いつかの時代(少なくとも100年くらい前っぽい)。地球。その何処かにあるエレブ大陸の、東方の王国、国王デズモンドが統治するベルン王国。
その中の険しい山々の中にある、彼らのアジト。
彼らは、極悪貴族(だけ!)を暗殺し、民から義賊と呼ばれている暗殺組織。
その名は、【黒い牙】。
この物語は、暗殺組織【黒い牙】の一員として闘う、一人の女性と、その仲間達の物語である。
Legend of Di Gi Charat
うさだ編 第2章「『牙』の任務」
ランプの明かりで照らされている、アジトの中。
【黒い牙】の6人は、そこで打ち合わせしていた。
【白狼】の異名を持つ剣の使い手、ロイド・リーダス。
【狂犬】の異名を持つ大剣をかまえる大男、ライナス・リーダス。
【疾風】の異名を持つ盗賊、ラガルト。
【飛鷹】の異名を持つ、ジュテ族の遊牧民、ウハイ。
暗殺組織(義賊)【黒い牙】の首領で、ロイドとライナスの父。ブレンダン・リーダス。
そして、【雪兎】の異名を与えられた、うさみみが印象的な女性、うさだヒカル。
今日も6人は、極悪貴族の暗殺計画を立てていた……。
「さて、今回は、税金を自分の娯楽のために使う極悪非道の貴族、ハルメッツ侯爵のヴォルスの暗殺計画だが…」
ハルメッツ侯爵ヴォルス……。
彼は、ベルンの小さな村の集まりを統治し、彼らから取った税金を自分の娯楽のために使用している、悪名高いベルンの貴族である。
確かに、彼が居なくなれば、ベルンの者達も助かるだろう。
「そんな奴、市民の気持ちをわかってないじゃない!」
ブレンダンの言葉に、うさだは思わず本音を叫んだ。そこに、ロイドが口を挟むようにこう言った。
「ラビアン。俺達【黒い牙】はそのような貴族を暗殺するのが専門だ。だから暗殺するんだろう」
「あー」
一瞬、アジト内にギャグな雰囲気が漂った。なによりも、うさだのボケが原因だった。
「……おいおい新入り、傭兵のクセにそのボケはねえだろ? ま、俺は義賊っつーよりどろぼうだけど。どろぼー、どろぼー、ぼくらはとろろー、トロンボーン、どろぼー。」
また、ギャグな雰囲気が漂ってしまった。今度はラガルトのシュールな台詞である。
そこの、今度はウハイのツッコミがはいった。
「俺は誇り高きサカの戦士ゆえ、嘘はつかない。だから、任務を遂行する」
まあ、お世辞にもツッコミとは言えないかもしれないが……。
「よし、そんじゃあ、ガンガン行くぜ! 親父の言うことだから、絶対遂行だ! いくぜ、ラガルト! ウハイ! 兄貴! うさだ!」
「ライナス、お前が仕切るところじゃないだろう」
「さーて、お宝ねえかな……」
「……任務は遂行する。それだけだ」
「………。まあ、早速の任務ね。がんばらなくちゃ!」
こうして、5人の【牙】は、さっそくハルメッツ侯爵領へ突入した。
ここは、ハルメッツ侯爵領の村。
ハルメッツ侯爵ヴォルスは、村人から取った税金で、娯楽の限りを尽くしていた。彼にとって、極楽気分である。
しかし、市民からすれば、彼に対する怒りはおさまらないのだ。
「ったく、何で俺達、ハルメッツ侯爵領に居るんだよ……。ったく、さっさと飛び出そうぜ」
「でも……、ヴォルスは、私達を出してくれません……」
「くそっ、誰か助けてくれ……」
ヴォルスへの不満を嘆く村人。しかし、ヴォルスは一行に、彼らの意見を聞く気は、もうとうない。
「はーーーはっはっはっはっは! これでわしは極楽じゃ!」
村人に極悪非道の限りを尽くした上、自分は村人から取った税金で娯楽を楽しむ始末。まあ、とりあえずアーマーナイトとしても有能だけど。
村人達の怒りは最高潮。そのため、侯爵の暗殺を【黒い牙】に依頼したのだ。
「がっはっは! 超ラッキーじゃい!」
しかし、ヴォルスの極楽気分も、そう長くは続かなかった。
「そこまでよ!」
何処からともなく、女性の声がした。
「何者だ!」
警戒態勢に入るヴォルス。彼の目の前には、5人の人影があった。
「【白狼】! 高速剣士、ロイドーーーーーーー!!(ビシイッ!!!)」
「【狂犬】! パワー派傭兵、ライナーーーーーーーーース!!(シュタッ!!!)」
「【疾風】! 俊足盗賊、ラガルトーーーーーーーーー!!(ババンッ!!!)」
「【飛鷹】! 寡黙遊牧民、ウハーーーーーーーーーイ!!(シャキィン!!!)」
「【雪兎】! うさみみの妖精、ラ・ビ・アン・ローーーーーーーーーーズ!!(シュバッ!!!)」
『五人揃って、義賊戦隊ブラックファーーング!!!!(ドカーーーーン!!)』(背後に七色の爆発)
なんとそこには色とりどりのポリマースーツに身を包んでこそいないが、ヴォルスを暗殺しに来た5人の【牙】がいた!!
「な、なんだーーー!?? わしの娯楽の邪魔をしおって! ぶっとばしてやる!」
「祈りな、それくらいの時間はやる。おまえがこれまでやってきた悪事を…。悔い改めて、眠」
(しっ)
(ぁんだよ、ラガルト)
(ライナス、これ以上追い詰めてどうするんだ? しかもこれ、知る人ぞしる天丼じゃねえか(ファイアーエムブレム 烈火の剣のエリウッド編23章そにょ2、ヘクトル編24章そにょ2参照だにょ))
(くそっ、本編の言葉をまた言っちまった……兄貴)
(ここは、新入りのうさだに任せよう)
(同感)
「え? わたし!?」
「行って来い、ラ・ビ・アン・ローズ!」
5人がもめていた時、ヴォルスはすでに戦闘準備を完了した。流石は極悪非道。
「でも、これだけのかず、わたしが相手にするのはちょっとアレかと思います。みなさん、手伝ってください」
あーあ、ヴォルスはもう兵を配置して、戦闘モードに本格的に入っちゃったよ。どうする、義賊戦隊、ブラックファング!
「どうするんだ、ウハイ?」
ロイドがウハイに問い掛けた。
「俺に聞かれてもな……。とりあえず、みんなでかかれば良いんじゃないか?」
ウハイの答えに、うさだは賛同した。
「よーし、それじゃあ、一気に行くわよみんな! とうッ!」
5人は、一斉に飛びかかり(ウハイは人馬一体の弓攻撃だが)、兵を瞬く間に蹴散らした。流石は黒い牙の暗殺者。
その状況を見てか、ライナスはつぶやいた。
「兵が一気に減ったな。兄貴。流石だよなおれら」
(しっ)
(ぁんだよ兄貴、天丼じゃねえかこりゃあ)
(ライナス。そのセリフは2chの流石兄弟のパクリだろ)
(あう……)
……………………(汗:笑)。ともかく、残る敵はハルメッツ侯爵ヴォルスのみ。彼さえ暗殺すれば、ベルンの小さな町に平和が戻る! がんばれ、【黒い牙】、負けるな、義賊戦隊ブラックファング!
「くっ……。負けるわけにはいかんのじゃい! ワガハイが一番偉いんじゃい!」
ヴォルスは、とにかく槍を構えた。しかし、僕らの【黒い牙】は、すでに死角に回っていた!
「【牙】の名において、死の裁きを下……、……」
うさだは、止めを刺そうとした。しかし、一瞬、躊躇(ためら)ってしまった。
わたしは傭兵。
わたしだって、もう19歳よ。大人なのよ。
だけど……。人を殺すのは……。
うさだは、悩んでしまった。
その時、ロイドはうさだの近くに寄り添い、止めを刺すことを促した。
「悩む必要は無い。俺達は暗殺者だ。たとえ、傭兵であろうと、お前は仲間だ。さあ、止めを刺せ」
「でも……、でも………!」
まだ躊躇(ちゅうちょ)するうさだ。しかし、この後のロイドの言葉が、やっと彼女を決心させた。
「何だ。急にためらって。さっきまで、敵兵を殺していたじゃないか」
「ぁ………」
確かに、うさだはついさっきまで、ザコの敵兵を、仲間と共に殺してきた。しかし、何故敵将になってためらうのだろうか。なぜボスになって躊躇するのだろうか。
ザコであろうとボスであろうと、敵であるのは同じである。なおさら、ヴォルスは村人に残忍非道な行為をした張本人だ。
むしろ、ヴォルスこそ、暗殺しなければならない存在なのだ。
「分かっただろう。ラビアン。さあ、この槍で止めを刺すんだ、早く」
ロイドのその言葉が、うさだを、決心させた。
「……分かったわ。【牙】の名において、死の裁きを下すわ。……覚悟して」
そう言うとうさだは、ヴォルスに槍を向けて、彼の胸を、貫いた。
「…ぐ……ヴぁ」
こうして、ハルメッツ侯爵ヴォルスは最期をとげ、村人、そして村に平和が訪れた。
次の日
【黒い牙】の5人は、元・ハルメッツ侯爵領を訪れた。すると
「【黒い牙】のみんなだ!」
「この人達のおかげで、村に平和が訪れたわ!」
「きゃーーーーv イケメンキターーーーーー(°∀°)ーーーーーーーーーーーー!」
村のうら若い女性たちは、ロイドのもとに駆け寄り、握手なりした。
「なっ………」
「うわ、兄貴ーーーーーーーー!」
村のオタクっぽい男たちも、うさだの元に駆け寄り、萌えを堪能した。
「俺達はうさ耳女に萌え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「ちょ………、もう、うっとうしいわね!」
そして、村長からは、報酬を貰った。
「この村を救ってくれたせめてものお礼じゃ。受け取ってくだされ」
つらぬきのやりを手に入れた。
うさだのためらいもあったが、任務は成功に終わった。
これからも頼むぞ、【黒い牙】、頑張れ、義賊戦隊ブラックファング!
「って、今回の最後はギャグっぽいノリで終わるのかい!」
「まあまあライナス、本作はシリアスあり、ギャグあり、ほのぼのありのオールジャンルなんだから。でも、義賊戦隊…か。ギャグっぽいけど、楽しいからいいかもね」
つづく
次回予告
ついにデ・ジ・キャラット星を後にし、地球に旅立ったショコラ軍。
しかし、ショコラ軍ののっているUFOに、ブラックゲマゲマ団が侵入して来てしまった。
だが、ブラックゲマゲマ団によって創られた【モルフ】の少女がショコラ軍に干渉したため、ついにはUFOの中での攻防戦になってしまう。
次回 でじこ編 第3章「いざ、地球へと」
んで、あとがき。
オールジャンルの本性発揮でしょうか。今回は、うさだ含む【黒い牙】の5人が、なんと、『義賊戦隊ブラックファング』として、ヒーローチックに決めちゃいました。この要素はもうギャグですね。ちなみに、『黒い牙』だから、『ブラックファング』です。
さて、シリアス、ギャグはありました。ほのぼのはあるんでしょうか。(笑)とにかく、次回をお楽しみに!