「お〜ほっほほほほー!」
突然、エンジェルルームに響き渡る謎の高笑い。
その声を聞いて、エンジェルルーム内に居る誰かれがすぐに反応するかに見えたのだが……。
「お〜い、蘭花ー。先月借してやった通販の代金、そろそろ返してくれないか〜?」
「あー……。ごめんなさい、フォルテさん、実は今月もちょっとピンチで……。次の給料日には必ず、お返ししますからっ!」
「まぁ……あんまり急ぎじゃないからいいけど、なるべく早くしてくれよ。何か、お前だと踏み倒されそうなんだよ」
「あぁ! ひっどい〜! フォルテさんたら〜!」
「ほ〜ほっほっほー!」
「ですから、コーンビーフの缶が何故あんな形をしているのかという点は、先ほどから何度も申し上げています通り……」
「………………」
「嗚呼、ヴァニラさん……」
「ほほほほほほほほほほほほー!!」
「ふわぁぁ……。何だか眠くなってきちゃいましたぁ……すぅすぅ」
「って、ちょっとミルフィーユさん! いきなり昼寝を始めないで下さい!(ユサユサ) ほら、他の皆さんもそろそろお仕事を始めていただきませんと……」
「ふにぃ〜、もうお腹いっぱいでふぅ〜」
「おほっ! おほほほほっ! ほほほほほほー! おほおほおふおふぇらあっげふゴフンッ……! ちょっと! 無視するんじゃないわよ!!」
ここに至って、ようやく笑い声の主に注意を向けることとなったエンジェル隊+ヒゲ親父。
彼女達が目を向けた先に立っていたのは……。
「何だ。とりまrじゃなくて……ちとせじゃないか」
「っていうか、それ絶対わざとやってるでしょ! いい加減にしないと、俺の怒りは爆発寸前〜になりますわよ、時空戦士ですわよ、フォルテ・シュトーーーーーレン!(伸ばすのがポイント)」
「あー、そんなこととはどうでもいいからさ。今度はお前、ここに何しにきたんだよ?」
「何って……。そんなの復讐!に決まってますわ! 私の素敵なミドルネーム、だから意味もなく太文字!」
「えー、そんなこと言わずに仲良くしましょうよ〜、とりmじゃなくて……ちとせさん」
「そうよ。いつまでもそんなこと繰り返してても何にもならないわよ? とりmじゃなくて……ちとせ」
「私達と親密になりたいのなら、素直にそう仰ればいいのに。ねぇ? とりmではなくて……ちとせさん」
「憎しみは何も生みません。とりm……ちとせさん」
「ヴァニラさんの言う通りですよ? とりm……。おっと、私としたことが……ちとせさん」
「ムキー!! 絶対絶対ぜぇ〜ったい! わざとですわね!? いい!? 私の名前は烏丸! 烏丸(復讐)ちとせよ! 親切にも読み方をふってあげるわ……烏丸ちとせ! まぁ、私ったら何て優しい! これでお友達ゲットは確実ですわ〜。 さぁ、私の優しさの前にひれ伏しなさい!」
続けざまに名前を呼び間違えられ、何だかよく分からないことを喚き散らす来訪者。
「別にどうでもいいじゃん、そんなこと。時々、作者だって間違えて『鳥丸』って打つっぽいし」
「その作者はよっぽどの馬鹿野朗ですわね。普通はそんなことしないわよ!(はい、すいません……)」
「まぁ、確かにあいつは救いようのない留年候補生のアフォだけどさ。ま、そこの所は置いといて、結局何しにきたんだよ? あたしらも暇じゃないんでね……今も仕事で大忙しなんだ。だから、用件は短めに頼むよ」
「いえ、あの、そういうことは実際にお仕事をキチンとしてから言ってもらいませんと……。いやはや……」
「うっさいヒゲ。むしるわよ」
「すいません……(しゅん……)」
部屋の隅の方で小さくなるヒゲ。そんな彼の様子には誰も構わず事態は進行していく。
「ならば、お望み通り手短にいかせていただきますわー! 今日こそ! にっくきエンジェル隊に復讐を果たす時! この保管庫から漁ってきたロストテクノロジーの力で!」
「ってか、おめえ勝手に持ち出してんじゃねえよ」
冴えるノーマッドのツッコミ。しかし、当然ながらちとせは聞く耳を持たないのでいるのだが。
それよりも驚くべきは……。
「皆さんあれを見て下さい! ちとせさんの持っているあのロストテクノロジー。どこかで見た覚えがありませんか?」
ミントの一声を受けて、考え込むエンジェル隊員+ショックから立ち直ったヒゲ。数秒の間をおいて同時に驚きの声を上げる。
「ああーーーっ!!!」
彼女達と髭(漢字で書くと、なんかいい感じ)が驚くのも無理もない。何故ならば、ちとせの手に握られていたのは……エンジェル隊にとっては、おぞましい記憶としかなりえない『何でも願いの叶う魔法のステッキ』(アニメ第3期、第27話参照)だったのだから。
「うふふふ。何て素敵な反応かしら。この杖の力がそれほどまでに恐ろしいというのね。この日の為に寝る間を惜しんでまで勉強した魔女っ子の極意。毎日毎日、魔女っ子漫画やらアニメやらを見返し、何度も練習した変身シーン! 今の私なら完璧に魔法少女になりきることが出来るわ! 叶える願いは勿論、エンジェル隊への復☆讐! きゃっ『☆』が入ると何だか魔法少女っぽいわ! さぁ、覚悟なさい!!」
ちとせは魔法の杖を握り締め、魔法少女になりきった自分を強くイメージする。そして……。
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪
あ、間違えた。
気を取り直して……
ピュルリクピュルリクビューティーホーラッキーミルキーチェケラッチョ〜ワクドキハートにドリームショック! トイヤー!!
魔法の呪文を唱えたと同時に、ちとせの身体は色とりどりの光に包まれ、始まりましたは魔法少女モノのお約束のちょっぴりキワドイ変身シーン。(う〜ん、セクスィー
――そんな変身シーンも無事に終了し、その場に現れたるは……。
少し短めのスカートと、そのまんまセーラー服な感じの上半身。まぁ、ぶっちゃけるとあれですよ、某美少女戦士とそっくりさんという話なわけですよ。な、姿をしたちとせだった。
そのアイタタタ……な格好に臆することなく、ちとせは声高に叫ぶ。
「さぁ! 見ての通り私は見事に魔法少女になりきったわ!! 魔法の杖よ! 今こそ、我が願いを叶えたまえー!!」
魔法の杖を頭上に高く掲げる。――自らの願いが成就する瞬間を、今か今かと、待ち侘びるちとせ。
………………。
…………。
……。
「あれ?」
――しかし、実際は何も起きてなかったりする。この杖自体、願い事を叶えるというような崇高な代物では無いということを……以前、エンジェル隊(と分相応を弁えなかったヒゲ)が身をもって証明したのであるが、そんなことは与り知らないちとせは、
「これは私の魔法少女のなりきり度が、まだまだ足りないということなのね。奥が深いわ、魔法少女……」
大いに勘違いしたままだった。
「ならば、これならどう!? 月に変ってお仕置きよ!! って何よ、この取り消し線は!? ちゃんと喋らせなさいよ!」
病弱という設定がまるで嘘であるかのように、ギャンギャンと喚き散らす、嬉し恥ずかし魔法少女。
ふと、その時。
ウイィィィーン……。
掲げられた杖から、かすかに小さな機械音が発せられた。一体何だろう? と杖を顔元まで近づけて様子を伺って見るちとせ。
杖の頂上付近から、何やら一枚の紙切れみたいなものが飛び出していた。
「これは、写真? ……ってぇ!? 何なのよこれ!」
ちとせが驚くのも、無理は無い。その写真に映し出されていたのは、かつてエンジェル隊達も経験した羞恥の極み――恍惚然とした表情で魔法少女になりきっている自らの何とも恥ずかすぃ〜姿だったのだから。
「あー、これで分かったと思うんだけど、その杖の効果はただその写真が出てくるだけみたいなんだな〜。 あたしらも以前はそれで……おっと、何でもないよ。とにかく、そんなに気にするなよ。……あ、それちょっと見せてみ? ……プッ」
同情したようにかかるフォルテの声と、残された含み笑い。その声を聞いたちとせは、ガビーンという効果音が似合いそうな程の呆けた表情で、その場に立ち尽くしている。
「あらあら、フォルテさん。別にそんなものを見せていただかなくても、ちとせさんの勇姿なら先ほどまで私がもう、ねっぷりどっきりくっきりはっきりもっさりと、余すところなく隠し撮りさせていただきましたので、言ってくださればいつでもお見せできますわよ。しかも、超高画質の動画で」
相変わらずやることに抜け目が無い。
「おぉ、そっか。じゃあ、この写真返すわ。あぁ、あと……」
ショックの大きさからか、まともに言葉も返せずこちらを見返してくるだけの落ち込み魔法少女(恥)。
「あたしらも何か疲れてきたから……というか色々、思い出したくないことも思い出したりしたし。そろそろお引取り願うよ」
「……え?」
次の瞬間。ちとせはエンジェルルームの外に放り出されていた。
――魔法少女状態のままで。
ガチャン……、と扉がロックされる音。
「え……? ちょっ……いやぁ! こんな格好でこんな場所に放り出すなんて! あ、そこの人、やめて! こっちを見ないで! そんな目で見ないで!! こんな私を見ないでええぇぇぇぇぇっっ!!」
魔法少女はそう叫びながら、やはり……これも、とても病弱とは思えないような速度で、基地内を突っ切っていったのである。
――後日。
エンジェル隊に恥をかかされ(ある意味、自業自得ではあるのだが)、更に復讐に燃える元魔法少女は、またも本来の職務である筈の『ロストテクノロジーの管理』という言葉をすっかり忘れ、ロストテクノジーを漁っていた。
「これでもない……これも違うし、あれもそれも……」
ガサゴソとエンジェル隊に一泡ふかせられそうな物を一生懸命に探す職務怠慢娘。これといった物も見つからず苛立ちが募り始めていた頃、ふと『あるもの』がちとせの目についた。
「こ、これは……!?」
その目についた『もの』を自分の手元に持ってくる。
「……いける。これならいけるわ!」
何故だか、そう確信する彼女。
――果たして、彼女が手にしたものとは一体?
「お〜ほっほほほほー!」
再度、エンジェルルームに響き渡る謎の高笑い。
その声を聞いて、エンジェルルーム内に居る誰かれが、すぐに反応するかどうかは微妙だったが……。
「皆さ〜ん! おやつの時間ですよー。ミルフィーユ特製、『甘いのか甘くないのかよく分からないアップルパイ』で〜すっ!」
「丁度、お腹が空いたと思ってたとこなのよね〜。でかしたぞー、ミルフィーユ」
「あ、私も頂きますわ」
「うん、この甘いのか甘くないのかよく分からんところが絶妙だねぇ」
「……美味しい」
「嗚呼、ヴァニラさ〜ん」
「あの、皆さんお仕事を……」
「ほーほっほっほ! ほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほっふぉへらふぇグ・げフごふんっ……! ……無視するなー!!」
甘いのか甘くないのかよく分からないアップルパイを頬張りながら、面倒そうに振り向くエンジェル隊(ヒゲは省略)。
その先で見たものは――!
ちとせだ。ちとせが、居る。
そこに居るのは、ちとせに違いないのだが、その格好が以前の魔法少女並みに不思議な状態であった。
真っ青な体色に、まるっと大きな頭と胴体。首らしき部分にはちょっぴりお洒落なネコ鈴。
真っ白なお腹に、正面から張り付いている小さなポケット。しかも、最近は中の人の声が変ってしまったことで波乱を呼んでいる……ぶっちゃけて言うなら、どこぞの未来世界のネコ型ロb(バキューン)の姿をした、顔の部分だけがちとせの……着ぐるみだった。
「んまあぁぁぁぁ〜っっ!」
その姿を見て、着ぐるみ大好きっ子のミントさんが声を上げる。
「ち、ち……ちちち、ちとせさん!? それは一体そこで手に入れましたの!? 嗚呼、何やら世界中に名前が売れてそうな感じが堪りませんわ、堪りませんわぁぁぁっ!」
身体をクネクネと揺らしながら、頭から伸びるもう一つの耳を、パタパタさせながら悶絶している着ぐるみ愛好家。
「ふふっ。これですか? ロストテクノロジー保管庫からちょっと拝借してきたんですよ」
「またかよ。いい加減、無断で持ち出すなつってんだろ」
今更、彼女に何を言っても無駄ですよノマちゃん。
「で、その着ぐるみを使って今度は何を企んでるわけ? アタシらあんまり暇じゃないんだから、あんまり相手してあげられないわよ」
「あの……暇だったら、是非お仕事を……」
「あ、中佐。お髭の中に白髪が混じってますよ〜。抜いてあげますね。……えいっ!(ベリベリッ!)」
「ヌゥワアァッチィィッ! ミルフィーユさん、それ抜き過ぎです健康なのも引っ張ってます痛い痛い分かった分かりましたもういいですからお仕事いいですからその手を放してくださいぃぃ〜……!!」
ヒゲ、早くも脱落。
「うふふ……時間なんて取らせません。一瞬で終わらせて差し上げます。この『未来型パワードスーツ』の力、見せてあげますわ」
そう言って、おもむろに腹部のポケットに手を入れ、中をもぞもぞとまさぐる。
やがて、先端がきれいに丸まっているその腕の先で、ポケットの中からひっぱり出した物を高く掲げた。
「空○砲〜〜!」
ピカピカーン! という独特の効果音とフラッシュ効果。それと何故か、普段と違う声音で解説される道具名。
『それ』は、小さな円筒形の筒のようなものだった。その筒を右腕に装着し……。
「いきますわよ」
ドガーンッ!
という爆音と共に、その筒から何かの衝撃弾のようなものが吐き出された。その弾丸は先ほど、危うく大事な髭を失いそうになり、現在は「かわいそうでしゅね〜、痛かったでちゅね〜」と、痛めつけられたmy髭をあやしていた親父にヒット!
そのままヒゲの人は、着弾の衝撃で後方に吹き飛ばされ、そのまま壁に激突。――更にはそのまま、自らの身体と同じ形の人型の穴を残しながら、ドガンドガンッと幾重にも続く壁面を突き抜けていった。
なかなかシュールな光景である。
「なっ……!!」
その光景には、流石のエンジェル隊も、先ほどまで「着ぐるみ着ぐるみぃ」と、どこかにトリップしていたウサミミ娘までもが正気に戻り……絶句していた。
その様子を満足げに眺めながら、ネコ型少女が勝ち誇ったように言う。
「どうですか? この威力? この不思議なポケットの中には、今のような超兵器の数々がまだ数億と眠っているのですよ。この力を使って、今日こそあなた方に復讐してあげますわ!」
ほーほっほっと高笑い。
「くっ! こんなヤツ相手にあたしらは勝てるっていうのかい……」
珍しく弱気な姿勢を見せるフォルテ。すると……
「だからお前はアホなのだあぁぁぁっ!!!」
「あべしっ!!」
突如、放たれた蘭花の鉄拳がフォルテの顔面にクリーンヒット! 殺人的な威力を秘めたその拳を、もろに受けたフォルテは、なんちゃら真拳の必殺チョップを受けて、顔をへこませたトゲつき肩パットのザコAみたいな悲鳴を上げながら、倒れこむ。
「っ……!! 何なんだ! いきなり!?」
当然の如く、抗議の声を上げるフォルテもといあべしっ。
「貴方がそんな弱気でどうするの! 貴方は私達のリーダーなのよ!? どんな時も諦めずに頑張るって、あの赤く燃える夕日に誓ったじゃない!?」
蘭花にそう諭されるフォルテは。やがて、思い立ったかのように――いつも通りの野性的な笑みをその顔に浮かべ、立ち上がる。
「……そうだな。あんたのいう通りだよ、蘭花。あたしとしたことが情けないねぇ。お陰で目が覚めたよ! ……でも、さっきの一撃はかなり効いたから、後で覚えてろよ?」
妙な迫力のある笑顔を浮かべて言うフォルテと、冷や汗を浮かべながら軽く後ずさる蘭花。
「さてと。……待たせたね。今から、このフォルテ様がたっぷりと可愛がってやるから、覚悟するんだねぇ。身の程知らずの子猫ちゃん」
「ふふ、強がりを言っちゃって」
「強がりなのはどっちかな? あんたがそのネコ型ロb(ピーッ)になり切っているんだったら、こっちも奥の手を使うまでさ」
「何ですって……!?」
「蒸着!」
その言葉と同時に、やたらと大仰な動作を繰り出すフォルテ。眩い閃光が辺りを包み、光の中から現れたのは……
メタルダーだ。
じゃなくて。
「さぁ! 今からお前に、若さとは振り向かないことだということを教えてやる! 愛って何だ!? ためらわないことさ!」
某宇宙刑事だった。
「胸のエンジンに火をつけ、今いくぞ! ……え? これ以上続けると東○から圧力をかけられて危険だって? だから今すぐ変身を解いた方がいい? え、大人の事情ってヤツ? ……って!? あたしは今、誰と話をしてたんだ!? しかも何か勝手に変身が解けてるし!」
気がつけば何故だか元の姿に戻っているフォルテ。
「くっ! このままでは……」
「ふふっ。何が起こったのかよく分かりませんが……。覚悟はいいですか、フォルテさん? 生身の貴方なんて怖くも何ともありませんわ」
余裕しゃくしゃくのちとせ。先ほどから、いちいち相手の口上や一挙動が完了するまで待ってあげているのも、その余裕の表れなのだろうか。
実際は、ただ単に無視されるのが嫌いなだけだったからだったりするのだが。
「そうだ! 『あれ』ならば問題ないはずだ! 声も同じだし」
声も同じ? そんなことはさて置き、どうやら何か反撃の糸口を掴んだようだ。
「また何か小細工を……」
「変・身ー!」
何やら胸のベルトがぐるぐる回り出しそうな変身ポーズを取りながら、フォルテが叫ぶ。
変化は一瞬。変身後のフォルテの姿は……これも何処かで見たことあるような、へそ出しルックがイカしてる、変身能力を持った、某錬金術兄弟と敵対するあの人だった。そして、フォルテさんのまんまの声で――。
「さぁ、今からこの華麗な変身殺法でお前を……え? 何だって? その姿こそ数多くのファンの人を、敵に回しそうだから止めておけって? 何だよー、つまらないな〜……って、そもそもお前誰だよ!? 何? 作者? ヤバいと思うなら、そんなこと書いてるんじゃねえよ! ってぇ!? また勝手に変身解けてるし!」
またも振り出しの状態に戻ってしまったフォルテ。
だが、やがて意を決したように。
「こうなったら、あたしの実力で勝負してやる!! 覚悟しなシャピロ! やぁぁってやるぜぇぇっ!!」
そう叫ぶなり、理論は不明だがフォルテの衣服の至る所から、おびただしい数の重火器が飛び出してきた。例えるなら、それはアサルトバスターチックな某モビルスーツの姿の如く。
「こんなのおかしいですよ! カテ○ナさん!」
謎の人物名を叫びながら一斉射撃。ミサイルやらビーム砲やら、様々な攻撃兵器達が明確な破壊の意思をもって、ちとせの元へと収束していく。
だが、そのような状況にもちとせは慌てず騒がず余裕だらけの態度。
「返り討ちにしてあげますわ」
という言葉と同時に、ちとせへと命中するかに見えたその攻撃が、何と! そのまま全てフォルテの元へと返ってきたのである。まるで、フォルテの攻撃が山彦となって戻ってきたかでもしたかのように。
フォルテは、突然の事態に驚きながらも、攻撃が収束する地点から慌てて後方へと飛びのいた。その直後、エンジェルルーム内を激しい爆音と閃光が包み込む。
直撃は免れたものの、広範囲に広がった攻撃の爆風の余波を受け、フォルテはかなりの深手を負い、その場を動けないでいた。
「一体、何が起こったっていうんだい……」
苦々しい表情でそう呻く。
「ふふふ……。種明かしをしてあげましょうか?」
今や悪人然とした含み笑いが似合うようになってしまった、ちとせドラちゃん(言っちゃったよ……)は自分の足元を指差す動作を見せてきた。
フォルテが、ちとせの示した場所を見つめると……ちとせの足元、そこにはいつの間にか用意されたのか、小さな山をかたどったような置物がズラリと並んでいた。
「まさか、そのヘンテコな置物の力であたしの攻撃を…」
「その通り。この『や○び○や○』がある限り、私に間接的な攻撃は通用しませんわ。……さて、種明かしも終わった所で、そろそろ終わりしましょうか。フォルテさん」
そう言いながら、無慈悲に空○砲を構えるちとせ。
次の瞬間、先ほどのヒゲと同じくしてフォルテも壁を突き抜けてぶっ飛んでいくことになった。
丁度、その時。
時を同じくして、ボロボロの状態になりながらも、自らが穿った壁穴を逆に辿って今、まさにエンジェルルームに帰りつかんとしていたヒゲがそこに居た。
「皆ひゃぁ〜ん、何とか無事に戻ってきまs……つぉをぬぇれわっ!!」
次の瞬間、前方から猛スピードで飛来してきた何か(先ほどぶっ飛ばされたフォルテ)と激突し、再び壁面ブチ破りツアーへと旅立っていくことになるヒゲであった。
「よくもフォルテさんを! 絶対に許せない!」
と言いつつも、加勢するでもなくつい先ほどまで、まだ余っていた「甘いのか甘くないのか〜(略)」をモシャモシャと食べていた蘭花が怒りをにじませながら言い放つ。
「次はアタシが相手よ!」
「あ〜ら? 今の状況を御覧になっていなかったのかしら? 間接攻撃は無意味。蘭花さんお得意の格闘戦なら、勝算はあるかもしれませんが……あなたの間合いに入る前に、私があなたを倒す手段なんていくらでもあるんですよ」
ふふっと、意地の悪そうな笑みを浮かべながら語りかけてくるちとせ。
「それでも、アタシは諦めるわけにはいかない……。そう、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ……逃げちゃだめだぁっ!」
叫ぶ蘭花。更に続けて――。
「お願い! レイジングハート! 力を貸して!!」
――刹那。やたらと発音のいい言葉を喋りだす一振りの杖が蘭花の手元に現れる。しかも、着ている衣装まで何やらリリカルマジカルな様子になってしまっていた。
「こんなこともあろうかと、保管庫からこっそりくすねてきた魔法の杖よ! この前みたいな偽物はワケが違うんだから!」
「って、おい。おめえも勝手に持ってきてんのかよ。」
至極当然なタヌキチのツッコミ。
「さぁ! いくわよレイジングハート! 魔法の力で、あの山型の置き物をなんとかして! ……って、<S>レイジングハート?</S> そういえば、あなたさっきから何をワケの分からない言葉を喋ってるの?」
それは、俗に『英語』と呼ばれる言語であるのだが、旧世界の文明が崩壊した時代に生きている蘭花がそのようなことを知る筈もなく……。
「ちゃんと解る言葉で喋ってくれないと分からないじゃない! そうだ、ユーノ君! ユーノ君はどこ!? スクライアー? ……おい、フェレット! この杖の使い方を教えなさいよ! ……って、ちょっと、ちとせさん? 何をそんな物騒な物をこっちに向けて構えてるのかな〜? ちょっ! ……ちょっとタイム! 待ってってば! 話せば分かる! あぁ、駄目だって! いやよダメよこんなのバカバカそんなにギラギラしないでお願いだかへぶぅ!」
問答無用にぶっ飛ばされたのである。
――再び。崩れた壁面の向こうから、ボロ雑巾のようになりながらも帰還してきた我らがヒゲ。
「娘達よ……私は帰ってきたらぶぇぁっ!!……」
またも、エンジェルルームを目前とした位置で悲劇は起こった。
――朦朧とする意識の中、気力だけでここまで歩いてきたヒゲは、前方から勢いよく飛来してきたリリカル蘭花を避けることも出来ず、そのまま激突し――三度、壁抜けの世界へと旅立っていったのである。
「これで二人目。さぁ、次はどなたかしら?」
無事に残ったエンジェル隊員達に、勝ち誇った笑みを浮かべながらちとせは言う。
「次は、私が行きますわ」
そうして一歩を踏み出したのは……ミント。
「こんなこともあろうかと。実は私も保管庫から、あるロストテクノロジーをちょっとだけお借りして、来たるべき日に備えておりましたの」
「まぁ……もう好きにしてくれ」
あまりの事態にノーマッドには、既にツッコミを入れる気力すら無いようだ。
「私の手札は、この空中元素固定装置! 空中に存在する元素を取り込み、ありとあらゆるものを生成できるという優れものですわ。これを使って私もちとせさんに対抗できる力を手に入れて見せますわ」
「でも、おめえ本当は、ただあの着ぐるみが着たいだけじゃねえかよ」
少しツッコミする気力が戻ったらしい。
「さあ! 変わるわよ〜(少し色っぽく)……ある時は遊園地の皆のアイドル! クックちゃん! またある時は失われし太古の伝説! キュートなツチノコ原人! 果たして、その正体は〜……って、そうですわ!!」
と、今からようやく驚きの七変化が始まるかと思ったところで、はっと何かに気がついた様子のキューティーミント。わなわなと震えながら、今しがた心に思ったことを口にする。
「この装置を活用すれば、私の望んだ着ぐるみが、いつでも好きな時に装着できるということではありませんか!? 念願のアレもコレもっ…! どうして、こんな大事なことに気がつかなかったのでしょう……。私のバカバカ!」
既に、自分だけの世界に旅立ってしまったようだ。
「ここでこんなことをしている場合ではありませんわ! 一刻も早くこの壮大な計画を実行に移しませんと。……というわけで、皆さん。私はこれで失礼させていただきますわ。後は残りの皆さんでどうぞごゆっくり。オホホ……」
と、同時に――。スカルリーダーもびっくりの超スピードで自分の部屋へと戻っていくミント。パンサークローになんか負ませんわよ、と謎の言葉を残しながら。
完全に意表をつかれた為、エンジェルルーム内の誰も、呆けた表情でその姿を見送っている中、
「って、持ち帰りかよ。元の場所に返せって言ってんだろ」
ノーマッドの毒舌だけがこだましていた。
突然の出来事に、何だか興も削がれてしまったので、ちとせは残された二人へと意識を向ける。
「……次は私達が行きます」
そう言って足を踏み出したのは、ヴァニラと、彼女に抱きかかえれたノーマッド。
「私達!? ということは、この私もヴァニラさんと一緒に戦えるということですね。あぁ、私は幸せ者です〜」
ヴァニラは抱えていたノーマッドを自分の足元に置き、両の手を組んで祈りを捧げるようなポーズを取り始めた。
「一体、何が始まるのか……私は期待に胸が高まってしまいます嗚呼ヴァニラさんヴァニラさんヴァニラさんヴァニラさんヴァ…………(以下省略)」
「あなたに力を……」
何処かで聞いたことがある言葉を、ヴァニラが口にした瞬間。ノーマッドの身体に異変が起こった。
「こ、これは!? ティファ! ティファなのか!?」
驚きの声を上げるノーマッド。いつの間にか彼の背中部分にはX字型の機械的なパーツが出現していた。
「マイクロウェーブ来る!」
何だか、また更にきわどい言葉まで。
「ティファは俺が守る! サテライトキャノン!! 発射!」
何処からともなく飛来した謎の光を額に受け、次の瞬間。ノーマッドXから極大の破壊の光が放たれた。その巨大な破壊の力は真っ直ぐにちとせに向かっていき……。
「ふん、そんな攻撃は無駄だということがまだ解りませんの? 全てあなたの元へ、そっくりそのままの威力で返してあげますわ!」
ちとせの言う通り、ノーマッドの放ったその渾身の一撃は先ほどのウッソの時と同様に、全て反射されてくるかのように思えた……のだが。放たれた極光は、ちとせの張った絶対防御の力と均衡し合い、弾き返されるでもなく、更に獲物に向かって追い縋ろうと荒れ狂う! ジリジリと山型の置物の力を無効化しつつ、ちとせの元へと迫っていく。
「な……!? 威力が強すぎて反射しきれないというの!? このままでは……。光が……光が見える。……ってぇ、なんて言ってる場合では無くて……。何か、何かないの!?」
ポイポイと不思議ポケットの中身を、辺りにぶちまけていくちとせ。そんな姿は丸っきりドr(バーン)。
「っ! こ、これだわ!!」
ちとせがポケットから何かを取り出したのと、ついに絶対防御をうち破り襲い掛かってきた光の中へと飲み込まれんとしたのはほぼ同時だった。
「ひ○りマントー!!」
見た目はただの一枚のマントだが、ちとせがそれをひらりと一振り。――その瞬間、今まさにちとせに食いかからんとしていた極大の光線は、先ほどの進行方向とは逆の方向にはね返されていったのである。
――ここで、話変わって。
穴あき壁面の世界から3度目の帰還を果たし、つい先ほどエンジェルルームに帰りついたヒゲの姿が、こっそりとそこにあった。
今度は、また誰かにぶっ飛ばされることもなく。無事に我が家とも言える、この部屋に辿り着くことに成功した御老体は、もう何をする気力もなく、その場にへたり込んでいた。今や、ボロ雑巾のように変わり果てた姿となったヒゲは安堵のk……横殴りに襲い掛かってきた光の束の中へ飲み込まれていった。
ちとせが返してきた必殺の一撃。ヴァニラは素早くノーマッドを抱え込み、回避行動。咄嗟の判断が功を制したからか、見事にその破壊の力から逃れることが出来た。
ふと、その災禍の過ぎ去った先に目をやると……何やら消し炭のようになって、ピクピクしている元ヒゲ科の生物の姿が。
とりあえず、その辺のことは誰も気にしないことにした。しくしく……とすすり泣く黒い元ヒゲ塊。
「ふぅ……。や○び○や○の防御効果で威力が軽減できていなかったら、危ないところでしたわ……」
ほっ、と安堵した声を上げるちとせ。だが、すぐに気を取り直して、「もう終わりかしら?」 とヴァニラ達を挑発してくる。
「……まだ終わりではありません。 行け! ファンネル!!」
ヴァニラがそう言うと同時に、突然ノーマッドが勢いよく宙に舞う。「おぉっ!?」と驚きの声を上げながら、そのままちとせの元へと勢いよく飛来していった。どういう原理なのかはやはり不明だが。
「空中戦ですか? 望むところです。 タ○コ○ター!!」
もういい加減、これ系ネタはやばいかと思われるが(なら書くな)……ちとせは、ポケットから取り出したプロペラ状の小さな道具を頭頂部にセット。そのまま空中へと飛び出した。
両者の間で激しい空中戦が繰り広げられる!
だが、数々の超兵器を駆使し圧倒的な力を行使するちとせに対し、ただのぬいぐるみであるノーマッドが叶うはずもない。
ポテッ……という音を立てて地面に落下してきたボロボロのぬいぐるみ。ゆっくりとそれを拾い上げるヴァニラと、再び地面に降り立つちとせ。
「さぁ、次はどんな小細工を見せてくれるのかしら?」
余裕の笑みを浮かべるちとせと……
「……今日はサテライトキャノンをぶっ放す日」
「えぇ!?」
続けざまにヴァニラ&ノーマッド。
「……これで本日、神より下された戒事は無事に成し遂げられました。部屋に戻り御報告の祈りを捧げなければなりません」
「ふん、甘いですわね。今度はむざむざと逃がしたりはしませんわよ!」
「それでも、俺は行かなければならない! ゲイル先輩! そこを退いて下さい!!」
今、聞こえてきた言葉はきっと気のせい。
その言葉を受けて、やれるものならやってみなさい、と言いかけたちとせの声をかき消して――。
「レイ! V−MAX発動!!」
「レディ!!」
どうやらノーマッドがその役らしい。……青白い光に包まれたヴァニラはスカルリーダーでさえも、流石にお手上げな超スピードで自分の部屋の中へと戻っていった。
「………………」
またも、完全に虚を疲れることになったちーぽん(何だその呼び方
とりあえず。今や、ただ一人だけその場に残されたミルフィーユに注意を向けてみたりする。
「うふふ……。さぁ! 次はあなたの番よ! ミルフィーユ・桜葉ぁっ!!」
ちとせに怒鳴られ、ビクッと身をすくめるミルフィーユ。肩をフルフルと震わせ、ペタン……と力なく、その場に座り込んでしまった。
「あら。今さら泣いて詫びたって許してあげませんわよ! 私が受けた屈辱、倍にして返してやるんだから!」
「……違うんです!」
響いてくるはミルフィーユの悲痛な叫び。
「な、何よ……」
「あたしは悲しいんです! あたしとちとせさんはお友達の筈なのに、どうしてこんなことをして、傷つけ合わなきゃいけないんですかッ!?」
『お友達』という単語が復讐に燃えるちとせの心に響き渡る。
ああ〜ん、「お・と・も・だ・ち・(はぁと)」その言葉には私、弱いの……。
…………。
「って……もう騙されませんわよ! ミルフィーユ・桜葉!! 今まで、その言葉を信じて私がどれだけ酷い目にあってきたか……。今日という今日は嫌という程、それを分からせてあげるわ!」
「ちとせさん! ……私の! 私の目を見て下さい! これが嘘をついている目に見えますか!?」
キリッとこちらを見返してくるミルフィーユ。その穢れなき瞳に見つめられたちとせは……
あぁ……。なんて綺麗な瞳……。あんなに綺麗な瞳を持った人が、嘘なんて言う筈がないわ、そうよいつだってミルフィーユさんはあの根性の腐りきったエンジェル隊の中に居ても人一倍私を気にかけてくれたじゃない時々私が酷い目に遭ったりしたけれどそれはきっと単なる事故ただ運が悪かっただけなのよえぇそうに違いないわはぁ〜んミルフィーユさんごめんなさい私はもう少しであなたの優しい心を踏みにじってしまうところでしたわもう本当にめんちゃいめんちゃいめんちゃい待っていてくださいミルフィーユさん今あなたの元へお友達のちとせが参りますわぁぁ〜私のこと強く抱きしめてぇぇぇー!!
ちとせは、腕に装着していた物騒な物を取り外し、ミルフィーユの元へと駆け出す。
「ミルフィーユさあぁぁ〜〜〜ん(さ〜んさ〜んさ〜ん←エコー)、今こそ私と一緒に青春爆発ファイヤー!!」
「分かってくれたんですね! ちとせさん!!」
両腕を広げて、その胸に飛び込もうと駆け出したちとせを迎えようとするミルフィーユ。だが……。
ズベシッ!!
いきなり盛大にすっ転ぶちとせ。そうなるのも無理もない――あまりバランス感覚がよくなさそうな着ぐるみ姿で、急に走り出したりしたのだから。
「あいたたた……」
転んだショックからか、お腹についていた不思議なポッケがペラッと剥がれ、ひらひらと宙を舞う。そして、着地したのはダストシュートの真上。不思議なポッケは、勢いよく漆黒の宇宙空間へと吐き出されていった。
「あぁっ! 私の切り札の不思議なポッケが!! 何で、いきなり! こんなに簡単に剥がれたりするのよ! ……でもミルフィーユさんとの友情を確かめられたんですもの……。もうあんな物は必要ありませんわね」
再び、意識を我が友ミルフィーユへと向ける。……そこで、突然ちとせの表情がピシッ! と凍りついた。
ニッコニコと満面の笑みを浮かべて、ちとせを待つミルフィーユの背後に立つ2つの影。それは先ほど亡き者にした筈の、蘭花・フランボワーズと、フォルテ・シュトーーーーーレンだったのである。ボロボロの状態でありながらも、他にどう形容すべきか……まさに鬼神の如き形相でちとせのことを見下ろしていた。
そもそも、何で無事に生きているかだって? だってそれはGAだから。証明終了。
「あは……あはははは。お二人とも元気そうで何よりですわ」
まずい。……この状況は非常にまずい。頼みの綱の不思議ポッケは今や宇宙の彼方だし、さっきまで腕につけていた必殺兵器は外してしまっている。
「あら? どうしたんですか?? ……お二人とも、お顔が怖いですよ。ちょっと、何で腕をゴキゴキと鳴らしながら、こっちに向かってにじり寄ってくるんですか!? しかも何でしょう……。その鬼のような形相、ちょっ、駄目暴力反対! 私は平和主義者で病弱少女! あぁっ……突然持病の『早くお家に帰って休まないと空から天使が降りてきて天国に行ってしまうよパトラ○シュ病』が……。 あ、そうだ! 助けてミルフィーユさん! ……って、何笑顔で手をヒラヒラさせてるのよ! え!? 何? 頑張ってくっださいね〜?? っ……、あなた! また私を騙したわね! もう許しませんわ! えぁ? ……お二人とも? 許さないのはお前だって? またまた〜そんな冗談ばっかり。……駄目やめて人類皆友達話せば分かる優しい気持ちが世界をすk…………」
数分後。
エンジェルルームの入り口の外で、ボロきれのようになってポツンと転がる少女が一人……。
――またも後日。
ボロボロだった制服も、身体も、すっかり元通りになった(だってGAだし)ちとせは、懲りもせずまたもエンジェル隊への復讐を果たす為、やっぱり無断でロストテクノロジー保管庫で、何か復讐に役立ちそうな物を物色していた。
「エンジェル隊……。またも私を屈辱的な目に……。ムカつきますわムカつきますわムカつきますわー!!」
咆えるちとせ。でも、それが自業自得だということにはまだ気がついていない。
……ガシャガシャ……ガシャガシャ……
自分に必要のない物を、背後にポイポイ放りながら倉庫内を漁り続けるちとせ。うず高く積まれた「いらない物byちとせ」はさながら一つの大きな山のようで……。ここで、ふと。
「……こ、これは!?」
どうやら、また何か面白そうなものを見つけたようだ。
「ふふ……ふふふふふ。見ていなさい! エンジェル隊!! 今度こそ今度こぉ〜そ! あなたがたをギャフンと言わせてさしあげますわー!!」
「お〜ほっほっほ!!」
と高笑い。病弱少女という肩書きを、真っ向から打ち消すその大音声に、先ほど知らず知らずのうちに積み上げていたロストテクノロジーの山が、ぐらぐらジェンガ。
「え?」
と、いう呟きをかき消すかのようにして……ガシャーン!! という轟音。「うひっゃあらぁぁあ〜っ!」という情けない悲鳴を上げながら、薄幸の少女は瓦礫の山の中へと飲み込まれていくのであった。
――烏丸ちとせ。彼女の戦いはまだまだ終わらない……。
〜おしまい〜
<あとがき>
うぅ……。ゴメンよちとせ。何だかお馬鹿なキャラに書いてしまって。
まぁ、設定は何でもありの「アニメ版」だから、まぁいっか!(ぉ
……っとと。皆さん、(投稿という意味では)初めまして! この度、こちらのサイト様にて人生初となる小説投稿なんぞをさせていただきました、アッシュと名乗る者ですw
こちらでは、ジャンルはコメディ。短編を一つ書き上げてみました。
投稿に関して思ったこと等は、長編小説「〜Eternal Angels〜」の方で述べていますので、その点は省略して……とりあえず先に謝っておきます(ぇ
すいません。自分、やっちまいました……無謀にもコメディに挑戦してみたら何ですかこの内容はなんか完全に破綻した文章になってますよあぁもう!
と悶絶してみた所で(ぉ)……如何だったでしょうか? 勢いだけで書いてしまったので、完全に独り善がりな内容になってしまっていますが。ほんの少しでも、何かのサイズで現すならゾウリムシ程度の大きさでも構いませんので、楽しんで頂けたのなら幸いですw
まだまだ自分の文章を書く力が足りない為か……今回はパロディネタにかなり頼ってしまいました。そのネタをうまく作品内に活かせているのならば問題は無いのでしょうが……如何せん、自分の貧困な発想力ではこれが限界のようでして……。
精進あるのみでしょうかw
もっといい文章が書けるように頑張らなくては!
さて、この「天使達のお気楽極楽非日常」は短編集という位置づけにしてみたので、次回以降も何かネタが思いつき次第、何か書いてみようかと思っています。その時は、また是非宜しくお願いしますm(_ _)m
ここまで目を通して下さった方、本当にありがとうございました!!
それではっ! またの機会にお会いしましょうww
次回。君は刻の涙を見る……。