勇敢な若者が悪竜を倒し、平和を取り戻しました。めでたしめでたし。
―――― それが、おとぎ話の定石。
では、その英雄と竜が力を合わせたなら、一体どれほどの力となるのか?
いつかヴァル=ファスク戦役がおとぎ話となったら、その時はきっと、こう語られるのだろう。
『英雄と竜が天使達の加護を受け、魔王を倒した』と。
平和の時代が訪れた。
人々は歓喜し、平和を謳歌し―――― そして、慣れた。
「……子供であるという事は、免罪符にはならない……。私は、そう思います……」
−ヴァニラ・H(アッシュ)−
人々は天使達の武力を、いつしか疎んじるようになって行った。
英雄と竜、そして天使達は引き裂かれる事となる。
「……そんな目で見るな、マイヤーズ。私は王なのだ、私情を優先させるわけには行かんのだ……」
−シヴァ・トランスバール−
そんな不遇にあっても、彼らの絆が揺らぐことは無い。
英雄は、幸運の天使と恋をし。
「私とタクトさんは、いつも一緒です」
−ミルフィーユ・桜葉−
竜と乙女は、夕暮れの野道を連れ添い歩く。
「正直者がバカを見るのは世の常です。でも、だからと言って正直者である事をやめてしまったのでは、哀しいじゃありませんか」
−烏丸ちとせ−
だが―――― 。
時代は容赦なき試練を下す。
平和に溺れた皇国に、心ある者は余りに少ない。
「皇国の英雄なんて呼ばれて、調子に乗ってるんじゃないの? 出過ぎた真似よ、身の程を知りなさい」
−ノア−
「子が過った方向に進もうとしているのならば、それを戒めてやるのが親というものではありませんか」
−シャトヤーン−
災厄は、確実に迫っていた。
「私達の司令官は、あなたなんです。今でも」
−ミント・ブラマンシュ−
ヴァル=ファスクに伝わる古典歌劇『伝説のオウガバトル』。
人に恐れられ、忌み嫌われながらも、平和への礎となり戦った優しき鬼たちの物語。
「確かに人間には限界がある。しかしワシの経験上、その限界というものは自分が思うよりも、ずっと高い所にあるものじゃ」
−ルフト・ヴァイツェン−
「私は、薄情な姉でしょうか?」
−ルシャーティ−
今、古の物語になぞらえて、かの2人を語ろう。
揺れていた時代を駆け抜けて行った、男達を。
「ミルフィー、ちとせ……。やっぱアンタ達、男を見る目が無いよ」
−フォルテ・シュトーレン−
誰よりも熱く。誰よりも烈しく。
吹きすさぶ風に立ち向かって行った、英雄と竜の物語を。
「バカーーーーッ! あんた達なんて最低の大バカよーーーーっ!」
−蘭花・フランボワーズ−
これは、強き人の物語。
偉大なる、オウガの戦士達の物語。
「俺はな、タクト……ここで逃げたのでは、胸を張ってあいつの前を歩けないのだ!」
−レスター・クールダラス−
この物語を紐解く者に、いま尋ねよう―――― 。
たった1つの、その命。
あなたは何に使うのか? と。
『我が名はタクト・マイヤーズ! 弱き国トランスバールに、宣戦を布告する者だ!』
−タクト・マイヤーズ−
Galaxy Angel
Another Story
『 ブレイブハート 』
11月下旬 公開予定
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−ごあいさつ−
本日はご多忙のところ、ご来館頂きまして誠にありがとうございます。当劇場の支配人、逆井和成と申します。
『GA男塾』、『月神楽』、『あるいはこれも素晴らしき日々』、遠征公演『Amazing
Grase』。
長らくご愛顧いただきました当劇場も、とうとう最終演目を迎えることと相成りました。
お届けいたしますのは、『ブレイブハート』。熱き男達の物語でございます。
概要をご説明いたします。
タイトル:『 ブレイブハート −The operation “ Brave
Heart ”− 』
ジャンル:シリアス長編
容量 :全25章(プロローグ、エピローグ含む)
メイン :タクト&レスター
備考 :ELより1年後のアナザー・アフターストーリー。みんな1歳ずつ上がっています。
……メインキャストについては、「&(アンド)」です。決して「×(かける)」ではありません(笑)。
サブ設定としてタクト×ミルフィーユ、レスター×ちとせというカップリングを設定してありますが、あくまで男達のドラマが中心の物語として描かれております。
今の時点で、多くは申しますまい。
今まで応援して下さった皆様には感謝の言葉もございません。この良き日を迎えられる事は、ひとえに応援して下さった皆様のおかげと、ただただ深謝いたしております。
逆井和成の集大成、掛け値なしの全力で執筆いたしました。
皆様、日々ご多忙とは存じますが、公開の暁にはぜひご一読下さいませ。もしも何かを感じ取って頂けたなら、劇場支配人としてこれ以上の喜びはございません。
それでは、終劇の後に。
これが逆井劇場の描き得る、最大の、「烈しさ」です。