桜の木の下で・・・・・。 著/翡翠紗砂
桜も咲き始め、暖かい日が続く今日この頃・・・・。
僕のうちの隣に住む美紗さんは突然こんな事を言い出した・・・・。
「こ〜た〜ろ〜う〜く〜ん!!!!!」
「・・・・・・なんですか。」
「春ッスね。」
「え、えぇ・・・。」
「ってことで花見ッス!」
「はぁ?」
と、突然こんな事を言い出した。
「この世界では、春になったら花見をするって聞いたッスよ!」
「・・・・・・・それはしたい人だけでしょう。第一僕は塾の宿題があるんです。」
塾の宿題がたまっている僕はそれどころではなかった。
ましてや人がたくさんいる所にわざわざ行く必要もない。
「お花見って何ぅ・・・・・?」
と、そこに今さっき起きてきた紫乃ちゃんがそういった。
「桜を見るッス!みんなで桜を見ながらヒゲダンスを踊るッス!」
と、言った美紗さんに僕は呆れ顔でこう言った。
「・・・・・・・・・・違いますよ。」
「え?」
どうやら美紗さんは間違えて覚えてるらしい。
第一なんで花を見ながら踊るんだ?
酔っ払ってるオヤジでもないのに・・・・。
「そんなのいいから行くッスよ!」
「だから僕は塾の宿題を・・・・・。」
そんなこと聴く美紗さんではなかった・・・・。
僕の話を聞かず、一目散に自分の家に戻って紫亜さんを連れてきた。
なんでそんなに話を聞かないのか良く理解できない・・・・。
わざとなのか本当に聞こえていないのか・・・・・。
どっちにしろ理解できない・・・。
「お兄ちゃん、紫乃着替えるぅ・・・。」
「う、うん。」
(こんな忙しい時に誘ってくれなくても良いのに・・・・・。)
僕はふと、そう思ってしまった。
準備を済まし、しぶしぶ外へ出ると、そこにはテンちゃん小星ちゃん、はたまた大ちゃんまでもがいた。
「もしかしてみんな・・・・・。」
「美紗さんに誘われたんだよ。な、ウ●コ。」
「ウ●コと言うな!!!綾小路!」
「汚いよ・・・テンちゃん」
どうやらみんなで行くらしい。
いつの間に誘ったのだろうと、思ったが、あえて何も言わなかった。
と、いうより呆れた。
「どうしたんスか?湖太朗君?」
返す言葉もなかった。
なるべくなら僕は早く事を済ませてしまい、帰って宿題をやってしまいたい気持ちで一杯だったからだった。
「さぁ!行くッスよ!」
『おー!!』
花見会場へいくと、そこは人であふれ返っていた。
「うわ〜。人が沢山いるね〜。」
「座るとこあるでしょうか・・・・?」
「大丈夫っスよ!もう席は取ってあるッス!」
『へ?』
人がこんなに沢山いるとこの何処に席が取ってあるって言うんだ?
第一、そんなところは何処にも見当たらない。
「こっちス〜!」
と、疑いつつ、美紗さんについていった。
そして、人けの有る場所から少し離れたところに美紗さんは入っていった。
そして、そのあとに続くと、そこには大きな桜の木一本。
がひっそりと華やかに咲いていた。
『わぁぁ・・・・・・。』
そこには大きなシートがひとつ。
周りには誰もいない。
穴場と言っても過言では無い場所だった。
僕達だけの貸切らしい。
「ここ見つけるの・・・大変じゃ無かったですか?」
と僕が尋ねると、美紗さんは笑ってこう言った。
「そんなこと無いッス!湖太朗君のためだから・・・。」
「え・・・・?」
僕のため?
どういうこと・・・・・・・?
「美紗さーん!」
「にゃっす〜」
ここを見つけるのが僕のため・・?
どういうこと・・・・?
「湖太朗早くこいよ。」
「う・・・・うん」
大きな桜の木を前に僕達のお花見が始まった・・・・。
「にゃにゃにゃ〜」
「美紗さん酔い過ぎ・・・。」
「にゃにゃにゃ〜。」
美紗さんは事もあろうかお酒を買ってきて飲んでしまった・・。
「あ、あの美紗さんそれぐらいにして・・・。」
「あ、紫亜ちゃん・・・。にゃにゃにゃ〜。」
美紗さんはフラフラと立ち歩き始めた、そして・・・・。
「美紗さん!前!前見て!!」
「にゃ?」
『ゴン!!』
ぶつかった・・・。 僕は慌てて駆け寄っていった。
「美紗さん!大丈夫ですか?」
「にゃにゃにゃ・・・・・。」
僕が美紗さんを置き上がせると、、美紗さんは寝てしまった。
まったく、美紗さんの行動は予想がつかない・・・・。
「ぷ。」
と、美紗さんがねてしまうと、ふと、テンちゃんが笑いをこぼした・・・。
「あはははははは。」
それを合図のようにみんなが一気に笑い出した。
「み、みんな・・・・?」
「はははははははは。だ、だって・・・・み、美紗さんおか・・・おかしい・・・ははははは。」
みんなが寝ている美紗さんを横に大笑いしている。
安心そうな美紗さんの寝顔と、おでこにできた小さなたんこぶを見ると、ふと、僕も笑ってしまった。
「はははは。」
みんなが笑う。
美紗さんの行動をみて笑う・・・。
テンちゃん、小星ちゃん、大ちゃん、紫亜さん、紫乃ちゃん、僕が美紗さんを見て笑ってしまう。
『あははは』
(なんか・・・・楽でいいな・・。)
桜の木の僕達は大きな声で笑った。
体の力を抜いて楽に笑った・・・・。
「うにゃにゃ〜。」
美紗さんは僕のひざの上で目を覚ました。
テンちゃんたちはカラオケやお弁当を食べながら、騒いでいた。
「こ、湖太朗君!!!!!」
「動かないほうがいいですよ。まだ痛いでしょ。おでこ。」
「にゃ?」
大声で笑ったあと、紫亜さんは水で冷やしたタオルを美紗さんのおでこに置いた。
まだ美紗さんのおでこには赤くなった小さなたんこぶが見える。
「まだちょっと痛いッス・・・・。頭もがんがんするッス・・・・。」
当たり前だ。
一升瓶の4分の3ほど飲んでしまったのであるから。
「大丈夫ですか?」
まだ痛いって言うのに、僕は聞いてしまった。
そうすると美紗さんは・・・・・。
「湖太朗くんこそ大丈夫っスか?」「え?」
僕はどこも怪我をしていないのに美紗さんはこういった。
「湖太朗くんずっと疲れていた顔だったっス・・・。」
「そ、それは・・・・。」
僕はふと、気づいてしまった・・・。
このごろの僕は塾の宿題がたまってしまい、イライラしていた。
もしかして、その事が美紗さん に伝わってしまったんだ・・・・・と・・・。
「もしかして僕のためにここに・・・・?」
「だから、湖太朗君のお母さんの私が、元気にしてあげたかったんス・・・・。」
ただのお気楽のためだけなのかと、早く帰りたい・・・・とも思った。
僕は・・・ただの自己中だったのかもしれない・・。
自分のことばかり考えて、美紗さんにそんな気持ちにさせてしまっているのも気づかずに・・・。
「にゃ?湖太朗くん・・・・?」
「・・・・・・・。」
「にゃ?にゃ?私なんかしたっすか?にゃにゃ〜。」
「違うんです・・・・。」
涙が出た・・・・。
美紗さんへの感謝と自分の不甲斐なさに・・・・・。
「有難う・・・ございます。」
「湖太朗君?何で泣いてるっスか?!」
僕は涙をぬぐい、顔をあげた。
「美紗さんのおかげで元気になりました。」
肩の力をぬいて、楽にやっていこう。
にこっと笑ってくれた美紗さんと顔を合わせてこう思った。
「私は、湖太朗君が楽になれるのなら、頼ってほしいっス・・・・。頼りないかも知れないっスけど。へへへ。」
僕はなんて幸せなんだろう・・・・。
笑いあえる友達がいて、こんなやさしい『お母さん』もいて・・・。
そんなみんながいるのに、 一人で背負い込んでるなんて、良くないよね・・・。
「これからもよろしくお願いします・・・。」
「にゃっス!」
僕と美紗さんは顔を見合わせ、再び笑いあった。
「おーい!湖太朗、美紗さん、来いよ!」
「にゃっス!」
「・・・・・・・うん!」
この幸せを感じながら、僕達は桜の木の下で笑いあった・・・・。
終わり。
おまけ 〜そのあと〜
「美紗さん・・・。宿題終わりそうに無いんですけど・・・・。」
と、湖太朗くんが夜に尋ねてきたっス・・・・。
「手伝うっスか?」
「お願いしていいですか?」
「にゃ!」
「って、さっきいったのに・・・・・ なんで寝ちゃうんですか〜?!!!!!」
「ZZZZZ・・・・・・」
「美紗さーん!!!やっぱりこんなお母さんには頼れないよ〜!!」
私は、湖太朗くんのお母さんなのに、一生懸命宿題をしている湖太朗君を手伝う事はできなかったス・・・。
でも、そのあと、湖太朗君は徹夜で宿題をやったそうなので、良しとしましょうっス!
「よくな〜い!!!」
「にゃ?」おまけ〜そのあと〜おわり。
〜管理人感想〜
お花見を基本にしたぴたテンの季節ものですね。
和やかな宴会の中での湖太郎の心の動きが表現されていて良かったです。