Legend of Di Gi Charat

でじこ編 第2章「騎士の誓い」

 

 

 

 

ここは、地球より遠く離れた星、デ・ジ・キャラット星。

この星の王女ショコラと、養女であるカプチーノ、それにお目付け役の非人間型デ・ジ・キャラット星人ゲマと、王女達を守るべく、正規に武勲を受けたデ・ジ・キャラット騎士団は、ショコラを指揮官として進軍を続けていた。

そろそろつかれてきたため、すぐそこにあった村で休息を取ろうとしたのだが…。

 

 

「にょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。のんびりにょ〜〜〜〜〜〜〜」

早速ショコラは休息モードである。「にょ〜〜〜〜」と、完全シリアスではこんなに伸ばすことは無いだろう。さすがはオールジャンル。

「ショコラ、何言ってるにゅ。こんな時にもパトロールは必要だにゅ。カプチーノは、ゲマと真面目な騎士団と一緒に見張っているにゅ」

流石は真面目な少女。デ・ジ・キャラット星のロードは国王の実子よりも、養女の方が真面目である。

「!! 大変だショコラ様! 小さくなってる場合じゃねえ! 山賊がすぐそこまで来てるぜ!」

「にょ?」

ラスティの言葉を聞いたショコラは、すぐさまもとの大きさに戻った。

そう。ラスティの言うとおり、彼の眼中には山賊が見えた。そのため、指揮官たるショコラに報告したのだ。

「え!? 山賊!? ……よーし、かかってきなさい!」

ユーナは、幼馴染でもあるラスティに呼応するかのように、剣を構えた。他の者たちも、だらけているショコラと戦えないゲマを除いては、全員が槍なり弓なり剣なり構えて戦闘態勢に入っている。

「にょにょ!? これは大変なことになったにょ! 全軍、出撃だにょ!」

とうとうショコラが指令を出した。しかし、数では圧倒的に、山賊団の方が勝っていた。その数、実に20人。ショコラ軍の約3倍である。

「にょにょにょ!!? まるで歯が立たないにょ!!」

それもそのはず、その中にはショコラの乳姉妹であるミ・ケ・キャラットが、必殺が出やすい「キルソード」(そのまんま)と呼ばれる剣を構えて、ショコラと剣を交えていたのだから(本作ではでじこが実子、ぷちこが養女、りんなとみけが乳姉妹ということになっている)。

「にょ……アンタはもしかして……あたしの乳姉妹であるみけかにょ!?」

「……みゃ!!! しまったみゃ! 敵対するとは知らず、ついつい山賊傭兵団に手を貸してたみゃ〜〜〜! ショコラ様、今すぐ寝返るから許して欲しいみゃ!」

乳姉妹であるみけの真っ直ぐなまなざしと、シリアスモードなみけの一生懸命な気持ちに、ショコラはレイピアを鞘に収め、みけの手を取った。

「やっぱり、みけは何処かが抜けてるにょ。寝返るなんて、しょっちゅうあるにょ。だから、いまからショコラについてくが良いにょ!」

「本当かみゃ!? それじゃあ、いっくみゃ〜〜!」

みけも、ショコラの説得により山賊傭兵団から寝返った。そしてまた、寝返った彼女も、手持ちのキルソードで山賊を斬り倒していった。

しかし、不意にも後方に待機していたアルヴィスが狙われてしまった。

アルヴィスのような弓使いは、近づかれるとどうにも出来ないのだ。

しかし、そこにみけが助太刀し、アルヴィスを襲った山賊を斬り倒した。

「大丈夫かみゃ?」

「みけ……」

ただでさえ助かったのに、みけは心配までしてくれた。それもそのはず、みけは竹を割ったような性格の裏は、涙もろく人情に厚い少女剣士なのだ。

「うん……。僕は大丈夫…。それより、ショコラ様は?」

「敵将のところへ向かっているみゃ」

「そっか。じゃあぐずぐずしてられないね。僕達も行こう」

こうして、二人もショコラのもとへと向かった。

 

山賊傭兵団の部隊長:バドンは、砦の門に居座っていた。

しかし、バドンの作戦も、ショコラ達にやすやすと突破されてしまった。

残るは彼、バドンだけだ。

しかし、バドンは余裕の表情を浮かべていた。

何故ならバドンは、デ・ジ・キャラット騎士団のフラーマよりもやや厚い鎧を着こなしていた。そのため、受けるダメージは少なくてすむ。

槍を装備しているため斧が有利になるが、あいにくショコラ軍には斧使いがいない。

そんなバドンは、ショコラ軍を見るやいなや、挑発を始めた。

「おいおい、おまえらがショコラ軍とか言うやつか? おもしろいじゃねえか。俺の鎧は厚いし、斧使いも居ない。そんなお前らが、俺に勝てると思うなよ!」

バドンの槍が炸裂した。ラスティやユーナも槍で立ち向かうが、バドンの表情は依然挑発気味である。

アルヴィスの弓も跳ね返され、みけの素早い剣技も通じない。

ショコラ軍は、早くも絶望のふちに立たされようとしていた。

その時だった。

後方から、火球が飛んできて、バドンに直撃したのだ。

「これは……、もしかして、魔法かにょ!?」

そのまさかである。

その火球は、紛れも無く精霊魔法によるものだった。しかも、後方の人影は、思いも寄らない人物のものだった。

「りんなもクライズ師匠直伝の精霊魔法が使えるみゅ〜。ショコラ〜、わたしもいっしょに戦うみゅ〜」

「お前………、間違い無くりんなだにょ…」

りんなこと、リンナ・キャラット。ショコラは、彼女が今の魔法を詠唱したとは、思ってもいなかった。

おっとり、のんびりしていて、お菓子作りが得意だが他力本願で、疲れるとすぐに眠ってしまう、あのりんなが、まさか精神力を激しく消耗する魔法の使い手として、自軍に参戦するとは。

しかし、魔法は魔法で精神力の消耗が激しいらしく、りんなの顔にも疲れが出ている。

そして、彼女はそのまま、戦場で眠ってしまった。

しかし、今の魔法でバドンは大ダメージを負った。

どんなに強固な鎧を身に着けていようが、魔法にかかればそのようなものは関係無い。

バドンは、魔法の抵抗が少ないため、今のりんなの魔法で大打撃を受けたのだ。

そこに、ショコラのレイピアの閃きと、カプチーノの宝物である精霊の斧:リル・ディアリィの刃が、バドンに止めを刺した。

「くそぉ……、まさか魔道士が来るとは……」

 

ショコラは、砦を制圧するやいなや、落ち着いたのか、またギャグモードになってしまった。

さっきの戦いでファイアーを詠唱し、精神力を激しく消耗したりんなも、依然眠ったままである。

「にょ〜〜〜〜〜〜〜〜。これで山賊傭兵団もいなくなったし、休息にピッタリのひとときだにょ〜〜〜」

「よし。もう山賊傭兵団はいねぇみたいだな」

赤い鎧の冷静青年、ラスティは、山賊傭兵団の残りがいないことを確認した。

「ラスティ。な〜に真面目にやってるの? アタシはショコラ様と一緒に休んでるからね」

ショコラ軍は、休息のひとときを味わっていた。

そのとき、ショコラの母から連絡が入った。

『ヴィエラ。そっちはどう?』

「あ、女王様。異常ありません。どうかしたのですか?」

女王とヴィエラは、連絡をし合った。

「え………、地球…ですか?」

『ええ。ショコラのためにも、戦乱中の地球に行って、地球の戦の中で成長させようと思ってるの。だから、今からエルバートに頼んでUFOをショコラのところに届けるわ。もちろん、エルバートはそのまま合流ね』

「はい。女王様、ヴィエラ・キャラット、感服いたしました」

ショコラはまだ休息モードだ。そのとき、女王が言っていた、エルバートという男が現れた。

「ショコラ様ーーーーー! UFOを持ってきましたよー!」

見るからにお気楽そうな男である。もっとも、UFOを持っているようには見えない。

「にょ?」

「ショコラ様、女王様の命令で、地球に行くことになりました。俺は女王様の命令で来た、エルバート・キャラットです。今、UFOを展開します」

エルバートは、そう言うと、ポケットに忍ばせておいたなにかを投げた。

すると、そのなにかは次第に膨張していき、最終的には猫のようなUFOになった。

そう。エルバートは、携帯UFOを持っていたのだ。

「にょにょにょ〜〜〜! なにかが一瞬にしてUFOになったにょ!」

「ショコラ様、俺達はこのUFOに乗りこみ、地球へと向かいます。ショコラ様は、戦乱の地球で、更なる戦の中で経験をつんでもらいます。……ヴィエラ、どうかしたのか?」

「う…、ううん、何でも無いわ。ただ、地球に思い入れがあるの。私は…、いや、言わない方が良いわ」

ヴィエラは、とある事故によって、デ・ジ・キャラット星にやってきた地球人だった。

地球人でありながらデ・ジ・キャラット星人として生活していたヴィエラにとって、11年ぶりの、思いも寄らない帰郷となるのだった。

地球に戻ってくる期待と不安。胸にわだかまる気持ちを押さえつつヴィエラは、ショコラを守るため、非常に意外な形で地球に舞い戻るのだった。

「マールバラ……。いま、帰るからね」

「なに独り言を言ってるゲマ! UFOで地球に向かうゲマよ!」

「いざ、地球に出発にょ〜〜!」

こうして、ショコラ軍は、地球へと旅だったのだった。

 

続く。

 

 

次回予告

 

暗殺集団(義賊団)【黒い牙】の一員として、今日も極悪貴族(と、それに心から共感している奴らだけ)を暗殺していくうさだヒカル、19歳。

そんな黒い牙に、今日も弱者を食い物にする貴族の暗殺依頼が舞い込むが……。

 

次回 うさだ編 第2章「『牙』の任務」

 

 

 

 

 

 

あとがき。。。

らしくなって来ました。マールバラと言うのは、ヴィエラの弟の名前です。今回も戦乱が見えています。こんかい、エルバートが初登場しました。エルバートは盗賊ですが、デ・ジ・キャラット星のれっきとした密偵です。

では、次回をお楽しみに(短いね、後書き)