タクトさんがエルシオールの司令官になってからいろいろなこと(事件)がありました・・・・・。
ミルフィーさんのピクニック事件・・・・・。
ランファさんの占い騒動・・・・・・。
ミントさんの家の事情(補給の件について)・・・・・・・・。
フォルテさんとタクトさんの月夜の相談・・・・・・。
ヘル・ハウンズ隊との戦い・・・・・。
そしてあの時のエオニア軍の大艦隊を退けたこと・・・・・・。
ローム星系に着くまでの戦いの日々・・・・・・・。
最初はギクシャクしていた私たちとタクトさんの関係も日にちが経つにつれて
どんどんなくなり、明るくなりました・・・・・。
時にはミルフィーさんやランファさんはタクトさんにアプローチ(?)をしていました。
私も徐々にタクトさんの優しさに触れていきました。補給の際、タクトさんが格納庫を訪れたとき、
紋章機の整備をして疲れていた私の肩を優しくもんでくれました。
(このときは自分は肩がこっていることを知らなかった)あのときのことは今でも鮮明に覚えています・・・・・。
しかし、当時の私には「あくまでも上司と部下・・・・。」そう思っていました・・・。
しかし、「出来事」がきっかけにタクトさんの見かたが変わりました。
そしていままで忘れていた「笑い」も取り戻すことができたと思います。
そう・・・・。あの出来事が・・・・・・・・・・・・。
第三話
「あの出来事をきっかけに・・・」
タクトがエンジェル隊の司令官になり、はや二週間半が経っていた。ようやく、
ローム星系の第三方面軍と合流できたタクトたちは一安心していたが、
ルフト准将から通信が入り5日後に行われるラドラ星系攻略作戦に参加せよというのだ。
そのころ、エルシオールではちょっとしたお花見が行われていた。
ことの発信源はいうまでもなくミルフィーの発案だった・・・・・。
それは、お花見が行われる1・2時間前のことだ。
ルフト准将からの通信が終わったあと、タクトが疲れた顔をしながら言った。
「全く、やっと合流できたっていうのに少しは休ませてくれよ・・・・。」
「そんなこといった所で仕方がないだろ?幸い5日時間に余裕があるんだ、休むなり
なんなりできるだろうが、こっちも損傷がひどい。少しは考えろ」
レスターがあきれたように言った。
「それもそうだけど・・・・・」
そのとき、ヴァニラから通信が入ってきた。
「こちら、ハーペスター。紋章機の修理と調整が終わりました。
続いて、もっとも損傷が激しいFブロックの修理しに行きたいのですがよろしいですか・・・・。」
「ああ、頼むよ。」
「・・・・了解・・・・・。」
そういうとハーペスターは発進していった。
「どんなときでも決して気を抜かないというのはたいしたものだな。タクトも少しは見習え。」
ヴァニラとの会話を聞いていたのだろう、レスターは感心しながらタクトに言った。
タクトもそう感じてはいたのだがさすがにこう言われるとさすがにまいってくる。
「だけど、ヴァニラはいつ見ても誰かに手伝いをしている気がするんだよな。
なんか心配だよ。」
「あんだけ、しっかりしているんだ。自己管理ぐらいできているだろう」
「だといいんだけど・・・・・・。」
その時だった・・・・・・。
「タクトさん!事件です!!」
「おわっっっ!!なんだ、びっくりしたー。脅かすなよミルフィー」
突然、タクトの通信機にミルフィーの声が響いた。
クロノ・クリスタル・・・・・。俗に言うロストテクノロジーを利用した携帯用通信機。
言語翻訳機能、現在地表示機能も搭載する万能の通信機だ。
「どうしたんだい?ミルフィー。」
「わけは後で説明します!!いますぐ、銀河展望公園に来てください!!」
ブツ!・・・・・・・・・・・・。
「あ、切れた・・・・・。いったい何があったんだ?」
「さーな、ブローブか敵のスパイでも捕獲したんじゃないか?」
「わからない・・・・。とにかく行ってみる。レスター、あとは頼んだぞ。」
そういうとタクトはブリッチを出て、銀河展望公園にむかった。
その途中で・・・・・。
「おや、タクトじゃないか。」
「あれ?フォルテ、ランファにミントも。もしかして、みんなもミルフィーに・・・・。」
「そうなんだよ。」
「全く、なにやっているのかしら。なんか、急いでいるみたいだったけど。」
ランファは息を切らしながら言った。
「あら?そういえばヴァニラさんがいませんわね」。
「そうそう、ヴァニラは船体の修理に出かけているから、今はいないんだ。」
「そうかい、じゃあ仕方がないね。とにかく公園のほうに行ってみよう」
そんな話しながら、公園のなかに入るとミルフィーがうれしい表情をしながら、みんなに言った。
「見てよ、見てよ。こんなにお花がいっぱい!!」
・・・・・・・・・・・・・。
タクトを含む全員が沈黙してしまった
ミルフィーからしてみれば悪気はなくみんなを呼んだのだが、呼ばれた側としてはとんだ迷惑話であった。
「で?」
「はい?」
「まさか、これが事件ってわけないわよね?」
ランファは引きつった顔をしながら、ミルフィーに質問した。
「う、うん・・・・・・。」
「そんなことでいちいち呼ぶなー!!」
ランファが怒るのは無理もない。なぜならミルフィーからの通信で順調だったトレーニングを切り上げ、
心配してここまできたというのに・・・・・。
「ランファ、落ち着けって。ミルフィーもどうして俺たちを呼んだんだい?」
ランファとミルフィーが話し始めるとキリがないと思いタクトが話を切るためにミルフィーに尋ねた。
「えーとですね、それは・・・・・・・・。」
ミルフィーがタクトたちに説明して花見の計画を考えている
一方、ヴァニラはFブロックの修理にあたっていった。
「Fブロック左舷の修理、終わりました・・・・・。」
「いやー、すみませんねーヴァニラさん。いつも手伝ってもらって」
「いえ、お気になさらずに・・・・・・。」
エルシオールの外で修理の作業をしながら、ヴァニラと作業員が話をしていた。
すると、作業員が思い出したようにヴァニラに言った。
「ああ、そうだ。ヴァニラさんはあのこと知っていますか?」
「なんでしょうか?」
「なんかエルシオール内でお花見をやるそうですよ。」
「お花見とはなんですか・・・・・。」
「詳しくはわかりませんが、なんでも桜の下で食事をしながらドンチャン騒ぎをするみたいです。
全員参加らしいですよ・・・・。右舷はお花見が終わったらしましょう。」
「わかりました・・・・・・・」
そういうと作業を一時中断し、公園にむかった。
それで今にいたるのだが、クルー(エンジェル隊を含まない)は知らなかった。
ミルフィーの両極端な「運」というものを・・・・。
そして、ヴァニラ・タクト・ミルフィー以外はこの災害(?)の被害者になることも・・・・・。
花見が終わった翌日、突然クシャミ・頭痛・目のかゆみなどの症状を訴える乗組員が続出したのだ。
ブリッチではこの症状に悩む人が大勢いた。(タクトを除いて・・・・・)
「あー鼻水がとまらん。しかも、クシャミのしすぎで、腹まで筋肉痛だし・・・・、
これじゃ次の作戦に支障がでちまう。」
レスターの愚痴がタクトの近くで聞こえた。
「だったら、なんで俺はなんとも無いんだ?」
「ナントカは風を引かないって言うのと同じ原理か・・・・・・。」
「なんか言ったか?しかし、これじゃ戦いもできたもんじゃないからな。
医務室に行って対応策を見つけてくるよ」
「ああ、頼んだぞ・・・・。グスッッッ。」
そういうとタクトはブリッチから出て、解決策を聞きに医務室までいった。
医務室に着き、ケーラに聞いてみた結果とんでもないことがわかった。
あの公園に立っている木は「カフカフの木」といい、
時空震(クロノ・クエイク)で消滅したある星が原産地でしかも花を咲かせるのは
100年に一度でだけなのであるが、問題はそこにあった。
100年に一度だけであるので花粉の蓄積量もハンパないものになるだろう。
その花粉が先日のお花見の際一気に放出されたのである。
だから、クルーのほとんどがこの症状に苦しんでいた。いわゆる「花粉症」である。
「それで、治療法は見つかったんですか?」
「それはナノマシンのよる治療よ。それであれば投薬治療を行わずにすぐによくなるし、
それに効果は実証済みよ。だけど、問題はヴァニラに負担がかかりすぎるのよ。
さすがにあれだけの人数を治療するには・・・・・・。」
「私は・・・・問題ありません・・・・・・・。私も同じことを考えていましたから。」
タクトとケーラの話を聞いていたのだろう。医務室の奥からヴァニラが出てきてタクトたちに言った。
「そう・・・・・、じゃあお願いするわ。私もできるだけサポートするから」
「花粉症の治療ですね。わかりました・・・・・。」
こうしてヴァニラの治療が始まった。
2日後・・・・・・・・・。
「おはようございます、ケーラ先生。どうですか?」
タクトは起きたあとすぐに医務室にむかったのだろう。髪の毛がすこし立っているように見える。
「あ、司令。順調に進んでいるわよ。」
「それはよかった。ところで、ヴァニラは?」
「今、奥にいるわよ。」
「そうですか、わかりました。」
そういうと、タクトは奥の診察室に行ってみた。
行ってみるとそこにはヴァニラとミントがいて診察をしているようだ。
「あら、おはようございます。タクトさん。」
「おはよう、ミント。調子はどうだい?」
タクトは眠たそうな表情でミントに言った。ミントはタクトが眠たそうにしているのがわかったのだろう。
クスクス少し笑ったあとタクトの質問に答えた。
「ええ、この通り。これでおいしく駄菓子が食べられますわね。今日は再検査してもらっていますの」
「再検査?」
そういうとヴァニラが言った。
「はい・・・・・・。花粉症が治まったとはいえ再発する可能性があるので・・・・・。」
「ヴァニラって慎重なんだな」
ヴァニラは静かに答えた。
「いいえ、治療後の経過を見るのは当然のことですから・・・・・・。」
「そうか。だけどあまり無理はしないでくれよ。」
「はい、わかりました。」
そういうとタクトは医務室を出て、再び艦内をぶらつくことにした。
夜中の23時・・・・・・・・。
そのころ、タクトは自分の部屋で休んでいた。
シャワーを浴び終わりコーヒーを飲もうとしたとき通信が入ってきた。
「通信か?だれだろうこんな夜中に・・・・。」
「タクトさん、少しいいですか?」
通信の相手はヴァニラだった。
「ローム星系のデータバンクにアクセスしたいのですが、よろしいですか?」
「どうしてだい?」
「カフカフの木のことについてです。後遺症が過去に発見されていないか念のための調査です・・・・。」
「わかった。許可するよ。」
「ありがとうございます・・・・・。」
通信が終わりタクトは自分でいれたコーヒーを飲みながら、なにかを考えていた。
(あそこまで熱心なのはいいけどなんか心配になってきたなー。俺がヴァニラにできること・・・・・。
うーん・・・・・・そうだな、なんか差し入れを持っていくとするか。
そうと決まればさっそく準備しようかな。)
そう思うとタクトは食堂に行き、
サンドイッチとジュースを食堂のおばちゃんにもらうとヴァニラの部屋に行った。
ピーンポーン・・・・・・・・。
「はい・・・・。どなたでしょう?」
「タクトだけど、入っていいかい?」
「どうぞ・・・・・・。」
タクトはヴァニラの部屋に入った。
(うーん、なんか殺風景というかなんかなんというか・・・シンプルの部屋だな。)
タクトは心の中で思った。
「なんの御用でしょうか?」
「あ、そうそう。ヴァニラに差し入れを持ってきたんだ。」
「ありがとうございます。いだだきます・・・・・・。」
ヴァニラはサンドイッチに手をのばしおいしそうに食べている。よほど疲れていたのだろう、
少しため息をした。
「ヴァニラが気になっていたからね。ほんの気休め程度でもってきたんだ。」
「そのことを不思議に思っていました。どうしてタクトさんはそんなに私のことを気にしてくれるんですか?」
ヴァニラは少しタクトの目を見て質問した。
「別に心配するのに理由なんてないだろ?それにヴァニラはいつもがんばっているからね。」
「私にはよくわかりません・・・・・・・。」
ヴァニラにそう言われるとタクトはうなずきながら考えて答えた。
「うーん、俺もどうしてって言われても説明できないけどね・・・・・。
それより花粉症について何かわかった?」
「はい、今のところ過去に花粉症の後遺症が出た形跡はありません・・・・。」
「それはよかった。」
「ですが、もう少し調べてみます。データベースの検索にもどってもよろしいですか?」
「ああ、でもあまり無理はするなよ。」
「わかりました・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
タクトは少し沈黙した後、ヴァニラの部屋をあとにした・・・・・。
翌日・・・・・。
ヴァニラはこの日、最初医務室に行かずクジラルームにいた。
「クロミエさん、こんにちは。」
「おはようございます、ヴァニラさん。今日はどんな御用ですか?」
ヴァニラはすこしはずかしそうにしながらクロミエにいった。
「はい・・・・。すこし宇宙ウサギを見にきたんですが、よろしいですか?」
「どうぞ、入ってください。」
「失礼します・・・・。」
そういうとヴァニラは宇宙ウサギが育てられている小屋に入りじっと見つめていた。
どのぐらい時間がたっていたのだろう・・・・・。数分、いや数十分ぐらいか・・・・・。
「あ、タクトさん・・・・・・。」
ヴァニラは小屋の中からタクトがいるのに気がついたのだろう。少しはずかしそうにしながら小屋を出た。
「邪魔したようだね、ごめん。」
「いえ・・・・。それよりなんでしょうか?」
「そうそう、ヴァニラに用事があったんだ。ヴァニラ、やっぱり休んだほうがいいんじゃないか?
顔色も悪いし、足もフラついているじゃないか。」
タクトは心配そうにヴァニラの顔と足元を見ながら言ったが
ヴァニラは平気な顔をしながらタクトの質問に答えた。
「いえ、問題ありません・・・・・。」
「いや、今日は休んだほうがいい。これは命令だ。」
「・・・・え・・・・・?」
「今日はもういいから宇宙ウサギを見ているなんなり自由にするといいよ」
「いいえ、それでしたら仕事をします。」
タクトは少し悩んだ結果、おもいきってヴァニラ言ってみた。
「どうして、そんなに努力するんだ?
ヴァニラの仕事ぶりはもうみんな知っている。なのにどうして・・・・・。」
「私は未熟だから・・・・。もっと努力しなくてはならないんです。
あの時、私はシスターにそう誓ったんです。」
「え・・・・・・。」
「では失礼します。」
「お、おいヴァニラ・・・・・。」
そういってヴァニラがタクトの横を通りすぎクジラルームを出て行くとき、それは起こった。
ドサッッッッ!!
なにかのニブイ音がした。タクトがクジラルームの入り口近くにいってみると
ヴァニラがうつ伏せに倒れていた。
「え・・・・。ヴァニラ!おいヴァニラ!!しっかりしろ!!」
しかし、ヴァニラは気を失っていたらしくなんの反応を示さない。
タクトはヴァニラを両手かつぎ、医務室まで走っていった。
「ケーラ先生!!ヴァニラが急に倒れてしまったんです。診てもらえませんか?」
「わかったわ、こっちに来て。」
ケーラはタクトを診察室まで連れて行った。
タクトはヴァニラをベッドに寝かせたあと医務室の前で待っていた。
数分後、ケーラが医務室から出てきた。
「ケーラ先生。ヴァニラは?」
「大丈夫よ、ただの過労よ。やっぱりヴァニラにはリスクが大きい仕事だったのよ。
それにいままでの疲労が一気に出たのだと思うわ。今は薬でぐっすり眠っているわ。」
「そうですか、よかった・・・・。」
タクトはほっとした感じで言った。さすがにで人が倒れているものなら誰でもびっくりするだろう。
「すまないけど司令、ヴァニラのことを見ておいてくれないかしら。
実は薬のストックがちょうど切れてしまったから倉庫からもっていきたいんだけど・・・・。」
「わかりました。」
「ありがとう、すぐ帰ってくるから。」
そういうとケーラは倉庫のほうに向かった。
二十分後・・・・・・・・。
「う・・・・・ん・・・・。」
ヴァニラが目を覚ましたようだ。周りを見渡し、身を起こした。
「気がついたか。よかった。」
タクトがベッドの横にあるイスに座っていた。
「タクトさん・・・・私は一体・・・・・・。」
「過労だって・・・・・・。びっくりしたよ、突然倒れたんだから」
「すみません、タクトさん。私が未熟だから・・・・・」
「シスターがそう言ったのかい?」
「え・・・・・・?」
タクトがそう聞くとヴァニラはキョトンとしてしまった。
そして、タクトは少し戸惑いながらヴァニラに言った。
「ヴァニラには悪いと思ったけど君の個人情報を見させてもらったよ・・・・。
シスター・バレルは君の育ての親らしいね。
それに医師としても周囲の人たちからの信頼も厚かったらしいじゃないか。
そのシスターがヴァニラにそう言ったのかい?」
「・・・・・・。」
ヴァニラは少し沈黙したあと、静かに答えた。
「シスターがそう言った言ったわけではありませんが・・・・・・私が未熟なのは事実ですから・・・・。」
「だから、なんで努力することにこだわる?」
「・・・・・・・・・・。」
「いや、無理に言わなくてもいいよ。話す機会があったら話してくれ。
そういえば昨日俺が部屋に行ったときヴァニラが言ったよね?
なんだか不思議な感じがするって・・・・。多分ヴァニラが宇宙ウサギを見ているのと同じだと思うよ。」
「え・・・・・・・?」
ヴァニラは首をかしげながらタクトの話を聞いている。
「ヴァニラは宇宙ウサギを見ていると安心していると思うんだ。
でも、自分の心ではそれがわからずモヤモヤしているんだ。本当の答えが聞きたいかい?」
「はい・・・・。これは一体なんなのでしょうか。」
ヴァニラがそういうとタクトは優しい口調で言った。
「その人が好きなんだよ。ヴァニラは宇宙ウサギのことが好きかい?」
「はい・・・・。好き・・・・なんだと思います。」
「エンジェル隊のみんなも好きかい?」
「はい・・・・・。」
「だれかが困っているとそれを助けたいと思う?」
「はい・・・・。」
「要はそれと同じことだよ。」
「・・・・・・・・。」
ヴァニラは考えた。
「やっぱり、私にはわかりません・・・・・・。ですが・・・・・、なんだか心が軽くなりました。」
「そうか、それはよかった。」
「タクトさん・・・・・・・。」
「なんだい?」
ヴァニラは微笑みながら言った。
「心配されるというのは・・・・・・・気にかけてもらえるというものはなんだがここちよいものですね。」
「よし、俺からの話はこれでおしまいだ。さぁ、今日はゆっくり休むんだ。」
「はい・・・・・・・・。」
こうして医務室の出来事は終わった。
二日後、ラドラ星系攻略作戦が始まり見事、皇国軍がエオニア軍を撃破したのだった。
この戦いのあと、やっとタクト達にも休暇ができた。エンジェル隊は一人一人計画を練っていた。
「ヴァニラはどうするんだい?」
ラドラ星系攻略作戦が終わり、休暇の話が出てきたときタクトはヴァニラに聞いた。
「そのときは仕事のことを忘れてゆっくりしたいと思います・・・・。」
「そうか。で、具体的には何をするの?」
「・・・・・・・・。何をすればいんでしょうか。私、こういうことには慣れていないもので・・・・・。」
タクトは微笑したあと、思いついたようにヴァニラに言った。
「動物でも飼ってみたら?クロミエも言っていたじゃないか。少し数が多くなってきたって。」
「ええ、ですが・・・・・。」
「よーし、善は急げだ。さ、行こう。」
タクトは半分強引にヴァニラといっしょにクジラルームにむかった。
「というわけで、ヴァニラが里親になることになったんだ。」
「それは助かります。この子なんかどうです?餌のやり方や飼育方法も教えますので。」
「ですが、私は動物を飼ったことがありません・・・・・。」
ヴァニラは消極的に言った。しかし、ヴァニラを勇気づけるようにタクトは言った。
「大丈夫だよ。今のヴァニラなら。」
「今の・・・・私・・・・・?」
「さ、抱いてごらん。どんな感じ?」
「とても・・・・温かいです・・・・・・・。」
「へー、結構宇宙ウサギっておとなしいんだな。」
ヴァニラに抱かれている宇宙ウサギを見ながらタクトは言った。
「それで、名前はどうするんだい?」
「・・・・・・。ウギウギ・・・・・。」
「え?」
「この子の名前・・・・ウギウギにします。あなたは今日からウギウギよ。ウギウギ・・・・。」
「ヴァニラ、気に入ったようだな」
「ええ、そうですね。」
うれしそうなヴァニラを見ながらタクトとクロミエは微笑しながら言った・・・・・。
あの時の私はとてもうれしかったです。ウギウギとの生活・タクトさんに看病されたこと・・・・。
少しずつですが自分が変わっていくのがわかりました。
このときぐらいからでしょうか・・・・・・
タクトさんのことが好きになっていったのは・・・・・・。
しかし、当時の私は「タクトさんと一緒にいたら楽しい・・・・・。」
というもので好きという段階ではありませんでした・・・・・・・。
第三話「あの出来事をきっかけに・・・・。」終
第四話「お誘い、そしてダンス・・・・。」に続く
あとがき・・・・・・。
なっがー!!長すぎるぜ!!どうも、バージルです。今回は結構長くなっていましましたがどうでしょうか?
(なんせヴァニラのシナリオですから)
しかし、読者の皆さんはご存知でしょうが医務室での出来事の内容はかなりヘンテコになりました。
どう表現したらいいものかわからなかったもので
(他のメンバーならなんとかなったのですがヴァニラだと表現の仕方が難しかったもので)
少し矛盾が生じるかもしれませんがなにとぞおおきな心で読んでください。