「さあ、熱気冷めやらぬ格納庫内特設アリーナに選手の入場です!」
観客の歓声が巻き起こり、照らされた花道からミルフィーユとちとせが登場する。
「この二人がタッグを組んだことはクルーの皆様方にとっても恐怖と! 歓喜の! 嵐が吹き荒れたことでしょう!」
歓声はますます大きくなって熱狂は渦から竜巻へと変わろうとしている。
「しかし、チャンピオンも最強のタッグパートナーを連れてまいりました。お待たせしました。チャンピオン入ー場ーですっ!」
今の熱狂にも負けない大歓声が巻き起こる。
巨大で堅固な艦と有名なこのエルシオールの外郭が熱狂で揺れていた。
現れた蘭花・フランボワーズ、フォルテ・シュトーレンの顔には自信がみなぎっている。
蘭花が肩にかけたチャンピオンベルトを高々と持ち上げると、熱狂は狂乱へと変わった。
今ここに、「第2回World Tact Cup」、別名「タクトさんは私のものだ」選手権が開催されようとしていたのである。
これはつまり、そう言うお話。
艦内放送特別企画「クイズ・エルシオール」
この番組は、衛星防衛艦隊財務部と、通信班、ブラマンシュ・ブロード・キャストの提供でお送りいたします。
「さー、今週もこの時間がやってまいりました。大人気艦内放送『クイズ・エルシオール』! 今回はタクトさん争奪選手権の種目と言うことで時間枠ぶち抜き、1時間スペシャルでお送りしていきます。軍艦にも関わらず暇を持て余したクルーの皆さん、置いてかれないようノリノリでついてきてください」
ちなみに前回のWTCは素手ゴロガチンコバトルロイヤルだったため、蘭花の圧勝に終わった。
「…ヴァニラさん、普段と性格違いませんこと?」
「このワタシのどこが違うっていうんですか」
「わあ! ヴァニラって腹話術上手なんだね!」
リング上のミルフィーユが思わず身を乗り出す。
「腹話術…とは思えないほどの達人芸ですけれど。キャラがヴァニラさんじゃなくなってますわよ」
「ミントさんアナタヴァニラさんの何を見て知っていると言うのですか! まったくこれだから獣耳なんか生やした小賢しい子どもは」
「このムカつき具合…なんかデ・ジャ・ビュですわね…」
毒々しいピンク色のぬいぐるみを手にしたヴァニラはもはやヴァニラではなった。
まるで本当にぬいぐるみが喋っているかのような饒舌さ。
エルシオールクルーはさながら宇宙ツチノコを発見した気分だった。
「と言うわけで司会進行はこの麗しき女神のような女性、ヴァニラさんの代理のワタシ、ノーマッドでお送りします」
「解説・アシスタントのミント・ブラマンシュですわ、よろしくお願いいたします」
「さあ、既にリング状で睨み合っている2組。今回の決戦は期待できそうですね」
「賞品のタクトさんも実に嬉しそうに困っていますわね」
「マイクパフォーマンスをさせると男性クルーの怒りを煽りそうですから、さっさと問題に入りましょう!」
「ま〜、今日のヴァニラさんは頼もしいこと頼もしいこと…」
「ちょっとまったあっ!」
お約束(?)の声と共に会場が再び暗くなる。
花道に登場した影は―――
「おおっとぉ! レスター・クールダラス副司令官の乱入です! 乱入者はレスター・クールダラス副司令!」
「えっとヴァニラ‥? さん、乱入者は副司令だけではないようですわよ?」
「今はノーマッドです! そうです! レスター副司令の傍らにはあの『レスターズ・エンジェル』こと、アルモとココが寄り添っています!」
「‥『レスターズ・エンジェル』?」
ミントの疑問符を無視して会場の盛り上がりは凄いことになっていった。
「エンジェル隊の女どもにタクトを引き渡したらあいつはますます堕落する! オレがタクトの身請けをして性根を叩きなおす!」
「私だってタクトさんともっと仲良くしたいです!」
「もう影から見ているだけの恋は十分です。相手が先輩であろうと、タクトさんは、その、わ、私が‥!」
「アンタたちにアタシの運命のダーリンは渡さないわ! 愛の炎でタイトルは防衛して見せるわ!」
「あー、ランファが今度美味いもん奢ってくれるって言うからさ。なんかおもしろそーだしね」
とまあ各人各様の理由によりここに、三つ巴による「第2回WTC」が始まったのであった。
リング上に設置された回答者用デスクは3つ。
ハテナマークの描かれたド派手な色のシルクハットを被り、3組ともやる気は満々だ。
「さあ参りましょう。問題はタクトさんを良く知るルフト将軍と、クロミエさん翻訳の元宇宙クジラとのお二方に監修していただいてます」
問1.タクトさんの大好きな、白米に良く合う一品は何でしょう?
ぴんぽ〜ん!
「はい、桜丸チーム!」
「イワシとマカロニの和風だしチョコレートムースケーキ!」
ぶ〜!
「え〜、違うんですかあ? すっごく美味しいんですけど」
「料理系の問題は得意と思われたミルフィー選手、天然ボケが完全に足を引っ張る羽目になりました! 桜丸チーム、この問題の回答権を失います」
ぴんぽ〜ん!
「はい、チャンピオンチーム!」
「アレですよ、フォルテさん!」
「ああ、以前タクトとあたしらでこの話したことあったねえ!」
「おおっと自信満々ですねチャンピオンチーム、それでは同時に答えをどうぞ!」
「宇宙明太子!」
「宇宙たくあん!」
「「…え゛?」」
ぶ〜!
「お二人ともマヌケにも程がありますね。ただの自分の好みじゃないですかそれ。エオニア戦役時にも繰り返した凡ミスですよ」
「「うるさいノーマッドォ!! ってかヴァニラぁ!」」
「というわけで、残るはレスターチーム。じっくり考えて答えをどうぞ」
「考えるまでも無い。宇宙納豆だろう」
ぴぽぴぽぴぽ〜ん!
「正解です! さすがは親友と言ったところでしょうか。レスターチームに10p入ります」
問2.タクトさんの嫌いなものを列挙してください。(1つにつき5p)
ぴんぽ〜ん!
「おおっと、速いですねレスターチーム! それでは答えをどうぞ!」
「1に仕事で2に退屈、3、4が無くて5に男!」
ぴぽぴぽぴぽ〜〜ん!
「大正解です!」
「タクトさんの思考もパーフェクトと仰っていますので、レスターチームに25p入りますわ」
「3,4って得点に入るわけ!?」
問3.昨日タクトさんが夕食から寝るまでに口にしたものを答えなさい。(完答.20p)
「わかるかそんなもん!」
「夕食だけならご一緒しましたからわかりますが…」
「あ!」
ぴんぽ〜ん!
「はい桜丸チーム!」
「ちとせは晩ご飯のメニューを答えて。私がその後答えるから」
「は、ハイ先輩!」
「チームの結束力で答えに迫る桜丸チーム、ではどうぞ!」
「タクトさんが食べていらしたのは麦とろご飯、カニクリームコロッケ、キャベツの千切り、きんぴらごぼう、ほうれん草のおひたし、なめこのお味噌汁に、給仕さんのおまけの乳酸菌飲料です! ミルフィー先輩、その後は?」
「私が作ったゼリーをあげましたからそれを食べてるはずです!」
「すばらしい答えです桜丸チーム、それでは答えは!?」
ぶ〜!
「ち、違いましたか!?」
「え〜、タクトさんひょっとしてゼリー食べてくれなかったんですかぁ?」
ぴんぽ〜ん!
「はいレスターチーム、お答えは如何に?」
「まず夕食の麦とろ飯、かにクリームコロッケ、キャベツ、きんぴら、おひたし、味噌汁、乳酸菌飲料まではその通りだ。その後、ミルフィーユから貰ったゼリーをブリッジで一口食べて床に落とした。しばらく泣いたらまた腹が空いた様で、食堂に行ってその日余ったアジの開き、肉じゃが、ピーマンの中華風炒めをおかずにご飯を2杯食べる。その後さらにコンビニで買ってきた宇宙ポテトスナックを食べ、チョコレート味の歯磨き粉を少し舐めてから歯を磨き就寝した。最後に深夜目が覚めて牛乳を一杯」
会場が重い沈黙に包まれた。
ぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽ〜〜〜ん!
「イエス!」
「おおっと! 驚くことに大々正解です! ストーカーでもしてるんでしょうかレスターチーム、模範解答よりもさらに詳細に答えてくれました!」
「タクトさんの思考は『歯磨き粉のことは黙ってる約束だろ!?』だそうですわ。諜報部も知らない秘密を番組が暴いてしまいましたわ」
「副司令…変態?」
「あたしゃ同じリングに上がってるだけでこの辺がむず痒くなってきちまったよ」
「レスターさんすごいです〜」
「流石は副司令。タクトさんのことなど全てお見通しと言うわけですね」
「さあ今の暴露でボーナスpも加算しまして、レスターチーム一気に計60pと圧倒的大差がついています。チャンピオン危うし!」
「やばいわ…あんな変態に勝てる気もしないけどあんな変態にダーリンを渡すわけにもいかない!」
「大丈夫だランファ、あんたは誰にも負けない。やれば出来るさ!」
「フォルテさん…!」
「…あ〜、だから後は任せたよ!」
颯爽とリングを降りようと駆け出すフォルテ。
当然蘭花も掴み掛かるのだった。
「逃げないでくださいよ、フォルテさん!」
「うるさい、あたしゃ帰る! やってられんこんなの!」
「そんなこと言わないで頑張りましょうよ!」
「放せェ〜〜〜!」
「チャンピオンチーム、レスターチームのあまりの強さに仲間割れを起こしています。このまま一気に決まってしまうのか?」
問4.タクトさんがちとせさんに呼ばれたい呼称は?(10p)
ぴんぽ〜ん!
「おっとチャンピオンチーム、今度は速い! しかも何処か怒りが滲んでいます!」
「タクぽん! ‥ったく、冗談とは言えタクトったら可愛い娘見つけたらすぐにナンパするんだから。ってかなんて問題よ」
「そういえばちとせさんの赴任時にそんなことありましたわよね。正解でしょうか?」
ぶ〜!
「何でよ! 違うの?」
ぴんぽ〜ん!
「桜丸チーム、答えをどうぞ」
「た‥たた……たっくん…」
顔を赤らめながら恥ずかしそうに言うちとせに再び会場のボルテージが上がる。
「あらまあ、本人の口から。これが正解でしたら見事タクトさんの望みはかなったことになりますが、いかがでしょうか?」
ぶ〜!
「残念です。さあ残るはレスターチーム、回答は如何に?」
「ふっ、口ほどにも無いな。答えは…『お兄様』だ」
ぴぽぴぽぴぽ〜〜〜ん!
ガッツポーズをとるレスターの銀髪がライトを浴びて輝いた。
「まったく恐ろしい男ですレスター・クールダラス。この人にかかればタクトさんのことでわからないことなどあるんでしょうか?」
「簡単なことだ。エオニア戦役であのノアを見て以来憧れてたところにちとせが入隊したからな。あいつの目の色ときたら。オレの目はごまかせん」
問5.タクトさんがミルフィーさんに一度でいいから着てみて欲しい服は?(20p)
ぴんぽ〜ん!
「はい、もはやかませ犬化してきているチャンピオン!」
「誰がかませ犬よ誰が!」
「いいから早く答えをお願いします」
蘭花は思った。
ここでまともに考えるなら、タクトの趣味的にも、『メイド服』とか『セーラー服とメガネ』とかの可能性が高い。
だがこれまでの傾向から察するに。
それに不自然な得点の高さ。
恐らく答えは最悪。
人としてどうかと言うような方向性に行くに決まってる。
ならばそう言う変態的な方向で考えた方がいい。
そう、いっそ『それ服じゃないだろ』って言うような。
水着みたいな…いや…?
いや違う、タクトなんだから。
まさか、そうか!?
「チャンピオン? 黙ってると時間切れになりますよ?」
この間わずか3秒!
「答えは…全裸!!」
会場はまたも沈黙に包まれる。
「ええ、チャンピオン・ランファ、ついに勝利の為になんだかいろんなものを捨てた回答が飛び出しました!」
「うるさいわね、いいでしょ?」
「さあ、答えは?」
ぶ〜!
「残念!」
ぴんぽ〜ん!
「おおっときました、すでにお決まりのパターン! レスターチームのお出ましです」
「ランファ、お前はお前なりに今回タクトの思考の中でも最悪なものを選んだつもりだったろう」
「…そうよ。深読みし過ぎだって言うの?」
「いや、間違ってはいない。ただ、アイツに限っては常に最悪の、その少し斜め上を行く」
「おおっとレスター選手からどっかの漫画のパクリみたいな台詞が飛び出しましたぁ! しかしあの作者いったい何ヶ月休載する気でしょう!?」
「ちょっと、あのそういうネタはこういう場ではやめられた方がよろしいかと」
「週刊誌で年間の休載率が91.7%って! 何を考えているんでしょうか!?」
「ヴァ‥いえ、ノーマッドさんの慟哭はさておき、レスター選手答えは?」
「裸エプロン」
ぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽ〜ん!
「大ッ正解です!」
「すごい男が現れました。完全に独走態勢です。かつ変態です。これでもう90pです。しかし、まだまだ逆転の可能性も残されています!」
「も…好きにして」
問6.エルシオール内で、タクトさんにもっとも裸に近い格好で接触したのは誰?(30p)
ぴんぽ〜ん!
「は〜い! これアタシ、蘭花・フランボワーズ」
ぶ〜!
「嘘お! だってバスタオル1枚だったのよ!?」
「その時は接触はしておりません。ランファさんらしく蹴りのひとつでも入れていれば正解だったかもしれません」
「ヴァ・・じゃない、ノーマッド! アンタアタシのことそんな風に見てたわけ?」
ぴんぽ〜ん!
「では、私が寝ぼけてタクトさんに寝間着一枚で抱きついたとき、でしょうか?」
「わあ、ちとせって大胆!」
「そ、そんなミルフィー先輩。その、私寝ぼけてて…」
ぶ〜!
「これも違うんですか?」
「いったい、誰が!?」
ぴんぽ〜ん!
「オレだ。この前風呂で背中を流した」
ぴぽぴぽぴぽ〜〜ん!
「この2人なんでもありでしょうか! さらにレスター選手に得点が入ります!」
「頭も洗ってやった」
「異常な仲良さを暴露しつつ次の問題です!」
問7.誰にも知られたくないタクトさんの好きなコーヒーの飲み方は?
「あいつはいつも『レスターの好きにしてよ』と言うが、砂糖はスプーン3杯、ミルクはコーヒーの半分量は入れんと『にがい〜』と言ってめそめそする。あと、オレが息を吹きかけて湯気が出なくなるまでは度々ちょっと舐めては『あついよ〜』と舌を出して涙目になる」
「いやぁ〜〜〜〜!」
その後も変態的なクイズと「趣味はタクト全般です」とか面接で言いそうなストーカー知識炸裂レスターによる猛攻が続いた。
「さあ最終問題、タクトさんが愛する人の名前は!?」
「このオレ、レスター・クールダラスだ!」
「おめでとうございます! 優勝者はレスター選手です! タクトさんの所有権はレスター選手に譲渡されます!」
「れ、レスター、その…オレのこと、よろしくな」
「司令! 副司令! 末永くお幸せにー!」
「よっ! この色男ー!」
会場の盛り上がりも異様な雰囲気であった。
「タクト、愛しているぞ。幸せになろうな」
タクトの肩をぐっと抱き寄せるレスター。
潤んだ目で、赤くなりながらも抵抗せず寄り添うタクト。
つい、とタクトが背伸びして目を閉じる。
そして二人の唇が近づいていき…
「そんなのいやぁぁぁぁぁ嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
蘭花が、目を覚ました。
映像だが陽の光が差し込む、いつもならなんとも気持ちいい朝なのだが。
「はっ‥はっ‥はぁっ…あ゛…悪夢だわ…」
目覚めは最悪だった。
「いい加減にしろ! 珍しく早く起きてきたと思ったら『補給先を近くのリゾート惑星にして休暇をとろう』だと? 一刻も早くレナ星系に向かわなければならないこの現状をお前はわかってるのか?」
「いやほら、休んで友軍と合流してから行った方が安全かな〜と。あのネフューリアって人なんか気になるし」
「友軍はともかくこんな時にリゾート惑星まで寄り道する馬鹿がどこにいる!」
「じょ、冗談だって! 苦しいってばレスター!」
「今日こそその性根鍛えなおしてくれる!」
いつものブリッジの光景。
半年前からずっとでは、もうブリッジクルーも「やれやれ」といった感じで放置が続いている。
そんな時、機械音と共にブリッジのドアが開いた。
激しく方で息をしながら入ってきたのは腰まである金髪の豊かな少女だった。
パジャマのまま、顔も洗わず髪も梳かさず、裸足でここまで走ってきたのだった。
「な、なんだランファ、どうした?」
「やあランファ、そんなに慌ててどうしたんだい?」
レスターはタクトの胸倉を掴んだままぎょっとして、タクトは胸倉をつかまれたまま、蘭花を見てにっこりと笑った。
二人の顔は、とても近い。
(ランファ、オレに会いたくて目が覚めてすぐに来てくれたんだろうなあ。仕方ない奴だなあ)
蘭花の反応はその場にいる誰の予想も超えたものだった。
「いやぁああああああああああああああっ!!!!」
ぎくりとタクトとレスターを見て、泣き叫びながら猛突進してタクトとの間を詰めたのだった。
「秘奥義・一文字流星群乱れうちキィィィィィッッック!!!!」
タクトが紙くずのように宙を舞い、ブリッジ中央の司令官席から壁まで吹き飛んだことは言うまでも無い。
「ダーリンの御法度野郎――――っ!!!」
捨て台詞を残してブリッジを突如襲った局地型の人型台風「蘭花・フランボワーズ」は過ぎ去っていった。
「は…ハニー…オレ…なんかしたかなあ?」
スウィート戦艦、ラヴシオールは今日も漆黒の宇宙を往く。
これはつまり、そう言うお話。