Legend of Di Gi Charat

 

〜レジェンド・オブ・デ・ジ・キャラット〜

でじこ編 第1章「王女の旅立ち」

 

 

ここは、デ・ジ・キャラット星。

女王が統治する星国である。

これは、王女ショコラの旅立ちの物語…

 

 

 

王女ショコラが住む王城、デ・ジ・キャラット城。

この平和な城に、伝令兵が、突如として駆け込んできた。

「伝令ですげま! 城下町の外れに、山賊が陣取っていますげま!」

「何ですって! 全軍、山賊を討伐せ………」

女王は、兵に命令を送ろうとした瞬間、考え直した。

我が娘ショコラも、もはや15歳。これからは、戦いが世界を支配するだろう。

ならば、軍を指揮できるほどの能力と、それなりの戦闘能力が、娘ショコラと、妹分のカプチーノにも必要ではないかと。

女王は言った。

「ショコラとカプチーノを連れてきなさい」

兵士たちは、ショコラ(後のでじこ)とカプチーノ(後のぷちこ)をつれてきた。

「ふぅ。お母様、一体全体何用ですかにょ〜?」

「ショコラは自分の部屋でくつろいでいたにゅ。ショコラとカプチーノにもう少し楽させてもいいんじゃないかにゅ?」

言い訳する二人。しかし、女王は彼女らの言葉を拒絶した。

「ショコラ。カプチーノ。あなたたちに重大なことを言い渡します。」

真剣な女王。しかし、王女ショコラは、このことをテキトーに聞いていた。

「はいはい何ですかにょ〜〜?」

「しっかりと聞いてほしいの! 重要なことなんだから!」

取り乱した女王は、体勢を整え、再び真剣な表情で、ショコラと目を合わせた。

「ショコラ。カプチーノ。」

「なんですかにょ?」

「カプチーノはきちんと聞くにゅ」

女王は、今、町外れで起こっていることを告げた。

「デ・ジ・キャラット城下町の村外れは今、山賊に襲われています。これからは、戦が支配する世界となるでしょう」

「どーして町外れが山賊に襲われただけでそーゆーことがわかるんですかにょー?」

女王は、不真面目な娘の返答に、真剣に答えた。

「ショコラ。今、地球では戦が起こっているの。あなたには立派な指揮官、そしてプリンセスとなるために、地球で戦を経験してもらいます。その中で、さまざまな仲間との出会い、そして別れも経験することでしょう。でも、絶対にめげないで。さまざまな試練を乗り越えた先に、プリンセスの称号が送られるのですから」

「恋をしたり、魔王と戦ったりするのかにょ!?」

ショコラのわりとRPG的な返答に、女王は答えた。

「あるんじゃないかしら。さあ、まずは初陣として、町外れの山賊を倒してらっしゃい!」

了解したが、何かが物足りないと思ったショコラは、母に疑問を投げかけた。

「わかったけど、肝心の兵士たちはどこだにょ?」

「あ、そうだった。ヴィエラ。ラスティ。ユーナ。フラーマ。アルヴィス」

女王の呼びかけに現れたのは、5人の兵士たち。

一人は、3年前に地球から移住してきて、わずか2年で隊長に上り詰めた地球人、ヴィエラ。

しかし、残りの4人とは面識がなかった。

ショコラは、意外と鈍感だったのである。

「お母様、あの4人はいったいだれですかにょ?」

ショコラが質問を投げかけると、赤い鎧の青年が言った。

「はじめまして、ショコラ様。俺はラスティ・キャラット。ヴィエラ隊の副隊長だ。以後、よろしくな」

青年は、ぶっきらぼうな口調で言った。その後、緑の鎧の少女が言った。

先ほどの青年とはちがい、尻尾をスカートから覗かせている。おまけに生足に鎧である。

「あ、あなたがショコラさま!? あたしはユーナ! まだまだ新米だけど、がんばりまーす!」

イマドキのギャルである。男女だが、赤と緑の鎧を身につけた二人、一方は冷静で、もう一人にストッパーをかける。

ショコラは新鮮に思ったが、赤緑ソシアルナイトの二人を見てピーンときたファイアーエムブレムユーザーもいるだろう。

その後、頑丈な鎧を身に着けた重騎士(アーマーナイト)が言った。少年ゆえ、顔はあどけないが、そこからはなぜか、誠心誠意が伝わってくる。

「あ、ショコラ様、はじめまして。僕はフラーマ。入隊したての重騎士。いつかはパフお姉ちゃんみたいな立派な重騎士になりたいから、よろしくね」

最後に、弓を持った少年が、こう言った。

「はじめまして。ぼく、アルヴィス・キャラットだよ。がんばるからね」

彼らの自己紹介が終わると、女王が言った。

「ショコラ。あなたは、この5人とカプチーノ、そしてお目付け役のゲマとともに戦うのよ。あと、途中で仲間もやってくるからね(お約束)。あと、地球ではショコラはデ・ジ・キャラット、カプチーノはプチ・キャラットを名乗ってね。それじゃあ、初陣がんばってね〜」

こうして、女王の重大発表は終わった。

「やっぱりゲマもいっしょじゃないとデ・ジ・キャラットらしくないゲマね。いくら地球が中世チックだろうと、ゲマはショコラさまについていきますゲマ」

ゲマがつぶやくと、ヴィエラは言った。

「ショコラさま。今すぐ町外れへ向かいましょう。今にも山賊が町外れを襲っているはずです」

ショコラは、ヴィエラの言葉を受け止めると、こう言って、町外れへと向かった。

「町外れの山賊を討伐するにょ!」

 

所変わって、デ・ジ・キャラット城下町の外れ。

そこには、グラードという山賊団の親玉がいた。

彼は、デ・ジ・キャラット王城の城下町の外れを縄張りとしている山賊の親玉である。

「ガッハッハ! 町外れなら、誰もかかってこねーだろー!」

彼がそういうと、部下が走ってきた。

「グラード! なんか、レイピアを持った美少女がこっちに来るぞ!」

レイピアを持った美少女…彼女は、紛れも無く、デ・ジ・キャラット星王女、ショコラであった。

「何だと!? くそ……、やっつけちまえ!みんな、かかれ!」

グラードの部下である山賊たちは、ショコラの軍に立ち向かった。

「にょ……!」

ショコラは、一瞬、不意をつかれてしまった。

しかし、カプチーノが斧をふりまわし、ヴィエラとユーナ、それとラスティが剣を一閃させる。フラーマも槍で応戦するも、ならず者は斧の幅広な刃を盾代わりにしながら、反撃の機会をうかがっている。

槍は剣や斧と比べてリーチが格段に長い。これは戦闘……特に集団対集団の戦争の場合、もっとも重要視される部分である。戦争で大多数を占めるのは兵士であり、フラーマは訓練を受けたばかりの新人兵士である。職業軍人とは違い、争いごとになれていないのである。とくに、新人であるフラーマにとってはなおさらだ。

新人のフラーマは、槍を使うアーマーナイトだ。槍は、敵から離れて攻撃できるので、ほかの武器に比べて安心感があり、また同じ技量の者同士の戦いでは圧倒的有利である。

だが懐に入られてしまうと無力だ。長いリーチが災いし、防御の姿勢が整う前に敵の一撃を浴びてしまう。

油断したフラーマは、危うく攻撃を受けそうになった。しかし、その瞬間、矢がフラーマの鎧をかすめ、ならず者に直撃した。

アルヴィスの弓によるとどめの一撃である。

「ありがと、アルヴィス」

「お礼はいいよ。とにかく、あとは親玉だけだよ」

ショコラに襲い掛かってきた山賊は、ヴィエラたちの手により一掃された。

「何……!」

グラードが部下を気遣っているうちに、ショコラはグラードの目前に迫っていた。

彼女は、レイピアの先をグラードに、向けた。

そして、グラードと少女、二人の影が交錯した。

城下町に、ショコラのレイピアが閃いた。

グラードは二歩、三歩、よろめくように歩いたのち、

「な……ん…だと………」

最後の言葉とともに崩れ落ちた。

ショコラは、その場に座り込んだ。

「ショコラ!大丈夫かにゅ!?」

ショコラは、カプチーノの呼びかけに答えた。

「…カプチーノ…大丈夫だにょ……。これが…戦……、武器を振るい、相手を倒さなければ生き残れないにょ…」

「ショコラ様。これから大変なことになりそうですね」

ヴィエラはそう言った。

「そうだにょ……。地球は…もっとひどいかも知れないにょ。でも、あたしは、地球でもがんばるにょ!」

ショコラが意気込むと、彼女と彼女に同行する兵たちは、次の場所へと向かうのだった。

 

続く。

 

 

次回予告

 

うさだヒカル。貧しい両親を救うべく、傭兵という過酷な職業に就いた女性。

雇われて、契約金をもらい、両親のために役立てる。そういう日々を過ごしていた。

しかし、ある暗殺集団に雇われたことを機に、彼女の運命の歯車は、静かに回り始めるのであった………

 

次回 うさだ編 第1章「運命の加入」

 

 

 

 

あとがき。

ちょっと「ファイアーエムブレム烈火の剣〜封印の剣 エレブ動乱 上」(スクウェア・エニックス)より一部抜粋してしまいました。キャラクターイラストは、アナログでも描いていますが、CGは時間がかかりますし、オリジナルキャラクター以外にも、デ・ジ・キャラットキャラクターとFE聖魔のシレーネも衣装はオリジナルデザインだし、FE烈火以外のキャラクターすべてにイラストを用意しています。それらをあわせると莫大な数になってしまいます。(FE烈火より登場しているキャラクターは「ファイアーエムブレムキャラクターズ 封印の剣と烈火の剣」(集英社)などを見ればわかります。ただし、年齢は変えてあります。ライナスは烈火では20代ですが、本作ではあくまでも19歳ですから。)スキャナがあればなあ……

それは、さておき。

今回は、デ・ジ・キャラット星だけでした。FE烈火との本格クロスは次回となります。5章まではでじこ編とうさだ編が独立しています。6章から合流します。でじこ編は6章、うさだ編は1章からFE烈火とクロスしています。次回は、うさだ編の第1章です。みなさん、お楽しみに!

ちなみに、本作の地球は、今までのあきはばらがあった世界ではありません。たぶん、秋葉原は存在しなく、戦に満ち溢れ、ケータイやパソコン、冷房もないような、中世チックな世界だと考えてください。そのなかで、衣装があまり従来シリーズから変わってないうさだは、本作の中世を彷彿とさせる地球としては珍しく、近代的と言えるんじゃないでしょうか。

では、これにて。

 

 

追伸。

ロイドとライナスの公式イラストだけは載っている本(FEキャラクタアズ除く):「ファイアーエムブレム 烈火の剣 プロフェッショナル」(集英社)

ライナスの公式イラストだけはある本(上記除く):「小学館ワンダーライフスペシャル 任天堂公式ガイドブック ファイアーエムブレム 烈火の剣」(小学館)

です。

ちなみに、ファイアーエムブレム 烈火の剣の公式ページ(任天堂)にも、ロイドとライナスの公式イラストが見られます。ここです。