Legend of Di Gi Charat

 

〜レジェンド・オブ・デ・ジ・キャラット〜

 

 

風が吹くサカ草原…

その中に、女性は立ち尽くしていた。

うさみみが特徴的な女性が……

うさだヒカル。貧しい両親を救うべく、傭兵業という危険な仕事に就いた、19歳の女性。

14歳まで変身を繰り返していたが、15歳になって、傭兵になったとたん、変身を解除しなくなった。

なぜなら、この女性のチャームポイントは、うさみみそのものなのだから………

女性は、雇われ先へと向かう。サカ草原を越えて、雇用主がいるベルン王国へと。

 

 

 

うさだ編 第1章「運命の加入」

 

 

 

「ここが……、ベルン王国………」

うさだは、ベルン王国にたどり着いた。

不意に見上げた空には、竜騎士たちが飛び交っている。

険しい山々に囲まれた地形のせいだろう。

うさだは、ベルンの店で、必要なものを買い揃えた。

「傷薬の予備も買ったし、干し肉やホロート(乾燥チーズ)もOK。買い逃しはないわ。あとは、雇用主の黒い牙の所に行くだけね」

彼女は買ったものを確認すると、雇用主のアジトへと向かった。

 

季節を問わず雪が残る山の山頂付近。

そこに、うさだを雇った暗殺集団(義賊)【黒い牙】のアジトが建てられている。ちょっとした砦のような外観をしたその建物は、白に統一されていて、周囲に積もった雪にとけ込み遠目にはまるでそこに建物など存在していないかのようだった。

そのアジトの中。ランプの灯りと暖炉の火で照らされた一室に、うさだの雇用主である男はいた。

アゴには無精ヒゲ。金髪は男性らしく(?)短く整えられている。端正に整った面差しをしていて、長身で細身の身体を持っている。

彼こそが、うさだを雇った男性、ロイド・リーダスである。

彼もまた、うさだを待っていた。

「うさだヒカル……。まだ来ないのか。ここは、気長に待つしかないな」

一方で、うさだも、【黒い牙】のアジトに向かっていた。

「ここかしら………。【黒い牙】のアジトというのは」

ロイドは、女性の声を感じ取り、確認のため外に出た。

「……うさみみ……? もしかして……うさだ…ヒカル…なのか………?」

うさだも、男性の声を感じ取り、その声のもとへと向かった。

「あなたが………ロイド・リーダス……なの……?」

ロイドは、自分の元に近づいてくるうさみみの女性をうさだと確信した。

「ああ。お前が………うさだヒカル………だな?」

うさだも、自分に呼びかけてきた男性を、雇用主のロイドだと確信した。

「……ええ。わたしが、うさだヒカルよ。もっとも、ラ・ビ・アン・ローズって呼んでくれたら幸いだけど」

ロイドは、うさだが名乗ったラ・ビ・アン・ローズと言う名に一瞬疑問を覚えたが、それでも彼は、彼女をうさだだと確信した。

「そうか……なら、ラビアンって呼んでもいいか?」

うさだは、ロイドがわかってくれたと感じ、潔く了承した。

「ええ。ラビアンって呼んでくれるなら、わたしはうれしいわ。でも、恋人な関係になったら、うさだでも……」

二人がいいムードで話し合っているときに、突然、もう一人の男が現れた。

ロイドよりも頭一つ身長が高く、痩身のロイドと違い鋼鉄のような筋肉を持っていた。

「大変だ! 兄貴! 俺がちょっと外の様子を見てみたら、外にならず者が…!」

巨体の大男の言葉を聞くと、ロイドはつぶやいた。

「ならず者か……。この辺では珍しいな。こんなところにもならず者が来るとは……」

うさだは、ロイドのつぶやきに、なぜか返答した。

「いや……、山なんだから、ならず者とか山賊がいても当然じゃないの?」

巨体の大男は言った。

「とにかく、まずはこいつらをおっぱじめようぜ! 俺はライナス・リーダス、19歳! ロイドの弟だ! これからよろしく頼むぜ。傭兵!」

うさだは、ライナスと呼ばれた青年にも、好感を覚えた。

弟にしては、身体が大きすぎる……。見たところ、2メートルくらいもあるのに、ロイドの弟、それも自分と同い年…。ロイドよりも乱暴な口調……。うさだは、頼りになりそうだと、心の中で、思った。

しかし、自分のことを「傭兵」と呼んだことに気がくわず、思わず自己紹介してしまった。

「傭兵って何よ。わたしには、ちゃんとうさだヒカルっていう名前があるの! できればラ………」

「うさだか。じゃあ、よろしくな、うさだ!」

自分のことを「ラ・ビ・アン・ローズ」っと呼んでほしいのにもかかわらず、ライナスはそれを聞かずして、気さくに「うさだ」と呼んだ。

「………じゃあ、うさだでいいわ。ライナス。さっさとならず者を退治しましょう!」

 

戦いは小一時間とかからず終結した。

槍を美しく振り回したうさだ、素早い剣技で敵を圧倒したロイド、力技で敵をなぎ倒したライナス。

戦が終わったかと思えば、うさだの後ろに、野太い声が響いた。

「…お前が…うさだヒカルか……」

うさだが振り向くと、そこには顎に虎髭を生やした、サカの衣服に身を包んだ厳つい男がいた。おそらく、民族衣装を見る限り、ジュテ族だろう。

「あなたは?」

うさだが質問すると、男は答えた。

「俺は【黒い牙】のウハイ。これからよろしく頼む」

うさだが答えようとすると、また別の男の声がした。

ウハイとは違い、お気楽な感じか受け取れる。

「ふ〜ん。お前が新入りねぇ?」

うさだは、またもや振り向いた。

年齢は20代後半くらいだろうか。長い髪を前髪と一緒に後ろに垂らし、黒いバンダナを着けている。左目には二筋の刀傷があり、彼が平凡な日常を送ってきていないことの証拠になっていた。

「オレは【疾風】のラガルト。これから仲良くやろうじゃないか。よろしくな」

「はい」

うさだがラガルトに答えると、巨体の男性の予感を感じた。

うさだが三度振り返ると、今度の男はかなりの巨体だ。40代くらいだろうか。

ロイドとライナスは、その男に対して、「親父!!」と言った。

うさだは、緊張しながら、改めて自己紹介をはじめた。すると、男は答えた。

「お前がうさだヒカルか?」

立派なひげをたくわえた、ライナスよりも巨体の大男は、いかつい顔に反した口調で答えた。

「俺は、【黒い牙】の首領。ブレンダン・リーダス。これから、みんなとよろしく頼むぞ?」

「は……はいぃっ!!」

緊張して答えたうさだ。5人は、傭兵に過ぎないはずのうさだを、【黒い牙】の立派な一員として迎え入れたのだった。

 

続く。

 

 

次回予告

 

進軍を続けるショコラ(でじこ)軍。ちょっと休息に立ち寄ったはずの村が、突然、ならず者に襲われる。

戦いは、かなり厳しかった。そのとき、新たなる仲間が………!

 

次回 でじこ編 第2章「騎士の誓い」

 

 

 

 

あとがき。

とうとうレジェンド・オブ・デ・ジ・キャラットがファイアーエムブレム烈火の剣の黒い牙(古参)とコラボりました。でも、でじこ、ぷちこはまだ出てきません。まだうさだだけです。

従来のデ・ジ・キャラットでは、ラ・ビ・アン・ローズのうさだは、「うさだ」と呼ばれるのを嫌っています。しかし、今回のうさだは、変身を解除しません。常にあの姿なのです。ですから、一部の人間には、「うさだ」と呼ばれても構わないのです。

ブレンダンの性格も壊れていますが、ゲーム(FE烈火)本編でのブレンダンは、ネルガルの部下であるソーニャに操られていたころなのです。ですから、あれが真の性格と考えています。ちなみに、今回のブレンダンは、ソーニャとは別の妻がいます。ちなみに、妻は出ないのかオリキャラとして出すのか悩んでます。

それでは、これにて。