−あとがき−
申し訳ありません。
すべてはこの逆井の未熟ゆえ。
どうしても、どうしてもこの物語をハッピーエンドにすることが出来ませんでした。
確かに逆井はハッピーエンド至上主義です。ご都合主義バンザイです。
しかし、過ぎたるご都合主義に甘んじることは認められず、このような結末となりました。
書きたかった大団円は、ミルフィーユの夢という形でしか実現できませんでした。
いえ、良いものが書けたと思っています。書きたい事は全て書き尽くしました。満足しています。
ただ、ハッピーエンドに出来なかった。その事実だけが、無念です。
そのお詫びというわけではありませんが、今回はもう1つ、付録をご用意しました。物語の余韻を反芻してもらえれば、と思います。
さて。
本来、こういう事は作品の中で語るべき事であり、言わずして読者の心に訴えることが出来なければダメな事だとは分かっているのですが。
この作品で、逆井が言いたかった事を述べておきます。
言いたかった相手は『これから大人になる人達へ』、言いたかった事は『大人の責任、男の使命』です。
劇中でも散々触れていますが、どうも世の中、未熟な大人が多すぎます。そして軟弱な男が多すぎます。ラジオをつければ「背伸びしなくていい」とか「つらい時は私に頼って」とかいう歌が平気で流れています。
んなわけねーだろ、と逆井は言いたいのです。
やせがまんが出来なくて、何が大人かと。何が男かと。
そうした言葉を、励みにするのは良いんです。でも真に受けてはいけないと思うのです。例えば、大人は子供の前では立派で在らねばなりません。そうでないと、「お前は俺より長く生きていて、じゃあその間、いったい何をしていたんだ」と言われたら答えようがありません。
この世には『大人は子供を、先輩は後輩を、教え導かなければならない』という不文律の義務があります。なのに今、自分の事しか考えない者が多すぎます。ひどい者になると、「他人に迷惑かけてないなら、何やったっていいだろ」などと言い出す輩まで居ます。
んなわけねーだろ、と。
自分の事が出来れば1人前なのではありません。自分の事が出来て半人前、他人の事まで出来てやっと1人前なのです。よく聞く「自分の食いぶちくらい自分で稼げ」というのは、それすらも出来ない大人が増えているから、やむを得ず言われるようになった余りにもレベルの低い基準なのだという事を知っておかなければいけません。
大人は強く在らねばなりません。まして男であったら、なおのことです。
男は女子供を守るために在ります。だから大人の男というのは、老若男女すべての人間の中で最も強い肉体を持っているのです。
もっと言えば、大人の男というのは「最も傷を受けていい」捨て駒的な存在なのです。
ええ不公平です。でもそれを愚痴っていても始まりません。それに知っていますか? 人間が公平さを問題にするのは、自分が不利になった時だけなんですよ?
大人はつらく、男は哀しいです。でもですね、考えてみて下さい。そんな哀しい宿命に忠実な男ほど格好良く、輝いて見えるのは……なぜなんでしょうね?
あれこれ屁理屈こねる前に、まずは1人前の大人になれ、と。そういう話です。
これから大人になる皆さんへ。
準備はオッケーですか? もうあまり時間はありませんよ?
……と、ここまで読んで気付いてもらえているでしょうか?
逆井がやけに先輩風を吹かせて、偉そうなことを言っている事に(笑)。
つまりこれが、『大人は子供を、先輩は後輩を、教え導かなければならない』義務なのです。
逆井は逆井が正しいと思う事を主張します。それが正しいかどうかは、あなたが自分で判断して下さい。
分かってもらえますか? 誰かに助言をする時、「正解」を言う必要は無いんです。あなたはあなたが正しいと信じる事を言えばいいんです。それが正しいか間違っているかを判断するのは相手であって、あなたではありません。だから迷わず、恐れず、自信満々で元気良く、あなたの信念を相手にぶつけてやって下さいな。
逆井は今まで及ばずながら使命を果たしてきたつもりですし、これからもそうするつもりです。逆井の目標は、近所の子供達を叱り飛ばす小うるさいカミナリ親父になることなのです(笑)。
長くなってしまいましたね、格好悪いなぁ。
ともかく最後の作品を無事にお届けできた事、嬉しく思います。
こんな長い話を、文句1つ言わずに快く掲載して下さった管理人の佐野さん、どうもありがとうございます。逆井の方から言い出した締め切りなのに、破ってしまって申し訳ありませんでした。
そしてここまでお付き合い下さった画面の前のあなた、どうもありがとうございます。そしてお疲れ様でした。
この作品が、逆井の戯れ言が、皆様のこれからに良き糧となることを願ってやみません。
では、丁度お時間となりました(笑)。
皆様の明日が良き日となる事を祈りつつ。
逆井劇場、これにて閉館です。
皆様どうもありがとうございました。
2005年11月25日 逆井和成 拝