タクトさんとお互いを理解しあい私たちは恋人同士となりました。
しかし、なったのはよいとして一体なにをしたらいいのか私にはわかりませんでした・・・・・。
第三話「顔から火が出るが如し」
(エルシオール、現在クロノ・ドライブ中・・・)
私たちは今ブリッチにいます・・・・。
その理由はこの前タクトさんがちとせさんに謎のメッセージの解読を依頼したことから始まります。そして解読が終わり私たちにも聞いてほしいと
タクトさんが言ったのでブリッチに集まった・・・ということです。
「それじゃちとせ。再生してくれ。」
「わかりました。データを再生します。」
そうするとブリッチ全体にその再生されたメッセージが流れました。
その内容は『白き月』と私たちに対する『警告』のようなものでした。
「うーん、どうもしっくり来ないな・・・・。それに『大いなる災い』ってどういうことだ?」
「確かに。それに『EDENの子ら』という意味もさっぱりわからん。」
私にもわかりませんでした。
しかし、これが大きく関わってくることになるのは後の話・・・・。
「・・・おそらく、これは私たちのことを指しているのではないでしょうか?」
私たちが沈黙していた中、最初の言葉を発したのはちとせさんでした。
「トランスバール皇国はEDEN文明の中から生まれた国のひとつです。つまり、私たちはEDEN文明の子孫にあたるのだと思います。
途中の文章は意味不明ですが・・・。」
「『今こそ有限と無限を結び古の使命を果たせ』か・・・・。」
「ま、名無しで『白き月』のことも出ているしこの件についてはシャトヤーン様に聞くのが一番いいだろう。」
「問題は誰がこのメッセージを送ってきたことぐらいか。みんなはどう思う?」
そういうとタクトさんは私たちに質問してきました。誰かというところまではわかりませんが、
私たちは今思っていること口にしました。
ちとせさんの意見は・・・・・・
「私にわかりません。しかし、この緊迫した内容によると送ることが精一杯で力尽きた・・・と私は思います。」
ランファさんの意見は・・・・・
「案外イタズラなんじゃないの?よくあるじゃない、匿名で『事件です』なんて警察の偽者が言うじゃない。」
一方私の意見は・・・・・
「私たちに名前を知られたくなかったかもしれません・・・・・。だとすると、送り主は私たちと昔関わったことのある人物だと思います。」
タクトさんは腕を組み、首をクルクル回しながら唸っていました。そして、タクトさんも考えを言いました。
「俺の考えも正体を知られたくなかったかもしれないな・・・・。ありがとう、ヴァニラ。おかげで目のウロコが取れたよ。」
「いえ・・・・・。」
私たちが会話しているうちにエルシオールはドライブ・アウトして通常空間に出ていました。タクトさんは敵に先手を打つ目的も含めて
ルフト将軍に通信を入れることにしましたが不思議なことに暗号化はせずに通信を行うというものでした。
「タクトさん、それは規定違反です!暗号化せずに通信を行うのは危険すぎます。」
「大丈夫、大丈夫。俺にまかせてくれ。」
こうしてタクトさんはルフト将軍にコンタクトを取り、強奪船団のことや謎のメッセージについて報告しました。
(途中からはなにかの作戦のような内容でしたが、私たちにはわかりませんでした。クールダラス副司令を除いて・・・・・。)
十分後・・・・・・・
「ふー。これでよし、っと。」
タクトさんは少し疲れているように見えました。そして、クールダラス副司令がココさんに指示を出しました。
「ココ、ポイントYMf290へ向かえ。」
「え?指定されたポイントはYMf288ですが・・・・・。」
「かまわん、YMf290だ。」
「りょ、了解しました。」
「うまく引っかかってくれれば良いんだけどね。」
私たちは首をかしげていました。どうして紋章機にトラブルが起きてしまったなどと嘘をいったのか
(タクトさんいわく『どこの誰かが聞いているかわからないからね。例えばレゾムの艦隊とか・・・・』)それと一番気がかりだったのは・・・・・・・
「タクトさん、ひとつ質問してもよろしいですか・・・?」
「なんだい、ヴァニラ?」
「さっきのお話でもあったフォーメーション0とはなんなのですか?」
タクトさんがルフト将軍との会話の中に『フォーメーション0』というものが出てきたので、聞いてみました。
「私も聞きたいです。そんな暗号聞いたことがありません。」
「ああ、それは・・・・・・」
タクトさんの話だとこの『フォーメーション0』というのは仕官学校時代、タクトさんたちのスペースボールチームで使われていた合言葉らしいです。
(このあとの説明はラグビーに関するもので私にはさっぱりわかりませんでした・・・・・。)
「つまり、合流ポイントで待ち伏せて敵を撃破するということですか?」
「そういうこと。」
「だけど、合流ポイントを勝手に変えてもよかったの?」
「それのことなら心配ない。ちゃんとルフト将軍に伝わっているさ。」
心配ない・・・・・・一体どういうことなのでしょうか?
「ほら、『ラークに伝える』って言っていただろ?ラークは俺たちのチームのエースでね。俺たちにとってのエース、つまりエンジェル隊に伝えるってことさ。」
「座標のことは大丈夫なのですか?」
「それについてのルフト将軍に伝わっているさ。290対0って俺たちの会話であったろ?あれは座標のことさ。」
あれだけの会話の中でそれだけのことをするタクトさんがとてもすごいと思いました。
普段のタクトさんに比べるとここまで違うとは正直思えませんでした。
「それじゃ、目的地に着いたら戦闘になるかもしれないから紋章機の中で待機していてくれないか?」
こうして、私たちは紋章機の中で待機することとなりました。
(紋章機内)
私たちはいつでも出撃できるように紋章機の中にいました。するとランファさんが通信をかけてきました。
「ヴァニラ、ちょっといい?」
「はい・・・・・。」
いったいなんのお話でしょうか?
世間話だと思っていましたがそれは全然違いました。
「タクトとは最近どうなのよ?」
「え・・・・・?」
「だ・か・ら、タクトとはあれからどうなのよ。」
ランファさん・・・・・・顔がかなりニヤけています。ランファさんのおかげで成功しましたがあそこまででもう十分です。
と言ってもランファさんにとっては無駄の話・・・・・・ランファさんは恋愛に関する話になると手がつけられなくなります・・・・・。
(前例はかなりあります・・・・)
「あれからは・・・・・・特に・・・。」
「とか言っちゃって、本当は結構二人の世界に入ってるんじゃないの?」
「・・・・・・・・。」
鋭い・・・・・・・。
「ま、いいわ。その話はまたみんなが来てからにしよっと。」
そういうとランファさんは笑いながら通信を切りました。
後で聞く・・・・・最初は簡単に済むだろうと思っていました・・・・・。
このあと、私たちは敵艦隊の待ち伏せに成功し(ネフューリアの艦隊は別として)他のエンジェル隊の人たちと合流し、
敵艦隊を撃破できました。
戦闘が終わり、ブリッチで戦果報告をした後、私たちはティーラウンジに行きました。これが私にとって『悪夢』になるとは知らずに・・・・・。
(ティーラウンジ)(現在、クロノ・ドライブ中)
「いやーこうやって集まってお茶するのは久しぶりだな。」
タクトさんは喜んでいる様子でした。他の皆さんが帰ってきたおかげで艦内がとてもにぎやかになりました。
「ところで、タクト。どうなんだい?」
「ん、なにがだい?」
「しらばくれっちゃって、ヴァニラと何があったんだい?」
「ようやく、タクトさんもヴァニラさんに告白なさったんですわ。」
夢だと思っていたことが現実になるなんて・・・・・・これほど怖いことはありませんでした。
「あ、ミント!テレパシー使ったな!?」
「いえいえ、カマをかけただけですわ。この手のお話は本人から聞くのがおもしろいんですから、テレパシーなんて使うわけありませんわ。」
「ハ、ハメられた・・・・・・・。」
「で、否定なさらないことは告白したというわけですか?」
「はい・・・・・・おっしゃるとおりです・・・・。」
タクトさんは少し泣いているように見えました。(これはもちろん嘘泣きですが・・・・。)
「ねぇ、タクトさんはなんて言って告白したんですか?きっと情熱的に、『この世界で一番愛しているよ、ヴァニラ・・・・・。』とかですか!?」
いいえ、それは違います・・・・・。ミルフィーさんあんまり大きい想像をしないでください。
「いえいえ、タクトさんはこういうことには奥手ですわ。きっと『す、好きだ!!ヴァ、ヴァニラー!!』って固い告白をなさったんですわ。
これにマシュマロひと袋賭けますわ。」
「お、賭けるのかい?じゃ私も賭けさせてもらうよ。」
それも違います・・・・・。ミントさんも考えもまったくもって違います・・・・。そんなことで賭けないでください・・・・。
「フォルテ先輩、ミント先輩。賭け事はよくないです。」
「ご心配なく、ちとせさん。確かに金品などの賭け事はよくありませんが、これはタクトさんが『自主的』に私たちにおごってくださるのですから。」
「ええーー!?」
「そうなのですか?」
なぜそうなってしまうのか・・・・・。
私は黙ってみなさんの会話を聞いていました。
「あら?自分だけいい思いをしようなんて心が狭いですわね。」
「タクトさんズルイですー!私にも幸せを分けてください!!」
「お、おいだまされているぞミルフィー・・・・・。俺は別に・・・・・」
「幸せじゃない・・・・って言いたいの?それじゃヴァニラがかわいそうじゃない。」
「そうなのですか?タクトさん、もしそうでしたらヴァニラ先輩に誤らなければなりません。」
私から見ればタクトさんはいじめられているようでした。まるで四面楚歌のように・・・・・。
(多分、ちとせさんは現在の状況をできていないとおもいますが)
「あの・・・・・・・・。」
「どうしました、ヴァニラさん?」
「あまりタクトさんを・・・・・・・いじめないで・・・・・ください・・・。」
言うのはとてもはずかしかったですが、一方的にいじめられているタクトさん見ていたらいてもたってもいらなくなりました。
「ほぉ〜!?いやいや、こいつはごちそうさま。大丈夫だよ、ヴァニラ。あたしたちは別にタクトをいじめているわけじゃないよ。」
「そうですわ、私たちはただタクトさんに事情を聞きたいだけですわ。」
「それと幸せのおすそ分けー!!」
「そうなの・・・・・ですか・・?」
そうだと信じたいのですが、
なんせみなさんですから、真実はわかりません。
「それじゃ、代わりにヴァニラに聞こうか?」
「そうねー、実際私も詳しくはわからないのよね。ヴァニラ、どうだったの?」
「あ、私も聞きたい、聞きたい!!」
「そ・・・・・それは・・・・・・・」
今度は矛先が私に向き、どうしていいかわかりません・・・・。
顔の周りがどんどん温かくなっていきました。
「あらあら、耳まで真っ赤ですわ。」
「こりゃあ、本人の口からは聞けないね。というわけでタクト、じっくり聞かせてもらうよ。じっくりとね・・・・・。」
「長期戦になりそうだから、ケーキでも食べようかな。」
「結局、おごるのかよ・・・・・。」
そういうと、皆さんはどんどん注文を増やしていきました。
ミルフィーさんはイチゴのタルトを・・・・。
ミントさんはジャンボシュークリームを・・・・・
フォルテさんはエスプレッソ(コーヒーの一種)を・・・・・。
そして、イマイチ状況ができていないちとせさんはガトーショコラを・・・・
「すみません・・・・タクトさん・・・。」
「いいさ、ヴァニラがあやまることはないよ。それに、なんか懐かしくて楽しいし・・・・。さて、俺も腹が減ったからホットケーキを食べるけど
ヴァニラも一緒に食べないか?」
「はい・・・・タクトさん・・・・。」
もう私の目にはタクトさんのことしか見えませんでした。俗にいう『二人だけの世界』です。
「ちょっと、いきなり『二人だけの世界』に入らないでよね。」
「ほっておくとすぐにこれだ。おアツイね〜。」
ランファさんとフォルテさんの声で私は我にかえりました。
「おい、そういうことじゃ・・・・・・」
「いまさら隠してもしょうがないだろ?タクト、もうあきらめな。で、なんていって告白したんだい?」
タクトさんは黙り込んでしまいました。本当は私からタクトさんに言ったのにどうしてタクトさんだけいつもこうなってしまうのでしょうか・・・・。
「・・・・・わかった・・・・言うよ・・・。」
「いいね、タクト!それでこそ男だよ!!」
「実は・・・・・・・。」
みなさん一斉にタクトさんの声に耳をかたむけています・・・。そして・・・・
「俺から・・・・・言ったわけじゃないんだ・・・・・。」
「「「「「へ????」」」」」
「あ、あのタクトさん。それは一体どういうことなのでしょう?」
みなさんがあっけを取られている中ミントさんがタクトさん質問しました。
「だから、ヴァニラに・・・・・先に・・・言われちゃったんだ・・・・・。」
この後、タクトさんはみなさんに好き放題言われてしまいました・・・・・。これは約一時間に及ぶものでした・・・・。
この間、私は顔から火が出そうなぐらいはずかしかったです・・・・。
(解放後・・・・・・)
私は今、医務室にいます。ティーラウンジの出来事のあとのことです。
「ケーラ先生・・・・・いらっしゃいますか?」
「あら、ヴァニラじゃない。どうしたの?」
「あの・・・・・耳かきを・・・・ひとつください。」
理由は簡単です。タクトさんに喜んでもらえることはなにか・・・・・
自分なりに考えたことでした。
そのことをケーラ先生に説明しました。
「なるほど・・・・・わかったわ。じゃあ、ちょっと待ってて。」
「はい・・・ありがとうございます・・・。」
そういうとケーラ先生は、ひきだしから耳かきをひとつ私に渡しました。そのときぐらいでしょうか・・・・・。タクトさんがやってきたのは・・・・・。
「あ・・・・タクトさん・・・。」
「やあ、ヴァニラ。今日も医務室の手伝いかい?」
私はとっさに耳かきを後ろのほうに隠しました。
「い、いえ・・・・今日は・・・・ちょっと違います。」
「そう、ちょっとね・・・。」
「は、はあ・・・・よくわからないけど・・・・・。」
それはさておき・・・・・
私はタクトさんに時間が空いているかどうか聞きました。
「あの・・・・・タクトさん・・・・。見回りが終わったら、お時間ありますか・・・?」
「え・・・・・?いや、別にないけど。」
「でしたら、見回りが終わったら展望公園に来ていただけませんか?」
「わかった。じゃあ終わったら行くよ。」
私はタクトさんより先に医務室から出ようとしました。
すると、ケーラ先生は私が出て行く際にこういいました。
「ヴァニラ・・・・・がんばってね。」
私はその言葉を聞いたあと、医務室を後にしました。
他にすることもなかったので私は展望公園へ向かいました。その途中でちとせさんに会いました。
「あ、ちとせさん。」
「よかった、ヴァニラ先輩が見つかって。」
「どうしたのですか・・・・?」
「実は私の部屋で、ちょっとしたことをやるんです。ヴァニラ先輩だけ見つからなかったのでこうして探していたんです。来て・・・・くれますか?」
「わかりました・・・・・では後ほど・・・・。」
(銀河展望公園)
私は椅子にすわっタクトさんのことを待っていました。そして、20分経ったぐらいにタクトさんがやってきました。
「ごめん、ヴァニラ。待った?」
ドラマのワンシーン(?)・・・・・・・・。
「いいえ・・・・・・、では木の下に行きましょう。」
「どうしてだい?」
「木陰は涼しいですから・・・・・・。」
「じゃあ、行こうか。」
そして、私たちは木陰のところにいきました。
「いやー涼しいっていうのはいいね。」
タクトさんは着くと同時にいいました。
そして、私も本来の目的を果たすことにしました。
「あの・・・・・タクトさん・・・・。そこに、ねそべってください・・・・。」
「ここで横になれってこと?」
「はい・・・・・・・。それから私のひざの上に頭を乗せてください・・・・。」
「もしかして・・・・・膝枕かい?は、はずかしいじゃないか。」
私もはずかしいです・・・・・。
ですが、誰かが見ているわけではないので問題はありませんでした。
「問題ありません・・・・・・。」
「・・・・・わかった・・・・じゃあ、遠慮なく・・・。」
そういうと、タクトさんの頭が私のひざの上になりました。
そして、私はポケットの中に入れておいた耳かきを取り出し、タクトさんの耳の所まで持っていきました。
「では・・・・始めます・・・・。」
「ん?それは耳かき・・・。ひょっとして俺の耳掃除をしてくれるのかい?」
「はい・・・・もし痛かったら言ってください。」
「ありがとう、ヴァニラ・・・・。」
私はタクトさんの耳の掃除を始めました。そしたら、いきなりタクトさんは笑いました。
「すみません・・・・・痛かったですか?」
「いやいや、そうわけじゃないんだ。くすぐたくってね。でも不思議だな・・・・・こうしていると、とても満ち足りた気持ちになるな・・・・。」
タクトさんは耳掃除をしながらそうそう言いました。
私も同じ気持ちでした・・・・。
「気持ちよすぎて・・・・・眠く・・なってきた・・・。」
「遠慮せずに眠ってください・・・・・。私は大丈夫ですから・・・・。」
「ヴァニラ・・・・・・本・・・当に・・・・・・・」
タクトさんは言葉を言いかけて眠ってしまいました。
そのときのタクトさんの寝顔はとても気持ちよさそうでした・・・。
「お休みなさい・・・・・タクトさん・・・・・。」
このあとタクトさんが起きた後私はタクトさんも誘い、ちとせさんの部屋に行きました。
しかし、これも運命というのでしょうか・・・・。
ちとせさんの部屋でまた先の出来事(耳掃除)のことが話題になったことはゲームをやった人はわかります・・・・・よね。
第三話「顔から火が出るが如し」終
第四話に続く。
どうも、バージルです。
最初にあやまらせてください・・・・・・。どうもすみません。
書き終わらないうちにこの『遠い昔の思い出』の続編の予告編を出してしまいました。
もう構想はできているのですが、完結していないので書こうにも書けない状態です・・・。
早く終わらせて続編書きたいな・・・・・。
以上、私からのコメントでした・・・・・。 10月2日