注意書き

 

七話の最後(会話だけのところで)本編ではすでに一ヶ月が過ぎています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      第八話「招かざる客」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、今日もあるかないかもしれない物を探すのか・・・。」

「文句は言わないほうがいいですわよ、アレックさん。これも任務なのですから。」

 

ミントはクスクス笑いながらそう言った。

現在俺達はガイエン星系の探索をしている。

捜査範囲が広く四方八方に二機ずつに別れ行動している。

 

 

で、毎日同じ人であるとつまらないということなのでクジで決まることになって今日はミントと一緒に行動しているというわけだ。

 

 

「だけど、これまでに収穫がなかったわけではありませんでしょ?」

「ああ、EDENの産物やロスト・テクノロジーを少々・・・・か。もっと何か大きいものはないんだろうか?」

「欲張っても仕方ありませんわ。ところで・・・・あれからヴァニラさんとはどうなっているのですか?」

 

 

その言葉を聞いたとき俺はモニターの前で噴いてしまった。

動揺してしまうとはまだまだ俺も甘いな。

 

 

「な、なぜそんなことを聞くんだ!?」

「あら、新しいカップルができればそれだけエルシオールもにぎやかになると思いまして・・・その調子ですとまだ告白していませんのね。」

「・・・・そういうことになるな。」

「せっかく相思相愛なんですからもったいぶっていないでスパっと言ってしまったほうがいいと私は思いますわ。」

 

ミントの言い分もわかっている。わかっているのだが俺はヴァニラに告白することもできなければヴァニラからの告白も受け取るわけには行かないのだ。一応ここでは「そのうちにする」と言い切り抜けた。

 

「あら?アレックさん、タクトさんから通信ですわ。」

「わかった、今回線を開く。」

 

通信回線とモニターをつなげるとブリッチに繋がっていた。

直接、司令官室に繋がると思っていたのだが・・・。

 

 

 

 

 

「アレック、そっちの探索はどうだい?」

「いや、何も見つかっていない。みんなのほうはどうなんだ?」

「みんなも見つからなかったらしい。だから、今日はこのくらいにしてアレックとミントも帰還してくれ。」

「おいおい、いいのか?」

「気にしない、気にしない。じゃあ待っているから。」

 

そういうと有無も言わさずタクトは通信を切ってしまった。

まったくタクトの能天気にはついてはいけない。だが、なかなか面白い奴だ。

 

「ミント、本当にこれでいいのか?」

「私はタクトさんに賛成ですわ。早く終われば暇ができますしいろいろなことができますから。」

「そうか・・・・。よし、帰還しようか。」

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

納得が行かないまま俺たちはエルシオールへ帰還することにした。

帰還してみると格納庫にはタクトが待っていた。

 

「お二人ともご苦労さん。何か見つかったかい?」

「いいえ、見ての通り手ぶらですわ。」

「まぁ〜次があるさ。そういえば今ティーラウンジにランファやヴァニラがいるからみんなでお茶しないか?」

「わかりましたわ、そのまま行くとしましょう。」

「すまないが俺は遠慮しておく。まだここでやりたいことがあるからな。」

 

とことこ歩いていく二人の後ろから俺は言った。

その理由は紋章機のチェックだ。

 

「後ですればいいのになぜ今なんだ?」

「紋章機のチェックだ。整備班の人たちにばかり苦労させてはいけないと思ってな。」

「そうか、残念だな。」

「そうですわね・・・・。ではアレックさん、私達はこれで失礼します。」

 

タクトたちは何か小言で話しながら格納庫から出て行った。

タクトたちが行ったあと俺は自分の機体に乗り込み機械を操作しながら機体のチェックをする。

 

「機体の損傷は・・・・なし。H・E・L・Oにも特に問題はないか・・・・。」

 

ただの捜査なのだから問題はないはずだが自分の愛機であるからチェックは怠りたくない。これは『大事な人』から譲り受けた大切なものなのだから。機体のチェックが終わったあと俺はクレータ班長を呼んだ。

 

「クレータ班長、お願いがあるんだが紋章機のリンク調整をしてもらえないか?」

「いいですよ。ではそこのイスにかけてください。」

 

俺はクレータ班長に連れられてリンク調整をするイスに腰を下ろした。

 

 

「ではリンク調整を始めます。」

 

 

イスに座っている俺の横にはリンク調整用のコンピュータがある。その画面に数値がどんどん表示されていく。

 

 

「終わりましたよ。ご苦労様です。」

「ありがとう。それで結果はどうだった?」

「アレックさんのH・E・L・Oリンク率は93,5%。全然問題はないですよ。むしろ驚いているほどです。」

 

俺のリンク率はそんなに良好なのだろうか・・・?

俺は改めてクレータ班長に聞いてみた。

 

「それはいったいどういうことだ?」

「アレックさんのリンク率はエンジェル隊の中でもっとも高い・・・つまりはテンションがいいと言うことです。ちなみに現在みなさんのリンク率はミルフィーさんが84%、ランファさんは78%、ミントさんは74%、フォルテさんは72%、ヴァニラさんは89%、ちとせさんは75パーセントです。」

「なるほど・・・・よくわかった。時間を取らせてすまなかったな。」

「いいえ、全然問題ありませんよ。では私はこれで。」

 

クレータ班長はそう言うと整備班が集まっているところへ走っていった。

格納庫を出たあと俺はそのまま自分の部屋へ戻った。ティーラウンジに行こうと思ったが捜査に続き紋章機のチェックやリンク調整なので疲れが出ていたのでベッドに倒れこむ形となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン・・・・

 

「う・・・・。」

 

(そのまま俺は寝てしまったのか・・・・。)

 

ドアのノックで起きた俺は足をよろよろさせながらドアに近づく。ドアを開けて見るとそこには普段ブリッチにいるはずのアルモがいた。

 

「アレックさん、ブリッチに来てください。」

「なぜ、ここまで来るんだ?クロノ・クリスタルを使えばいいじゃないか。」

「アレックさんが通信機を切っているからここまで来たんじゃないですか。」

「・・・わかった、ちょっと待っていてくれ。」

 

通信機を切った覚えがなかったがよく見てみると通信機の電源がOFFになっていた。

 

(なぜだ・・・?)

 

そう思いながらも俺はアルモの後についてブリッチに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブリッチ

 

「遅いぞ、アレック。」

「すまない。ん、タクトの姿がないが?」

「ああ、タクトの奴なら司令官室で今ミルフィーユと話している。」

「そうか。質問を変えるが何で俺が呼び出されるんだ。」

「ああ、実はルフト将軍たちがお前の様子を見たいと言って聞かないんだ。」

 

頭に『?』マークが浮かんできた。メインスクリーンを見てみるとそこにはルフト将軍、ノア、そしてシャトヤーン様の姿があった。

 

「おお、アレックか。久しぶりじゃの。」

「アレック、お久しぶりです。」

「こちらこそお久しぶりです。ルフト将軍、シャトヤーン様。」

 

まさかこれだけのために俺は呼ばれたのかと疑問に思ったが問題はなかったので流すことにした。

 

「どうじゃ、アレック。エンジェル隊とは仲良くしておるか?」

「はい。最初はなじめませんでしたがヴァニラのおかげで今はすっかり溶け込んでいます。」

「そうですか・・・。」

 

シャトヤーン様の顔はほっとした表情だ。

 

「『白き月』にいたときには誰とも交流を持たなかったあなたが今では笑顔を見せるまでになったことは私にとって本当にうれしいことです。」

「・・・・・・。」

「だから言ったでしょ、心配することはないって。全く、シャトヤーンは心配性なんだから。ともかくあんたが何も問題なくて安心したわ。」

 

相変わらずノアの態度もそっけないものだ。だが、みんなが俺の心配をしてくれていたことはうれしかった。

 

「話が終わったようですが・・・・ルフト将軍にお願いがあります。」

「なんじゃ、レスター。改まって。」

「実は艦内の食料がなくなってきたので第三方面軍に物資の補給をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」

「なんじゃ、物資ならEDENを出発する際にたくさん持ってきたはずじゃろ?」

「そう見てはいたのですが予想以上に消費が激しくて・・・・このままでは艦内に影響が出てしまいます。」

 

 

レスターは深刻そうな顔で言った。

これは事実であり現在、食堂ではおすすめランチの数が限られているし、コンビニに買い物をしに行っても商品の数が減っているなど主に食料面に問題が出てきている。

 

 

「うむ、そういうことならわかった。わしに任せておけ。」

「ありがとうございます。」

「大変だと思いますがどうか・・・・お気をつけて。」

 

通信が終わったあと、レスターは俺にこの補給のことをタクトに伝えてくれと言ったので俺は司令官室に足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

司令官室の近くまで来てみると司令官室のドアが開いていた。そしてそこから勢いよくミルフィーが飛び出して行くのを見た。

 

(涙を流しているようだったが・・・・。)

 

どうしたのだろうと思い司令官室に入るとタクトが頭を抱え込んでいた。

 

「どうしたんだ、タクト。」

 

俺が声をかけるとタクトは頭を上げこちらに見てきた。

 

「アレック・・・・か。入ってくれ。」

「ああ。」

 

俺は司令官室に入りドアを閉めたあとタクトの机のそばにあったソファーに腰を下ろした。

 

「ミルフィーと・・・・ケンカでもしたのか?」

「・・・・・。」

「言えないのであればそれでいい。無理に言う必要はない。」

「・・・お前の言う通りのケンカさ。」

 

タクトはことの事情を俺に話した。

 

「理由は簡単さ。この頃忙しいだろ?復興支援手伝ったり、今回の捜査だったり。」

「ああ。」

「それでミルフィーと会う時間が少なくなったんだ。そしたら今日俺の部屋まで来て『なぜ会ってくれないんですか?』って言ってそれがケンカの原因さ。」

 

なるほど、だからミルフィーは勢いよく司令官室から飛び出していったわけだ。

ではすれ違ったとき泣いていたのは目の錯覚ではなかったのか?

 

「俺に何かようでもあったのか・・・・・?」

「物資の消費が激しいからルフト将軍に補給を頼んだってことを伝えろとレスターから言われた。ただそれだけだ。」

「そうか・・・・。」

「タクト、早く仲直りしろ。お前たちを見ていないと楽しさが半減してしまう。」

 

これが俺に言える精一杯の慰めであった。

 

「ああ、わかっているさ。」

「用件はこれで終わりだ、俺は失礼させてもらう。」

 

 

俺は司令官室を出たあとドアの前でため息をついた。

タクトがあんなに落ち込んでいるのは始めて見た。

 

(タクトもつらいだろうな・・・・。)

 

いつもタクトは能天気だ、お気楽な性格だと思っていたが俺は勘違いをしていたようだった。『皇国の英雄』と呼ばれているがその顔は以外にも純粋だったと俺は知った・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺達はいつものように紋章機のモニターを使ってパートナーを決めていた。クジでパートナーが決まったあと決まった者からタクトに連絡し探索へと出発するのだ。

 

「今日は誰となるんでしょうね。」

「それはクジを引いてからの楽しみだよ。」

 

ランファとフォルテの声が聞こえる・・・・モニターに映し出された顔と一緒に。

ちなみいつもフォルテがクジを作ることになっている。

モニターにクジが出され一人ずつそのクジを選んでいく。その結果、ランファとミント、フォルテとちとせ、そして俺とミルフィーとヴァニラという結果になった。

 

各自タクトに報告をしたあと次々と探索へ出かけていった。ランファとフォルテが我先にと報告したので結局俺達のところが最後となってしまった。

 

「タクト、俺達のグループはヴァニラとミルフィーだ。」

「わかった、気をつけろよ。」

 

タクトは何げない声で言った。

あれから仲直りしたのだろうか?このときヴァニラとミルフィーには通信が繋がっていなかったので俺はタクトにあれからどうなったのか聞いてみた。

 

「タクト、あれからミルフィーとは仲直りしたのか?」

「・・・・・。」

「まさか、まだしてないのか。」

「・・・そうだ。」

 

タクトは重い声で答えた。

あれから話し合おうとタクトはミルフィーを探していたが会うたびに避けられ結局仲直りができていないというのだ。

 

「・・・・仕方がない、タクト。俺がミルフィーを説得させてくれないか。」

「いいのか・・?」

「このままだとラチがあかない。お前だって早く仲直りしたいだろ?だから俺に任せてくれないか。」

「・・・・頼む。」

「わかった、捜索の際言ってみるさ。じゃあ言ってくる。」

 

タクトとの会話はここで終了し俺達三人は紋章機を発進させタクトから指定されたポイントへ行くこととなった。

ポイントに着いてから早くも二時間が過ぎようとしていた。その間俺達は黙々と周囲の捜索を続けその結果EDENの産物とロスト・テクノロジーの発見に成功していた。

 

「アレックさん、どうですか?」

「ヴァニラか。こっちでロスト・テクノロジーが少しばかり見つかった。」

「こちらでは何も見つかりませんでした。」

「ミルフィーのほうはどうだった?」

「・・・・・・。」

 

ミルフィーからの返事がなかったのでモニターを繋げてもう一回ミルフィーに呼びかけた。

 

「ミルフィー、聞こえているか〜。」

「え、あ、あ、はい!!なんでしょうか!?」

「そっちはどうだ?」

「いえ・・・・特になにも・・・・。」

 

返事をしたがいつものような元気はなかった。モニターで見ていると頭の花飾りがしぼんでいるように見える。

 

「・・・・タクトとケンカしたらしいな。」

「・・・・・・・。」

「なぜタクトを避けるんだ?タクトだって悪かったと言っている。」

「私は・・・・・タクトさんと会う機会がなくなったから部屋まで言って話をしました。けど、タクトさんは今回の任務が忙しいと言って相手にされなかった。だから・・・・。」

「・・・本当にそれでいいのか?」

 

俺は今自分が思っていることをミルフィーに言った。

第三者が口を挟むことではなかったがこの二人には早く仲直りしてもらいたい・・・・そう思った。

 

「俺はその場にいなかったがお前たちは『ヴァル・ファスク』の戦いのなかで絆を固めたじゃないか。それがケンカのために壊れてもいいというのか?」

「私は・・・・。」

「タクトが見てくれなかったら振り向かせればいい。君は料理が得意だ。ならば仲直りの印として一緒に料理をしたらいいじゃないか。それでもタクトが忙しいと言ったら俺がタクトを殴ってやる。」

「・・・・そう・・・ですね。わかりました!私、やってみます!!」

 

よかった・・・・。

いつものミルフィーに戻ってくれた。頭の花飾りが元に戻っていく。

 

「さて・・・・俺の用事もこれで終わり・・・・」

 

そう思った瞬間、周囲からドライブ・アウト反応が確認された。

まさかエルシオール?・・・・いや、違うな。

エルシオールがこんなところまでわざわざ来る必要などないはずだ。急いで識別したが何も反応がない。

 

「アレックさん、これってどういうことですか!?」

「知らん!!相手に聞いてみてくれ!!」

 

戦艦が姿を現す。

それは俺がエルシオールと合流する際に戦った無人艦隊だった。真ん中には見覚えのある機体がある。それは形が少し違っていたが『黒き月』が作り出した紋章機モドキだ。

 

「すこしまずいな・・・・。ヴァニラはエルシオールに通信してくれ終わり次第戦線に加わってくれ!ミルフィーは俺と一緒に艦隊の相手だ!」

「了解!」

「了解・・・・。」

 

こうして戦闘が開始された。

ミルフィーとヴァニラと共に艦隊を相手しつつ俺は艦隊の真ん中にいる紋章機モドキが気になっていた。あの機体に『奴ら』が乗っているのなら通信があるはずだ。

 

 

『アレック・・・・聞こえるか?』

「・・・!誰だ!!」

『俺が誰であるかなどどうでもいい。俺と戦うように仕向けろ。』

「わかった・・・・。」

 

聞いたことのない声だな・・・・・・。

『奴ら』ではないのか・・・?

とにかく奴の言う通りに俺はヴァニラ達に連絡した。

 

「ミルフィー、ヴァニラ。君たちは艦隊の相手をしてくれ。俺はあの紋章機モドキをやる。指揮官さえ倒せばそれで終わりだ。」

「アレックさんお一人では危険です。」

「大丈夫だ、ヴァニラ。それに俺がこの中では一番テンションが高いとクレータ班長言っていたから心配はない。」

「そうですか・・・・・では気をつけてください。」

 

ヴァニラのことが心配だったがとりあえず俺は紋章機モドキに攻撃をしかけた。紋章機モドキもそれを待っていたかのように艦隊の中心部から離れ攻撃を始めた。

正体がバレてしまうとまずいので他の紋章機とのモニターと通信機にプロテクトをかけておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでいい。モニターなどにはちゃんとプロテクトをかけたか?』

「ああ、俺もバカじゃない。それぐらいはわかる。そっちの通信機だけ繋げてある。」

『お前はときどきドジるからな・・・・。昔もそうだったな、アレック。』

「何だと・・・・?」

『まだ気づかないのか?』

 

俺と通信している奴はどうやら俺が思っていた奴ではないらしい。

ではいったい誰だと言うのだ?

それに俺の昔を知っている。モニターに顔が出された。

 

『俺だよ・・・・。』

「まさか・・・・・カークス・・・・なのか?」

『そうだ。約10年ぶりになるな。』

 

俺は驚きを隠せなかった。

カークスは小さい頃よく遊んだ俺の親友だった。だが、なぜカークスがここに来るんだ?

 

「なぜお前が『奴ら』の軍にいるんだ!?」

『お前が『奴ら』の軍にいると言う情報を聞いたからだ。そして奴らがお前の行方を知りたいと聞いたから俺は真っ先に自分から名乗り出た。『奴ら』は俺のことは知らない。』

「・・・・あちらの世界はどうなっている?」

『現在、こちらの世界では反乱軍が優勢だ。奴らがこの世界に来たら反乱軍は本星を奪還にかかるだろうな。もちろん、反乱軍は『奴ら』がこの世界に来るとは思っていない。』

 

そうか・・・・反乱軍のほうが優勢か。

あとは奴らをこの世界に招くだけだ。俺たちは戦いながら話をしている。

 

『データは持ってきているな。』

「ああ、今からそちらに転送する。」

 

俺は胸ポケットに入れていたデータをカークスに転送した。

カークスは転送が終わると同時にその文章を見ている。

 

『・・・・・・。』

「どうした・・・・・?何かおかしな点でもあったか?」

『相変わらず嘘をつくのは下手だな。紋章機のデータは確実に合っている。だが、第三方面軍の軍備が少ないというのは偽りだろ?』

「・・・・・・。」

 

そう・・・・・第三方面軍の軍備については偽りの文章を書いていた。本当はEDENに支援などには行っていないのだ。

 

『アレック・・・・お前はいったい何を考えているんだ?『奴ら』を欺きそしてこの世界の仲間さえ欺いている・・・・・。何がしたいんだ?』

「・・・・・・・。」

『・・・・とにかくこのデータは奴に渡しておく。偽りの部分は一切聞かなかったことにしておく。それと予備の通信機を俺が指定したポイントに射出するから回収してくれ。』

「すまない・・・・。」

『くれぐれも無茶はするなよ、アレック。いや・・・ジョセフ。』

俺の本当の名前を言い残したあとカークスはあちらの世界に帰っていった。周りを見てみるとすでにランファたちは駆けつけて敵艦隊を撃破したところだった。

 

『アレックさん、大丈夫ですか?』

「ああ、心配ない。」

『あらあら〜?何かいい雰囲気出してるじゃない。』

 

ヴァニラの言葉に対してランファはものすごく楽しそうだ・・・・・。俺たちをからかうのがそんなに楽しいのだろうか?

 

『話はそれぐらいにして・・・・・みんなお疲れ様。エルシオールに戻ってきてくれ。』

 

どうやらエルシオールもこの宙域に来ていたらしい。みんなはエルシオールへと帰還していった。その間、俺はカークスに言われたポイントに行き残がいにまぎれていた通信機を取った後エルシオールへ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある艦隊の艦内

(会話のみとなります)

 

「カークス、ただいま戻りました。」

「早かったではないか。それで・・・・・アレックからデータを回収したか?」

「はい。この通り。」

 

「では早速見せてもらうぞ。・・・・・・・・・・。」

「いかがでしょうか?」

「うむ・・・・、やはりアレックを行かせて正解だった。さすが我が特務情報部隊隊長だけのことはあるな。」

「では私はこれで・・・・・。」

「待て。」

「なんでしょうか?」

 

「お前も私達と来る気はないか?」

「・・・・よろしいのですか?」

「かまわん、味方は多いことに越したことはない。」

「・・・・・・わかりました。ですが、私の機体は先ほどの戦闘で損傷しています。あなた方が転移したあとすぐに後を追います。」

「わかった、活躍に期待しているぞ。」

 

 

「はい、ではこれで・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

「いいのですか?」

「かまわんと言ったはずだ。それで・・・・・アレックの正体がわかったか?」

「はい、データベースで調べましたところ・・・。」

「・・・・!これは・・・・・!?」

「はい・・・・私も見たときには驚きました。」

 

 

 

「そうか・・・・・そうだったか・・・。」

「アレックに渡した通信機にはどのようなご命令を出すのですか?」

「指令を出すつもりはなかったが正体がわかった以上もう必要ない・・・・・・。」

「わかりました・・・・・・。」

 

 

 

 

「これで準備は整った。」

「では・・・・・ご命令を!」

「我らはこれより3時間後に転移する!諸君!君たちの活躍に期待している!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                  第八話「招かざる客」終

                                                                第九話に続く・・・・・。