『白き月』の宮殿内、『謁見の間』から少し離れた場所に食堂がある。
一般人用の大衆的な食堂ではなく、《月の聖母》との謁見を求めて『白き月』に来た政治家や要人との会食を目的に作られた部屋だ。
天井にはシャンデリアが飾られ、赤い絨毯の上には白いクロスをかけた大きな長方形テーブルがある。
その中央には青い花瓶がアクセントとして飾られている。
本来ならば、食事自体より対話を重視した、静かな空気に包まれた空間。
しかし今、テーブルの中央部で盛大に音を立てながら、大量の料理をかき込む者がいる。
アーク・レモネードだ。
第一章 疾風は目覚めて 第3話
アークは左手に持ったフォークで、牛肉のソテーを豪快に刺し、本来ならナイフで数回に切り分けるサイズを口に放り込むと数回の咀嚼で強引に飲み込む。
彼は苦い顔で、空いた右手で鳩尾をさすりながらテーブルの向かい側に座るノアに、
「あー・・・・・・まだ、いてえ・・・・・・・・お前、相変わらずだな」
「あんたは余計に馬鹿になった気がするけどね」
対するノアは、『聖域の間』から戻ってから、未だ不機嫌な顔を戻そうとしない。
「それより、ちゃんとあたしたちの説明、聞いてたんでしょうね?」
アークは、ああ、と頷く。
食事をしながらの、モニターと口頭によるノア・シャトヤーン両名の講義が始まってから、既に1時間以上が経過している。
「あー・・・・・要点整理すると、こうだよな?
このトランスバール皇国で、『ポジティブムーン』が『ネガティブムーン』に勝ったはいいが、『ポジティブムーン』は建造目的とか融合の情報とか、その辺スッポリ忘れてて、情け無用に『ネガティブムーン』を全壊。
その後、『ヴァル・ファスク』のネフューリアって女が、クラゲみたいにフラフラ宇宙を漂ってた『ネガティブムーン』のコアを捕獲して、『ネガティブムーン』のテクノロジー利用して造ったゴツい艦で攻め込んできたけど、なんとか撃退。以来、家なき子状態のお前はここにいる。
ところが、こっちでドンパチやってた間に、当のEDEN本国はとっくの昔に『ヴァル・ファスク』に占領されてました・・・・と、こんな感じですか、ノア先生」
一気に喋って疲れたので、アークはコップに入った水を一気飲み。
今度はレンゲを使って、炒飯の山を崩しにかかる。
「・・・・・・・・・・・・不正解じゃないけど、いちいち神経逆撫でされてる気がするのはどうしてかしら」
「ノア、落ち着きましょうね・・・・・・」
視線を強めるノアに、右側から紅茶の入ったカップを差し出すのはシャトヤーンだ。
先ほどから、彼女は何度もノアに微笑みかけて、怒りを静めてくれている。
シャトヤーンは、ですが、と言いながらアークに視線を移し、
「アークさん・・・・・・・既に5人分は召し上がっていますが、大丈夫なのですか?」
「別に俺、大喰らいって訳じゃないけど、長い間飲まず食わずだったから、身体が取り戻そうとしてるみたいでさ。一通り食べたら元の食欲に戻ると思うぞ」
「なに言ってるのよ。コールドスリープ中はアンプルでちゃんと栄養摂取してたはずでしょ」
「あのなあ・・・・・栄養剤なんかじゃ、心は満たされないんだぞ。確かに、基本的に熟睡しっぱなしだったけど」
炒飯を完食して、アークは皿入りのコンソメスープを両手で持つ。
シャトヤーンは、自分のカップに紅茶を淹れながら、
「先ほどから思っていたのですが・・・・・・・『聖者の眠り』はただの冷凍睡眠ではない、『白き月』でも最高レベルの技術です。
定められた時間が経過しなくとも、一定レベルの異変が起こると対象者は自動的に眠りから覚め、外部探索素子を作動させることで、『白き月』の内外状況を知ることができるはずですが?」
スープを一気飲みしていたアークは、最後まで飲みきってから、シャトヤーンの疑問に答える。
「ああ・・・・・・・たぶん、シャトヤーンがあれを使えば、そういうこともできるんじゃないかな。
『聖者の眠り』は本来、管理者専用の機能だからな。俺の資質じゃ、単に眠ることはできても、器用に中で起きたり寝たりはできなかったんだ」
「できないというよりも、『白き月』全体への負担が大きくなるから意図的に機能にリミッター掛けたって方が正確ね。
・・・・・・・・・・だから、あんたは外の流れも全く把握してなかった訳ね」
納得がいったらしく、溜め息をついたノアは紅茶を一口飲み、
「たぶん、目覚めるには時間経過じゃなくて、何か条件が設定されていたんじゃないかしら。図らずも今、その条件が満たされて機能が解除されたってところかしら」
「あー、その辺はサガ辺りが勝手に設定したんだろうから、俺にも分かんねえ。どうせ、ロクでもない条件だろ」
「サガ・ヴァリアントね。会ったことはないけど、噂だけはあたしにも届いてたわよ・・・・・・・変人だって」
「否定はしない。けどなあ・・・・・・・・・・・」
アークはサラダを口に入れて苦い顔になる。ピーマンは嫌いだ。
なによ、と訝しげな視線を向けるノアに、アークは水で口の中のピーマンを強引に流し込んで、
「いや・・・・・・・さすがに、親父たちも、こういう事態は想定してなかっただろうなって」
「・・・・・・・・分かってるわよ。『ポジティブムーン』側の情報欠落を見抜けなかったあたしの責任でもあるわ」
アークとノア、双方が黙り込む。
そのタイミングを待っていたかのように、部屋にアラームが流れた。
緊急時の、けたたましい警報ではなく、単純に何かを知らせるための電子音だ。
シャトヤーンが手をかざす事で宙にモニターが表示され、
「まもなく通常空間にドライヴ・アウトします。お二人とも、ひとまずお話はここまでにしましょうか」
「ああ、もう。結局あんたがコアの中にいた理由が聞けず終いじゃない」
紅茶を飲みきったノアが睨みつけてきたが、アークは大量のアイス一気食いにより起きた頭痛でそれどころではない。
痛む頭を抑えながら、ノアとシャトヤーンに、
「・・・・・・後でちゃんと話すさ。それより、何かあるのか?」
「トランスバールでの呼び方なら、ガイエン星系・・・・・・そこに、EDENから来たって言ってる二人がいるのよ」
「はい。お二人は今、エルシオールという艦と共に、私たちを待っています」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
シャトヤーンの言葉を聞き、瞬時に頭痛が消えた。
いや、気にならなくなったという言い方が適切か。
「今・・・・・・・エルシオールって言ったのか!?」
アークは身を乗り出して、件の艦の名前を繰り返す。
シャトヤーンは、アークの反応を見て真剣な顔で、
「・・・・・・・ご存知なのですね? エルシオールを」
アークは頷きを一つ返す。
「知ってるというか・・・・・・・・・・・・・・」
宇宙空間に一隻の艦が浮かんでいる。
白を基調とした、細長い形状の艦。
各部に砲が取り付けられているが、戦艦というよりも、白の宮殿がそのまま艦になったような優美なフォルムだ。
ブリッジのメインモニターには、白い球体が光を放ちながら宇宙空間に現れる光景が映っていた。
クロノ・スペースから通常空間に戻る、ドライヴ・アウトによる光だ。
ブリッジ中央の椅子に座る青年、エルシオール司令官タクト・マイヤーズはその映像を見て、
「うわあ・・・・・本当に『白き月』がそのまま移動して来ちゃったんだなあ」
隣で腕を組みながら立つ青年、レスター・クールダラス副司令も同様に、驚きの表情をしている。
彼は、眼帯をしていない右の目でモニターを見つめ、
「ああ、俺も実際、こうして目の当たりにするまでは半信半疑だったが・・・・・・・・・・・・・」
この目で見ても、まだ信じられない者もいるだろう。
それだけ、今自分たちが見ている光景は異質なものなのだ。
「本星とセットになっていない『白き月』って、なんだか違和感ありますよね」
「ほんと、ほんと」
通信担当のアルモ、レーダー担当のココも思い思いの感想を告げている。
皇国に住む者にとって『白き月』は、トランスバール本星と常に共にある、文字通り『月』である。
単体で動く光景は、一生かかっても慣れないかもしれない。
レスターが、ブリッジの端末にデジタル表示された時刻を改めて見る。
「予定時刻より2時間早い到着か・・・・・・相当急いで駆けつけたらしいな」
「シャトヤーン様はもちろん、特にノアにとっては、自分と同じEDENの関係者との対面だもの」
自分で言った内容に半ば諦めながらも、タクトは思う。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・とんでもないことに巻き込まれてるよなあ、オレ。
7ヶ月前のエオニア戦役までは、辺境のクリオム星系で呑気に艦隊司令をしていたのに、恩師であるルフトからエルシオールとエンジェル隊を任せられたのが人生転換の契機だった。
黒い無人艦隊を操るクーデターの首謀者エオニアを打倒し、その裏で糸を引いていた『黒き月』を破壊。
1ヶ月前は、復活した『黒き月』から生まれ、本星にまで攻めてきた巨大艦オ・ガウブから本星と『白き月』を守り通した。
二度に渡りトランスバール皇国を救ったことになるタクトは、軍部の中では英雄などと呼ばれている。
もっとも、当人の認識としては、厄介事を背負わされている以外の何者でもない。
今など、神話や伝説の領域だったEDENの人間と、そのEDENが過去に作った『白き月』と『黒き月』の管理者を会わせようとしている。
自分には不相応な役回りだ。守らなければいけないものが増えすぎてしまった。
そのおかげで得たものも大きいのだから、さすがに不幸とまでは思わない・・・・・・・が。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう少し普通の人生でもよかったような。
通信管制から電子音が響く。『白き月』から通信が送られてきた証だ。
タクトはアルモに『白き月』との通信回線を開くように指示。
わずかなノイズの後にメインモニターに二人の姿が映る。
『お久しぶりです、マイヤーズ司令』
先に声をかけてきたのは、純白のドレスを纏った女性だ。
皇国の一定以上の文明圏で、彼女――――《月の聖母》シャトヤーンを知らない者はいない。
モニター越しに、彼女は『聖母』と呼ぶにふさわしい、慈愛に満ちた微笑をタクトに向けてくる。
タクトも、可能な限り真剣な顔を作り、
「シャトヤーン様、ごぶさたしています」
既に何度も話した間柄だが、やはり緊張する。
皇国の民の大半から厚い支持を受け、ロストテクノロジーの結晶である『白き月』を司る《月の聖母》。
本来なら、一生かかってもこの目で見れない存在であり、なにより美人だ。
『あら・・・・・ちゃんと来たわね』
シャトヤーンの隣に立つ金の髪の少女が口を開く。
かつては敵として戦い、先日は共に『ヴァル・ファスク』と戦った『黒き月』の管理者である少女―――ノアだ。
『・・・・・・・・久しぶりね、タクト』
「え?・・・・・・・・・・あ、うん」
ノアの言葉に、タクトは違和感を覚えた。
ノアの態度がそっけないのはいつものことだが、タクトが知っている彼女なら皮肉の一つも言ってくるはずだ。
今の彼女は静かな以上に、
「ノア、なんだか疲れてないかい?」
『・・・・・・・・・・こっちはこっちで色々とあったのよ』
その返答に首をかしげるタクトに、気にしないでと言い、ノアは言葉を続ける。
『早くEDENから来たっていう二人を連れて、白き月に入港しなさい。話は―――――』
『うわ、本当にエルシオールだよ』
・・・・・・・・・・・・・・・は?
知らない声がエルシオールのブリッジに響いた。おそらく男だったとタクトは判断。
一瞬、通信が混線でもしたのかと思ったが、よく見ればモニターの端、ノアの背後で動く影がある。
おそらく、エルシオールの通信回線とは別のモニターを見ているのだろう。
ノアが慌てて男の方を向き、
『ちょ、ちょっと! あんた、なに勝手にモニターいじってるのよ!』
『ん・・・呼んだか、ノア? おお、そっちがブリッジの映像か』
声の主がこちらに近づいてきているのか、ノアは一層慌てた声で、
『呼んでないわよ! 来ないで! むしろあっちに行きなさいってば!』
『あー、ブリッジの様子は少し変わったなあ』
『話を聞きなさい!』
声の主がノアの横からモニターをのぞきこんできた。
タクトより若い、まだ少年と呼べる歳だ。少年の紅い瞳は、ブリッジの特定の人間ではなくブリッジ全体の景観を見ている。
レスターやアルモはもとより、既に全ブリッジクルーがモニターへ視線を移していた。
そこに映るのは、ノアが慌てた表情で少年に怒鳴っている光景だ。
『あんた、なに通信の邪魔してるのよ!』
『いや、だってよ。不覚にも懐かしさの余り感動しちゃってな。まだ沈んでなかったんだな、この艦』
『なにが懐かしいよ! あんた、ずっと熟睡してたって、さっき言ったじゃない!』
『お前、風情ねえなあ。たとえ体は眠っててもだな、心は・・・・・・・・こう、なんつーか・・・・・・なんだろう?』
『いいから、あんたは黙ってなさい!』
なんというか、会話が根本的に噛みあっていない。
しかも、エルシオールの総員が束になっても論戦では勝てない相手であるノアの方が、明らかに形勢不利だ。
モニターの向こうで繰り広げられる会話に、こちらから介入できる者はいない。
タクトは、傍らにいるレスターに目で訴える。
・・・・・・・・・・・・・・・なに、コレ?
レスターもこちらを向いていたので、すぐに返事は返ってきた。
・・・・・・・・・・・・・・俺が知るか。
とても分かりやすく、全く役に立たないアドバイスだった。
そのままレスターは、ただでさえ鋭い目を細めて無言の圧力をかけてくる。
・・・・・・・・・・・・・・・何か喋れ。
その意思を読み取ったタクトは、露骨に嫌な顔で、
・・・・・・・・・・・・・・やっぱり、オレ?
・・・・・・・・・・・・・・お前は、司令官だろうが。
・・・・・・・・・・・・・・この場合、どっちかというと生贄っていわない?
・・・・・・・・・・・・・・知るか、さっさと特攻してこい。骨は拾って、その辺に不法投棄してやる。
無駄に長い付き合いで無駄に修得した、無駄に精密なアイコンタクトによる不毛な会話を続ける。
レスターを苛立たせるのも嫌だが、下手に会話に介入して、とばっちりを喰らうのもゴメンだ。
ブリッジの全員が固まっている中、救いはモニターの向こうから来た。
モニターの向こうで、シャトヤーンが困ったような笑みを浮かべながら、ノアに、
『ノア・・・・・・・・エルシオールの皆さんが、お困りのようですよ?』
『聖母』が降臨した。そう冗談抜きに思ったタクトは涙ぐみそうになる。
ノアは、通信中だったことすら忘れていたのか、はっとした表情でこちらを見た後、
『あ〜・・・・と、とにかく、エルシオールはすぐに入港して!』
「・・・・・・・・・・は、はい」
タクトは無条件に頷く。今、下手な言葉はノアの神経を逆撫でして、大噴火の口火を切るだけだ。
思っている間に、ノアの後ろの少年が晴れやかな表情で、
『あ、上手い言い方考えたぞ。心はだな・・・・・・・・』
『黙れって言ってるでしょうが―――――――――――――――!』
続きを言う前に、少年の顔が苦悶に染まり、画面の下に沈んいった。
モニターには映らないが容易に想像できる。ノアが彼の下腹部、最悪それ以下の部位に攻撃したのだ。
もはや少年の姿は見えず、肩で息をするノアがこちらを睨みつける。
その形相に、モニターを見ていた女性クルーの何人かが、ひ、という声を出す。
『・・・・・・・・・・・・・・・さっさと来なさい、いいわね』
「マイヤーズ司令、お待ちしています。それでは・・・・・・・・・・・・」
静かだが、感じるテンションが真逆な声の二人で会話が締められた後、通信が切られた。
空気が重い。タクトが首だけ回して見渡してみると、ブリッジにいる者全員が敵の突破網を抜けた後のように疲れきった顔をしている。
沈黙を破ったのは、首をかしげたレスターの一言だ。
「・・・・・・・・・何だったんだ、今のは?」
タクトも首を同様に首をかしげながら、
「オレにもよく分からないけど・・・・・・どうやら、向こうも思いがけない人間が現れたようだね。エルシオールが懐かしいって言ってたけど・・・・・・・・」
「・・・・・・・・まだ沈んでなかったとか言っていたが、縁起でもない話だ。『白き月』と近衛軍の象徴の艦に向かって」 オペレーターの席では、アルモとココが顔を見合わせ、 「ねえねえ、ココ。もしかして、昔エルシオールのクルーだった人かな?」 「あんな人、いたかしら? エルシオールは男性クルーが少ないから、正式配属されていれば顔は覚えてるはずだけど・・・・・」 「うーん・・・・・『白き月』の職員の人だったらさすがに分からないよね・・・・・・」 他の者も、少年に関して思い思いの推測をするが、明確な答は出せていない。 タクトはその停滞する空気を打破するように、彼にしては大きな声で自主的に指示を与える。 「とにかく白き月に入港しよう。『謁見の間』に行けば彼とも会えるだろう。 オレはエンジェル隊と一緒に行くから、レスターはルシャーティとヴァインを呼んできてくれ」 到着が遅れれば、ノアの怒りがこちらにも飛び火しかねない。タクトからすれば、ある意味『ヴァル・ファスク』の襲撃より恐い。 レスターは頷いた後、やれやれと首を振り、 「・・・・・・・あの二人をシャトヤーン様の所に連れて行けば、ただでさえ一騒動あるかもしれんのに・・・・・・俺は既に疲れた」 タクトも、同感だった。 『謁見の間』に三つの影がある。 椅子に座るシャトヤーン、その右側に立つノア、そしてさらに右にはアークが腹を抑えている。 アークは痛みをこらえながら、ノアに視線を向けることなく、 「お前さあ・・・・・・・・せめて腹は止めてくれね? 俺、メシ食ったばかりなんだから」 「そのまま、あっちで食べ続けてくれた方がまだマシだったわよ」 その声の低さに、さすがにアークも居心地の悪さを覚える。 少し調子に乗りすぎたのも確かだが。 「・・・・・・・・・・・・エルシオールって聞いたら、どうにも見たくなってさ」 上を向いて、アークは独り言のように告げる。 「まあ、あんたの気持ちも分かるけどね」 ノアがこちらをフォローしてくるなど珍しいな、とアークは思う。 上を向いたまま、アークは問いかける。 「・・・・・・・・どうなんだ? 今、あの艦にいる人たちは」 「変な奴らよ。圧倒的不利な状況でも諦めなくて、妙に楽観的で、特に司令官は理解に苦しむことを平然と言ってくるの」 それで、とノアの声は続いた。 「あたしに、友達になろう・・・・・・・って言ってくれた奴らよ」 あとがき 皆様、こんにちは。SEROです。 前回の時点でお気づきの方もいたと思いますが、今回で大体、主人公(?)アークの人格がご理解いただけたかと思います。 ・・・・・・・・・ええ、馬鹿ですとも。 どうせ馬鹿なら愛すべき馬鹿にしたいと思います。馬鹿な子ほどかわいいという言葉もあります。 作者共々、見捨てないであげてください。 まあ、それは置いといて、ついにタクトとアークが(半ば一方的に)出会いました。 英雄と疾風、二人の出会いが、ELの展開をどのように変え、銀河に何を起こすのか、おつきあい頂けると幸いです。