『俺は・・・・良く分からなかった。エンジェル隊は大事な仲間だと思う俺。彼女達に憎しみを抱いている俺。どちらが本物の俺か・・・・・分からなかった』

 

 

 

 

 

第十一章「New World

 

 

                  1

 

 

 

ビー!ビー!ビーッ!!

 

 

 

 

やかましい着艦完了のサイレンとシグナル。

零番デッキと一番カタパルトから互いに走りより激しく抱きしめるタクトとミルフィーユ。

彼女の目からは涙がボロボロと零れ落ちるも精一杯の笑顔を浮かべていた。

「タクトさん!!タクトさん!!あ・・・・あたしぃ!!」

「ゴメン・・・・・本当にゴメン」

タクトも辛そうに目を伏せ、ミルフィーユを一層、強く抱きしめる。

互いの無事を確認し幸せに浸る二人。

エンジェル隊も集まり二人を冷やかすも、安堵の微笑みを浮かべていた。

「あっ!伊織さん・・・・」

<マーク・ヌル>からパイロットスーツ姿の伊織が脇腹と右肩を抑えながら脚を引きずるようにして、格納庫から出ようとしていた。

そんな彼を見つけた、ちとせの声にミルフィーユがタクトから離れ伊織に駆け寄る。

 

「その・・・・伊織さん・・・大丈夫ですか?」

後ろからエンジェル隊とタクトが近づき心配そうな顔で二人を見ていた。

伊織は顔を伏せていた。

「伊織さん・・・・・?」

「今・・・・お前と話したくない」

「伊織さん?」

辛そうに呟くその言葉にミルフィーユは目の前が真っ暗になった錯覚に陥った。

まるで、再び冷たく拒絶されたように・・・・

「お前さえいなければ・・・・ヘイズは死なずにすんだ・・・・そう思う自分がいる」

「でもアンタ!!あの男は敵だったのよ!!敵である以上、倒すって言ったのは・・・・・・アンタじゃない!!」

命からがら生き延びたミルフィーユに対する伊織の態度にランファは怒鳴りつけた。

 

「そうだ!!アイツは敵だった!だがな・・・・・アイツが死ななくても良かったんだ」

「じゃあ・・・・誰が死ねばよかったんだい?ミルフィーかい?」

フォルテが表情一つ変えずに問いただす。

伊織は掠れるような声で、

 

 

 

「俺だ・・・・・・・」

 

 

 

呟き、格納庫から出て行った。

一同はただ、呆然としながらも立ち尽くしているしかなかった。

 

 

 

 

 

 

ドア1セット分の音がし、伊織は部屋の照明をつけると、足元がもつれ、畳の上に倒れこんだ。

「うぅっ!!ち・・・ちくしょう!!」

耳には断末魔のような爆発音が、目にはヘイズの苦痛に歪んだ死に顔がいつまでもこびり付く。

目からは涙が零れてきた。

嘘だった。

自分は平気でも何でもない。

ましてや、兵器でもない。

ただの人間なのだ。ちっぽけな人間なのだ。

愛する者も、大切な仲間だった人間も目の前で失ってしまった、非力で、無力な人間。

猛烈な悔しさと怒りが込み上げてきた。

ヘイズをそそのかした、フォートに、

戦争という巨大な獣に、

無力な自分自身に・・・・・強い怒りをぶつけた。

その途端、激痛が襲ってくる。

 

脇腹、肩。

神経が剥き出しになったような感覚だ。

痛みで気がおかしくなり吐き気がする。

動けば凄まじい激痛が襲ってくるのに、涙は一向に止まらず震えも止まらない。

もう、どうにかなってしまいそうだ。

 

 

バシュッ!!

 

 

乾いた音を立ててドアが開いた。

「団長!?」

制服に着替えたクラリスだった。

一瞬、驚いた後、すぐに伊織が“リプレイ”に苦しんでいることを見抜き机の引出しから瓶を取り出して、手の平に乗せる。

水が入ったコップを運んできて、

「団長!!・・・・飲めますか!?」

「・・・・・・ぅ!!」

苦しさでうめき右手で目を覆うように隠す伊織。

頬には透明な雫が伝っていた。

 

「団長、失礼します」

クラリスはそっと、伊織の口を開けてカプセルを入れ自分の口に水を含み、伊織の口に移し流し込んだ。

そのことに驚き、伊織は水をカプセルと一緒に飲み込んだ。

「く・・・・クラリス?」

右手をどけて伊織は驚いた表情で赤く腫らした目を丸くし彼女を見つめた。

彼女も伊織を安心させるような暖かい笑みを浮かべている。

「大丈夫ですか?団長」

「あっ・・・・あぁ。ありがとう」

少し気恥ずかしそうに目線を反らす伊織。

頬はどこか、ほんのりと上気しているように紅色に染まっていた。

まるで、思春期の少年のような普段見せない彼の表情にクラリスは何だか満ち足りた気分になった。

「じゃあ、私」

「あぁ・・・・・本当にありがとう」

クラリスはどういたしまして、とニッコリと微笑んで部屋を出て行った。

 

唇に残る甘い何か。

思い出すたびに頬が火照るのが分かる気がした。

「クラリス・・・・・・」

唇に触れながら伊織は彼女の名前を呟いた。

そういえば、クラリスは旗艦だったな、と思い出して伊織は荷造りを始める。

徐々に症状がよくなってきているからだ。

息苦しさも無く綺麗サッパリとはいかないが満足に動ける分には問題なかった。

 

「クラリス・・・・とりあえず、荷物をまとめて、そっちに戻る事にした」

≪本当ですか!?嬉しいです、また団長といられるんですね!?≫

あぁ、と微笑を浮かべて返し伊織は通信を切った。

 

 

バシュッ!!

 

 

荷物を段ボール箱に大分しまいこんだ所で再びドアが開いた。

「伊織」

タクトの後ろには申し訳なさそうなミルフィーユと、ちとせが続いて中に入ってきた。

三人とも伊織の荷造りに驚いている。

「何してるんだ?」

怪訝顔で尋ねてくるタクト。

「一応、俺も七団筆頭に・・・・・・団長職に戻らないといけないからな」

腰に手を当てて天井を見上げる伊織。

「じゃあ・・・・・・さよならなんですか?エルシオールから・・・出て行くんですか?」

ちとせが半ば泣きそうな表情で訪ねて来た。

 

 

何を心配しているのだろうか?

 

伊織は本心からそう思った。

 

自分が出て行くから?

 

もう会えないから?

 

色々な推測が脳裏を飛び交う。

段々と頭が混乱してきた。

伊織は証拠による推理、推測になれてないのだ。

(馬鹿馬鹿しい)

全部、推測ではないか。

推測は所詮、推測。

本当にそうなるか分からない。

 

「そう・・・・・・・・なるな」

それを聞いた途端、ちとせの顔が絶望に歪んだ。

かと、思うと顔をくしゃっとさせ、涙で頬を濡らし部屋から出て行ってしまった。

数分後、

 

 

 

「いーーーーおーーーりーーーッ!!!!」

 

 

 

獣の咆哮にも似た様な叫び声を揚げながらランファが伊織の部屋に入ってきた。

伊織を睨みつけ凄まじい程の怒気を漂わせ空気を歪ませている。

「ランファか・・・・トイレなら右だぞ」

のほほん、とトイレのドアに向かって指差す。

「違うわよッ!!アンタ・・・・ちとせに何したのよ!!」

近寄り詰問するランファ。

「ちょっとランファ!!」

「何よミルフィー!コイツはちとせを傷つけたのよ!!」

ミルフィーユの静止をピシャリと跳ね飛ばしランファは再び伊織を睨みつける。

「傷つける?・・・・・俺が?・・・ちとせを・・・・・・?」

冷や汗をだらだらと流し伊織は息を飲み込んだ。

 

 

先ほどから何がなんだか分からなかった。

 

 

本来の所属に戻るだけなのに何故、ちとせが傷つく必要があるのだろう。

 

 

「どういうことか・・・・良く分からんが・・・・」

途切れ途切れ呟くように返す伊織。

ただ、傷つく必要がある無いかは置いておいて自分が彼女を傷つけたと言う事実は変わりない。

ならば、自分が取る行動は一つだ。

「ちとせは・・・・どこにいる?」

「銀河展望公園・・・・・・行って上げなさい!!可愛い後輩をまた、傷つけたら許さないわよ!!!」

「感謝する」

つっけんどんに言うランファに伊織は軽く礼を述べて銀河展望公園に駆け出していった。

 

 

                  2

 

 

 

さっきから良く分からない。

クラリスにちとせ。

この二人に会うと・・・・心の臓の鼓動が高まる気がする。

心の釣鐘が早く鳴り響く。

一体、この気持ちは何なのだ?

とても・・・・前にどこかで同じ様な気持ちを持った気がする。

しかし、思い出すことが出来ない。

 

 

混乱する頭を無理やりクリアにし伊織はただ銀河展望公園に向けて駆けて行く。

道行くクルーを避けながら伊織は銀河展望公園に到着し、

 

 

「ちとせ!!」

 

 

あらん限りの声を上げて彼女の名前を叫ぶように呼んだ。

返ってくるのは静寂。

続けて風に揺れる木々のざわめき。

伊織は銀河展望公園を走り回る。

彼女を傷つけたのなら、謝りたい。

そう思う一心で走り回った。

 

そして、奥の方で芝生の上に座り込みしゃくり上げる、ちとせを見つけた。

「ちとせ!!」

「い・・・・・・伊織さん?」

手を膝の上に乗せて息を整えて自分の名前を呼ぶ伊織を見つけてちとせは思わず振り返った。

彼女の瞳からは涙が幾つも零れ頬を伝い、スカートを濡らしている。

目は赤く腫れあがっていた。

 

「ちとせ」

 

 

やっぱり、俺の所為なのか?

 

 

 

その言葉を何とか飲み込み、伊織はちとせの傍に近づく。

「伊織さん・・・・どうして?」

「言ってくれ。俺の・・・・所為なのか?」

伊織は辛そうに呟くように尋ねた。

とても、辛い目だった。

「やっぱり・・・」

無言で頷くちとせ。

「私は・・・・ただ・・・・伊織さんと離れたく・・ない・・・・だけ・です」

ポツポツと、歯切れが悪いような口調でちとせは伊織を見つめる。

「私は・・・・・伊織さんと一緒に・・・・居たいんです!どうでも良い思い出も、辛い思い出も、楽しい思い出も伊織さんと作っていきたいです・・・・!!」

悲痛な何かが含まれている、その言葉。

ちとせは再び涙を零しながら伊織を見つめた。

 

伊織はそっか、と返し腰に付けてある通信機を取り出して操作し、

「クラリス、俺だ。・・・・悪いけど、もう少しエルシオールに残ることにするよ」

≪えぇ〜!!・・・・・分かりました、あなたがそう判断したなら・・・・私は貴方を待っています・・・・・いつまでも≫

「ありがとう」

フフッと笑い伊織は通信を切った。

彼の行動にちとせはただ、目を丸く見開いて伊織を呆然と見ていた。

「これで良いんだろ?」

「えっ・・・・えぇっ!??」

驚いたちとせの表情を何故か可愛いと思ってしまった。

まさか、自分の為に帰還を延ばすなんて思わなかったのだろう。

「い・・・いいんですか・・・?」

「あぁ。ちとせには色々と世話になってるから・・・な」

穏やかな微笑をちとせに向けて楽しそうに返す伊織。

初めて見た心の底からの笑顔。

ちとせの心はだんだんと、ほぐされ、とても安らかな気持ちになった。

「お願いがある・・・・・荷物を戻すの、一緒にしてくれないか?」

「は・・・・・はい!!」

目尻をさっ、と拭い元通りの笑みを浮かべて、ちとせは元気良く頷いた。

とても、清々しく楽しそうな顔で二人は銀河展望公園を出て行った。

 

 

                3

 

 

「ガーリアン本星、大気圏突破しました」

「ご苦労、景色をモニターに」

エルシオールブリッジのメインモニターに映されたガーリアン本星の映像。

近代的な高層ビルが立ち並び、巨大な道路を車が行き交いしている。

空にはジェット便や戦闘機が華麗に飛翔していた。

「凄い・・・・・」

その近代的な光景に通信担当オペレーターのアルモが感想を呟いた。

シヴァも食い入るように見つめている。

「タイタロスから通信です」

≪どうも、私達の故郷を見た御感想は・・・・いかがでしょうか?マイヤーズ司令≫

クラリスが優雅な微笑を浮かべながら訊ねてきた。

伊織と会う時の一人の少女としての微笑は無く一人の戦士としての雰囲気が漂っている。

 

「いやぁ、もう凄いの一言だよ」

額に冷や汗を浮かべ頭を掻きながら素直に感想を述べた。

≪そう言っていただけると嬉しいです。では軍本部に御案内いたしますので≫

「わかった。進路をタイタロスへ」

最後にクラリスはクスッと笑い通信を切った。

 

 

 

「臨時団長・・・・嬉しそうですね」

「それはもう!!団長が戻ってくるんですもの!」

キャハッと席から立ち上がりクルリクルリとブリッジを小躍りするクラリス。

それは、帝政国家最強部隊“聖光騎士団”の第七団団長補佐としてでは無く、年相応の女の子が見せる楽しそうな笑顔だった。

腰まで伸びた長いパールブルーの髪がふわっと広がる。

「さてと・・・・そうと決まれば、したくっと」

そう言うとクラリスはブリッジから飛び出していった。

 

 

 

 

帝政国軍本部:発着場

 

 

「ここかぁ、広いなぁ」

「本当じゃな」

「これが・・・・ガーリアン」

発着場に降り立ったエルシオールから出てきたタクト、伊織、エンジェル隊。

そして、シヴァ、ルフト。

発着場から遥か前方に位置する巨大な建造物――――――天高く突き出るソレは中世ヨーロッパの巨大な要塞―――――城の様だった。

美しく穏やか、荘厳かつ壮大。

皇都にもあるトランスバール皇家の居城も凄いがこちらも負けては居なかった。

だが、その城も『軍本部』なのだ。

 

「付いて来い、今から軍本部会議場に向かう」

伊織が指をクイと自分の方に折り曲げてタクト達に指示を出す。

前に向かって一同は歩き出した。

数分が経過し一同はその城のような巨大建造物の『門』に位置する前に辿り着いた。

鈍い灰色に輝く鋼鉄の『門』。

コレを破壊するにはかなりの弾薬が必要になるだろう、とタクトは内心でそう思った。

 

≪所属、階級を≫

『門』のすぐ傍に取り付けられているインターホンから無機性な男の合成音が聞こえてきた。

「天都伊織、聖光騎士団第七団団長」

≪了解・・・・認証確認≫

 

 

ゴォッ!!!

 

 

『門』大きく音を立てて縦に開いた。

奥は漆黒という暗闇が限りなく広がり支配している。

「ここに入るのか?」

恐る恐る訊ねてみた。

伊織は表情一つ変えずに、無言で頷いて、奥へと進んでいった。

慌てて付いていくタクト達。

灯りも無しにどうやって進むのだろうか?

一同の心配はすぐにかき消された。

彼等が進むごとに壁に設置されているライトの灯りが点く。

まるで、ファンタジーの世界に迷い込んだようだ。

 

数十分後、伊織はまた新たな門の前で立ち止まり手を当てた。

ギイッ――――と、音を立てて開く門の奥に入り、伊織は暗闇と同化し消えた。

「伊織!!」

タクトが奥に入り、エンジェル隊達も後に続いて暗闇に入った。

その途端、後ろの『門』がバタンと閉まった直後、再びライトが点された。

「!!」

彼等が照らされた場所は『大聖堂』に近い雰囲気だった。

以前、通信で見たことがある真っ白い間。

白き月の拝見の間など比べものにならない程の大きさと広さ。

タクトは真っ白いローブのような衣服で見を包む者が道を開けるように一列に整列しているのを見た。

先頭に立つ若者の後ろには副官らしき人物、その後ろには何十人の人間がいる。

 

そして、その奥に、ガイン・ゼーガルド卿が玉座に座りこちらを暖かい微笑で見つめ、

「ようこそ、“騎士の間“へ!!良く来てくださった“EDEN”の諸君」

その、広い空間に十分すぎるくらいに響く声。

暖かく安心するような声だがどこか、迫力と威厳も混じっている。

手招きされ、タクトは自然に脚が前へと動き出すのを感じた。

まるで、催眠術にかかった様だ。

長い白髪と同色の髭。おとぎ話に出てくるような、魔法使いのようにも見えた。

「こうして、お前さんと実際に会って話すのは初めてじゃな?タクト・マイヤーズ少将」

「は・・・はい!!」

タクトにしては珍しく緊張し裏返った声がその間――――――「騎士の間」に轟く。

「緊張せんでも良い・・・気を楽にしてくれ」

「恐縮です・・・・・」

軽く頭を下げるタクト。

 

「すみませんガイン卿・・・私の教え子が」

「お前さんは?」

タクトの脇から現れたルフト。

「ルフト・ヴァイツェン・・・・トランスバール皇国軍総司令官を務めております」

ガイン卿は、ほほぉと目を見開き、

「確かにお前さんは武人のような感じじゃ・・・ゾクゾクする」

楽しそうにクックと笑うガイン卿。

タクトは以前、伊織からこんな事を聞かされた。

 

 

 

「ガイン卿はAFの戦闘においては無敗の強さを発揮し、あの地位まで上り詰めた。そして“聖光騎士団”を設立した。その腕は今も直、衰える事を知らない」

 

 

 

目の前に居る人物は実際に戦い手柄を立て、“生ける伝説”と化した歴戦の戦士。

肩にますます力が入るタクト。

「そして・・・・このお方が」

「シヴァ・トランスバール・・・女皇、務めている」

まさか、十歳に近い女の子が国をまとめているとは思って見なかったのだろう。

大きく目を見開いた後、

「そのお年で・・・・よくやりますのぉ」

優しく微笑んだ。

 

「では紹介するとしようかの」

壁に立てかけてあった杖を手に取りガイン卿は玉座から立ち上がった。

場が更に静寂に包まれ、支配される。

「まず、そこに立っている者達は“聖光騎士団”の団長クラスの人間じゃ」

真っ白いローブに身を包む者達。

七人の男性や女性が混合で会釈する。

「そして、その後ろに居る者達は団長補佐と団員じゃ」

そこで初めて分かった。

副官らしき人物とは団長補佐。

その後ろにはいた、何十人の人間とは、騎士団各団を構成する団員。

それらの者達の先頭に立つ人間達こそ何十人の団員を統括する筆頭。

つまり、『団長』なのだ。

 

そして、伊織もその中に混じり、漆黒の制服の上から真っ白いローブを身に纏っていた。

 

「そこで・・・・一つ提案があるのじゃが」

ガイン卿がコホン、と咳払いして、

「我々ガーリアンと“EDEN”の親睦を兼ねて舞踏会でも開こうと思うのじゃが・・・・いかがかな?」

「それは良いですな・・・・・シヴァ様もどうでしょうか?」

「あぁ・・・今後のお互いの為に」

頷くシヴァを見てガイン卿は大きく笑顔を作った。

 

「では、明後日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それは・・・悲しみを増やす為の・・・・新たな憎しみを生む悪魔の舞踏会にすぎなかった。

その時の俺には・・・・そんな事には気付かなかった』

 

 

 

 

 

 

 

 

第十一章   完   続く