「え〜、今回の任務は、どこかの宙域にあるどこかの星のどこかの丘にあるロストテクノロジーの回収ですね。……って、皆さん? ちゃんと聞いてます??」

エンジェルルームに響く初老の男性の声。――言わずもがな、真面目に働かない部下の所為で、窓際族候補になりつつある苦労の軍人、ウォルコット中佐の声だ。

その言葉を投げかけられた部下達。一人は一生懸命に料理雑誌を読みふけり、また一人は何やら怪しげな占いに夢中。別の一人は呑気にお茶の時間を楽しんでいたり、はたまたもう一人は銃の手入れにお熱、最後の一人に至っては突然お祈りなんかを捧げ出し、その傍らには変なぬいぐるみが側に居たりして――。

言わずもがな、「軍務」やら「仕事」という意味を、欠片も理解してないんじゃないかと言わんばかりに、やりたい放題な……お騒がせ少女エンジェル隊+変なぬいぐるみである。

 

「今度こそ任務に成功しないと……本当に減給ですよ?」

 

ボソッと放たれたその一言を聞いた彼女達は――。

 

グラン○リの鷹もびっくりするんじゃないかというくらいのスピードと勢いでもって突然! 読んでいた料理雑誌を、変なぬいぐるみに向かってバーン!と叩きつけ――占いグッズを、変なぬいぐるみの上にドサドサと積み上げ――変なぬいぐるみに、まだ暖かさの残る飲みかけの紅茶をジョバーッとぶっかけ――手入れの済んだ銃で、何故か一発。変なぬいぐるみに対して発砲したり、ひたすら祈りを捧げていたり……と。とりあえずの後処理? を済ませて。

「っていうか、いつもに増して理不尽な暴力ですね……」

変なぬいぐるみの変な呟きは完全無視。

 

「「「「「エンジェル隊! 即座に任務に取り掛かります!!」」」」」

 

彼女達は先ほどまでのぐーたらな態度とは打って変わり、今や任務達成に命をかける生粋の軍人となったのだ!

……『減給』という言葉に反応して。

 

「「「「「エンジェル隊! 出撃〜!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

今回はエンジェル隊が、珍しく仕事に精を出すかもしれないし、出さないかもしれないし、もしかしたら新しいキャラクターが登場しちゃうかもしれないという、そんなおはなし。

 

 

 

 

 

 

「……で。勢いに乗って、飛び出してきたのはいいんだけど結局、あたしらが回収するロストテクノロジーって、一体どんな代物なんだい? なぁ、ミントー?」

 今回の目標地点であるどこかの星に向けて、各紋章機を操縦する一同の間で交わされる会話。

「まったく……。いっつもいっつも、こういう作業は全部私にまかせっきりで……。ぷんすかぷんすかぷーですわっ」

「えー、だってそういう作業って面倒くさいじゃん?」

「平気な顔して何を言いやがりますか、この人は。……っと、今から皆さんの所にもデータを転送しますわよ」

「まぁまぁ。頭脳労働はミントの専門ってことでさ。アタシは肉体労働専門だし」

「……脳味噌筋肉」

「嗚呼、核心をつくその一言。流石はヴァニラさんです」

「……どうやら、そこの縫いぐるみには後でお仕置きが必要なようね」

「って、何でワタシだけ……?」

「へぇ〜。今回、回収するロストテクノロジーってこんな感じなんですね〜」

「ほら。皆さんも目的地に到着するまでにちゃんと確認しておいて下さいよ」

 そんなやり取りを交えながら、一向はまだ見ぬ未知なる遺物を求め、広大な銀河を駆けていった。

 

 

 

ちなみに。

 

彼女達が見たそのデータによると、今回の回収対象であるロストテクノロジーは一見すると――ずんぐりと重そうなトゲトゲのバットのような外観であった。

詳細は詳しく聞かされてはいないが(詳しく聞かせると、またロストテクノロジーをネコババされるのではないか? という軍上層部の意向により)、とにかく危険な代物であるらしい。

ただ、問題なのが、この鋼鉄バットが、何かの伝記物にでも出てきそうな伝説の勇者の剣よろしく、小高い丘のその頂にぶっすりと刺さってしまっていて、未だに誰もそれを引き抜けないという状況にあるとのことだ。

そんなこんなで、今回、エンジェル隊に、該当のロストテクノロジーの回収命令が、下ったわけなのである。

 

我等がエンジェル達は、果たして無事に任務を遂行できるのやら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって。

 

 ここはどこかの星のどこかの田舎にあるどこかの酒場。もうすぐ、日付が翌日へと移り変わろうかという時刻の静かな夜。

辺りの風景は田舎というに相応しく、街と言うよりも村。

……いや。

ポツン、ポツンと、かなりの間隔で点在する小さな家屋を除外すれば、村というよりも……むしろ草むらと畑しかないというべきか。

こんな所に、ポツンと立っている酒飲み場だけあって、その店は都会にあるバー等のような豪華さを感じさせるものではなく、正に「酒場」という古めかしい表現を用いる方が的を得ている。

あまり客入りの良さそうな立地条件ではないが、それでも営業が出来ているということは、見た目に反してそれなりの収入は得ているのだろう。

 

その酒場からは煌々とした光が洩れているが、店内は静かなものだった。

それもその筈。今この店の中に居るのは、単身でこの店を切り盛りする老年のバーテン兼、マスターである男性と、カウンター席でグラスを傾けている青年客だけだったのだから。

 

バーテンに関していうならば――。頭髪は所々白く染まってしまっているが、その顔つきは生き生きとしており、見る者に老いを感じさせるような皺などはあまり刻まれていない。一目に、健康的な老人だと見て取れる。

たまたま客入りの少ない時間帯であったとしても、たった一人でこの店を切り盛りしていかなければならない立場からすれば、自らの老いを前面に出しながらカウンターに立つわけにはいかないのだ。

 

対して。カウンター席で、手に持ったグラスを傾けている青年客はといえば――。

短く切りそろえた健康的な黒の毛髪。筋骨隆々とした逞しい体つき……と、ここまでならば、極々普通の男に見えただろう。

 

だが、しかし。その部分を除いての彼の格好は……先の老バーテンと見比べると、奇妙としかいえない珍妙な姿であったのだ。

 

その額に、きつく結ばれた『熱血最強』と黒字で書き殴られた白色のバンダナ。

まるで中世の騎士が使っていたかのような、腰に吊り下がっているボロボロの鞘に納まった、やや大型の剣。

はたまた、その身を包んでいるのは、科学技術が発達した現代においては――有用性という意味で、もはや骨董品レベルとしか言えない様な鉄製の鎧。

グラスを握る反対の手を覆っているのは、鋼鉄製の篭手。

 

科学全盛のこの時代。ぶっちゃけて言うなら、どこか別の時代(それもかなりの大昔から)タイムスリップでもしてきたかのような、キテレツ大百科な格好をした男――それがカウンター席に座っている人間の特徴だ。

 

 店内には、この奇妙な客と、バーテンの二人しかいないことから、ずっと黙ったままでいるのも失礼かなと思った老バーテンは(会話らしい会話といえば、最初にその客の注文を受けた時だけ)、この不審客の正面に立ち、さり気なく話をふってみる。……お客さん、こんなへんぴな片田舎に、一体どんなご用件で来られたんですか? と。

 

すると。

 

先ほどまで、静かに酌をとるだけだった男は、その様子からは、とても想像できなような大音声を張り上げ告げてくる。

「はぁーっはっはっはっ!! よくぞ聞いてくれた! 我輩の名は、宇宙勇者ガルザーク!」

 二カッと白い歯を見せながら、豪快なバカ笑いと共に、突然告げてきた男に対して……驚きからか、少したじろいてしまう老バーテン。

今時、「我輩」って……。というより、名前なんか聞いてないし。しかも、宇宙勇者って何なんだよ、勇者とか言って微妙に悪役っぽい名前だし。

老人のその胸に去来するのは、当然といえば当然と浮かんできてしまう疑問。やっぱり話しかけなければ良かったかな、とも思ってしまう。

 その間にも、自称『宇宙勇者』と名を上げる不審人物の張り上げた声は続く。

「我輩は、自らの勇者としての力を高めるため! 旅を続けながら、勇者たる我輩に相応しい伝説の武具を捜し求め――――」

伝説の武具って何の話だよ、とか思いながらも、熱の入った男の話は暫らくは続きそうではある。渋々と、その騒々しい独白に耳を貸し続けるバーテン。

 

伝説の武具? ここで、ふと。バーテンの頭の中に浮かんできた事柄――。

 

「……というと、もしかしてお客さんもこの先の丘にある『アレ』を見にきたということですか?」

 男の言葉の切れ間を縫って、こちらが気圧されていることを相手に悟られぬよう、努めて冷静に、そう聞き返す。

「何っ!! 一体、それは何の話だ!?」

「わっ……! ちょっと危ないですよ! そんなに身を乗り出さないで、落ち着いて下さい」

バーテンの言葉を聞いて、いきなりバンッ!! という豪快な音をたてて、カウンターに両手をついたまま、その勢いに乗って立ち上がった男。グオォッ! とかいう何かそんな音がしそうな勢いでもって、カウンター上に身を乗り出し、老バーテンに向かって、その暑苦しい顔を思い切り近づけてきたのだから……それは慌てもするだろう。

 

一先ず、男を落ち着かせて。

バーテンが語って聞かせ始めたことは……。

 

 

 

何でもそれは、ずんぐりと重そうなトゲトゲのバットのような外見で。

この鋼鉄バットは、この先にあるどこかの丘のその頂にぶっすりと刺さってしまって、まるで、何かの伝記物にでも出てきそうな伝説の勇者の剣のような偉容を放っていて。

一体、それがどんなものなのか? 自分にも詳しくは分からないが、とにかく危険な代物であるらしく。

その証拠に、つい1週間程前から、トランスバール軍がその周辺を全域立ち入り禁止区域に指定し、厳しく監視の目を光らせていて。

軍が介入してくるまでは極稀に、珍しい物見たさで、その丘にやってくる人も居たくらい。

どう見ても、あれは何かの武器にしか見えないし……。

 

と。ここまで告げた所で、老バーテンの身体から平衡感覚が無くなった。

 そうなるのも当然のことではある。何故ならば、自称、宇宙勇者というの名の馬鹿が「それは本当か本当か本当か本当かぁーッ!!」と言いながら、か弱い老人の両肩をガッチリと掴んで、前後に激しくガクガクと揺さぶっていたのだから。

「ちょ……っ!! おおおおち、落ちついてくださいぃぃ〜!」

「むぅ、これは失礼」

 必死にそう告げてくる老バーテンの言葉を受けて、ここでようやく落着きを取り戻したかに見えた男。……だが。

「ふはははははぁーッ!! 正に! これも天の導きに違いない!! その伝説の鋼鉄バットは、この宇宙勇者ガルザーク様の手にあってこそ! その役割を果たすことが出来るだろう!!」

ケホケホッ……と軽く咽る老人の姿を尻目に、大声を張り上げるその姿は、全然落着いてなかった。

このクソボケ、老人はもっと労ってやれと親に教わらなかったのかよ。というか、そのバットが伝説とか決まったわけじゃないし、今は軍が監視していて、そこは立ち入り禁止だっていう話を聞いてないンデスカ? この馬鹿は。(老バーテン。心の声)

「こんな所でのんびりしている場合ではない! 善は急げだ!! ……代金は、ここに置いていくぞ! おやっさん! うおおおおぉーー!」

 (こんな所で悪かったな……)

心の中で悪態を吐いたのもつかの間。

あっという間に、猛ダッシュで店の外へと駆けていく迷惑野朗。

 

目的地である丘への道順も聞かないで。

 

 その後。

おやっさんって何? と思いながらも、ポツーンとその場に残された老バーテンは、変な客がやっと出て行ってくれたと、ほっと旨を撫で下ろしながら、おもむろに。

「少し早いけど、今日は店仕舞いにしよう……」

と、心なしか疲れた声音で、呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

そして。

 

夜の闇という名の静寂に支配された世界に、一人の男の声が響く。

「うおおおぉーッ!! 道に迷ったぞぉぉ……!!」

 

 ――深い森の中心で迷子を叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数時間後。

 どこかの星のどこかの丘の上空、数十メートルの地点に姿を見せたのは、5機の大型戦闘機。戦艦と呼ぶには小さすぎ、単に戦闘機と呼ぶには大きすぎるその姿は、いわずと知れた我らがエンジェル達。ロストテクロジーの眠る目標地点に到着である。

「はぁ〜っ、やっと到着ですね〜。……あ! 皆さん、見て下さい!! 日の出の光が、すごく綺麗ですよ!」

「あ、ホントだ。綺麗な日の出ね〜」

時刻は、まだ太陽が昇り始めたばかりの早朝。遠くに聳える山々の隙間から、その姿を半分ほど現した日の光が、世界をゆっくりと暖かな光で満たして行く。

「まさか、こんな時間に着くことになるとはねぇ。いいもん見れたじゃないか」

「ほら。私の計算した通りだったでしょう? ……でも、こんな光景が見られるというのはちょっと予想外でしたわね。嬉しい誤算というものでしょうか」

「……神よ。今日も新たな一日の始まりに感謝します」

「嗚呼〜、柔らかな朝日に照らされるヴァニラさん、まさに天使だ〜」

目標の惑星への到着は、現地時間で早朝辺りになるとの分析は大当たり。惑星への大気圏降下シークエンス開始時までは、操縦をオートにし、先程まで仮眠をとっていたエンジェル隊にとって、その光景は、真の意味での日の出に違いなかった。

今のこの和やかな気持ちを、更に満喫する為、誰とは無しに、紋章機に備わった機外への集音システムを作動させる。

 

そこから聞こえてくる音は――小高い丘の周りに広がる豊かな森林地帯からであろうか。――小鳥のさえずり、木々の囁き、緩やかに吹く風の音色と、怒号と爆音。

 

……怒号と爆音?

 

誰もが怪訝そうな表情になる中、各紋章機内に緊急通信の呼び出し音が響く。

「……こ……ちら……。 ……こちら、どこかの星のどこかの丘ロストテクノロジー警護隊だ! 既にこの場に着いているな? エンジェル隊! 至急救援を請う! ロストテクノロジーを狙っていると思われる何者かが、我が隊の兵士を次々と蹴散らしながら、丘の上へと向かっている。 何でも自分が勇者だとか何とか……ん? ……なっ! 何だと!? 奴め……。もうこんな所まで……。はっ! ……こ、こっちに来る! う……うわああぁっ!!」

 ここで通信が途絶する。どうやら事態は、かなり急を要するようだ。

「ちっ……。何だっていうんだい!? 何にせよ、こりゃあ只事じゃないねぇ。皆! 急いで地上に降りるよ!!」

「「「「了解!!」」」」

 

 

 

 

 

 

丘の頂上付近。――即ち、ロストテクノロジーのぶっ刺さっているその場所。

その近くに緊急着陸したエンジェル隊は「本当に地面に突き刺さってるなぁ……」なんて驚いている暇もなく、謎の侵入者を撃退する最終防衛隊員として、謎のトゲトゲバットの防衛に当たっていた。

丘の頂上から続いている小道の先。そこにある森から響いてくる兵士達の怒号と、立て続けに響く戦闘音が次第に近くなってきている。

もう間も無くその森を抜け、侵入者がその姿を現すだろうか。

 

ふと。

 

先程まで響いていた騒音がピタリと止んだ。……それが意味する言葉は――全滅。全ての防衛ラインが越えられたということ。

緩やかな上り坂を描き始める森の出口。――丘の入り口に当たる場所に、とうとう『それ』はその姿を現した。

 

 

 

鍛え抜かれた身体にほとばしる汗。

『熱血最強』の文字が光る白色のバンダナ。

今は鞘から抜き放たれて、その腕に握られた大型の片手剣。

鉄製の鎧と、鉄の篭手。

 

――エンジェル隊の知るところではないが、この日の出の時刻の数時間前に、どこかの酒場に居た宇宙勇者とか名乗るキ○ガイの姿に違いなかった。

 

ついに訪れた衝突の瞬間。

ここからは書く側も、テンション高めでいきまっしょい!

 

とうとうその姿を現した自称、宇宙勇者ガルザークとやらの居る場所と、エンジェル隊が守りを固める丘の上とでは、数百メートル程の距離があった。にも関わらず、この男の声は大きく響いてくる。

「ふははははは!! 宇宙勇者たる我輩の邪魔をするとは愚かなり! 夜中の間、道に迷い続けてようやく目的の場に辿り着いたと思ったら……。今度は我が道を阻む魔王の手先達の群れときた! だが、それもここまでのこと。 さぁ、あとはその丘に眠る伝説ごばああぁっっ!!(ドガァァーン!)」

いきなりの大爆発! ガルザークが、何故か無駄に響く大声で、ここに至った経緯等を微妙に説明口調で説明している最中――フォルテ姐さんが、いつの間にか構えていたバズーカ砲で、問答無用の一撃を与えた為だ。流石は姐さん。やることが過激だ。

「ふぅ。これで片付いただろ。一体、ここの連中は何をてこずってたんだか……」

「……まだです」

「え?」

そんなヴァニラの忠告と共に聞こえてくるのは……

「まだ魔王の手先達が残っていたか……! ぬうぅああああぁぁっ! 負けてたまるくぅわあぁぁ!!」

と叫びながら。プスプスと黒い煙を上げ、猛スピードでエンジェル隊に向かって。つまりは、丘の頂上目指して土煙を上げながらドドドドドッと駆けてくる暑苦しい男。っていうか、そもそも魔王って誰だよ。

「な、何だっていうんだい!? あいつは……!」

なおも轟音を上げながらも直進し、やがて辿り着いたエンジェル隊の目の前で急ブレーキ。

そして、すかさず。

「不意打ちとは卑怯なり!! 貴様等のような卑劣漢はこの宇宙勇者ガルザーク様が成敗ぐっはぁっ!!」

パンッ! パンッ! パンッ!! フォルテ姐さんの必殺の3連撃ちが炸裂した! ……のと同時に、「漢って……。あたし達、男じゃないです〜!」「勇者だか何だか知らないけど、名前が悪役っぽいのよね〜」「私たちエンジェル隊に喧嘩を売るとはいい度胸ですわ」「……ふくらはぎ」「ヴァニラさんのふくらはぎ……あっあああぁ〜」とか文句やら、意味不明なことやら何やらを言い出すメンバーも居たりして。

「ぐうぅぅぅ……! この期に及んでまだそのような卑怯な手を使うか!」

「いや、お前何で生きてるんだよ?」

確かに、あれだけやられて何故生きてるかってことも不思議ではあるけれど、何かサラリと怖いこと言ってますねぇ姐さん。

「こうなったら、我が必殺の剣で勝負を決するしかないようだな!」

そう言うなり、宇宙勇者は必殺のその瞬間に向けて――愛用の剣を、両の手で構える。

「いや、だからお前何で……」

まぁ、あえて言うならGAだからですかね。これ前もどっかで言ったような気がするし、あんまり何度も言わせないでよね。

「いくぞおぉぉっ!! 猿痔餌流怠(えんじえるたい)とやら! 必殺! 勇者ブレード超熱血最強爆裂斬りィィィッぱぐぅわあぁっ!!」

蘭花必殺のラ〜ンパンチ! がここで炸裂! 顔面に、強力無比なその一撃を受けた勇者が後方に大きく吹き飛ぶのと同時に。与えられた強烈な衝撃からか、手に握られた剣も宙にひゅんひゅんと舞い、遠く離れた地面にその刃を突き立てる。

「隙だらけねー。変な技名を叫ぶ暇があるなら、さっさと攻撃してきなさいよ。それに何よ。猿痔餌流怠って……無理やり変な変換するなっての」

技名を叫んでるのは、それは貴女にも言えること……え? ちょ、すいませんもう言わないからこっちに向かってファイティングポーズを取るのはやめて。

 

……そいでもって。

 

「何だとォォ……!」

武器を失いながらも、怨嗟の声と共にして、ヨロヨロと立ち上がる悪役勇者。

「……おまえ達は何も分かっちゃいない! 技名を声高に叫ぶことの重要性を! ゲッター○ボはなぁ! 全ての武装が音声認識になっているから、こうやって技名を叫ばないと武装が使用できないんだぞ! ふっ……! はははははは!! どうしたどうした!? あまりの衝撃的な事実に声も出ないか! それに悪役と言えども、技の口上が終わるまでは手出しをしてはならんという暗黙の了解があるのだ! それすらも守れぬとは真の悪逆非道の行いと知れ!」

何だかワケの分からない理論をぶちまけ始める。

いやー、この場合はどうみてもおまえの方が悪役だろ。というツッコミはきっと無視されるから言わないであげて。

「それが分かったなら続けていくぞ! 武器が無いからといえ舐めるなぁ! ハアァァァッッ!! 超必殺! 勇者パアァァワアァァンチィィィッッあべしっべしっべしっべしべしべしべしべしィッ……!?」

「うるさいですわ♪」 

ピコピコピコピコピコピコピコピコッ!!

いつの間にかガルザークの懐に潜り込んでいた、ミントさんの――パタパタ神拳超絶秘奥義ミミビンタがアホ勇者の顔面にカウンターヒット!

フカフカふわふわな不思議ミミから繰り出される連続ビンタの嵐に、俺もやられてぇ! と思ったそこの貴方。同志と呼ばせてください。

「くっ……このぉっ! これだから軍人って奴は……!」

 まぁ、彼女達はその中でも特別ですから。

「だが、まだまだだ!! ゆうしぎゃあああああぁぷッ!!」

続け様にヒットしたのは、ヴァニラ様の額の宝玉から放たれる神罰の光……ヴァニラビィィィィィムだ!

「ぐぁ……」

口から煙を吐きながら……ここに至って、ようやく地面に倒れ伏せる頑丈勇者。

 

激しい戦いは、こうして唐突な終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

「で。お前さぁ……。何で、このロストテクノロジーを狙ってたんだよ?」

 今やロープでグルグル巻きにされ、抵抗することが出来なくなった、負け犬勇者を待っていたのは当然のことながら、ここに至るまでの経緯の追求。

「だから、さっきから何度も言ってるだろう! 我輩は宇宙勇者なのだから、それに相応しい力を手に入れなければならないのだと!」

「だから何なのよ……その『宇宙勇者』って? 自分でそんなこと言ってて、アンタ馬鹿じゃないの?」

そういや、ゆか○んボイスで「アンタ馬鹿ぁ?」って言われてみたくない? え? 別に……? あぁ、そう。

「それは、そういう設定なんだからあまり深く追求するんじゃない!」

「設定って何ですの……」

 

まぁ、大人の事情ということで。

 

……違うけどさ。

 

「そもそも勇者たる者……。何をしても許されるはずなのだ!」

何かとんでもないこと言い始めましたよコイツ。

「よく考えてもみろ! 勇者というだけで人様の家に勝手に入り込んでツボの中身を覗いたり、タンスを漁ったり、店に置かれた宝箱の中身を勝手に拝借したり……まさにやりたい放題ではないか! そして、我輩はそのさらに上をいく存在『宇宙勇者』なのだ! 宇宙ロープに宇宙冷凍庫、宇宙チェーンソーと……何でもかんでも、宇宙ってつければいいもんじゃないぞ、この野朗! ……まぁ、子宇宙クジラは可愛いから許すがな」

「うわー、自分のこと棚に上げて何か逆ギレしてるし……」

「しかも言ってることが無茶苦茶ですわ」

「ふぅ。……なぁ? こいつ、どうしようかねぇ? ここの軍の奴等に預けて、あたしらはさっさとこのトゲバットの回収に取り掛かることにするかい? こいつが倒してきた兵士達も皆生きてるらしいからさー」

みね打ちだったからな、と付け加えてくる簀巻き勇者。

「ところで……。あそこの娘は、さっきから何をやっているのだ?」

という疑問の声を受けて、一同が後ろを振り向いた先にあった光景は……。

 

「ん〜〜〜っ……。ダメですぅ! 全然、抜けません〜」

 

と、一生懸命に、地面に突き立った鋼鉄バットを、引き抜こうとしているミルフィーユの姿だった。

「……って。アンタさっきから静かだと思ってたら。ずっとそうしてたワケ?」

「そうなんですよぉ〜、どれだけ力をいれてもビクともしないんですぅ。こんなに力を入れてるのにぃ〜。ふぐぅぅぅ……」

「あ〜、ちょっとアタシに貸してみなさいよ」

「あの〜。お二人ともあまり不用意に触らない方が……。一応、それ危険物らしいので……」

「なぁ? じゃあ撃っちゃっていい?」

「ダメに決まってますでしょう!」

「んんん〜〜〜〜っ!!」

 

スポーンッ!

 

某国で生まれたダークヒーローのことではなくて。鳴り響いた音は、何かがどこかから引き抜かれたような音。

地面に突き刺さっていた何か――鋼鉄トゲトゲバットが、長きに渡る束縛の時間から解き放たれた音。

 

「ぬ……抜けた……? やったぁ! 抜けましたよ〜!!」

その手に、今しがた抜き放ったばかりの鋼鉄バットを握り締めたまま。やったぁ! とはしゃぎ始めるミルフィーユ。

「おぉ、やったなミルフィーユ!」

「あとはこれを基地に持ち帰るだけね〜」

「以外とあっさりいけましたわね」

「……お見事です」

口々に喜びと、驚きの声を発するエンジェル達。

「えへへ。皆さん、見て下さい、このバット。こんなに重そうなのに、持ってみるともの凄く軽いんですよ〜。ほ〜ら、ブ〜ンブン」

 と豪快にバットを振り回してみる。

「っとと……。はしゃぎたい気持ちは分かるけど落着けって。そんなに振り回したら危ないだろ?」

「あ、ごめんなさ〜い。……あれ? っとと……あれれ?」

「どうなさいました? ミルフィーユさん?」

「えっと、あの、何だか体が、急に……勝手に動き出しちゃって……」

「「「ええっ!?」」」

「…………。」

「……ひゃっ! バットを持つ手が勝手に! 皆さん、危ない……! わっ……わわわ!」

 ミルフィーユの意思とは無関係にブォンッ! と空を薙ぐ鋼鉄バット。幸いにして、バットが振り抜かれたその地点には、誰も居なかったのだが、これはなかなかに危機的状況ではある。

「わ〜ん! しかも、バットを握った手が離せなくなっちゃってます〜!」

「もしかして……。あのバットが、ミルフィーユさんを操っているとでも言うんですの?」

と言いながらも、ミントを含めたミルフィーユ以外のエンジェル隊は、ちゃっかりとその場から距離を取っていたりする。

 

そうなると、今のミルフィーユの近くには――簀巻きにされたまま、地面に転がる『彼』しかいないわけで。

 

「あ……。そこに居たらあぶないですよっ? うわ……ひゃああっ!!」

「何!? ちょっとまぱぐろはぁっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピーーーーーッ。

 

 

 

只今、大変お見苦しいシーンが展開されております。

状況が落着くまで、暫らくそのままでお待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

只今、大変お見苦しいシーンが展開されております。

状況が落着くまで、暫らくそのままでお待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

只今、大変(以下略)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ大丈夫かな……?

 

 

 

 

 

 

「うわあぁぁぁ〜ん! 駄目ですぅ! 全然止まってくれないですよぉ〜!!」

「ちょ……まっぷぉっ! こ……れ以上は無理だれごおぉすっ! ヤバイヤバイまじヤヴぉるッ!」

ガスンッ! ゴスンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………。

 

 まぁ、GAだからもう少ししたら何とかなるでしょ。

 死んでしまったキャラクターが、次の話では生き返ってるくらいだし。

 

 さて。

気持ちを落着かせるために、ちょっと歌でも聞いてみましょうか♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪宇宙勇者ガルザークのうた♪

 

作詞作曲演奏編集兼ギターキーボードドラム兼ヴォーカル:宇宙勇者ガルザーク様

 

 

 

セリフ(タンスを開けばやくそうが ツボを覗けば小さなメダルが どいつもこいつもいただきだ! 俺の物は俺の物 お前の物は俺の物 我輩の名は宇宙勇者ガルザーク!! ふははは! はーはっはっはっ!!)

 

 

空よきけ 山よきけ 海よきけー

熱くたぎる この鼓動

 

その名は その名はー 宇宙勇者ガルザーク

 

くるならきてみろ わるいやつ

熱血パワーで 全滅だ

 

セリフ(喰らえ! 必殺! 超熱血最強爆裂斬りィィィッ!!)

 

怒りのこころを ほのおと燃やし

たおせ 暗黒ヒゲ宇宙

 

おおー 勇者よー

宇宙勇者だ ガルザークー

 

 

セリフ(ふはははは! まだだ! まだ我輩の身体を流れる熱き血潮を沈めることは出来んッ! さぁ、もっとだ! もっと! 我輩の歌を聞けえッ!!)

 

 

空をみろ 山をみろ 海をみろー

どこにだって やってくる

 

その名は その名はー 宇宙勇者ガルザーク

 

あくまの野望を うちくだけ

最強パワーで 大逆転

 

セリフ(喰らえ! 必殺! 豪爆勇者パァァンチィッッ!!)

 

正義のいのりを 力にかえて

たたけ 着ぐるみ帝国を

 

おおー 勇者よー

宇宙勇者だ ガルザークー

 

 

セリフ(ふははははは! どうだ!? 我輩の熱い鼓動は諸君等の胸に届いたかッ!? もし良ければ、我輩のことは愛着を篭めてガルザーくん(はぁと)と呼んでもよいぞ!? ちなみに彼女募集中だぁぁ!)

 

 

空をこえ 山をこえ 海をこえー

みんなの笑顔を まもるため 

 

その名は その名はー 宇宙勇者ガルザーク

 

宇宙の平和を まもりぬけ

勇者パワーで 大勝利

 

セリフ(喰らえ! 超必殺! 汗と血と涙と甘酸っぱさのムキムキボディフラーッシュ!!)

 

勇気と愛を その手にだいて

はらえ 邪悪な銀河獣

 

おおー 勇者よー

宇宙勇者だ ガルザークー

 

 

おおー 勇者よー

宇宙勇者だ ガルザークー

 

 

セリフ(ふははは! ふはははははー!! はぁーはっはっはっ!!)

 

セリフ(……おっと。言い忘れていたが、勇者なのに名前が悪役っぽいというツッコミは受け付けないのでそのつもりでな)

 

セリフ(では、さらばだ! はぁーはっはっはっは!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて。一曲交えて気分を落ち着けてみたところで。

 

現場のミルフィーユさーん? そちらの状況はどうですかー?

 

 

 

 

 

 

あの惨劇の後。

 

「うぇ……ぐす……ひっく」

聞こえてくるのは、少女の嗚咽の声。

その声の主――可憐なその表情を、今や涙に埋めさせてしまった少女の周りの光景は……。これは言葉にはっきりと表すのは、ちょっとマズイんじゃないかなーという状況だった。

不本意ではありながらも。例え救いようのない馬鹿が相手であったとしても。……非常に形容し難い状態となってしまった簀巻きの男を、その眼下に置いたまま、取り返しのつかないことをしてしまったと。その腕に――何やら色々な物がこびりついちゃってる鋼鉄バットを握ったまま、ただ泣きじゃくるばかり。

「ふぇ〜ん……これじゃあ、あたしもうお嫁に行けません〜」

いや、それは何かちょっと違う気がするけど。

 

そんな時。涙に暮れる少女に語りかけてくる声が……。

 

「……か……いで」

 

 その声は、少女の頭の中に直接響いてくるような――彼女の心に、直接語りかけてくるような――そんな不思議な声だった。

 最初は聞き取りにくかったその声が、次第にはっきりとその脳裏に響いてくる。

 

「……泣かないで」

「あなたは……一体?」

 

 その声を受け取った少女も、声を直接には出さずに、心の声で語り主に答えた。

 

「ボクは、このバットに宿ったバットの妖精だよ。今はキミの心に直接語りかけてるんだ」

世の中にはすごい妖精がいたもんだ。

 

「ふぇ? その妖精さんが、あたしにどんな用が……?」

「キミの泣いている顔がもう見ていられなくて。……安心して。ここに倒れている男の人ならすぐに元に戻るよ?」

「えっ! 本当ですかッ!?」

「うん。……さぁ、意識を集中させて、ボクと一緒に魔法の呪文を唱えてみて? さぁ、いくよ?」

 

 ――――ぴぴるぴr(自主規制)

 

刹那。――何だか、とんでもない状況になっていたその男の体が、まるでビデオの巻き戻し再生のようにみるみる元通りになっていくではありませんか!

そして見事に復活を果たした勇者様は……

 

「ふはははは!! まだだ! まだ戦いは終わってはいないぞ! 今こそ見せてやる! この宇宙勇者ガルザーク様の超絶秘奥義を……ハアアァァァッハぶろォしッ!!」

「だからうるさいっての」

 

ズドンッ! ズドンッ!!

 

姐さんが放った、トカレフのトカちゃん&ワルサーのワル座衛門の攻撃を受け、再び地面に崩れ落ちてしまう。

何だよー。せっかくの感動的な? シーンだったってのにさー。

「安心しな。みね打ちだよ」

いや、銃にみね打ちとかないでしょ姐さん。みね撃ち? とかなんちゃって。

 

 だけど、そんなことにはお構いなく。

「どうやら元に戻ったみたいだね……ミルフィーユ。まったく、一時はどうなるかと思ったよ」

とか何とか言いつつ、さっきまで安全圏で知らん顔してただけでしょアンタ。

……おっと。危ないから、その銃口をこっちに向けないで。

「えへへー。もう平気ですよ〜。ご心配おかけしました。ほら? もう身体も自由に動くし」

 うわ。この子はこの子で、立ち直り早いなー。

「どうやら、そのバットも機能を停止したようですわね」

「なら、今のうちにさっさと回収しちゃいましょ」

「……任務完了」

「あぁ〜。今回の任務が成功したのも、全てはヴァニラさんのお力添えがあったお陰ですよ〜」

 

 

 

 これにて無事、任務完了?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で。今回、回収したあのロストテクロジーの効果についてですが……何でも、“持っていると思わず相手を撲殺してしまうけど心配はご無用! 魔法の呪文を唱えればたちまち元通り!”……ということらしいんですの」

「へぇ〜、なるほどねー」

「じゃあ、あれはほっといても大丈夫ってことだね」

 

「うぇ〜ん! 中佐ぁ〜!! そこに居たら危ないですよ〜っ! 早く逃げて下さいぃ!」

「……って! ミルフィーユさん! そんなこと言いながら、何でそんなに猛スピードで追いかけてくるんですか!? 駄目ですよ! そんな物でぶっ叩かれたら私、大変なことになってしまいますよ!? あぁっ! ダメですよ……! もう減給とか言わないからゆるしぽろォッぷ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び訪れた惨劇の場とは異なる場所――。

 

以前は鋼鉄バットが刺さっていた丘の上で、

「ふはははは! 猿痔餌流怠(えんじえるたい)めぇ! この我輩をここまでコケにするとはもう許してはおけん! 次に会ったときこそがお前達、悪の一族が滅びる時なのだ!!」

 何故かまだ生きていた宇宙勇者の大音声が響き渡る。

 

「ふはははは! はぁーはっはっはっはっ!!!」

 

何だか、とんでもない奴に目をつけられてしまった我等がエンジェル隊。

果たしてこの先、何が起こるのやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば。今回、ちとせさんの出番がありませんでしたね。

今、彼女が何をしてるのか? 

 

最後にちょっと覗いてみましょうか。

 

 

 

「だーかーらーッ! あの時の犯人は私じゃないって……何度も何度も何度も何度も何度も! そう言ってますでしょう!!」

「……カツ丼(大盛り)食うか」

「だから、そうじゃなくて!」

「じゃあ牛丼(大盛りつゆだく)にすっか」

「真犯人はエンジェル隊のミント・ブラマンシュだってのに!!」

「……なら、つゆだくだくの特盛りにすっか」

「ムガアァァァァッ!!」

 

まだ(勘違いの)取調べ? を受けていたようで……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ふははははは! 微妙に「続く」ぞ!!〜