夢。……彼女は夢を見ていた。

 

 

 

夢の中の彼女は、のどかな草原の中にいた。

彼女だけでは無い。その周りには、彼女の仲間達もいる。

そう、今日は仲間と一緒に、ハイキングに来ているのだ。

晴れ渡った空。

澄み渡った空気。

青空の下で食べるお弁当。

――それにしても美味しい!

彼女は思わず聞いてみた。

「どうやって、こんなに美味しい料理を作ったんですか?」と。

その声を受けて、料理を作った女性……優しそうな笑顔を浮かべた女性だ。

サラサラの桜色の髪の毛に、大きな花のカチューシャをつけている。

その女性は楽しそうに、料理を作ったときのことを話してくれた。

その話は、いくら聞いていても飽きなかった。

最後にその女性が彼女に、「じゃあ、今度あなたにも作り方を教えてあげる」と言ってきた。

彼女はその時がとても楽しみだった。

 

更には……仲間達と共に過ごしているこの時間も、彼女にとってはそれが楽しくて仕方の無いことでもあった。

 

 

 

――それは、そんな夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トランスバール銀河の、とある一郭。ここはルゴン星系と呼ばれている地帯だ。この地域はトランスバール銀河の中でも、最も多数の小惑星の密集している暗礁宙域として知られていた。

そのような場所なのでこの場に好き好んで訪ねてくる者は、まず居ない。一部の人間にとっては、この人気のない宙域は、もしかしたら何かと都合がいいのかもしれないのだが。

とにもかくも、このような場所を訪れたいと願うのは余程の物好きか、何かしらの後ろめたい事情がある者だけだろう。

ふとそこに、そんな曰くつきの宙域を駆ける光の帯が2条。両者とも縦横無尽に浮遊する小惑星群を苦もなく避けながら、疾駆して行く。

いや。……よく見るとそれは光の帯などではない。

 

この危険な小惑星群を苦も無くすり抜けているもの、果たしてその正体は……。

 

一方は戦闘機のようである。ただし、ごく一般的に『戦闘機』と呼ばれるような機体よりは、一回り大型ではあったが。

――その鋭角的なフォルムに取り付けられた様々な武装。機体色は青を基調としているようだ。中でも特徴的なのは機体の中央部分から伸びる長大な砲身である。

機体後部の噴射口から流れ出る、青白の奇跡を残し小惑星の間を駆け抜ける。

 

もう一方は、前者とはうって変わり完全な人型を模している。

…こちらも機械であるようだ。色は全身が鈍く輝く銀色で統制されていた。右手には巨大なビーム・ガンを持ち、左手には眩い光を発する剣、レーザー光を剣状に固定したブレードが握られている。

背面部に内蔵されたスラスターとバーニアの作用によって高速飛行をしつつ、小惑星群を見事避けることに成功していた。

 

両者は小惑星群を避けながら並走していたが、不意にその状態に変化が訪れた。

――銀色の機体が青色の機体に攻撃を開始したのだ。交差する小惑星の合間を縫いながら、ビーム・ガンを発射する。

狙いは正確だ。命中する……かに見えた光の一撃を、しかし、青い機体は難なく回避する。銀色の機体もそれをさして気にした風には見えず、続いて2発目、3発目……と立て続けにビーム・ガンを放つ。

そのことごとくが、青い機体には難無く回避されてしまった。無数の小惑星群内を高速移動しながら、さらには敵からの攻撃を苦も無く避けてもみせるこの機体。果たして、操るパイロットの腕はいかほどのものか。

 

ふと、銀色の機体の攻撃の手が休まる。ビーム・ガンのエネルギーを再チャージする為である。

これを好機と取ったか、青い機体は機首を銀色の機体へ向ける。そのまま、機体右舷部に取り付けられた中距離レーザー砲を連続して発射する。放たれた光跡は小惑星群の間隙を縫い、銀色の機体へと追い縋る。

しかし、その攻撃は、あるいは銀色の機体に命中したとしても、それが発する強力なエネルギーシールドに阻まれ決定打とはならないでいた。

先ほどからこのような状況が続き、青い機体と銀色の機体の攻防は一進一退の様相を呈しているのである。

その状況の中、青い機体のコックピットでは……

 

青い機体のコックピット内、全周囲型のモニターに表示されている多数のディスプレイ。それらに囲まれて、一人の少女が操縦席に座っている。

すらりと伸びた、さらさらの黒髪。それを彩る赤のリボン。真っ先に目に付くのがその特徴だ。

普段は温和な微笑をたたえているであろうその表情は、今は戦闘中であるがために、きつく引き締められていた。

――烏丸ちとせ。それが彼女の名だ。

 

「これではキリが無いですね……」

ふと、ひとりごちる。この間にも、彼女が操る青の機体、「シャープシューター」と銀色の機体の攻防は続いている。

ちとせが相対している銀色の機体の正体。それは、制御不能となって暴走した戦闘用に開発されたロストテクノロジーの一体である。

ルゴン星系駐留艦隊が偶然発見したこのロストテクノロジーは、当初は機能を停止していた。しかし、突如このロストテクノロジーが起動。そのまま機体の制御を司る人工知能が暴走状態となり、偶然この宙域に調査目的で訪れていたちとせがその報を受け、目標を追撃することになった。

――そうして今のような状況へと至ったのである。

 

今のちとせに与えられた任務は当該目標の破壊である。このまま戦闘用ロストテクノロジーである目標を放置しておいてはどのような被害が生ずるかは想像できない。その為、早急な目標の撃破が急務であるのだが、状況は未だ膠着状態にある。

「そろそろ、勝負をつけます……!」

小惑星群を駆ける機体に、ここで急制動をかける。そのまま機首を銀色の機体へと向け、機体が静止した。

紋章機に並走していた銀色の機体も、何事かと1瞬、機体を制止させる。

まずは、ちとせ機が行動を開始。機体左舷部に装備された中距離ミサイルを目標に向け斉射する。小惑星群が無数に乱舞するこの宙粋でのミサイル斉射。――当然、それらは目標へと到達するはずもなく、小惑星群に阻まれ爆発した。暗礁宙域に爆音が轟き、爆風の花が咲く。

無数に続く爆発の中――。自らはミサイル攻撃の被害は受けなかったが、銀色の機体は爆風に阻まれ、その場を動けないでいた。

その隙にちとせは紋章機を転進させ、銀色の機体のいる位置から正反対の位置へと移動させる。そして、他の物よりも一回り大きな小惑星の影へと身を隠す。

 ……一体、何が狙いだというのか。

 

……その頃には爆風も晴れ、機体の損傷等、作戦行動に支障が無いことを確認した銀色の機体も行動を開始していた。

 先ほどまで目の前に居た青色の機体の姿が見えない。――なるほど。先ほどの爆風を目暗まし代わりに使い、身を隠したか……銀色の機体の制御を司る人工知能はそう結論を出した。

 早速、自機に搭載されたセンサーをフル稼働させ、目標を捜索。いくら小惑星群に阻まれているといっても、発見に時間はかからないはずだ。人工知能は、そう高をくくっていた。

 

銀色の機体と相対した位置からかなりの距離を飛び、そこにあった小惑星の影に身を潜めたちとせには『見えて』いた。

機体下部に取り付けられた大型策敵レーダーから送られてくるデータは、この無数の小惑星群の中にあっても、目標の姿を鮮明に捕らえている。

「この角度だと……。こうすれば……」

そう呟きながらレーダーに描かれた地形図を、自らの頭の中にトレースする。

目標はその間も小惑星群の中を右往左往しながら、ちとせのことを探しているようだ。これだけの小惑星群が邪魔をしていれば、敵機のセンサーも広範囲をカバー出来ず、そう簡単に発見されはしないだろう。

それに、ちとせは『明らかに、敵のレーダー装置の範囲外』に居るのだから。

その遠く離れた位置で、小惑星の陰から狙いをつけるシャープシューター。機体下部に取り付けられた高性能照準装置がそれを可能にし、ターゲットの姿を正確に捉える。

敵機はまだちとせを探して動き回っている。

ちとせは意識を集中し、その時を待った。――シャープシューターと銀色の機体の位置が直線上に位置するのを。

シャープシューターの先には現在、射線を妨げる物体は一切存在しない。自機の正面に小惑星群が直線状に位置しない地点を分析した結果からだ。

 

……今だ。

 

操縦桿を握り締め、心を落ち着かせる。神経を研ぎ澄まし意識を集中させる。

必殺の――その一瞬に向けて。

 

「フェイタル……」

ちとせが声を上げると共に、シャープシューターの長距離レールガンの砲身が光を帯び始める。

「……アロー!!」

――刹那。その砲身が一瞬、白く煌めき、そこから白く輝く弾丸が発射された。

放たれた弾丸は小惑星の間隙を縫い、一直線に銀色の機体に向かい……着弾。銀色の機体のエネルギーシールドを苦も無く無効化し、機体に衝撃を加える。

銀色の機体に搭載された人工知能は、自らの身に何が起こったかを瞬時に理解できないでいた。

続けてシャープシューターから放たれる光の弾丸の、第2射、第3射。そのこと如くが銀色の機体に、次々と命中し……。

ついに、その身を粉砕し爆砕させる。

ここに至って、人工知能はようやく自らが撃墜されたことを認識し、そのまま思考を閉ざしていくことになった……。

 

 

 

 

 

 

「任務完了ですね」

ふぅ……と呟いて、ちとせはその艶やかな髪を一度だけかき上げる。滑らかな黒髪が、スラリとなびいた。

「只今より帰還します」

小惑星群の外で待つ、母艦にそう告げる。

 

エルシオールではない母艦に。

 

 

 

半年前、グシオス星系にて突然起きた謎の事件。

この事件により、儀礼艦エルシオール。及び、ただ一人艦に残ったタクト・マイヤーズと、烏丸ちとせ以外の5人のエンジェル隊員が謎の消失を遂げた。

唯一、その事件を免れたちとせは先の消失事件の後、トランスバール銀河調査周回の任務を続けつつ、彼らの行方を探っていたのである。

 

 

 

――あの事件が起きた直後の自分の姿は…正直、情けないものであった。

突然、自らに降りかかった衝撃的な出来事に、ただ絶望し、涙を流し、前に進むことを諦めていた日々。

希望を失い、抜け殻のようになった自分に、手を差し伸べようとしてくれた人々の厚意すらも受け付けずに、ただ無為に過ごしていた日々。

 

そんな自分が立ち直れたのは……惨めな姿を晒す自分に、そんな姿の自分に対して、諦めずに何度でも何度でも、差し伸べられてきた優しい人々の心と、――大切な人々が残した言葉だった。

ちとせは考えた。…自分はどうするべきなのか? 何をしたいのか?

 

――答えは既に、決まっていた。

 

もう一度、皆さんに会いたい…自分の大切な――大切な人に!!

 

――――その想いさえあれば、彼女が再び1歩を踏み出すことは、何ら難しいことではなかった。

 

 ちとせはさらに考えた。

 

 

 

自分だけが、何故あの謎の光から逃れられたのか。

それに……あの時、聞こえた不思議な声。

あの声は「あなたの仲間を渡しはしない」と言っていた。

それが何を意味するのかは、ちとせには分からない。

――ただ、その言葉には皆の生存を信じさせる何かを感じた。

 

……それは非現実的な考えなのかもしれない。

 

しかし、今の彼女はその僅かに感じられる、どのように見ても不確かな希望にすがるしかなかった。

 

それに。もう一つだけ信じられる確かな言葉。

タクトやエンジェル隊の残した「自分達は大丈夫だ」という言葉。

その言葉、あの人達が残すその言葉ならば、自分は信じられる。

 

……それこそ、本当に非現実的な考えなのかもしれない。

 

しかし。それでも彼女にとっては、それが確かに、絶対に、信じられる。自分にとって何より強い希望を持つ言葉だと思えるから……。

 

だから、彼女は。今日もこの宇宙を翔ぶ。

 

「必ず、見つけ出してみせる……!」

 

たった一つ、残された翼を駈って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「動き出したか……。残されし者よ」

無機質な広間で唐突にそう呟くのは、ラグナロス・ジーンハルトという名の男。その場に居るだけで絶対的な存在となりえる男である。広間内には彼以外にもいくつかの人影が見られた。

 

まずは、彼の正面――2、3メートルの程の位置に相対する存在が一人。

更に、彼の左右それぞれの両前面、手を延ばせば届きそうな位置にそれぞれ一人ずつで計2人。

彼と、その傍らに立つ2人と相対しているのは女性。身の丈は女性にしてはかなり高い方だ。……175、もしかしたら180前後はあるのかもしれない。そんな長身の女性だ。

緩くウェーブのかかった肩先にかかる程度の長さの、燃えるような色を宿した真紅の髪の毛。

整った顔立ちに紫色の瞳。その顔に浮かんでいるのは、どこかいたずらめいた微笑をたたえたような……はたまた、艶やかに妖艶さを醸し出すような澄ました笑顔と、一概には形容しがたい表情だった。

 彼女の名はエレンディラ・ブラウニン。

この「組織」においては、ラグナロスに次ぐ地位を持つ副官的存在であった。

 

その彼女とは別に、ラグナロスの傍らに控える二人。

その2つの影は、絶対者を守る盾と剣。

 

まず彼の左手側に控えている大柄な男。瞳の色は紫。

鍛え抜かれた体の表面は、まるで岩石の岩肌ようにゴツゴツとした武骨な様相を呈している。如何にも筋肉質と見て取れる図太い四肢が、そのイメージを更に確かなものへと変えていく。

その身の丈は、ゆうに2メートルにも達する。短く刈り上げ、切り揃えられた髪型と引き締まった顔立ちが、その勇猛さを物語っているようだった。

男の名はバルガスという。――バルガス・ベルレイン。

絶対者の左腕として、如何なる障害からも彼を守護する鉄壁たる者。

それが彼の存在意義だった。

 

それに対して、絶対者の右手側に控えているのは、バルガスと比較するとあまりにも小柄な女性……というよりは、少女という表現が似合うであろう人物であった。

名をソニア・ローグフェルトという。

その小柄な体型は身長で表すと150前後、少女的な外見から考えるのであれば、ごく標準的な身長であろう。

瞳の色はやはり、にぶく輝く紫。

金色にたなびく長髪は、後頭部でポニーテール状にまとめられていた。

小柄な身体であれども――その身が放つ存在感は、広間内に存在する他の3者に劣るというわけではなく、必要な時には絶対者の右腕としてその眼前に立ちはだかる全ての者を切り伏せる。瞬鋭たる剣。

それが彼女の存在意義だった。

 

それら4者は互いに何かを討論しているような様子だった。

まず、口を開いたのは真紅の髪の女性エレンディラ。

「それで……どうするつもりなの? もうあれから随分と時間が経っているじゃない? そろそろ行動を起こさないと、貴方の望む未来、叶う時がまた遠のくのよ」

 彼女が語りかけているのは絶対者ラグナロスに対してである。

以前、彼と会話していたエニルという名の女性とは違い、全く遠慮のないその口調。これが副官たる彼女の権威を示しているともいえようか。

「焦らずとも時は満ちる。『月』が放ちし、存在係数が高まっているゆえに……時が残されておらぬは彼奴とて同じ。今は我らに極力悟られぬように動きながらも、しきりに残りの翼との接触を謀らんとしている。……接触の時はそう遠くはない。」

エレンディラの言葉に対し、淡々とそう告げる絶対者ラグナロス。

「…ふぅん、なるほどね。貴方がそう判断するなら私はそれで構わないけれど。それじゃあ、それが動くと踏んだとして何か手は打ってあるの?」

 エレンディラの問いに対し、絶対者はここでも淡々とした言葉で告げる。

「――『混沌の波(ケイオス・タイド)』達を放つ」

「……あら? あの子達を?」

 少し驚いた顔をしながらも、そう返してくる赤髪の女性。

「ふふっ……ようやく解禁といった所かしら」

 微笑を浮かべて、そのような言葉もこぼす。

 

ふと、そこで。今まで口を開くことのなかった2人の人物のうち、絶対者の左腕たるバルガスが口を開く。

 「何と、主よ。……恐れながら申し上げますが、あれらは以前、翼達の確保に失敗したばかりでなく、あの忌々しきEDEN文明の堕とし子どもに屠られし者達と、同列の存在ですぞ。万全を期すならば、今こそ我らに出陣の命を……」

 その外見からも想像できる通り、その男の声は重く野太い声色だった。……が、自らの主へと意見するその口調には、どこか恐れを抱いたものも感じられはしていたが。

 それに対し、すかさず言葉を返してきたのは絶対者ではなく、その向かいに立つエレンディラ。

「……あらあら。あの子達の調整を手掛ける本人の前で言ってくれるじゃない? 一応、私もあれから自信を持って調整をかけてきたつもりなんだけれど」

「それなのに、そんなこと言われたら傷ついちゃうわぁ」

続けて彼女は言うが。そう言いながらもその表情には、何とも感情を読み取れない静かな微笑が浮かんでいるだけであり別段、傷ついたとかそういった表情をしているようには見えない。

そこで、巨漢の男に追い討ちをかけでもするかのように、小柄な少女ソニアまでもが、

「そうよ〜、バルちゃん。エレン姉の言う通りよ。あたし達の出番はまだ先だって」

やや間延びした声で諭す。

この場に居る者達の中では、明らかに「浮いて」見えるこの少女は更に言葉を続ける。

「それにあたし達は、ラグナロス様をしっかりとお守りするっていう大事な使命があるじゃない? だから、まかせられるっていうなら今はその子達に任せておけばいいのよ」

「むぅ……」

女性二人に立て続けに反論され口篭る巨漢の男。

そんなバルガスの様子を、ふふっと軽く笑みを浮かべながら軽く眺めエレンディラは再び絶対者に問いかける。

「まぁ、その結論を下すのは私達じゃないんだけどね……。ねぇ、ラグ? あの子達を起こす。まずはそういうことでいいのね?」

その問いかけに絶対者は無言だ。

……しかし、わざわざ返事を返すまでもなく、その行為自体が肯定の意であるということをこの場に居る誰もが理解していた。最終的に、この場ではその男の意思こそが絶対となるのだから。

 

その意思を受けて、エレンディラは一人ごちる。

「ふぅ……それじゃあここに、あの子達の『隊長さん』にも来てもらわないといけないわねぇ」

と、同時に。

「……既に来ている」

広間の入り口にあたる場所から聞こえてくる声。その声を受けて広間内に居た人物達がそちらへと意識を向ける。

 

そこには、壮年と見て取れる男が一人。やはりどこかしら、壮大たる存在感を放って立っていた。

 

「混沌の波“ケイオス・タイドが指揮隊長、ルーク・グランフォート。ここに、推参せり」

その人物はそう告げるなり、広間内へと歩を進めてきた……。