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恋愛にはまるで興味を持っていない人だった。

 

「くだらんな」

恋愛話など一言で切って捨てる人。でも、いつのまにか好きになった。

 

「まったく女ってヤツは・・・」

いつしかあたしは諦めてた。ずっと何も言えず、黙って想い続けようとしてた。

 

「惚れた女との幸せのため・・・か。ふっ、それも悪く無いかもしれん」

だけど、いつからだろう。あの人が少しずつ変わってきたのは。

「ふむ、オレも少しはお前も見習うか」

あの人の隣にはいつも、親友がいたから。

 

EDEN解放の英雄が、まさかこんなちゃらんぽらんな人間だとは思ってなかっただろうなあ・・はっはっはっ・・・・!」

 

「なに、こっちでも英雄になっちまったお前の晴れ姿を見ておこうと思ってな」

 

「ならば今!こいつに賭けましょう!・・・・・オレの最高の親友であるこの男に!」

 

あの人のたった1人の親友。その人の前でだけは、あの人は素の顔を見せていた。

大声で笑うことも、悪辣な態度で毒を吐くことも、怒鳴り付けることも。

他の人に同じ事をしていても、どこか、違ってた。

強い信頼の眼差しで、いつも親友の補佐をしていた。そして、輝いていた。

 

「それでお前の緊張がほぐれるなら、全然構わんさ。元気な方がアルモらしいからな」

 

そう言って笑った彼の顔は、今まで親友にのみ向けられていた顔と同じに見えて――――輝きが見えて。

すごく、うれしかった。

 

 

Stellar Finders~星探祭~

             第3話「What’s his name?」

 

 

アルモは艦内を走っていた。全力で。エルシオールは広い。普通なら息が切れて止まってしまうだろう。けれど、恋する乙女の心は芯が強い。

速度を落とさぬ快走を続けながら、1週間ほど前の事を思い出していた。

ヴァル・ランダル到着の前日の事である。

 

『これよりドライブアウトまでは、最低限の人員を残して自由行動を許可します。繰り返します、これより・・・』

タクトの出した命令をマイクに向かって復唱した。アルモの声が艦内に響き渡る。

在る者は司令官の性格を思い苦笑し、また在る者は歓喜の叫びを上げたという。

アルモが放送するのを聞いて、タクトはにっこり笑って立ち上がった。

「さて、それじゃあオレも・・・」

真っ先に遊びに行こうとしたタクトをレスターが肩を押さえてイスに押し戻した。レスターは人の悪い笑みまで浮かべてる。

「ところで質問なんだが。『司令官』というのは『最低限の人員』に含まれるんだよな」

それは当然の質問だった。レスターの指摘は至極常識的である。司令官は艦の責任者であり航行には不可欠だ。

ただし、それはエルシオール以外の艦ならば、である。

「うっ・・・やっぱり?」

レスターから目を逸らし、気まずそうに呟いた。なんともタクトらしいが、こういう時のタクトはまた何か考えてる。

また口八丁でレスターを誤魔化して遊びに行く気なんだろうか。普段ならともかく、こんな敵本陣直前にあのレスターが許すわけが・・

「冗談だ。さっさと行って来い」

 

あった。

そもそも2人の目には最初から難い雰囲気はない。気心の知れた友人が、ただの冗談を言い合っているだけに過ぎなかった。

「やれやれ、人が悪いんだからなあもう」

タクトもいつも通りの溜息をついて立ち上がる。

それは見なれた風景。2人がエルシオールに着任してから、今までずっと。タクトがサボろうとして、レスターが悪態をつきつつも最後は見送る。

普段通り。それは特別なことではない。特別でない強さ。だから、この艦は負けないのだ。

「・・ぷっ」

思わずアルモが笑い出す。

「どうしたの?アルモ。急に吹きだしたりなんかして」

「うん、いつもとまるで変わらない2人を見てたら、なんだか気が楽になっちゃって」

「ふふふ、私も」

ココも同じ。エルシオールの「強さ」を改めて知った。その安心。自分達は負けない。

「まったく、すっかりオレも、コイツの相方扱いだな」

レスターが、溜息をつく。彼は知らない。「エルシオールランキング『溜息の似合う男』3期連続ダントツ1位」であることを。

ちなみに彼の親友がもつ「エルシオールランキング『溜息を呼ぶ男』3期連続ダントツ1位」と言う称号との因果関係は明らかになっていない。

ちなみに、この2人は「第3回エルシオールランキング『艦内名(迷)コンビ』部門第2位」であり、3期連続でのベスト5を維持している。

不動の1位、ミルフィーユと蘭花に30票差まで迫った事があるのはちょっとした語り草となっており、第4回に期待が寄せられていた。

 

「い、いや、あの!これは決して変な意味では無くて!?」

『相方』の言葉で頭の片隅にランキングがよぎったが、慌てて否定する。これもいつも通りの風景。

「ふっ、別に怒っているわけじゃない。それでお前の緊張がほぐれるのなら、全然構わんさ。元気な方がアルモらしいからな」

いつも通り・・・ではない彼の言葉。しかしそれはレスターの『特別な言葉』ではなかった。自然に出た言葉。

レスターの変化。アルモは嬉しさで顔が火照って、笑顔になっていくのが自分でもよくわかった。

「クールダラス副司令・・・」

「よかったよかった、ふふふ」 

 「何の話だ?」

「いえいえ、なんでもないですよ」

 「・・もう、ココったら・・・」

自分の言ったこと、その変化に自分で気づいていないレスター。タクトはアルモとココとのやり取りを聞きながら、邪魔しないように立ち上がった。

「うんうん。それじゃ、いってきまーす」

 タクトが出て行くのに誰も気づかなかった・・わけではない。ココの眼鏡がきらりと輝いた。 

 「じゃあ私も自由行動してきます」

いきなりそう言って、席を立ったのだ。アルモの方に歩み寄る。

「お、おい。レーダー担当くらい・・・」

レスターもさすがに引き止める。が、それで止まる彼女でもなかった。

「クロノ・ドライブ中ですし。それじゃ・・がんばってね」

最後だけ、アルモの耳に聞こえるか聞こえないか位の小声で囁く。アルモは心臓を握りつぶされたような緊張を感じた。

激励してもらってなんだが、こんな囁きでは出る勇気も出ないではないか。

「それじゃあ私も」

「あ、おれも」

「私も~♪」

「お疲れ様です~」

まるでタイミングを合わせたようにブリッジクルー全員が立ち上がる。

「おっおい!お前ら!?」

「真実の愛を探してきま~す」

言い訳がハモった。打ち合わせはしていないはずなのに。笑いながらブリッジから出ていった。

残されたレスターとアルモ。静まってから、何も知らないレスターがまた溜息をついた。

「あいつら・・・タクト病だな、まったく」

口調は乱暴だが、顔は笑っていた。気を遣われたアルモは恥ずかしくてたまらない。が、レスターもそれに気づきはしない。

「お前も行ってきていいぞ。ブリッジにはオレが残っておく」

「い、いえ。あたしも残りますよ。その・・各部署の把握の為にも」

「む・・そうか。すまんな」

緊張してしまうけど、恥ずかしいけれど、みんながくれたこの時間、この人と一緒に居たい。アルモはそう思っていた。

 

「・・で、結局タクトのアホのせいでオレまで追認試験を受ける事になったわけだ」

「あはは・・司令変わんないんですね~」

「まったく、少しは成長して欲しいものだがな」

やる事は予想通り何もなかった。結局簡単なデータ処理をするだけ。

他愛無い世間話をするほど話し上手でない2人の会話は自然と共通する人物の話題になる。すなわち、タクト・マイヤーズの話だ。

レスターがタクトの学生時代を溜息混じりに話し、アルモが苦笑する。

という、ありがちなパターンになっていた。

「不思議だったんですけど、どうやって司令と仲良くなったんですか?どんな出会いだったんですか?」

アルモの疑問も真っ当なものだろう。レスター自身改めて考えると不思議である。

「もともと士官学校の同期で同じクラスだったんだが・・・1ヶ月くらいたった頃かな、オレに言い寄った女が・・」

「えええええっ!?」

「なっ、なんだいきなり!?」

「い、言い寄ってきた人って・・・」

それは衝撃発言だ。タクトから以前から聞いてはいたが、やはり本人から聞くとドキッとする。恋人が居たことだってあってもおかしくない。

月に2度も3度も「春が来る」級友は、周囲の羨望の的だった。正直レスターにはそれは「うっとおしい」だけであったのだが。

「?・・まあそれで断った後の女をナンパしていたんだ」

アルモががくっと力を落とす。自分の司令官の女好きは知っていたつもりだが、学生時代そんな事までしていたのか。

「それでその女生徒に思いっきり殴られてな、オレがタクトに声をかけたわけだ」

 なんだかすごく想像しやすい。アルモの中で、その女生徒は蘭花のイメージで浮かんできた。

エルシオール内で実際に見たことのある風景だから仕方ないのかもしれないが。

 

「いてて・・・残念だなあ・・・」

「・・確か、マイヤーズだったか・・お前、アホだろう・・・」

「タクト」

「・・・・は?」

「ファミリーネーム嫌いなんだよ。〝タクト〟って名前で呼んでくれよ。レスター」

「・・・」

 

それはろくでもないシチュエーション。正直その時レスターはタクトに対していい印象など持ちようはずもなかった。

「それから何かと一緒に居るようになって腐れ縁が出来上がったってところだ」

「へ、へぇ~・・」

不思議だ。アルモにとっては2人の友情関係がより謎めいたものになった。

「・・昔からクールダラス副司令いろんな人に告白されてたんですか?」

ふと、気になることを聞いてみた。いや、聞いてしまったのだ。自然に口から出た。聞かずにいられなかった。

言ってから、アルモは自分の言葉に胸を刺されたような痛みを覚えた。

「ああ、当時はうっとおしいものだったがな。好きだの恋だのうわついている、と」

レスターは肩をすくめて言った。当時は?

「え・・今は違うんですか?」

どきりと、した。期待と、不安と。

「今改めて思い返すと、随分ぞんざいに断っていたから悪い事をしたな、とな」

それは、変化。今言われても断ることには変わらないだろう。ただ、自分の言葉は彼女らの心を傷つけてはいなかっただろうか。

タクトとミルフィーユを見ていて生まれた、自分の中の変化だった。

「そ、そういえば、副司令はこの戦いが終わったら司令を見習って・・その・・こ、恋人を探すんですよね?」

どんどんアルモは深いところへ話を進めていた。自分でも止まらなかった。早鐘をうつ胸を無意識に押さえて。

「む・・ああ、言ったことは言ったがな」

苦い顔をするレスター。彼にしては珍しいことに、照れくさく頬を指で掻いた。

「す、好きなタイプとか。あ、あるんですか?」

「いや、考えた事もないが・・・」

「前にマイヤーズ司令から聞いたんですけど・・・『人妻で眼鏡の女教師』ってほんとですか?」

 

だん!

アルモが言い終わるか終わらないかの内にレスターが作業パネルに拳を思いっきり叩きつけた。口の端がひくひくと痙攣している。

「あのアホは・・・そんな事言いやがったのか!?」

「え、ええ・・結構前に・・」

「根も葉もない雑言だ!」

レスターは激怒して吐き捨てた。もともとタクトの流した嘘であるが、そのせいで学生時代に酷い目にあったことがある。

「あのアホ・・・帰ってきたら殺してやる・・・」

ぶつぶつとつぶやいている眼は本気だ。ちょっと怖い。アルモは少し引いた。

「や、やっぱり嘘なんですね」

「当たり前だ!・・だがまあ、オレはこんな性格だからな。戦いの後も相変わらず恋だの愛だのは苦手だと敬遠するだろうな」

笑顔が、すこし寂しそうだった。アルモの胸は苦しくてはち切れそうだった。抑えきれない。伝えたい。この想いを。

「あ、あの・・」

「ん?」

「もし・・あたしで・・よかったら・・・」

「なんだ?」

アルモは顔を真っ赤にして小さく、囁くような声で唇を、手を震わせている。

「あたし・・・・れ、レスターさんのこと・・・」

「・・?」

レスターはさっぱりわからず、小首を傾げるばかり。昔からこのような態度で何度も告白を受けている。経験は人より多いはずだ。

なのに。この朴念仁は目の前の女性の想いがさっぱりわからないのであった。

もう少しである。あと、「好きです」これだけ。これだけの言葉が、なんと重い事か。言いたい。言えない。もう少し・・・

 

 

駄目だ

 

 

「・・お、応援したいんです!そ、その、苦手とか言わないでチャレンジしましょうよ!」

早口でまくし立てて、溜息をついた。違う、こんな事が言いたかったわけじゃ、ない。

「あ、ああ・・だがな・・・」

言えなかった。けれど、このまま終わりたくもない。もう一度。もう少しだけ。アルモは拳を握り締めた。

「お、女の子と一緒が苦手だったら・・あ、あたし・・あたしで練習しませんか?」

「練習?」

「そ、そうです。その・・もし、よかったら・・なんですけど・・・」

結構打算的なことを言っているな。どきどきしながらも、どこか現実感のない自分もいる。

「・・・・・」

レスターはそのひとつきりの眼をきょとんと瞬かせていたが、やがてふっと笑った。

「ああ、じゃあ頼む」

「クールダラス副司令・・!」

「名前でいいぞ?」

 

「・・・はい?」

何を言っているのか、わからなかった。嬉しさでいっぱいになった瞬間にレスターから謎の一言。

「さっき名前で呼んでいたろう。その方が呼びやすいんだったら構わんぞ。好きに呼べばいい」

再び、頭に血が急激に上ってくる。アルモはいつの間にかファーストネームを呼んでいた。いつだったか。思い出せ。思い出せ。

(あ!そうだ!告白しようとしたときだ!ああ~~っ!!あたしってばなんて恥ずかしい事を!?)

「アルモ?」

「はっはい!あ、あの・・それじゃ・・レスターさんって・・呼んでも・・いいですか?」

 

 

 

 

 

気がついたら足は止まっていた。思い出して、アルモは少し赤くなった。自分の臆病に。そして少し進展した嬉しさに。

だからこそ、だ。いくら仕事とはいえ、恋する乙女がそれを黙って見過ごす事も出来はしない。

(そもそも女の子に慣れることだってあたしで練習するはずだったのに!名前で呼べるのはあたしだけだったのに!)

(フォルテさんなんて呼び捨てまで進んじゃってるなんて!)

フォルテは単純にからかってるだけなのだが。『進んじゃってる』なんて当人が聞いたらまたどんな冗談を言い出すかわかったものじゃない。

(ううん、それよりミントさんよ!ミントさん、レスターさんのことが好きなんだ!ついに強力なライバルが出てきちゃった!)

ミントの態度、それはアルモの乙女心~ライバル出現編~に火をつけた。同じ「レスターさん」呼称同士。

けれど、向こうはティーラウンジでお茶を一緒に飲んで、しかも未確認だがおごりらしい。一歩先を行く。

(ミントさんって理論派で知性的だからレスターさんとも話が進むんだろうなあ・・すっごく可愛いし)

ちょっと相手の巨大さを一瞬感じてしまった。負けてられないと思ったばかりでこれはまずい。勝っているところを考える事にした。

(あ、あたしのほうがスタイルはいいよね・・ショートヘア・・は同じか。年齢だって釣り合う・・よね・・)

Bブロックについていた。もうすぐ、ティーラウンジだ。アルモはどこにそんな余力があるのか、ラストスパートを掛けた――――

 

 

「ちょっとミント、フォルテさん。わざとやってたでしょ!?」

ティーラウンジ。食いかかる蘭花からフォルテがしれっと目をそらす。

ミントはいつにも増して上機嫌で紅茶を飲んでいた。心なしか肌がツヤっとしてる気さえする。

「あら、あれくらいは言っておきませんと」

「ほんとだよ。いつまでたっても進展しやしない」

「アタシまで騙して楽しんでたじゃないですか!ミントもほんと腹黒いだから」

「まあっ、宇宙ボーイスカウトも裸足で逃げ出すような奉仕の心を腹黒いですって?本当は心の中で泣いて謝罪しながら言っていたものを」

すかさずハンカチを取り出し目尻に添える。また完璧なほどの仕草が余計に蘭花の神経を逆なでする。

「・・ですが、ミントさんの耳はピクピク動いていました」

「先輩方はそんな事を考えていたのですね。アルモさんがレスターさんを・・・知りませんでした。思慮の浅い自分が情けないです」

今の今までまったく知らなかったちとせは少々蚊帳の外、と言う感じだろうか。

おもちゃ(=蘭花)を楽しそうに見ていたミントのもうひとつの耳がピンと跳ねて何かを発見する。

「あら、真打がやってきましたわね」

「ミントさん!」

おもちゃ3号(=アルモ)が駆け込んできた。肩で荒く息をしている。顔が少し赤いのは、走ってきた為だけだろうか。

「アルモさんも、戦闘お疲れ様でしたわ。こちらに来てご一緒しませんか?」

にっこり笑って席を勧めるミントの耳は、ピクピクと動いていた。

 

「その・・ミントさんに聞きたいことがあって・・」

「あら、ひょっとして『レスターさん』のことですか?」

ミントが「レスターさん」を強調して言うと、アルモがびくっと反応した。

(ああ、打てば響くこの反応。たまりませんわぁ)

なんとも酷いね。ミントらしい気もするけど。横にいてフォルテは思った。

「そ、そうです。ミントさんも・・レスターさんのこと、好きなんですか?」

直球で来たわね。蘭花は思った。アルモを応援する身だけどこういう展開は嫌いじゃない。なんだか面白くなってきた。

「アルモさんはちゃんと進展してらっしゃいますの?戦闘中は以前のように『副司令』と呼んでおりませんでした?」

「う・・それは・・昔の癖で・・・」

「あらあら、なかなか難しいご様子ですわね」

相手の質問には乗らずに、あくまで自分のペースに引き込む。ミントは会話を自分有利に運ぶ方法には長けている。

「いつまでも悠長な事をしていると危ないですわよ。あれほどの美丈夫ですもの、『誰かに』、奪われてしまうかもしれませんわよ」

ぐっと強調しながら「誰かに」と言う。さりげなく、自分の胸に手を当てて。

まったく『なんでもない』仕草であったが、この心理的な誘導はアルモには絶大の効果を発揮した。

「やっぱり・・・ミントさんも・・」

「あら、なんのことでしょう?」

ミントは宇宙ダージリンのロイヤルミルクティーのカップを傾ける。微笑みは絶やさない。耳がまた跳ねた。

「それではわたくし用がありますので先に部屋に戻らせて頂きますわ」

「・・え?」

場の全員が声をかけるまもなく、さっさと出て行ってしまった。いきなりの事で固まってしまっていたのだ。

しかし、エンジェル隊は見た。ミントの眼は、「あとはお任せいたしますわ」と物語っていた事を。

「ま、まああれだ。アルモ。ミントも悪気があって言ってんじゃないからさ・・多分」

「そうそう、あれでもアンタの進展を促そうと挑発してるだけ・・だと思うわよ。・・多分ね」

さっきは自分も焚きつけ役に回ろうとしてたフォルテも蘭花とともになんとも曖昧なフォローをいれる。

2人の心には、共通してこんな状況を投げて寄越したミントへの恨みがあった。

「本当にそうですかねえ・・・」

アルモの疑いは晴れない。それは蘭花の短絡的且つ細く短い『糸』を切るのには十分だった。

「あ~!もう!それが問題よ!ミントも言ってたでしょ。『ぐずぐずしてると・・』って。もっと積極的に行かないと駄目よ」

蘭花の叱咤が冴える。恋愛沙汰となると本来一番首を突っ込んで楽しむのはこの娘の役割なのだから。

「デートに誘うのよデートに!誰かに奪われる前にアイツをゲットすれば問題無しでしょ!」

「なるほど、そうだねえ、EDENについたらそのくらいの時間も取れるだろうしね」

「ええ?そんな。誘えませんよ・・」

「だからそれがいけないんだってば。いい?恋ってのは押しよ押し!」

「・・・・ランファさんは少し押しすぎだと思います」

「ヴァニラは黙ってなさい」

きついツッコミが入る。アルモは少し、心配になった。

「誘いづらいのでしたら恋文にしたためて送ったらいかがですか?」

意外にもちとせも話にのってくる。年頃の女の子だけにやはりこのような話は嫌いではないらしい。

3人は熱心に話しだした。EDENでデート作戦について。

「なんだかなあ・・ヴァニラ、あたしらも帰るか」

「・・・はい、お話は長くなると思います。私は、そろそろ動物達の世話に・・」

「あたしも撃ちっぱなしにでも行くかねえ・・・」

盛り上がった『おもちゃ達』は、逃げ出した2人には気づかなかったようだ。真剣な討議がこの後しばらく続いたのである・・・・

 

 

次回予告!

ファーストフード店員風のフォルテ。カウンターをべきべきとひっくり返す。

「もう嫌だ~~~~!」

「どうしましたか?フォルテくん?」

「あっ、ミント店長。あたしもうこの仕事は嫌なんです!」

「そんなこと言わないで。そりゃ接客業ですから辛いことも・・・・」

「そうは言っても。もう『ピクルス抜き』の注文なんて受けたくありません!」

「確かに、毎日ピクルスが余っているのは悩みの種ですからね」

「ハンバーガーの命はピクルスなんです、ピクルスがないとおいしさも半減です!」

「気持ちはわかります。けれども、嫌いな人も多いのが事実です。仕事なんですから、割り切らないといけませんよ」

「ミント店長・・・スイマセン、店長。あたし頑張ります」

「うん、その意気ですよフォルテくん!」

ヴァニラ、入ってくる。

「へい、らっしゃい。ミントナルドバーガーエルシオール店へようこそ。ご注文はあたし、フォルテがお伺いするよ」

「これは・・?」

「はい、これは今日から新しく入ったうちの自慢の新商品、『ピクルスバーガー』だよ!」

「じゃあそれをひとつ・・・・・ピクルス抜きで」

「もう嫌だぁ~~~~~!!!!!」

 

「・・・・先輩方・・私の出番は?」

 

                                                        続く

 

 

はい、雛鸞です。どうもどうも。アルモが「レスターさん」と呼ぶ回でした。ゲームをやっていただければわかると思いますが、

あのシーン以降アルモは「クールダラス副司令」と呼んでいません。2人の掛け合いはほとんどなくて、お互いを呼び合ってないんですね。

雛鸞としては「この時にいい雰囲気になったとしておけ」都合よく解釈を突っ込んだわけです。

ほんと、ゲームでその後あの2人ってどうなったのか。知りたいものですね。ないからこうやって作れるわけなんですけど。

ミントとのやりあいを期待していた方ごめんなさい。最初からこの程度にする予定でした。修羅場みたいのはあまり書きたくないんで。

GAに関しては必要とも思いませんし。

次回、「彼女達」が登場です。ようやくです。お楽しみに。