ギャラクシーエンジェルBeloved lovers

 

【就職活動?臨時雇いと奇跡の薬草】

 

「しかし、〈オブスティネート〉が、何かをしているとは言っても、それで、レナードが疑われるというのは・・・・」

エルシオールの会議室、そこでフォルテはルフトに言った、それにルフトは、

「確かに、だが、確証こそ無いものの、〈オブスティネート〉が何かを行っており、それが軍に見とがめられるようなこと

だと言うこともまた事実、いまだに、人を介してレナードと、〈オブスティネート〉の人間が連絡を取り合っているという

話もある。」

「しかし!」

「分かっておる」

なおも反論を続けるフォルテの言葉を遮り、ルフトは淡々と

「そんなことは言われなくとも分かっておる、だが事実は事実、確証はないが、この件は烏丸少尉にも伝えることとする。」

「ちとせにですか?」

ランファの質問には無言で肯いてみせる

「ちとせさんに、レナードさんの監視をさせると言うことですのね」

ぽつりとミントが呟く

「まあ、そう言うことになるかのぅ」

「俺には・・・」

「おい、タクト!」

タクトの言葉を止めようとレスターが言うが・・・

「俺には、レナードがそんなことをするとは思えません、根拠や証拠はありませんが、彼がそう言う男でないことはルフト

先生も分かっているはずです。」

レナード、基本的に穏和な性格、作戦遂行の為には、冷酷になることもいとわない男、犠牲は好まないが、必要なことはど

んな手段を用いても全てやり遂げる。

穏和と冷酷、完全に反対の正確を持ち合わせているレナードは、平常時は穏和だが、困難な作戦時には、いつもの状態から

一変し、非常な命令目別なく、下す指揮官となる、だが、

「彼は、自らの信じるものは曲げようとはしません、彼は、この皇国を裏切るようなまねはしません、半年といっしょにいた

こともありませんが、それでも、あの短い期間で、彼のことは少しは分かっているつもりです。」

タクトの言葉には、この事態を何とかしようとする、強い意志が見て取れた、だが・・・

「私も、確かにそう思う」

それまで黙っていたシヴァ女皇が言う、

「確かに・・・・な、だが、この事態は見過ごしておけることではないのだ、疑いがあるのなら、正式な証拠を持って潔白を証明

してもらう他はない。」

決定事項だとも言うべきその言葉に、皆はただ、沈黙するしかなかった。

 

 

時は少しさかのぼり、当日の早朝、数時間後にエルシオールは食虫植物騒ぎになるのだが、そんなことはつゆ知らず、取りあ

えず平和な日々を過ごしているレナード達。

「で、此処に例の?」

洒落たガラスのテーブルに置かれた地図を見ながら、レナードはそう言った、

「ええ、そうよ、この村には、あらゆる病を治すという、伝説の薬草が存在するの。」

にっこり笑いながら、向かいの席に座るフェイツイはそう言った、

「フェイツイ・・・・私は確か、『力ある言葉』・・・正式には、現象具現能力を取り戻す方法を探してくれと言ったはず・・・・」

レナードの実家、ミルガルド家は、代々特殊能力者の生まれる家系なのだ、ミントのテレパスのようなものも、特殊能力に含

まれるが、ミルガルド家は能力者の家系の中でも随一の実力者揃いで、純粋なミルガルドの血を引く宗家、そして、力は若干

劣る分家まで、全てに特殊能力者が生まれている、レナードはミルガルド家の宗主候補の為(現在最有力候補)、何とかして能

力を復活させなければ、宗主には同世代の他の人がなるしかないのだが、制御が難しいとはいえ、大抵の現象を引き起こせる、

汎用性の高い能力を持つレナードに、誰もが期待しているのだ

「ええ、確かに言われたわ。」

さらりとフェイツイが言ってのけると

「なら、どう考えてもウソ丸出しのこんな情報を持ってきたのはなぜだ?」

「あら、ガセネタとは限らないわよ、実際に、この付近で昔、奇跡の薬草が使用されたという記録もあるし。」

「いや、どうせ、村おこしか何かの為に、そんな情報を流しただけ・・・、地図の場所からすると、ろくに整備が行き届かず、

未だに前時代的な生活をしているような所だし、確実にウソ・・・・」

「いいえ!」

いつもの彼女らしくなく、目をきらきら輝かせて

「これこそ奇跡の薬草!あなたの能力使用不可能症候群もきっと治るわ!」

「いつからそんな病名になったんだか・・・・・」

呆れてそれ以上何も言えなくなるレナードだが

「とにかく、行ってきなさい、今すぐ」

「はいはい」

ため息をつき、準備を始めるためレナードは席を立ったのだった。

 

 

 

「(少し無理矢理でしたけど、これで言い訳は通りますわね)」

フェイツイは此処との仲でそう考えた、あとはレナードが何とかしてくれるだろうと、そこでソファでことの成り行きを見てい

たちとせに、

「それでは、今度は貴女の番ですわね」

「はい。」

真剣なまなざしを向けてくるちとせに対してフェイツイは、

「ですが、何もアルバイトなどしなくても・・・」

 

 

 

アルバイト、ちとせは臨時で雇ってくれる職を探していたのだ、いままで、第二部に入ってからかかった費用は、全てレナード

が払っていた、元々レナードの実家、ミルガルド家は貴族の家系、金ならいくらでもあるので、どこにも問題ないのだが、そこ

は生真面目なちとせである、頼り切っているのはまずいと、何とかしようと考え、こっそりアルバイトをしようという結論にな

ったのだ、フェイツイには、雇ってくれそうなところをいくつかピックアップしてもらっていた、と言うわけで、まずはちとせ

とフェイツイコンビから

 

 

 

「まずはここです」

言ってフェイツイが指さしたのは、壁にある張り紙

「情報では、給金が一番良いのはここです」

「エスニーク葬儀屋・・・・・・」

ちとせが呟く、

張り紙にはこうある

『従業員急募、若い人たちが集まる楽しい職場で、お客様に笑顔で応対し、仲間同士でわいわい働いてみませんか?時給は・・・・・・』

で、最後に書いてある店の名前が、

「エスニーク葬儀屋・・・・・・」

「ええ」

「葬儀屋で、わいわい楽しく働く、ですか?」

「・・・・・」

口々に二人は張り紙について述べていく、で、結局

「ここはやめた方が良いかもしれませんね」

結局こんな結論だった

 

 

 

「きみ、いくつ?」

で、結局、オーソドックスに飲食店のアルバイトをすると言うことになったのだが。

「歳ですか?えっと、18です。」

「21です」

個室でアルバイトの面接を受けていたのだが、なぜかフェイツイもいっしょだったりする、念のために言うと、ちとせが18歳で、

フェイツイが20である、

「ふむふむ」

無意味に言葉を発しながら、面接を行っている中年の男は用紙に記入していく

「今までにこういったところで働いたことは?」

「こういったところ?」

オウム返しに質問すると

「あ〜、飲食店とかで働いた経験があるか無いか」

「いえ、有りません」

「わたしもです、無いとまずいのでしょうか?」

「いや、まずいというわけでもないが、今まではどんな仕事やってたの?」

ちとせはしばし考える、まさか、軍人ですとか言うわけにも行かないだろう、不自然だし、そもそも軍人に見えないのだ、証拠

を提示しても、事務職?とか言われて、って、なんだか関係ない話に

で、結局

「いえ、特になにも・・・」

全く同じ答えを二人が答える

「・・・・・・・・」

中年親父はしばし沈黙し

「まったく、その年で働いたこともないとは、学生さん?」

「いいえ・・・」

「まったく、最近の若いもんは・・・まあいい、取りあえず、二人とも採用だ、うちは人手不足だしな、で、どこで働きたい?」

「どこで?」

「給仕か?調理か?掃除係か?一応、荷物運びもあるけど、女の子だし、さすがにそこはきついから止めときな。」

「ええっと、それじゃあ、調理で」

「私もそれで」

「はいはい、二人とも調理場、っと。」

 

 

 

「それじゃあ、お前らはまだ新入りだし、取りあえず皿洗いを頼むぞ」

調理場主任からそう言われ、二人は流しの前にいた、次々と運び込まれる皿達を、急いで二人は洗っていく、洗った側から皿が

増え、異常なまでのピッチで進んでいく。

「ん?」

ちとせが一枚の皿に違和感を持った、

「どうしました?」

フェイツイがそう訪ねると、ちとせは問題の皿を見せる、そのさらには、うっすらとひびが入っていた

「まあ、どうしましょう?」

「主任に報告した方が良いのでしょうか?」

ちとせが言うが

「いえ、割れるわけでもなさそうですし、このままニ・・・」

「でも・・・・」

などと二人がこの皿について話している間にも、皿は増え続けていき

 

「主任!パフェ用グラスきれました!」

「はぁ!?そんな訳あるか!今までそんなこと・・・」

「大皿とどんぶりがありません!!」

「ちゃんと数えろ!十分な数が揃っているはずだぞ!」

「お子様ランチプレートが!?」

「何をやってるんだ!そんな馬鹿なことが・・・」

そこで主任は何気なく流し場の方を向き、皿洗いコーナーで、問題のひび割れざらについて話し込んでいる二人が目にとまる、

主任の目には、二人が無駄話でもしているものと映ったのだろう、

「あほかぁぁぁぁぁ!!!!」

主任は思わず手に持っていた包丁を放り投げる、思ったよりも正確に、包丁はとんでいき、フェイツイの頭へと一直線に向かっ

ていった

「は!新入り!!!避けろぉぉぉぉぉ!!!!!!」

顔を青くして主任は叫んだ、彼の脳裏には、今までの出来事が、走馬燈のように流れていく、家に待つ、妻と二人の娘、主任に

昇格したあと、次女が生まれて大喜びしたこと、夫婦揃っての楽しい日々、このレストランで働いていた今の妻に、思い切ってプ

ロポーズしたあの日、等々、しかし、彼はこのあと殺人犯として警察に連行され、妻と子供は泣き叫ぶ

「終わった・・・・俺の人生は、終わったんだ・・・・」

絶望した声で、主任は呟き、しかし、

ひょい

フェイツイは、当たったら確実に即死するような包丁を、投げ渡された物でも受け取るかのようにあっさり人差し指と中指で挟ん

で受け止めてしまう

「あら?どうしてこんなものが?」

フェイツイは事もなげにそう言った

「た、たすかった・・・・・」

さすがに主任は脱力し、その場にへたり込んだ。

 

 

 

「いや、新入り、あの鮮やかな包丁の受けとめっぷり、実はどこかで料理人やってたんだろ?」

「いえ、私は・・・」

主任にそんなことを言われて、フェイツイは戸惑っていた

「いやいや、謙遜することはないさ」

「いえ、謙遜ではなく・・・」

「ふむ、なるほどな、人には誰だって、人には言えない過去があるもんな、おれだって、21の時に今のカミさんと出会ったんだ

けどよ、そん時のカミさんの歳が14、カミさんが16になるまではひた隠しに付き合ったもんだ」

「そんなことを言われましても、どうしても出来ない物は出来ないんです!!」

フェイツイのいつになく強い口調でいったが、

「ま、頼んだぞ」

それだけ言うと、本人は自分の持ち場に行ってしまった。

 

 

 

「新入りさ〜ん、クリームスープスパゲッティはいりました〜」

「うう・・・」

と、いうわけで、今フェイツイは台所に立たされているのだが、残念ながら彼女にはまともな料理の経験などはなかった、料理と

いうカテゴリーに入れていいものか迷うようなものならともかく、まともなものなど彼女は作ったことがないのだ

「とりあえず、レシピは・・・・」

フェイツイは手元のレシピに目を移し、

「お、オイルを温めて・・・魚介類に野菜を炒める?」

土素人の手つきで調理を始めるが、

「スープを作るのに、だしと生クリーム?牛乳、塩、こ、コショウ??」

(中略)

 

 

 

なぜか調理器具が崩壊しました。

 

 

 

と言うわけで、

「君たちには給仕係、ウェイトレスをやってもらう」

そのため、二人とも既にウェイトレスの服に着替えているのだが、何となく気恥ずかしいのか、二人とももじもじしていたりする

かわいいピンクの制服に身を包み、どうしたらいいかおろおろしている二人だったのだが、

「おいおい、この店はこんなもんを客に出すのかぁ?」

そんな声に店内は一気に静まり、緊張感に包まれる

そこにはあんなの乗な光景が広がっており、ガラの悪そうな大男三人組がウェイトレスの一人に向かって、

「この店はこんなもんを出すのかって聞いてんだよ!」

と、むしのようなものを見せつけて言う、それにウェイトレスは頭を下げて

「も、申し訳ありま・・・・」

「申し訳ありませんで済むわけねぇだろ!俺らは虫喰わされそうになったんだぜ!どう責任取ってくれるんだ!」

すると、ちとせとフェイツイの周りを囲んでいたウェイトレス達が

「あいつら、いつか問題を起こすと思っていたけど、このままじゃ、リナが、リナが!!」

なんて事を言ってくる、まさか、助けろとか言うつもりじゃあ、などと二人が思ったところで、

「謝って済む問題者ねぇって言ってんだろ!痛い目見ねぇとわからねぇようだな!」

言って拳を振り上げて

ひゅっ

風を切る音がしたかと思うと、拳を振り上げた男の頭にコップが命中する

「なにしやがる!!誰だぁ!こんなもん投げつけたのは!!」

「俺らを舐めるとどうなるか、思い知らせ・・・」

殴りかかってきた男の足をフェイツイが引っかけ転ばせる、

「てめぇ!」

続いて殴りかかってきた二人目は、ひょい、とかわして後頭部に一撃

「よくも!」

最後の三人目はちとせが足を引っかけ(以下略)

「何で全員同じ殴り方?」

などと言っても誰も答えないが、倒れていた男の一人が

「こ、こんな事しやがって、お、おぼえてやが・・・」

男の言葉はそこでとまった、フェイツイが、袖口から取り出したナイフを首筋に突きつけ、

「二度と視界に入ってくるんじゃない」

なんて事を言って

「ひぃぃぃぃ!!し、失礼しましたぁ!! 」

一斉に逃げ出していく男達、

「き、きみ達・・・」

「ん?」

振り向けばそこには店長さん

「ぜ、是非この店の用心棒に!」

『え?』

 

と、言うわけで、二人はレストランの用心棒という、新たな働き口を見つけたのだった。

 

いいのか、それで?

 

 

 

そんなことを繰り広げていた二人だったが、時はまたまたしばらく戻り早朝、家から車に乗り込み(この間の車を修理しま

した)走っていると、見知った人間が歩道を歩いていた、若草色の髪をした少女、レナードは少女を目にとめると車を止め、

声をかける

「シリア、時間に正確だな。」

「無論だ、お前達〈オブスティネート〉が何もしないので、わざわざ来てやっている」

「それを言われるとつらい・・・」

レナードは少女―――シリアに苦笑を向けると、助手席のドアを開けてやった。

「さて、それでは現場に向かいましょうか。」

 

「レナード」

「ん?」

助手席に座るシリアに視線を向ける

「年をとったな」

「・・・・・・・・。」

「見ろ、私の声に反応が遅く」

「ちがう!」

「大声を出すな、私はお前と違い、耳は良く聞こえるぞ」

「何を考えているんだか・・・・」

視線だけを向けて問いかける、シリアはこともなげに

「目的地に連中の研究所があるのは間違いないんだな?」

「ああ、確認済みだ、先輩の能力でも結果は出ているだろう?」

「ああ、○と出た。」

「なら、間違いない、急いで行って急いで帰るぞ。」

 

 

怪奇現象

幽霊

妖怪

魔物

怪物

未確認生命体

世の中には知らなくていい、この世界の真実がある

能力者達のこともそうだが、この世に存在する怪奇現象、それを闇に葬るというのが、特務機動部隊オブスティネートが設

立された理由であった(部隊と名が付いているが、その規模はとてつもなく大きい)、表沙汰には出来ない事件を闇に葬り去

る特殊部隊、自然とそこに集まるもの達は優秀で、なおかつ特殊なもの達が揃う、能力者は何も、ミルガルド家だけではな

い、他にも、能力者の生まれる家系はあるし、突然変異や隔世遺伝などでも能力者は生まれる、そんな能力者達を、〈オブス

ティネート〉は大量に保有し、怪奇事件に対応していくのだ、無論、一般の人間もいるが、〈オブスティネート〉の存在が表

ではなく、あくまで裏で活動する理由はそこにある。

 

 

 

「まずは定番の聞き込み調査かな?怪しい場所を知らないか?とか。」

「いや、聞いて簡単に場所が分かるとも思えないが」

「まあ、一理あるな・・・」

そんなことでウンウンうなっていると

「やはり村の住民から聞き出そう」

シリアが提案し

「異議無し」

レナードが賛成して

そして

 

「もう一度聞こう、貴様、怪しい場所を知らないか?」

あくまで平坦悪鳥で、シリアが聞く、すると、彼女に襟首を捕まれ、血だらけの男は、

「だ・・・だから・・・し・・らないって・・・・言って・・・・」

ドゴッ

鈍い音が響く

「最後のチャンスだ、奇跡の薬草はどこにある」

「だから・・・しらな・・・いって・・・ゼェゼェ・・・言ってい・・・」

そこで、その男の意識はとぎれた

 

「と、こういう方法で聞き込みをしようかと」

「するな!!」

シリアが真顔で呆けるので、レナードも思わず大声でツッコミを入れた、空は晴れていてすがすがしい。

 

 

「見ろレナード」

「これは・・」

既になんの躊躇もなく森の中(ただ単に一番怪しかっただけ)に入った二人は、地面に赤黒いあとがあるのを見つけた、

「血だな、それと周りに足跡がある・・・・」

血痕と思われる場所の周りには、かなりの大きさの足跡が付いていた。

「クリーチャーの類でもなさそうだが、そうすると誰が・・・・」

真剣な目で現場を見るシリアだが、結局今は何も分からなかった。

 

 

ほとんど充てもなく森を歩き回る二人だが、運が良いのか悪いのか

「気づいたか?」

「ああ、あそこの茂みと木の根本・・・」

シリアの問いにレナードが答える、

「赤外線探知機か・・・、明らかに人の手が加えられているな・・・」

赤外線探知機が森から生えるわけがない、明らかにこの森には何かがある、それも、こんな仕掛けを使ってまで隠したがるものが。

「此処はシリアに任せよう」

「わかった」

そのまま二人は探知機の前を通り過ぎようとしている、赤外線探知機は、二組の機械の間で赤外線の光が繋がっており、何か

がそれを遮るとセンサーが反応する仕組みだ、それで何が起こるのかは分からないが、二人は躊躇無くそれを超えていった、

赤外線の光を遮るが、もう一方の探知機には別の光が届いていた、シリアの手から赤外線が出ているのだ。

 

光操作能力

 

シリアが保有するこの能力で赤外線を作り出して探知機をごまかしたのだ、戦闘とも為れば、方向を統一したレーザーなどを使う。

難なくトラップを回避した二人は、他のトラップがないか注意しつつ、奥へと進んでいった。

 

 

 

ヴィ・・・・・・・・・・

「?」

「どうしたレナード?」

「今何か聞こえなかったか?」

「私は何も」

シリアの声を遮るように

ヴィン

がさっ

『!!』

二人は一斉に飛び下がり、レナードは茂みから出てきた何かに牽制のナイフを投げつける、ナイフはその何か―――黒いフロ

ックコートを着た大男―――に当たる、突き刺さるかに思えたナイフは、しかし

キィンッ

甲高い音と共にはじかれた、よく見れば、頭部は人間の物ではない、一本の赤いスリットが入った顔は人間ではなく

「ロボットか何かか?」

シリアが呟く、それを証明するかのようにその男―――の用に見えるロボット―――は、駆動音を上げて素早く突進してくる、

ねらいは

「くっ」

レナードは小さくうめくと何とか敵の突進をかわす、シリアの対応も早く、能力で攻撃を仕掛けようとして、

「スカートがじゃまだ!」

ひらひらなスカートがじゃまで上手く動けないらしい、ちなみにこのワンピースはレナードの妹のレナが選んだもの、スカー

トの裾を破ると、太もものホルダーに納められている、黒い棒状の物体を取り出す、それを剣でも持つようにして構えると、

そこから光の刃が生まれる、と言うか、彼女自身の能力で刃は作られているのだが、こういった、能力に対応した道具は、能

力者にとっては、自らを補助してくれる物なのだ。

 シリアは光の刃をロボットに突き立て、一気になぎ払った、中身の金属部品の一部をばらまきながら上半身と下半身を別々に

してそのまま動かなくなった。

「なんだこいつは・・・」

シリアは光の刃を消して、レナードに話しかけてきた、

「分かるわけ無いだろう、取りあえず〈オブスティネート〉のOPRTに連絡して調査してもらわないとぉ!」

だんっ!

話の途中に飛んできたたまを驚異的身体能力でレナードは回避、シリアと共に手近な木の陰に隠れる。

銃声のした方から出てきたのは、新たなロボット、皆同じくフロックコートを着ている、そのうちの一体が右手から硝煙を立ち

上らせている、

ヴィン

だんっ!だんっ!だんっ!

連続した発砲音、とっさに身をかわした二人だが、近くの茂みなどもずたずたに引き裂かれる

「はぁっ!」

気合いと共に光の刃でロボットを斬りつけるシリア、しかし、その後からもう一体が内蔵されているの銃を向け・・・・・・・

シリアが振り返った時には・・・

ヒュッ

見えない何かがロボットをずたずたに切り刻んだ

「なっ!?」

シリアが軽く驚きの声を上げる、レナードが、精神集中の時間(つまりはイメージ固定の単語をいうこと)なしに能力を使ったのだ。

能力を使った当人でさえも驚きは隠せないようだが・・・

「ともかく今は・・・」

「こいつらを片づけてから・・・」

二人同時に肯くと、神速の勢いで敵に向かっていった。

 

 

最後の一体をレナードが首の後―――首が動く場合、どうしても装甲が薄くなる場所の一つ―――に攻撃を叩き込んでかたづけた、

「まったく、一体何だというのだ、こいつらは・・・」

シリアは今度こそ刃を消し、ホルスターに黒い棒をしまう、既に全てのロボットは完全に破壊されたか、機能を停止している

らしく、ぴくりとも・・・・

「とにかく、こんなトンデモ兵器を使ってまで人を此処より奥に入れたくなかったんだろう・・・、最近殺された連中も、きっ

とこいつらに・・・・」

レナードは話の途中で言葉を止める

「一体何があるのか知らないが・・・あとは〈オブスティネート〉に・・・・どうしたレナード」

急に黙り込んだレナードを怪訝そうに見るシリア。

「シリア・・・」

「ん?」

いきなりレナードはシリアの手を握る

「な!レナード!お前は!わ、私は別にそんな・・」

「逃げるぞ!!!」

「え?」

シリアを抱きかかえてレナードは素早くその場から離れる、少しでも遠くに逃げたあと・・・

 

どぉぉぉん!!

 

爆発音と同時に地面に伏せる、先ほどのロボットが爆発し、あたりにネジや釘、殺傷力を高めるためのボール・ベアリ

ングなどをまき散らす、

「機密度が高いのか知らないが、証拠隠滅が派手だな・・・・」

こめかみに脂汗を垂らしながら、レナードは呟いた、能力を使って障壁も張ったので二人は無傷だ。

「全く、お前は何時の間にそんなに自在に能力を使えるように?」

シリアが聞く、元々レナードの能力は汎用性が高い変わりに、とてつもない精神集中が求められるのだ、そのため、瞬

時に能力を発動させるため、イメージ固定のための単語を口にしているのだ。

「立った今使えただけさ・・・、それと、このことはみんなには内緒に、エンジェル隊やその関係者には、私は能力が

使えないことにしてあるから。」

レナードは能力を使えなくなってなどいない、そもそも、エンジェル隊司令官として過ごした4ヶ月間は、エンジェル

隊の実力を計るため、タクトを司令官に戻したのは、彼の指揮能力を調べるため、そして能力を失ったことにしたのは、

〈オブスティネート〉と合流するための口実・・・、全ては計算ずくだった、一つ計算外のことと言えば、エンジェル隊か

ら離れた時、なぜかちとせが着いてきたことだけだ。

「ともかく、あとはAAに調査させるから、今日の所は帰ろう・・・さすがに疲れた・・・」

「ああ、わかった」

レナードの提案にシリアも同意し、二人は止めてある車に乗り込んだ。

 

 

 

レナード邸(借家)

レナードが帰ってくると、連れ帰った女性(シリア)の紹介もそこそこに、フェイツイも含めた三人で、奥の部屋で話し込んでいる、

自分は邪魔者らしく、入るに入れなかった。

と、いうわけで、烏丸ちとせは扉の前で立ちつくしていた。

中の声は全く聞こえない、何を話しているのかとても気になる、そんなことをちとせが考えていると、クロノクリスタルが光った。

 

 

 

「とすると、〈スキーズブラウニル〉はあと一週間で艤装が完了するのか・・・」

家の奥にある防音室、そこにレナード、フェイツイ、シリアは座っていた。

「ああ、〈ギャロップ〉の改修も完了しつつあるし、MK-2シリーズも問題ない、それより白き月だ・・・」

「そうですわね・・・、〈オブスティネート〉から何人か月に送り込んでいるのでしょう?」

「ああ、OPRTとUCRTからね、いつ連中の計画が始まるか分からない・・・」

三人とも神妙な面持ちである。

「とにかく、シリアはいったんコーク島基地に戻ってくれ、事が起こったらエルシオールを迷彩モードで追尾、指揮は蒼

乃さんに一任、悟られないように。」

「分かった」

シリアが肯く。

「それから・・・」

レナードは一番重要なことを口にした

 

 

 

ちとせのクロノクリスタルが光った、手に持って会話モードにすると、フォルテの声が聞こえた。

『ちとせ!』

「は、はい!?な、なんでしょう?」

いつになく凄い剣幕(しかも不意打ち)に、思わずちとせはたじろいだ。

『その、なんだ、落ち着いて良く聞いておくれよ?』

「は、はい。」

『レナードが、何かたくらんでいるかも知れない・・・』

「え?」

間の抜けた声が、自然と漏れる

「え?」

ちとせはただ、三人のいる部屋の扉を見つめた。

 

          つづく

 

 

【あとがき】

妙にお久しぶりです、蒼穹一です、このファイルを以前開いた日付は2005/5/29となっていました、今これを書いている

のが2006/3/5です、あと少しで一年に手が届きそうですよ!?

なにをやっていたのやら・・・、しかもこの間恐ろしいことが・・・、皆さん、GAのホームページは見ていますか?私

は見ています。GA�兇稜�表が載っていました、このお話はヴァルファスクとの戦いが終わって一年はレナードが司令官、

その後の一年をこの作品で描く予定だったのですが、4年分スケジュールびっしり!?いや、別に既にオフィシャル無視

じゃないとかいわれるとつらいですが・・・、こうなったら前回年表だしておきながら変更です変更!

 

トランスバール暦413年1月下旬   ヴァルファスクとの決戦終了

 

同413年2月中旬   レナード、エンジェル隊司令就任(裏から手を回して)

同413年7月中旬   Beloved lovers第一章から始める

 

同413年9月下旬   第一部終了 第二部開始

 

と、このような感じに変更、414年初め頃にこの物語を終わらせるようにするかな、この話はどうなるか、どんどん先

行き不安になってきますが、今後もお付き合い下さい、それではまた次回のあとがきで。

 

             物語は計画的に(猛反省しております)なあとがき

                              蒼穹一

 

 

次回予告

ちとせに語られた言葉は、深い苦悩をもたらした。

しかし、エンジェル達はちとせをいたわる暇すらなく、新たな戦渦に巻き込まれる。

白き月に例のロボットが現れる。

次回

【危急存亡!白き月の戦争!】

鋼の兵士達が、月の中で目を覚ます