メカニック設定 トランスバール軍
(十四章以降)
機体名:ギャラクシーウイング
機体コード:X−D104G−SW
搭乗者:タクト・マイヤーズ
全高:25.1m
重量:71.9t
特殊装備:
セフィロート・クリスタル
エネルギーシールド
アジリティ・システム
武装:
ラケルタ・ホーリーセイバー×2
長射程高インパルスキャニスター「ハウリングバスターキャノン」
広域放射ビーム砲「オメガブラスター」
後翼機動兵装型セレクティブビーム砲「リヒト・メガバスター」×6
六連装デストラクション超高初速リニアレールキャノン
三連装ビームキャノン
5連装集束式ビームレイ
近接迎撃用マシンキャノン
専用防盾(ビームコーティング付き)
詳細:
ウイングバスター・パラディンの修復と共に、限界まで強化・改造を行ったウイングバスターの究極進化型。改修は全て白き月のデータを元にEDENで行った。
リアクターの増幅から始まり、コンバーター、回路、動力部、果てはOSに至るまで全てを根底から強化。さらにスラスターに回すエネルギーをより強化させるために、後翼12枚を白き月で試作型に作られた専用のウイングに換装。これにより、全ての後翼が銀色になり、今の機体名称に変えられた。
これらの装備に加え、春菜が製作したIGのほとんどに装備されている「エフクトコンバーター」を搭載。機動力がウイングバスター・パラディンの2倍近くまで跳ね上がる。さらに「エフクトコンバーター」を用いて、エネルギーの全てを「機動力」だけに集中させれば理論上、単機での大気圏突入はもちろん、大気圏脱出すら可能となる。
武装面についてはいくつかの追加がされたが、主だった物は以前と同じ。ただし、出力の高さはハンパではない。追加されたものは、後翼そのものがビーム砲化された「リヒト・メガバスター」。さらに、手首に装備されたビームキャノンのおかげで、以前は不可能だった近距離での射撃も可能となる。
更に、中でももっとも特徴なのは新システムである“アジリティ・システム”である。これは当初、対ラストクルセイダー専用のシステムとして開発されたもので、自機を中心にIGにすら影響するほどの強力な“引力”、もしくは“斥力”を発生させる装置である。先ほども述べたが、元々はラストクルセイダー、正しくは裕樹の近接戦闘用操縦技法“SCS”を間合いを乱すことにより無効化させるものだった。だが、その力が思いのほか強力で、実はミサイルやビームすら斥力で引き離すことが可能なのである。
極限まで機動性を強化、更に武装も含め全てを高出力化、新システムの搭載と、総合的に見ても、信じられないほど圧倒的に強化されている。後翼である銀色の翼を広げた姿はまさに機体名の如く、“銀河の翼”の名を持つに相応しい。ただし、この銀色の後翼は非常に目立つため、カムフラージュ的な機能は皆無といえる。
紋章機名:アルティメットラッキースター
機体コード:GA−021ULX−D
搭乗者:ミルフィーユ・マイヤーズ
全長:47.1m
全幅:30.7m
全高:23.4m
特殊装備:
セフィロート・クリスタル
強化型エネルギーシールド
新必殺技:アルカナム・フルハイパーキャノン
テルア・リラメクス
武装:
近接戦闘用トゥインクルセイバー
フラッシュスラッシャービームブーメラン×4
強化型高出力長射程ビーム砲「ハイパーキャノン・カスタム」
高出力中距離波動砲「クロノ・インパクト・キャノン」×4
貫通出力式ワイアレスH.A.L.Oビット「エンジェル・シリンダー」×8
連装高初速リニアレールキャノン×2
中距離用ビームファランクス
6連装多目的ミサイルランチャー
詳細:
シャトヤーンが直々に強化プランを作成し、EDENにて完成させた、「極運の星」の名を冠する、ラッキースターの最終強化型の紋章機。改造にはEDENも協力した。
今までのラッキースターの設計データを見直し、全てにおいて無駄が無くなったため、以前の『アルカナム・ラッキースター』より若干サイズが小さくなった。更に機体出力、火力、機動性、装甲と全てにおいて強化が施されているため、事実上、最強の紋章機の称号を得ている。
武装面においては従来の武装の出力を強化、もしくはその数を増やしている。また中でもシリンダー兵器が追加されたのが大きな特徴。元々、ミルフィーユはリ・ガウスの住人のため、“セフィラム”を多少なりとも保有しているので、シリンダー兵器使用の条件は成立している。だが、本人に“セフィラム”の自覚が無かったためか、使用には精神面にかかる負担が大きく、改良の必要があった。そこで、トリックマスターに搭載されている“フライヤー”の原理を元に、H.A.L.Oシステムを応用したシリンダー兵器が完成。連射は無理だが、通常使用においては問題は解消されている。
また、新必殺技として“アルカナム・フルハイパーキャノン”、“テルア・リラメクス”が追加されている。
“アルカナム・フルハイパーキャノン”はシリンダーを含めた主砲、副砲の一斉射撃。以前の“フルインパクト・ハイパーキャノン”とは違い、使用回数に制限がなくなり、より使いやすさが向上している。反面、更にエネルギー消費が高まったため燃費は一層悪くなっている。もう一つの“テルア・リラメクス”は本来はピュアテンダーの必殺技“ソル・リラクス”の強化版のバリアシステムだが、肝心のピュアテンダーそのものが破壊されてしまったため、余剰パーツとしてアルティメットラッキースターに回された。効果は単純に“ソル・リラクス”の強化版だが、戦艦の主砲でも正面から反射できるため、事実上最強の盾であるといえる。
ここまでの高性能ぶりと、パイロットのミルフィーユの腕と相まって、トランスバールにおける紋章機の究極完全体といえる。
紋章機名:シージ・カンフーマスター
機体コード:GA−022SG
搭乗者:ランファ・フランボワーズ
全長:36.5m
全幅:39.3m
全高:20.5m
特殊装備:
対光学兵器用エネルギーシールド
必殺技:スパイラルドライブ
武装:
強化型電磁式特殊鋼切断ワイヤーアンカー×2
4連装ビームガトリング
連射式4連装多目的ミサイル
中射程連装ビームガンポッド
近接迎撃用マシンキャノン
詳細:
「不屈の闘師」の名を冠する、カンフーマスターの強化改造後の姿。
アルティメットラッキースター同様、シャトヤーンの指示の下、EDENで改造が行われた。これも同じく設定データを見直して、機体の無駄全てを無くし、出力、火力、機動性の全てを強化した。中でも、今までのカンフーマスターの弱点であった装甲の薄さも、装甲そのものに低出力ではあるがリフレクターシールドを含ませているため、実弾兵器、光学兵器、両方に対する防御力が大幅にアップ。更にビーム専用のエネルギーシールドも追加され、総合防御力は大きく向上している。
必殺技はカンフーマスター時と同じく“スパイラルドライブ”だが、代わりに“アンカークロー”が極限まで強化された。
“アンカークロー”発射時の速度はもちろんだが、何よりその有線部分を特殊鋼切断糸に改造したのが大きな変更点。この特殊鋼切断糸兵器は前大戦に登場したコキュートス計画の一機、アンティノラが装備していたものと同等のものである。よってその有線部分が切られることがほぼ無くなり、更にアンカー部分を直撃させるよりこの有線部分での切断の方が対艦戦やIG戦において有利ともされる。更にアンカークローを射出した後の操作性もアップし、より使い勝手が上がっている。
紋章機名:テフラ・トリックマスター
機体コード:GA−023WH
搭乗者:ミント・ブラマンシュ
全長:36.8m
全幅:37.9m
全高:16.4m
特殊装備:
ハイパーECMシステム
対光学兵器用エネルギーシールド
フィールド・キャンセラー(ハイフライヤーのみ)
必殺技:レナティブ・フライヤーダンス
武装:
強化型遠隔コントロールユニット「ハイフライヤー」×13
完全自立攻撃支援ユニット「レナティブ・デバイス」×6
高出力中射程ビーム砲「ハイパービームキャノン」
マルチプレックス遠隔操作爆散弾「アデッシブボム」
ECM特殊兵装
三連装長距離ミサイル
近接戦闘用スプレーミサイル
詳細:
「知将の策略師」の名を冠する、イセリアル・トリックマスターの強化改修後の姿。
ゼロバスター・カスタムに中破させられたイセリアル・トリックマスターを音無春菜が修復すると同時に、実験的な意味合いで様々な追加パーツを装備。総合力的に一番安定させたものだけを選りすぐって完成させた。
他の紋章機と違い、ヴェインスレイで改修が行われたため「エフクトコンバーター」などが追加され、エネルギー効率が更に向上。燃費がよくなったため、主砲として高出力な「ハイパービームキャノン」が追加されている。
中でも、“フライヤー”を強化した“ハイフライヤー”は非常に強力で、出力の向上だけでなく、フライヤーそのものに“フィールド・キャンセラー”が装備されている。このため、“ハイフライヤー”から発射されるプラズマビームはリフレクターなどの防御障壁を強制解除して機体に直撃させられるため、対AG戦の戦闘力が大きく向上している。
なお、この機体には後に「リザレクトハーベスター」と「アストラル・シャープシューター」に搭載される“ドラスティックH.A.L.Oシステム”のデータが書き加えられているため、H.A.L.Oシンクロ時の精神力の消耗が大分抑えられている。つまり、“ハイフライヤー”の長時間の展開が可能となっている。
紋章機名:クロノトリガー
機体コード:GA−024CRT
搭乗者:フォルテ・シュトーレン
全長:61.7m
全幅:36.5m
全高:21.8m
特殊装備:
ドライブトリガー
新必殺技:ラスト・ストライクバースト
武装:
超高出力メガビームキャノン
拠点破壊用長距離反応弾
高出力中距離連装波動砲「ダブル・クロノ・インパクト」
長距離用高速連装リニアレールキャノン
中距離連装高エネルギーレーザーキャノン
拡散式中距離ミサイル「フォトン・トーピード」
攻守両用ヘビーキャノン
詳細:
「時の引き金」の名を冠する、メテオトリガーの強化改造後の姿。
以前のメテオトリガーより更に出力、および武装を追加し、もはや戦艦部隊相手にも平然と立ち向かえるほどの火力を持つ。
また、アルティメットラッキースター同様、今までの基本設計から見直し、無駄をカットしたため、機体のサイズが僅かだが小さくなった。
更に機動性を大幅に強化しているのに、装甲表面に実弾、及び光学兵器用のコーティングをしており、かなりの出力を持つ武装でないと装甲面で弾き返せるほどの重装甲を持つ。
中でも大きな追加点が、“ドライブトリガー”である。これはクロノ・ストリング・エンジンの稼動を撃鉄が落とされるが如く、強制的に臨界点まで稼働率を瞬時に上げることができる。これにより、臨界点時は自らが発射した弾丸よりも早く動くことが可能になった。だが、理屈的にはクロノトリガーが高速移動しているわけではない。事実的には臨界点による大量のエネルギーを用いて、小規模、短距離の擬似的なクロノドライブを行っているに過ぎず、早い話が短距離の圧縮空間に転移し、高速移動しているように見せかけているに過ぎない。つまり“ドライブトリガー”を発動する時は、あらかじめ移動後の位置を指定し、即座にその指定ポイントに跳躍しているのである。
また、この“ドライブトリガー”を利用したのが新必殺技である“ラスト・ストライクバースト”である。全ての弾丸を圧縮空間に転移させ、目標の目前で通常空間に転移させる。事実上、至近距離で“フェイタルアロー”を放つ程の速度で全解放される恐るべき必殺技。
ただし、この“ドライブトリガー”には当然リスクもあり、エネルギーの消耗が通常の4倍にまで跳ね上がってしまうため、多用しているとエネルギー容量の高い“クロノトリガー”でも、あっという間にエネルギー切れを起こしてしまう。更に、小規模、短距離とはいえ、圧縮空間を通っているため、“ドライブトリガー”発動時のクロノトリガーは恐ろしく脆くなってしまう。
機体名:ゼファー・ラーム
機体コード:STY−20G
搭乗者:エクス・ソレーバー
全高:24.8m
重量:78.1t
特殊装備:
アジリティ・システム
フィールド・キャンセラー
武装:
強化型ビーム展開式高出力銃剣「オメガ」
伸縮型ハイパープラズマサーベル×2
高インパルス長射程ロングバレルビーム砲「ハイパーメガバスター」
高エネルギー連装ビームショットガン・スラッグタイプ
攻守両用ヘビーキャノン
手首装着型専用防盾(ビームコーティング付き)
詳細:
修理中のゼファーをEDENの技術者たちが独自の理論で組み立て直し、完成させたエクス・ソレーバー専用後継機。
従来のゼファーと見た目、武装共に主だった変更点はなく、純粋に基本性能の底上げをしつつ操縦性をエクスに合わせて改造した、高性能機。トランスバール軍の「Y計画」の最終到達点ともいえる機体である。
僅かながらの変更点は、銃剣「オベリスク」が、よりビームの出力、圧縮度を高めた「オメガ」に強化されたこと。この「オメガ」の出力はハンパなく、対艦刀並の攻撃力を持つ。更に左肩に装備されていた「ハイパーメガバスター」は取り外し可能になり、携帯することが可能になったのでより使いがってが向上している。
この機体にもタクトの“ギャラクシーウイング”同様、“アジリティ・システム”が搭載されており、ラストクルセイダーにとっては天敵ともいえるIGである。
更に“フィールド・キャンセラー”による攻撃能力の高さ、“アジリティ・システム”による回避能力の高さと、攻守共に非常にバランスがよく、“ギャラクシーウイング”が対IG戦及び、対複数戦闘に向いているのなら、ゼファー・ラームは対AG戦、対艦戦に特化した性能を持ち、“ギャラクシーウイング”と並ぶ、エルシオールにおける二大双璧のIGである。
機体名:コロナ・グランディウス
機体コード:X−DG013C
搭乗者:神崎正樹
全高:25.6m
重量:81.5t
特殊装備:
カーディナル・クリスタル
エーテル・フィールド
フィールド・キャンセラー
武装:
高エネルギービーム収束型ディヴァインブレード対艦刀
ファイティングエッジ大型ビームブレードブーメラン
連結型拡散式大型プラズマ集束ビーム砲「ファントムファング」
胸部連装レーザー放射兵装「バーストスティンガー」
強化型ワイアレス・セレリアビット「ハイパーエーテル・シリンダー」×8
三連装高エネルギービーム圧縮弾「トリプルティアル・ライフル」
近・中距離攻守両用ガトリングキャノン
対ビームコーティング付き展開型専用装着シールド
詳細:
トランスバールの「Y計画」と紋章機の内部構造設計データをグランディウスの設計データに反映させ、彩のオリジナリティで新たに作り上げたIG。
簡単な作業以外、全て彩一人で作り上げており、操縦性を完全なまでに正樹と適合させ、ゼファー・ラームに搭載されているクロノ・トワイライト・エンジンに新種のクリスタルリアクターと、今までに見ることのなかった亜種とも言えるIGである。中でもIGなのに紋章機の内部構造データを反映させるという荒技で、性能を高めつつもパイロットとの適合率をより向上させており、極限まで性能を高めた。結果、高加速、高機動、高火力、重武装、重装甲の全てをかねそろえた破格の性能を持つ強力なIGとして完成させた。
数々の新武装を追加しているが、中でも一際特徴なのは“ファイティングエッジ大型ビームブレードブーメラン”である。その名の通り、ビームブーメランなのだが大きさが“ディヴァインブレード”と同じで、そのままブレードとしても扱うことが出来るほど。当然、従来の機体のビームブーメランとは破壊力が比べものにならないほどに高く、投げつけるだけで戦艦を両断できるほど。
また、カラーリングが独特で、腹部を中心として外側に行くにつれ、赤、オレンジ、黄、緑という装甲色を持ち、別の意味でエターナル・ラストクルセイダーやネイティブ・ヴァナディースと同様に目立ってしまうが、これは装甲そのものに強力なエネルギーシールドを融合しているためであり、当然、“赤”の部分が一番硬度が高い。
正樹と彩の、幼き頃の約束の集大成である、絆のIGである。
紋章機名:ファウンダー
機体コード:GA−009
搭乗者:キャロル
全長:34.9m
全幅:25.7m
全高:16.0m
特殊装備:
強光度発生装置
チャフ&フレア式デコイ
必殺技:光の幻影
武装:
近接戦闘用大型エネルギーブレード×2
中射程相転移ビーム破城砲「アカシックリライター」
新世代変化型高出力ビーム砲「H.V.S.B」×2
中距離用ビームファランクス
6連装多目的ミサイルランチャー
詳細:
紋章機強化計画の過程で作られ、白き月が初めて1から開発し完成させた初の紋章機。「創始者」の名を冠している。
機体のカラーリングがこれまでの紋章機と違い、9割以上が黒と、かなり機能的な装甲色を持っている。また、この装甲色が必殺技である“光の幻影”を生み出す要素となっている。
ファウンダーの必殺技である“光の幻影”とは直接的な兵器ではなく、発生させる特殊現象のこと。まず広範囲にチャフ・フレア・デコイの全ての効果を持っているコアを大量にばら撒く。(チャフから順に、電波・電磁妨害、視覚妨害、熱紋レーダー妨害、の効果を持っている)直後、機体稼動時の光を全て消去。同時に超高速で光度の高い光を一瞬のうちに連続して放つ。これにより、機械的には妨害され、何より視覚的には光の残像によって機体を捕らえることが不可能になる。これが“光の幻影”の正体である。なお、当然であるがこれは搭乗者の光の錯覚の現象を利用しているため、無人兵器には効果がない。
上記のように必殺技が武器ではないため、装備されている武装は高出力のものが多く、少ない武装数で高火力を保有している。
また、この紋章機が他の紋章機に比べてもっともかけ離れていることは、搭乗者であるキャロルが影響している。
彼女は基本的に心に一切の変動が見られないため、常に通常の性能(テンション)しか発揮しない。それは、何があっても性能が下がるわけではないが、どうやっても“光の翼”が出現することがないという意味でもある。
機体名:Σバルキサス
機体コード:GYT−B30S−Σ
搭乗者:エリス・マイヤーズ
全高:23.7m
重量:75.9t
特殊装備:
強化型エネルギーシールド
キャンセルリターン・システム
武装:
新世代変化型高出力ビーム砲「H.V.S.B」×2
高出力レーザーサーベル×2
ファイティングエッジ・ビームブーメラン×2
中距離用メガビームバズーカ
高エネルギービーム圧縮弾「ティアル・ライフル」
4連装集束ミサイル
展開式専用防盾
詳細:
クリスが搭乗していたバルキサスを、彩が実験的な改造を繰り返し、最終的にエリスに適正させた独自の機体。機体の名称は“シグマ・バルキサス”と呼ぶ。
元々、クリス・フランボワーズが戦線離脱したのは本人の負傷であって、機体自体に損傷はほとんどなかった。そのため、彩が「コロナ・グランディウス」製造のためのデータとして、無茶苦茶な実験と改造を繰り返していた。その後、エリスの搭乗機として、エリスに適正を合わせたのがこの機体なのである。
正樹の「コロナ・グランディウス」の元とした機体だけに、通常に量産されているバルキサスと比べ、破格の高性能機である。出力、エネルギー容量の強化に、武装、スラスターの追加と、もはや量産機と呼べるものではなく、パイロットの腕次第でAGとも互角以上に戦える。
だが、その反面リスク、及び欠点も大きい。
彩はパイロットが乗るという前提で改造しなかったため、操縦性は無茶苦茶で、エリスに無理やり適正させたとしても、操縦にかなりのクセがある。武装一つ一つが独立した存在で、複数の武装を組み合わせての攻撃が不可能に近い。つまり機体の言うとおりに操縦していては、単発攻撃しか出来ない。
彩はこれの対応策として、「キャンセルリターン・システム」を搭載した。このシステムは現在稼動中の全てのリアクター、及び機体の動きを無理やり通常時に戻すというシステム。これを活用すれば、全ての砲撃をバラバラに攻撃しながらも近接戦闘、もしくは離脱が可能と、従来の機体では出来なかったことが可能となる。(早い話が、アクションゲーム等で、全ての動作をキャンセルできるようなもの)
正し、それでも扱いにくいクセがあるが、そこはエリスの腕前でカバーするしかなかった。
余談だが、彩がエリスに合わせて機体を調整したのは、エルシオールに対する“置き土産”的な意図があったため。