごとを押しつけてくるだけでしたね・・・」
「まあ、彼女は昔からああでしたが、まあ、それなりに特をすることもあるから・・・」
レナードがグラスにスコッチをついで飲む、実を言うと、レナードはかなり酒好きである、ノンベではないが、世界各地の酒類を集めている、彼自身もかなりの酒豪でもある。
「それでも、迷惑なことの方が多いって・・」
ちとせはなおもそう言って自分の飲み物を飲む
「いや、だから別に・・・?」
レナードがもう一杯飲もうと思ってグラスに手を伸ばすと、伸ばした手が空を切る
「あれ?」
レナードはしばし視線をさまよわせ、ちとせの手に持っているグラスに目がとまる
「ひっく・・・やっぱりあの人は・・・」
「(よ、酔っている・・・・!?愚痴っぽいのもこのせいか?)」
レナードが顔を引きつらせる
「う〜、あのひとはぁ、」
バタッ
「すーすー」
寝た・・・・・
「ち、ちとせ!?ちょ、寝ないで下さいよ!部屋に運んだ方が?ああ、でもどうやって」
レナードが頭を抱えて騒ぎ出す
「とにかく、早くベッドに寝かした方が・・・いや、あ〜、起こすわけにもいかないし・・・・」
夜の屋敷にレナードの悩む声がしばらく響いていたそうだ
【あとがき】
毎度おなじみ蒼穹一です。
さぁて、いきなり書くことがありません。
今回出てきたオリキャラはなんといきなり5人、レナードの家族と幼なじみ、さらに研究者、ノルド以外は今後もちょっとずつ出てくる予定ですのでよろしく。
さて、今回はこの辺で、さようなら。
あとがきを応援する会 名誉会員 蒼穹 一