―――後は任せた

行くな。あいつらにはお前が必要なんだ

―――頼んだよ、親友

こんなときばっかり親友扱いしやがって

―――ん〜、でもやっぱレスターじゃ心配かなあ

なっ!お前という最大の頭痛のタネが消えるんだ。むしろ心が軽いくらいだ!

―――じゃあ問題無いだろ?よろしくな

いや、そうじゃない!おい、まて!タクト!

 

「タクト!」

自らの声で目が覚める。辺りを見回す。ここは、彼の自室だ。置いてあるものはすべて支給品であり、模様替えなどもしたことが無いのだろう。生活臭の薄い、まさしく『執務室及び仮眠室』といった感じの部屋だ。そもそも、彼がこの部屋に戻ったこと自体いつ以来だったか。

彼、レスター・クールダラスは多忙だった。彼が司令官代理を勤めるエルシオールの雑務、起こる諸問題をほぼすべて執り仕切り、引き連れている艦隊の指揮・運営も任されている。数日前に『ヴァル・ファスク』との最終決戦を行い、戦闘後の処理にも未だ追われていた。

「猫の手も借りたい」という言葉がある。彼を副官としている司令官は誰よりも「勤勉」という言葉が似合わないサボり魔だった。けれど、こんな大変な時、いないよりはましである。猫の手並みに頼りたい、彼の唯一の親友でもある男は今・・・・

戦役中に年も明け、現在はトランスバール皇国暦413年。近衛軍衛星防衛艦隊所属、儀礼艦エルシオールは最果ての宇宙を5隻の軍艦を率いて進んでいた。艦隊司令官を欠いたまま―――

 

 Stellar Finders〜星探祭〜

            第1話 探しものは何ですか

 

「すまん、遅くなった」

ブリッジに入るなり謝罪の言葉を発してレスターはデータに目を通し始める。

「まだドライブアウトまでは1時間以上ありますからもっとゆっくりでも大丈夫ですよ」

ココが振り返って答えた。

「いや、予定よりも30分も遅くなった。定時に戻ってこないなら叩き起こしてくれと言っておいたはずだが」

「ようやくまともに睡眠時間の取れた人を起こせませんって!」

カップから湯気を立てたコーヒーを差し出しながらアルモが強く言う。

「上に立つものが定時の勤務時間くらい守れんでどうする。仕事はそれこそいくらでもあるんだ」

「またそんなこと言って。仕事ばっかりで自分のこと全然構わないんですから!倒れちゃったりしたらそれこそ大変じゃないですか!」

「む、それは・・」

レスターは少々面食らっていた。なんとなくいつもとアルモの剣幕が違う。有無を言わせず、といった感じだ。というか、怒っている・・のか?

起き抜けでまだ頭が回っていないせいでそう感じるのだろうか。そしてこの差し出されたコーヒーは・・・?

ほんの一瞬であるが考え込んでしまったレスターにアルモは半ば押し付けるようにカップを渡してしゃべりだした。

「ラウンジで淹れて貰って来ました。でもほんとはちゃんと休むのが一番なんですよ」

「あ、ああ・・」

正直まだ戸惑いを隠せないままカップに口をつけた。普段よりもずっと濃い。だが苦味が嫌みったらしくなく、豆の味がしっかりとして美味い。朝の目覚め用のブレンドなのだろう。インスタントのそれとは大違いなのが特に普段は味にこだわらないレスターにもわかる。

体の芯が温まり、頭が冴えてきて、心が落ち着いてくる。なんだか疲れて重くなった体も少し軽くなった気さえする。

「すまんな、ありがとう」

ふっとほころんだ顔でレスターは礼を言った。コーヒーのこと、気遣ってくれたこと。口下手な彼なりの精一杯の感謝の言葉だった。

アルモの顔が見る見る赤くなっていく。

「い、いえ!そんな!・・あっ!アタシもう交代でした!失礼します!」

さっきまでの勢いはどこへやら、少女マンガの定番よろしくの逃げ方をしてしまった。一目見れば恋心ばればれの奇行に、事情を良く知るブリッジの他の面々は『ああ、またか。アルモさんも大変だな』と半ば楽しんで見ている。が、行為を向けられている本人は

「なんなんだ急に?」

完全に疑問符を浮かべるばかり。それを見てはブリッジの面々が『ほんと大変だよな』と苦笑するのもいつものことであるのだが。そのあまりの進展の無さにココなど盛大なため息をついてしまう。なぜあれだけ頭の切れる人がこうも鈍いのか。

「アルモは、副司令が心配なんですよ」

「そうまで気を遣われるほどオレは無理をしているように見えるのか。・・・まだまだ未熟だな、オレも」

「そういうことじゃないんですけど・・・」

「?」

せっかくのフォローも相手がそもそも鈍すぎる。思わずもうひとつため息をついた。

「ドライブアウトまでまだありますし、なにか食べてきたらどうですか?健康に悪いですよ」

「いや、データ処理もあるし定時の休憩まで・・」

「副司令、今言ったように」

ココも珍しく強い口調でレスターの発言に割り込んで黙らせる。

「アルモも、アルモだけじゃなくて私たちも。副司令一人で仕事を背負い込んでるのが心配なんですよ」

気がつくとブリッジクルー全員がこっちを見ているではないか。

「自分たちでも出来ることはこっちでやっちゃいますから」

「前に副司令に残業手伝ってもらった分、いつでも倍返しできますよ」

「ほら、『あんな』・・でもマイヤーズ司令がいないんですから。もっと私たちを頼ってくださいよ」

口々に言う。中には司令官を上官とも思わない発言もあった気がしたが。

「みんな・・すまん。じゃあしばらく頼んだぞ」

ここまで言われたのではみなの好意を無にするわけにもいかない。レスターは肩をすくめて礼を言いつつ出て行った。

扉が閉まった途端にココがにやりと人の悪そうな笑みを浮かべる。

「よし、行った。アルモもご飯食べに行ってるはずだし、これで食堂で鉢合わせするはす。何か起こってくれれば・・・」

うんうん、とブリッジクルーの多くが頷く。

「アルモさんうまくいってほしいもんね」

「恋愛で悩んだりどぎまぎする副司令って見てみたいよな」

要するに、優秀なる副司令様はかっこいい台詞で体よくブリッジから追い出されたのであった。

 

 

アルモは惚けていた。先ほどのレスターの顔が頭から離れない。滅多に見られない彼の穏やかな微笑。更にそれが自分に向けられたことなど今までに果たして何度あっただろうか。

そして「ありがとう」の言葉。口が自然と笑いの形になってしまう。もう地に足がつかない。

「ちょっとアルモちゃん。つっ立ってないでさ。何にするんだい?」

「ふぇっ!?あっ、ごめんなさい。えっと、モーニングサンドセットで」

いつのまにか食堂で列に加わっており、おばちゃんの呼ぶ声ではっと我に返った。見ればもう自分の注文の番。すこし慌てて、結局はいつものメニューを選択する。

「どーしたんだい?いつに無くニコニコと嬉しそうに。いいことでもあったのならおまけしてあげようか」

「あっ、ううん。今日はいいんです。なんて言うか、もう胸がいっぱいって感じで」

「はは〜ん、さては副司令さんかい?」

「えええええええっ!?なな、何で知ってるんですか!?違いますよ!」

「・・・どっちだい」

いきなり図星をつかれ、真っ赤になって首を振るが、その反応はバレバレであった。思わず食堂のおばちゃんも笑ってしまう。

「最近副司令さんのこと名前で呼ぶようになったんだって?付き合ってるんじゃないかって艦内で噂だよ」

「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ!あ、アタシとレスターさんはまだそんな!」

「でもアルモちゃんは好きなんでしょ?副司令さんのこと」

「あう・・・」

おばちゃんのアルモを見る目は優しい。母親が娘の恋の相談を聞いているような、可愛くて仕方が無いと言わんばかりの穏やかな瞳をしている。

「ま、がんばんな。あたしは応援してるよ」

はいよ、とモーニングサンドがトレイの上に置かれる。

エルシオールの朝の定番のひとつ、モーニングサンドセット。その日の早朝に焼いたパンに10種類以上からなる具菜を自分で選んでその場ではさんで貰うメニュー。日によっては、例えば昨夜の残りの宇宙豚カツを挟んでもらえたり、簡単なものならその場でメニューに無いものをはさんで貰えたりする場合もあるために飽きが来ず、人気は尽きない。それに本日のスープとコーヒーがつく。通常の軍艦では考えられないような優雅な朝食。もちろんパンは耳付きか切るかも希望しだいだ。

今日アルモは何も言っていないが、おばちゃんは玉子サンドとハムレタスサンドを作った。アルモのいつも食べるサンドイッチである。もちろんおばちゃんの工夫が見えない所で光るスペシャルサンドになっている。

これこそが食堂のおばちゃん流の最大の「応援」であり、「愛情」であった。もっとも、それだけのことに気づく余裕は、今しがたの確信を疲れた質問で真っ赤になって慌てふためいているアルモには無かったのだが。

 

「あ〜、恥ずかしかったぁ。おばちゃん声大きいから・・」

まだ火照っている頬に手を当てながら、アルモはサンドイッチを一口ほおばる。

確かに自分はレスターのことが好きだ。「いつかは恋人」という目標も・・・あるにはある。しかし「付き合ってる」なんて艦内で噂されてるなんて。そんなこと意識したら恥ずかしくて目もあわせられなくなる。

(でもでもウワサされるほどアタシとレスターさんの仲っていい感じなのかなあ!?きゃ〜〜!)

(あ〜〜!でもこんなウワサもしレスターさんに聞かれたらどうしよう!)

(でもひょっとしてそれがきっかけでレスターさんが意識してくれたら!?)

食堂の隅、どんどん一人で赤くなったり青くなったりを繰り返すアルモの姿が一際目立っていた。

「隣、いいか?」

56回ほど赤・青を繰り返した頃だろうか。いきなり現実に引き戻される人の声。ちょっと恥ずかしさを感じながら振り返った。

「はっ、はい。どうぞ・・れれっ!レスターさんっ!?」

「うおっ!なんだ!?い、嫌なら席を外すぞ」

思わず大声を出してしまった。いきなりの事で目の前の想い人も驚いた顔をしている。

「す、すまなかったな。邪魔をして」

早々に立ち去ろうとしながらレスターは後悔していた。

まったくどうにも自分は不器用だ。あっけなく相席を嫌がられてしまった。

そういえば今までもアルモとは仕事のことばかり話していた。その自分が話しかければ当然仕事の話だろうと思うだろう。今は食事休憩だ。休憩にまで仕事の話はしたくないだろう。きっぱりと区切りをつけて休むのは大事なことだ。自分と話をしたくないのは当然のことだ。

と、なんともお堅い男らしい、男女の意識のかけらも無い思考を巡らす。

だから、遠ざかるレスターの足は速かった。

「ち、違うんです!ごめんなさい!」

慌てて言いながら、思わずレスターの裾を掴んでしまった。そうしなければ、あっさりと他の席に行ってしまうほど速かったから。

「ちょ、おいアルモ。わ、わかったから、離してくれ」

朝食の盆を持っていたため、手を使って外すことは出来なかった。出来たとしても振り払ったかどうかはわからないが。

アルモは彼からの言葉で初めて自分のやってることに気づき、既に真っ赤な顔を更に赤くする。

掴んだ手を離し、そのまま手を引っ込めもせずに固まってしまった。

「あ〜・・それで結局、隣いいか?」

もはや声が出ず、こくこくと頷く。

ここに至って、ようやく、二人の朝食が始まった。

そして、いっぱいいっぱいのアルモは気づかなかった。

少しだけ、レスターの頬に朱がかかっていた事に。だから、そのことは誰も気づかなかった・・わけでもなかった。

 

「時間がかかるねえ」

カウンターの奥、厨房から見ていたおばちゃんが笑いながらつぶやいた。

忙しい時間帯でないとはいえ、厨房の音は何かとうるさい。二人の話は聞こえはしなかったが、見ていて雰囲気は伝わった。もちろん彼のわずかな赤面も。

「なんだい、副司令さんもあんな表情できるんじゃないか。アルモちゃん、がんばんなよ」

2人とも、自分の子どもとそう変わらない年だ。毎日自分の作る食事を食べているという意味で、おばちゃんは母であり、エルシオールの乗組員は子どもなのだ。みな、分け隔て無く。だから、おばちゃんはいつも「幸せになってほしい」とご飯を作っている。忙しい最中を縫うようにして、食べる姿を優しく見守っている。母のように。

「おばちゃん、A定ひとつね」

「あ、ああ。A定だね。よし、おまけしちゃうよ」

また「あたしの子」が来た。だからおばちゃんは一度考えるのをやめた。目の前の子に精一杯の愛情を注ぐために。

視線は2人からさっとグリルに向かった、またいつもと同じように願いをこめて。

 

・・・・・沈黙が場を支配している。黙々と箸を動かすレスター。

レスターが食べているのは和朝食セット。

盆の上にはご飯、日替わり味噌汁、日替わりの焼き魚、宇宙漬物そして焼き宇宙海苔。宇宙玉子と宇宙納豆がご希望でつけられる。

厳選・・とまでは残念ながらいかなくとも新鮮な素材の味が生きており、とてもではないが他の軍艦では食べることなど到底出来ない。定番ではあるが、今日の味噌汁は宇宙豆腐に宇宙ワカメであり、焼き魚は宇宙アジの開き。これと言って誰かに主張したことはないが、和食はレスターの好みだ。

レスターは希望で付く食品はつけずに食べてしまう。玉子や納豆が嫌いと言うわけではない。「軍人は作戦行動中に贅沢をするべきではない」という彼なりの考えがあった。

それをタクトに言うといつも笑われた。

「せっかくいいもの食べられるんだからおいしく食べて心から元気にならないと」

生卵を割り入れて宇宙納豆をかき混ぜながらへらへらと笑う、あいつの自覚の無さを咎めたものだ。

けれど以来、レスターはトッピングの生玉子をおばちゃんに卵焼きにしてもらっている。タクトの好みでミルフィーユがよく作る甘い味とは違う、だしと酒の利いたちょっぴりしょっぱい味。

何も言わずともレスターの好みの味に仕立ててくれる、これもおばちゃんの愛情だった。

 

たが、今日は味が良くわからない。

いつも通り喋ることが出来ない。自分の行動が度し難いというのは彼にとっても稀有なことだった。

アルモは内心パニックに陥っていた。せっかく隣に座っているのに何も話すことが出来ない。ちらちらと向こうを伺っても黙々と箸を動かすばかり。こういうときにはなんとなく動くものが目に留まる。レスターの手だ。手は大きく、指は長い。特に手入れなどしていないはずなのに綺麗に整って器用そうに見える。

実際、箸を巧く動かして魚の骨を難なく取っていく。トランスバールには箸文化がある。庶民層などは多くこれに当たる。けれど、首都星トランスバールにおいて近年箸を上手に使える人間は少なくなってきている。知識人でも箸はちゃんと持ててないこともある。エルシオールのクルーは各星系から集ってきた技術研究者『月の巫女』によって構成されている。使えるものもいれば、幼い頃は箸など見たことも無かった者もいる。貴族出身のタクトも意外と上手いが。

 

レスターもなにかと落ち着かない食事時間だった。話しかけてみようとわざわざ相席したくせに一度も会話をしていない。タクトのことを思い出していたり、これでは何のために気合を入れたのかさっぱりわからない。アルモの方を伺ってみようと、ちらりと視線を向ける。

「・・・・・・・・」

2人の視線がばちっと合ってしまった。

 

(あ、あああアタシなにか喋んないと!)

(な、何でオレは言葉が出てこんのだ?)

「あ、あああああの、レスターさんも食事ですか?」

「ん?あ、ああ。ブリッジの連中に追い出されてな」

「まあ不摂生極まりないですもんね」

「みんなに心配をかけてすまんとは思っている」

((よかった。話がつながった))

2人は同時にこう思った。お互いに同じことを考えていたとも知らず。

「気にしなくたっていいですよ。マイヤーズ司令の代わりくらいみんなでやればその3倍は働けますから」

「それもそうか」

「そうですよ。任せといてくださいって」

「ああ、だが大丈夫か?」

「何がですか?」

「いや、その、オレが食堂に来たときからずっと百面相・・というか顔色が赤、青、赤、青と激しく変わってるからな」

「・・へ?」

よし、良くここまでこぎつけた!レスターは自らを誇りに思うと同時に情けなくもあった。女と普通に話をしようとするのがこんなに難しかったとは。

やはりタクトの様にはいかない。けれど自然にここまで持っていくことは出来た。もう一息だ。

「その、だな。悩みでもあるのか。オレでよかったら話くらい聞くぞ」

アルモの顔は赤かった。既に真っ赤だったからこれ以上赤くはならなかった。だから表面上何も変わらないようでいて・・もう倒れそうだった。

アレを見られていた。それに悩みの種の当人が「相談に乗る」だなんて。

「いや、その。オレでは何も助言も手助けも出来んかもしれんがな。お前には世話になっているし、以前タクトにはなにやら相談していたろう。今はタクトのやつがいないからな。オレではあいつの代わりにはならんだろうが、オレにでも出来ることがあれば気軽に言ってくれ」

・・これだけのことをを言うのに随分とかかった。言うだけだというのに。なぜだろう。今、レスターにはさっぱりわからなかった。

 

言えるわけが無い。「レスターさんが好きで悩んでいます」なんて。けれどこれをきっかけに告白できる。この朴念仁相手には絶好の機会だろう。

ああ、でも!

「あ、ありがとうございます。で、でも。こればっかりは・・・」

「ま、まあそれはそうだな。うむ、すまんな、急に。オレでは相談してもどうしようもないだろうしな」

苦笑するレスターの表情が少し寂しそうに見えたのは恋という目にかかったフィルターのせいだろうか。少なくとも、アルモにはそう見えた。

「あ、あの!決してレスターさんが頼りないとかそういうんじゃないんです。ただ・・」

「いや、人に悩みを話すというのは勇気のいることだ。急に言われたのでは仕方がない。気にはしてない」

レスターは食べ終わっていた盆を持ち、立ち上がった。

「次ドライブアウトしたら戦闘になるかもしれんからな。先に行くぞ。ゆっくりして来い」

「は、はい。お疲れ様です」

「その後はすぐにEDENに帰還するぞ。最短経路を割り出しておいてくれ。『白き月』との合流経路もな」

「了解です」

妙な気恥ずかしさを振り払っていつもどおりの調子で命令を出す。やはりこの方がずっと性にあっている。会話も通りやすい。

「絶対に、あいつらを助け出すぞ」

「はい!」

レスターのひとつきりの眼は奥底が激しく燃えていた。怒りでも希望でもない、決意に。

それを見てアルモは思った。今はこの人を助けたい。自分の全身全霊でもって。この人が喜ぶことをしたい。自分の気持ちはその次だ。

アルモはきっと決意の表情を引き締める。

(ああ〜〜、さっきのいい感じだったなぁ〜。ひょっとして〜♪んふふ〜)

すぐに緩んでしまうところは年相応の女の子らしい所であった・・・

 

 

 

 

 

 

次回予告!

「修正版もあたしらまったく出ねえのかよ!タクトとレスターの朝食エピソードが追加されただけかよ!」

「相変わらず『ギャラクシーエンジェル』じゃございませんのね」

「・・・・・不完全燃焼」

「ですからヴァニラ先輩、不完全燃焼どころか火種すら・・・」

「い〜わよね、ちとせは。作者に好かれてるんだから将来安泰でさ」

「そ、そんなランファ先輩。私そんな・・」

「・・・えこひいき」

「いえいえそれが皆さん、面白い事がわかりましたわ」

「なになに?ミント」

「実はちとせさんの扱いなんですけれど、『ヒロインとしてはたくさんネタがあるんだけど、今回どうやって扱っていいかわからない』って作者さんが」

「えええっ!?じゃ、じゃあ私も先輩達と同じ先の見えない無間地獄に落ち込んでしまったんですか!?」

「アンタ・・アタシたちのことそんな風に見てたワケね」

「よっしゃあ!ちとせ陥落ぅ!へっへっへっ、あんたも次回予告だけで鬱憤を発散させる後ろ向きゾーンに仲間入りってこった」

「・・・いい気味」

「ヴぁ、ヴァニラ先輩まで・・」

「けど何でミントがそんなこと知ってんだい?」

「おほほほほ、作者が意思を伝達する隊員、それすなわち『お気に入りのキャラ』と言うわけですわ」

「ああっ!ミント裏切ったわね!?」

「あら、わたくしは何もしてませんわ。がさつなおばかさんどもに比べてわたくしは可憐な才女ですもの。特別に選ばれて当然です」

「ちっくしょー、ミントの奴が一抜けかあ。でもま、あの子の出番が多くなるってんならそこに付け込む隙もあるかもねえ」

「あらあら、わたくしがそんな事を許すとお思いですか?お生憎様ですわ、わたくしおいしいものは独り占めしたい性格でして」

「おんのれぇ〜、ミントめ・・」

「女の友情裏切った罪は重いわよぉ」

「・・・造反有理」

 

「それはさておき次回は戦闘。いつ、何者を相手にしてもその気高き舞いで敵を討つ、トリックマスターの前に敵はおりませんわ」

「あーっ!なにやってんのよミント!自分だけアピールしちゃってぇ!」

「次回予告くらいしかあたしらが目立つとこないんだぞ!?」

「おほほほほほ」

「・・・翠の旋風ハーヴェスター。癒しの翼があなたを包む」

「ヴァニラ、アンタ・・・」

「私は、次回予告をしているだけです」

「意外と腹黒いわね。いいわ、そっちがその気なら・・カンフ」

「というわけで、次回予告ではこのように、本編ではあまり陽の当たらない(予定)の私たちによるショートコント形式でお送りしていきます」

「ちょっとぉ!人のアピール潰すんじゃないわよちとせ!」

「陽の当たらないとはなんだコノヤロー!」

「あ、もちろん私もその中に入ってますからご心配なく」

「あらあら、ちとせさん。自虐に目覚めたんですわね」

 

「・・・・次回私は、しゃべるぬいぐるみを探しにいきます」

続く

 

はしがき

改めて、どうもはじめまして雛鸞(すぅらん)です。修正後も意味なくエルシオールの食堂の朝メニューの紹介に力を入れています。

それにおまけして、今後出てくる予定のほぼ無い食堂のおばちゃんにも見せ場を与えておこうと。いや、好きなんですよおばちゃん。

レスターとアルモはなかなかラブラブしてくれないので作者としては疲れますね。今後の彼と彼女の成長に期待しています。

ええ、本当に次回こそエンジェル隊は出ますよ。

・・近いうちにとは思ってますがエンジェル隊一人一人に焦点を当ててレスターと絡ませて交流を深めておきます。

ええ、私だって別に彼女たちが嫌いってんじゃないですから。はい。

そのうち、「なぜアルモが名前でレスターを呼ぶようになったか」も書いていきますので。

タクトとミルフィー救出まで、どうぞお付き合いください。